かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

さらにお知らせ―コケのある空間で『コケとも』が読める。

2011-05-25 09:52:09 | 東京コケスポット
先週末から首都圏をかわきりに、
そして今週からは全国で本が発売されるようになって、
いろんな人から嬉しい連絡が相次ぐ。

「『コケとも』読んだよ!」(←すでに略されている!)

とメールをくれる友人がいたり、

すっかりご無沙汰で失礼しているのにもかかわらず、
mixiやツイッターで本の情報を流してくれる
神戸の幼なじみやmixi繋がりの友人がいたり、
皆さんのおかげで『コケとも』が少しずつ、
いろんな場所で話題になってきているようで。

まだうまく言葉に表現できないが、とにかく嬉しい。


かくいう私も先週末は、
出版社リトルモアさんのFさん、Kさんと一緒に
都内各所のコケのお店へ伺い、

「『コケとも』を1冊、こちらに置いていただけませんか?」

とお願いして歩いた。

なんせ初版部数が少ないものだから、少しでも人の目に、
とくにコケが気になっている方々の目に触れるようにと、
コケに興味のある人が集う場所に本を置いてもらおう
というのが今回のお店行脚の目的。

というわけで、いま下記のお店に、
『コケとも』を1冊ずつ、置いてくださっています。

コケのある空間でお茶でも飲みながら、
ページをめくっていただけると嬉しいです。

また、ただふらりと立ち寄ってもきっと嬉しい発見があるはず。
とりわけ園芸に興味のある方は要チェックのお店ばかりです。



●flower&cafe 風花(東京都港区青山:東京メトロ銀座線など)
http://www.kaza-hana.jp/cafe/
▲お店の外壁がすべて緑で囲まれている(誇張ではなく、本当に!)カフェ&園芸店。
本が飾られているかはわかりませんが、店員さんに言ってもらえれば出していただけると思います。



●草と花 一草(東京都杉並区西荻窪:JR中央線)
http://www.isso-1999.com/
▲路地を入ったところにある落ち着いたたたずまいのお店。
カフェスペースの本棚に『コケとも』を飾ってくださるとのこと。
季節の草木とコケの寄せ植えがたくさん置いてありました。



●隆龍 RYU-RYU(東京都渋谷区代々木:小田急線参宮橋駅)
http://www.ryuryu.cc/index.html
▲民家を改装したという店舗はめちゃめちゃ洗練された空間。
スタイリッシュな和のインテリアにコケ鉢がたくさん。
カフェスペースに本を置いてくださっています。



●みどり屋 和草(にこぐさ)(東京都武蔵野市吉祥寺:JR中央線・井の頭線)
http://www.nicogusa.com/index.html
▲ここはコケ鉢の専門店(カフェはない)。
女性店主が非常にキップがよく、コケの育て方からいろいろと親切に教えてくださる。
私も何度か訪れているけど、いつも時間が許す限り長話をしてしまうお店。
委託販売してくださるとのことで、ここのお店では本の注文ができます。



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●おまけ:山形コケレポート(短縮版)



▲鶴岡市の観光名所「釈迦堂」の庭の池で出会ったカヅノゴケ(おそらく)。


植物体の先が鹿の角のようなので「鹿角苔(かづのごけ)」。
コケなのに水中で生きるというコケ界の異端児である。




むかしは池や田んぼでよく見られたが、いまでは住処が激減。
しかし近年、アクアリウムの世界でまさかの再デビュー。
「リシア」という名の水草として売られていることが多い。


▲『コケはともだち』のコケ図鑑より(イラスト:永井ひでゆき)

お知らせ(続き)―完成本が届く。

2011-05-20 10:37:01 | コケの本棚



まだ出版されてもいないうちから、
たくさんの方々からお祝いの言葉を頂き、
本当にありがとうございます。

でも元来、目立たない所でヒソヒソコソコソしているのが好きなタイプなので、
本当は自分の名前が出るのは気恥ずかしくもあり恐ろしくもあり。
なんとなく背中の辺りがこそばゆくて仕方ない。


