なんかつくってりゃしあわせ

なんかつくってりゃしあわせ。。。

八日目の蝉

2012-03-14 20:41:30 | 雑感
日本アカデミー賞を受賞の映画を観て来た。
原作は角田光代さん。

永作博美、井上真央、小池栄子、それぞれ俳優陣が素晴らしい演技だったけど、なかでもとりわけの存在感の田中泯が良かった。

不実の子を身ごもったヒロインがやむなく子を堕ろし、そして不倫相手の子を身ごもった妻に罵られる。
その産まれた子を衝動的に誘拐し、疑似親子として暮らしつつの4年の逃亡、そしてヒロインが逮捕されて
元の親子関係がずたずたに引き裂かれた家族の姿や、誘拐されて精神的に錯乱してしまった子供の成長した姿や
自分探しの旅が描いてあるヒューマンドキュメンタリーである
成長した女の子はやがて同じく不倫の子を宿すんだけどその葛藤も織り込んである


この映画の凄い所は
主立った役で誰1人として幸せな人がいない、っちゅーところだ。

不倫をしたおおもとの二人。
子供をうっかり身ごもってしまったヒロイン。またその不倫相手。
不倫相手も「いつかちゃんとしてから君と所帯を持ちたいから、いまは産まないでくれ、わかってくれ、僕だって辛いんだ。妻にはきちんと話す」と言っちゃえる不幸。
それを信じてしまえるヒロイン。
その舌の根も乾かないうちに妻を身ごもらせる不倫夫。
夫が不倫をしてると分って、相手のうちに乗り込んで行き、罵詈雑言を浴びせる般若のような妻

衝動的な犯行
犯行が衝動的だから、先行きは見えてながら逃げるヒロイン
やがて逮捕されて疑似親子の二人は引き裂かれ
4年も大事に育てられた子供は本当の親と、誘拐犯と名のついた育ての親との間で苦しみ、
親も馴染まない子供に苦しむ
やがて子供は成長して馴染めない親元を出て独り暮らしするもここでまた
出会って愛した人が妻帯者だったし、しかもその子供を宿してしまった。。。
しかし意を決して子供が出来た事を相手に伝えようとしたのだけど返って来た答えは自分の父親と同じの
「君はまだ学生だろう?いつかちゃんとしてから君と所帯を持ちたいから、いまは産まないほうがいいよ。妻にはきちんと話すし」だった。
フリーの女性ライターに取材を受けるけど最初は拒否し、やがて心を少しづつ開いて行き、
そのライターと誘拐されて転々とした場所への旅に出る

実はそのフリーのライターも同じように心に傷を持つ女性だったし
私だったらそんな言葉でだまされないやね、と思うような不幸続きの話の中でも
なんかこの映画を見ていて悲壮感だけではなかったのが一体なんなんだろうか?と自分に問いかけた

なんだろう

なんかを求める力?っていうのかな。
なんかこう、飢えみたいな、人間の切実な欲望みたいな、そういうのを描いている気がした。

希望がないと、つっかえがないと、人間生きていけないんだぞ、という。