自宅マンションのエントランスを抜け、エレベーターホールに、愛車“亀吉号”とむかう。
エレーベーター機が降りてくるのを待っていたら、左側のがすぐに降りて来て開いた
なかから、小学生低学年だろうか、可愛い小さな女の子が大きなステンレスボトルをしっかりと抱いてランドセルに背負われて、あ、間違った、ランドセルを背負って降りて来た。
私はすぐに機に乗ろうとして、なんとなくその子が気になったから声をかけた
おびえているような雰囲気がしたのだ
「どうしたのー?どうしたのー?」
女の子は一旦出口の方に向ったがこちらに引き返して来た
顔をみると涙でぐしゃぐしゃになった跡がある
「・・・・・・・。セビ。」しゃくりあげている
「どうしたの?お家の鍵が無いの?」と私がなるべく優しく聞くと
「セビが。セビが。あどね(あのね)、セビが怖くて、4階のお家に行けないの」という
「そーか。わかった。一緒にお家のとこまで行ったげるから、一緒に乗っておいで」というと
その子は全身びくびくしながら乗って来た。
4階に着くと一緒に降りた
「どこにセミがいるの?」
「あどね(あのね)、あそことね、あそこにね、全部で3匹いるの。怖くて怖くて」
通路を見ると飛んで来てガラスにあたっただろうセミが3匹、脳しんとうおこして裏返しになっておる。
でもしかし、全部通路の端っこで、そーっと歩いたらなんてことないだろうに
その子は涙でぐちゃぐちゃになるくらい恐怖だったんだなーと思うとしょうがないなーと思った
「よし、おっぱらったげるから、後ろ向いてな」と私はその子に言い
まず2匹を外に逃がしてやり、3匹目を逃がした。
3匹目を逃がす時にちょっとだけそのセミが「ピギーッ!」と叫んだので
女の子が震え上がってしまった
「さ、セミはもういないよ。お家にお入り」
女の子は恐怖で縮み上がっているので、もちろんお礼なんか言えるわけもなく
ずっと豆が鳩鉄砲喰らったように目を見開いていた
ふ。セミねぇ。セミが怖いと来たか。
セミはいきなり大きな声を出すから怖いんだろうな
夏は外出するにもイノチガケだろうな
女子!もうちっと頑張れよ。
そんなもんが怖いうちは悪と戦えないぞ
遠い夏の日に、同じように虫を大声を上げて怖がる妹に
お母ちゃんが
「虫のほうこそアンタを怖いって言ってるよ」と冷たく言い放っていたことを思い出した
エレーベーター機が降りてくるのを待っていたら、左側のがすぐに降りて来て開いた
なかから、小学生低学年だろうか、可愛い小さな女の子が大きなステンレスボトルをしっかりと抱いてランドセルに背負われて、あ、間違った、ランドセルを背負って降りて来た。
私はすぐに機に乗ろうとして、なんとなくその子が気になったから声をかけた
おびえているような雰囲気がしたのだ
「どうしたのー?どうしたのー?」
女の子は一旦出口の方に向ったがこちらに引き返して来た
顔をみると涙でぐしゃぐしゃになった跡がある
「・・・・・・・。セビ。」しゃくりあげている
「どうしたの?お家の鍵が無いの?」と私がなるべく優しく聞くと
「セビが。セビが。あどね(あのね)、セビが怖くて、4階のお家に行けないの」という
「そーか。わかった。一緒にお家のとこまで行ったげるから、一緒に乗っておいで」というと
その子は全身びくびくしながら乗って来た。
4階に着くと一緒に降りた
「どこにセミがいるの?」
「あどね(あのね)、あそことね、あそこにね、全部で3匹いるの。怖くて怖くて」
通路を見ると飛んで来てガラスにあたっただろうセミが3匹、脳しんとうおこして裏返しになっておる。
でもしかし、全部通路の端っこで、そーっと歩いたらなんてことないだろうに
その子は涙でぐちゃぐちゃになるくらい恐怖だったんだなーと思うとしょうがないなーと思った
「よし、おっぱらったげるから、後ろ向いてな」と私はその子に言い
まず2匹を外に逃がしてやり、3匹目を逃がした。
3匹目を逃がす時にちょっとだけそのセミが「ピギーッ!」と叫んだので
女の子が震え上がってしまった
「さ、セミはもういないよ。お家にお入り」
女の子は恐怖で縮み上がっているので、もちろんお礼なんか言えるわけもなく
ずっと豆が鳩鉄砲喰らったように目を見開いていた
ふ。セミねぇ。セミが怖いと来たか。
セミはいきなり大きな声を出すから怖いんだろうな
夏は外出するにもイノチガケだろうな
女子!もうちっと頑張れよ。
そんなもんが怖いうちは悪と戦えないぞ
遠い夏の日に、同じように虫を大声を上げて怖がる妹に
お母ちゃんが
「虫のほうこそアンタを怖いって言ってるよ」と冷たく言い放っていたことを思い出した