先週、印刷会社へ入稿したデータが、
あっという間に刷り上がり、製本され、
先日、とうとう完成した本を受け取った。


帰りの電車で、紙袋に入った本の束を膝の上に置いていると、
それらがなんだか小さな生き物のように思えてきて、ドキドキして仕方なかった。


 


▲印刷工場にて。コケ写真とコケキャライラストを織り交ぜた図鑑部分が刷り上る。





▲そしてこちらが完成した本。愛読書「テルマエ・ロマエ」とほぼ同じサイズ。


カバンに入れてどこへでも連れて行ってもらえるように、
サイズはコンパクトに、紙は軽めのものを使用。

さらに屋外で濡れたり汚れたりしても
多少は大丈夫なようにビニールカバーにもこだわった。

担当編集者Tさんいわく、「コケのような本ですね」とのこと(もちろんほめ言葉!)。


●追加情報

・アマゾンでも予約・購入できるそうです。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%82%B1%E3%81%AF%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%A0%E3%81%A1-%E8%97%A4%E4%BA%95-%E4%B9%85%E5%AD%90/dp/4898153097

・初版の刷り部数が少ないため、書店は大型店舗を中心に並ぶ模様。
 
・都内では明日21日(土)頃から、地方では23日(月)頃から出回るとのこと。



本を手に取りつつ、ふとベランダに目をやると、
親友Aちゃんから譲り受けた枯れたボケの鉢が見えた。

実はこの鉢、中をのぞくと表面にコケが生えている。


もともとはボケの花を咲かせたくてAちゃんが購入したそうなのだが、
ベランダに置いているうちに木が枯れてしまい、
さらにそのまま放置していたら自然にコケが生えてきたとのこと。





実は『コケはともだち』に出てくる主人公K子さんも、
植物を育てるのが苦手なアラサー女子だ。

植物は好きなんだけど、どうもうまく面倒が見れない。

家庭菜園を試みるもことごとく枯らし、
いまやベランダには無残に残骸となった鉢が
あちらこちらに転がっているという状態。


そんなある日、なにげなく残骸鉢をのぞいてみると、
そこにいたのがコケだった。



▲「コケの世界へようこそ~」。いきなりコケに話しかけられ驚くK子さん。(イラスト:永井ひでゆき)


K子さんとコケの物語は基本、
私の体験が下敷きになっているのだが、
執筆の際にはこの鉢を脇に置き、
アイデアに煮詰まるとよく眺めたりして
何度も助けてもらったものだった。

コケたちもようやく私から解放されてホッとしたのか、
最近ではところどころにが出始めている。



大事なお知らせ、を少しずつ。

2011-05-14 14:33:38 | コケの本棚

▲『コケはともだち』より。コケのことが気になり始めるK子さん。(イラスト:永井ひでゆき)


山形コケレポートの途中だが、
いよいよ日が迫ってきたので、
今日は先に大事なお知らせを。


突然なのですが、じつは、
5月23日(月)~24日(火)あたりに
とっても楽しいコケの本が出ます!


コケの魅力をもっと多くの人に知ってほしい、
そしてコケと仲良くなってほしいという思いから、


本のタイトルはずばり、『コケはともだち』



▲発行:リトルモア/価格:¥ 1,575


そして一応、著者は私デス。(・・・汗)


このブログの左にある「プロフィール」にもあるのだけど、
私の仕事はフリーの編集ライターです。

もともとはチーズやパン、
料理などの本や冊子を作る
編集プロダクション出身で、
いまもそれ関係の媒体を中心に
お仕事させていただいておりマス。


そんな私が南アルプス登山や
屋久島旅行などがきっかけで
たまらなくコケのことが好きになり、
そういうアウトドアの場面で、
自分にとって使い勝手のよい本があればなぁと
思い始めたのがもう2年以上前のこと。


植物の本は作ったことないけれど、
自分の職業柄、なんとか自分の手で本が作れないだろうか。

でもテーマは植物のなかでも
とりわけマイナーなコケ。

新しい本を出しても売れるのだろうか・・・やっぱ売れないかな。

でも売れないなら自費出版でもいいから出して、
自分の周りのコケ好さんや山仲間に配れたらいいか。

最初はそんなふうに思っていたのデス。


そんなとき、離職後に通っていた専門学校の先生から、

「とりあえず、まずは出版社に企画書を持ち込んでみたら?」

と背中を押され、ご縁あって門を叩いたのが、
写真集やカルチャー誌で有名な「リトルモア」さん。


そして、初めての訪問で対応してくださった
編集者Tさん(のちに担当編集者となってくださるお方)に、
おそるおそる本の企画書を渡すと、

「なんだかおもしろそうですね」

と意外にも好反応ではないか!

そして彼女はこう続けた。

「でも、どうせだったらもっと広く一般の人に読んでいただけるような、
 コケのことを一からわかる本にしませんか?」

それが去年の2月頃のことだったと思う。


その後、Tさんと一緒に何度も企画書を練り直し、執筆を開始。

コケ植物の専門的かつ最新情報を盛り込むため、
監修には『苔の話』(中公新書)の著者であり、
兵庫県立人と自然の博物館の主任研究員であられる
秋山弘之さんにお力を借りた。


さらに、

「子どもから大人ま楽しんでもらえる本にしたいよね」

ということで、イラストは豊富に。デザインはポップに。

イラストレーターの永井ひでゆきさんと
デザイナーの大原大次郎さんにも携わっていただいた。


本の内容は冒頭のイラストに出てきた
コケにまったく興味のなかったOL・K子さんが
コケとともだちになっていくまでの物語が主軸となっている。

それに織り交ぜて、コケ植物のユニークな生き様、
野外でのコケの見つけ方、観察の仕方、育て方、
さまざまな種類などを紹介していくというもの。


なかでも力を入れたのは中盤から始まる
コケキャラクター入りの「コケ図鑑」だ。
この図鑑、従来の植物図鑑とはちょっと趣向が異なる。

コケはパッと見は小さく目立たないけれど、
知れば知るほどそれぞれに形も性格も、
いろいろあっておもしろい。

よく見ているとまるで人間のようにも思えてくる。

ならばコケをキャラクター化して、
図鑑にしてみたらどうだろう。


そして生まれたのが、
なんとも愛らしい彼らたちなのである。


たとえばギンゴケは・・・・




↓↓こうなる↓↓



▲路上に生え、疲れたサラリーマンをいつも応援しているギンゴケの銀さん。
 なぜかクマムシに好かれる。(イラスト:永井ひでゆき)



また、ゼニゴケは・・・・




↓↓こうなる↓↓



▲背の高さがでこぼこコンビのゼニゴケ夫妻。カカア天下だが夫婦仲は良好。(イラスト:永井ひでゆき)


本誌には全50種のコケの特徴と写真、
そしてコケキャラを掲載している。

キャラクターづけは主に私がいままで
体験したコケとの出会いをもとに、
コケの特徴を押さえつつ、
想像を膨らませた(てか妄想かもしれんけど・・・)。

そしてそこから永井さんに
具体的なイラストを考えていただいた。


50種のキャラクターづくりはなかなか難しく、
私もかなり頭を悩ませたが、永井さんにも何度も下書きを重ねていただいた。

でもそのおかげで、こんなにかわいらしく、
夢のあるキャラクターたちが誕生したのだ。

いまコケのキャラクターを描かせたら、
世界中で彼の右に出るものはいないと思う。(キッパリ!)


ともかく、コケ研究者の秋山さん、
何人ものコケ好きのみなさん、本作りのプロのみなさんと、
多くの方々のお力があってこそ完成した一冊です。

そして常に私に刺激を与え続けてくれる
コケたちの存在があったからこそ、
私も最後まで楽しんで書ききることができました。


この本を手に取った方に、少しでもその楽しい気持ち、
心豊かになれる気持ちが伝わったら嬉しいなと。


発売までもう少し。
どうぞご期待ください。

※まだ書ききれていないこともあるので、つづきは次回に。

コダマゴケと目が合う。~GW山形紀行①~

2011-05-12 10:37:53 | コケをめぐる旅

▲こっちを見ているように見える(!?)コダマゴケ。


今日から数回はゴールデンウィーク前半に
訪れた山形のコケレポートを。


4月29日早朝、山形県の日本海側に位置する鶴岡市へ。

免許証を持っていない夫と私の旅はいつも徒歩・バス・電車。
今回もまずは歩いて鶴岡市内を巡ることにする。


駅から徒歩20~30分くらいに位置する
街の中心部・鶴岡公園を目指し、
地図を片手にブラブラ歩き。

するととても歴史のありそうな
日枝神社の前を通りがかる。


私はいつも道中で神社やお寺があると、
時間が許す限り立ち寄ることにしている。

なぜなら社寺仏閣にはコケが多いから。

苔庭がなくても、古くからその土地にあり、
むやみやたらと人の手が加えられていない境内には、
何種類ものコケが自生している場合が多い。

この日枝神社も御多分にもれず、
そこかしこにコケ・コケ・コケ。

しかもこの季節は新芽やをつけたものがわんさか。




▲小さいながらも芽やをつけ、新緑が美しい。



そして地面だけでなく、
木にもコケがいないかなぁと見回してみると・・・。



▲こんなほそっこい木の幹だけど、近づいてみると・・・




▲ひっ!めっちゃモコモコ!! さらに近づくと・・・




▲あらあら、コダマゴケと目が合っちゃった♪


遠くからだと気づかなかったけど、
幹と顔の距離を10㎝くらいまで縮めると、
コケたちの世界が見えてくる。

さらに顔を近づけたり、ルーペでのぞいたりしてみると、
こうして元気のいいコケと目が合うこともある(もちろん感覚的にですけどネ)。


ちなみのこのコダマゴケ、空気が汚れた都会よりは、
ちょっと空気の澄んだ、郊外や地方の緑が多い場所がお好き。

でも私の出会ってきた経験から言うと
まったくの人のいない山奥とかではなく、
そこそこ人も通るような場所で(山里とか地方の公園・神社とか)、
しかも人間の目の届く高さにいることが多いので、
意外と人間とのコミュニケーションが嫌いじゃないのかもしれない。
注意していると結構出会う機会のあるコケである。

生育場所はほとんどの場合、樹幹(まれに石灰岩上)。
は葉に埋もれるようにつき、乾くと8本のしわができるのが特徴。

また別名「タチヒダゴケ」とも呼ばれている。



▲葉に埋もれるようにがつくコダマゴケ。に柄のある別種のコケと見比べるとすぐわかる。
 柄のついたほうは何だろう、ツヤゴケの一種かな?


名前の由来は、手持ちの図鑑では明らかにされていなかったが、
もしかしたら、このが「木についた玉」のように見えるから、
「木玉苔(コダマゴケ)」なのかもしれない。






●おまけ

  

 
▲境内はしだれ桜が満開だった。

小笠原諸島のことを思い、『日本の固有植物』を読む。

2011-05-11 07:56:39 | コケの本棚

週末、新聞を見ておっ!と思ったのが、
小笠原諸島(東京都)と平泉の文化遺産(岩手県)が、
ユネスコ諮問機関から世界遺産への登録を求める勧告でたというニュース。

このままいけば6月にパリで開かれる世界遺産委員会で
正式に登録の決定がなされるという。

テレビを見れば、街頭インタビューで平泉町のおじいさんが
「こういうときに嬉しいニュースです」と答えていて、
こっちも何だか気分がほっこり。


また小笠原諸島については、もう何年も前に知人から
「海でイルカと一緒に泳げて最高だった!」という話を聞いてからというもの、
密かに行きたいなーと思い続けている憧れの場所。

ただ、現地への交通が船のみで、しかも船の便数が数日に1度だけということで、
「まとまった休みがないと…」とか考えているうちに行きそびれているのだけど・・・。

しかし、このニュースを聞いて、また行きたい気持ちが再燃。


「東洋のガラパゴス」の異名をとる小笠原諸島は、
誕生以来一度も大陸とつながったことがない島であり、
動植物が独自の進化を遂げてきたという。

いまの私にはイルカと泳げることも魅力だが、
島内のコケ事情もヒジョーに気になる!!

というわけで、まずは先月購入したばかりの
『日本の固有植物』(発行は今年3月)のページをめくりながら、
小笠原諸島のコケたちに思いを馳せることに。


▲今年3月に発行されたばかりの『日本の固有植物』
 (加藤雅啓・海老原淳編/東海大学出版会)


この本はその名の通り日本固有の植物ばかりを集めて
掲載しているというなんともマニアックな植物図鑑。

コケのページをめくると、なるほど、
オガサワラホウオウゴケ、オガサワラシゲリゴケなど、
小笠原諸島固有のコケもいくつか見受けられる。

ほかにも以前、高尾山で出会ったと思われる
チャボスギゴケも日本固有種とのこと。

ほほぅ、そうだったのか。

そう聞くと、いままでより
このコケがちょっと愛おしくなる。



▲おそらくチャボスギゴケ。2010年晩秋の高尾山にて撮影。


また、図鑑には「テララゴケ」(西表島)、「チビッコキンシゴケ」(静岡)、「モグリゴケ」(千葉)など、
もう名前を見ただけで、「いったいどんなコケ!?」と気にならずにはいられないコケたちも。


さらに本書はこうした各植物の紹介だけでなく、
固有種の起源や歴史、日本のホットスポットの現状などが
事細かに掲載されているのもなかなか興味深い。

ただ、あまりに濃い内容のため、思考回路が文系ド真ん中の私は
読むたびに、頭をフル回転させるせいか、なかなか一気に読み進められないのだが…
(そのぶんゆっくり味わうように読ませていただいております!)。


ちなみにホットスポットという言葉は、
「生物多様性が高いながらも破壊の危機に瀕している地域」という意味で、
世界に34ヵ所あるホットスポットに日本も含まれている。

そして、小笠原諸島は100種以上の固有植物が
生育するまさに国内指折りの生物多様性地域。

世界自然遺産への登録、そして改めてこの国が
個性豊かな自然に恵まれていることを思うと嬉しいけれど、
現状は「破壊の危機」も表裏一体で存在することを忘れちゃならないなと思った。

Myコケ切手を作る。

2011-05-07 15:47:25 | 文系女子のコケ目線



いつのまにか新緑がまぶしい季節となった。

今年のゴールデンウィークは2日平日を休めば
10連休ということで、私も昨日だけ真面目に働いて、
あとはここぞとばかりに出歩いている。


前半はご縁があって桜が満開の山形県へ。

もちろんたくさんのコケとの
出会いもありました(しみじみ)。

今日はちょっと時間がないので、
そのレポートはまた次回にでも。



さて、前回は海外のコケ切手について触れ、
日本にはあのようなコケに注目した切手がほぼないと書いた。

しかし、日本郵政には自前の写真でオリジナル切手が
作れるという便利なシステムがあるというではないか。

というわけで、少し前にインターネットから申し込みを。


そうして出来上がってきたのがこの切手。



▲写っているのは私の好きなコケトップ3に入る「ヒノキゴケ」。



ヒノキゴケは別名「イタチノシッポ」とも呼ばれるほど
手で触るとまるで小動物のしっぽをなでているかのように
ふわふわとやわらかく、手触りがすばらしいコケだ。

私なんかは一度触り始めると、
なかなか離れがたくなってしまう。


色は幽玄な森を思わせる深い緑色。

コケの中でも大型で、
さらに丸みを帯びた大きな群落をつくるので、
比較的見つけやすい。



▲ヒノキゴケ。2009年屋久島にて撮影。


とはいえこんな魅力的な美貌の
持ち主ながらも本人の性格は意外と硬派。

人気があってもあまり人前には出たがらない。

街なかで無理に育てようとすると
「いやいや、ここはいけません」と首を振る。

人にちやほやされることに興味がないと言っても
過言でないくらい、人間の手で育てようとすると
あっという間に枯れてしまうことがほとんどだ。

京都の限られた苔庭などでは見られることもあるが、
おおむね緑の深い森林の、ちょっと湿り気のある木陰などが
彼らには一番落ち着く場所のようである。


さてさて、切手は見るのも楽しいが
使ってこそ真の価値が出るというもの。

さっそく誰かに手紙を書こうかな。




▲インターネットから申し込んで、出来上がると、
 こんなかんじでシートになって送られてくる。シールタイプである。


▲切手に使った元画像。同じく屋久島にて撮影。