かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

Bar Mousse's recommended place

2016-03-21 12:24:25 | 関西コケスポット
さて今回は、前回の記事で書ききれなかったBar Mousseの一押しの場所についてである。

じつはここが店内でももっともコケコケしていて、かつコケ好きがコケと気兼ねなく触れ合える空間といっても過言ではない。
自分も興奮のあまり激写しすぎて載せたい画像が多くなってしまったため、記事を2回に分けざるを得なくなったというわけだ。


さぁ、覚悟してください。


いきますよ。


その場所は、コチラ!


じゃじゃん!!





これはどこかと申しますと・・・・





こういう場所でゴザイマス(^^)





どうですか、このこんもり具合!(うっかり夢中で激写している筆者も鏡に映ってしまっているのがジャマですがご勘弁を…)











ホソバオキナゴケにハイゴケ、シッポゴケの仲間、タマゴケなど、
限られた空間にみっちりといろんな種類のコケがひしめきあって、
しかも胞子体がちゃんと出て、健康に育っている姿はルーペで見ると圧巻。
ここがお手洗いだなんて本当にシンジラレナイ・・・。

どうしたらこのような場所でこんなふうに元気にコケが育つのだろう!?

店主Mさんにお尋ねしたところ、このように元気にコケが育つまで、
オープン当時からかなり試行錯誤されたとのこと。

その結果、

・土台部分を色々な素材で試したが、土で育てるといちばんコケの調子がよい
・さらに土壌を豊かにするためにミミズを投入したところ、コケは根がないはずだが、ミミズ投入前よりコケが元気になった
・蛍光灯の灯りだけではうまく育たないので、閉店後は植物育成専用ライトで照らしている

などの育成方法にたどり着き、ようやく最近コケが元気に定着してきたという。

それにしてもミミズを投入って・・・コケのためにここまでするなんて。
面白い発想だなぁと私は思わず感心したが、おそらくコケ好き以外の理解は得難いのではあるまいか。

どうやらMさん以外のアルバイトさんたちは筋金入りのコケ好きというわけではなさそうだし、
Mさんがコケのためにあれやこれや手を尽くす様子を「また店長がコケのことで何かやってるわ・・・」と
遠巻きに見ているのがたやすく想像できてしまった。



▲Mさんが「コケの下はこうなってます」とコケをめくって見せてくれた


さて、私がそんな余計なお世話な想像を膨らませているともつゆ知らず、
Mさんはこの空間でのコケとの正しいふれあい方についても教えてくださった。

それは・・・




▲1.用を足して手を洗う



▲2.蛇口を締める(ここまではフツー)



▲3.紙で手をふかず、濡れたままの状態で・・・



▲ぱっ!



▲もいっちょ



▲ぱっぱっ!


こうして手についた水を散らすことで手を拭く紙の無駄使いが減り、ついでにコケにも潤いを与えることができるという。
ひゃー、これは面白いっ!

さらにじっくりコケと触れ合いたいという方は、マイルーペのご持参を。
ただしあまり長時間こもりすぎると用を足したい他のお客様のご迷惑になりますゆえ、ほどほどでお願いいたしマス!



▲洗面台以外にもコケが。苔暦も使ってくださっていて嬉しかった


コケというものは、道を歩けば必ず誰もの視界に入っているはずなのだが、
「コケと出会いたい」という気持ちがそこにないと、まったくといってよいほど記憶に残らない。

しかし逆に言えば、コケに目線を合わせる気持ちがある者だけにそっとその美しさを披露する。

華やかな店が、ひしめきあうように軒を連ねる繁華街・祇園のなかで、
あえて看板も出さず迷路のような路地にひっそりとたたずむBar Mousseは、まさにコケのような存在だ。

時が経つのを忘れてしまうほど居心地のよい店内に後ろ髪をひかれつつ、
もうすぐ夜が明ける祇園の道を歩きながらそう思ったのだった。


:::Bar Mousse:::

所在地  〒605-0084 京都府 京都市東山区清本町375花見末吉西入 末吉一番路地東側二階
営業時間 月~金:19:00~3:00 土・日:17:00~3:00
定休日  木曜日
電話   075-525-6688


※おそらく祇園にとても詳しい方以外は辿り着けないと思うので、
 近くまで来たらお店に電話をされることをおすすめします。
 お店の方が、迎えに来てくださいます。

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【お知らせ】

現在発売中の「anan」(マガジンハウス)の「運命の出会い。」という特集の中で、
ちょっと変わった趣味に没頭する8人の女性が取り上げられているのですが、
その中の一人として「コケが大好き」ということで取材を受け、記事にしていただきました。

1/2ページの小さな記事ですがよかったら本屋さんでのぞいてみてくださいマセ。






Bar Mousse in Kyoto

2016-03-15 16:50:12 | 関西コケスポット



先月のこと、夫が「京都マラソン」に出ることになり、その応援という“名目”で京都へ。

というのも会社員時代から付き合いのある仕事のクライアントからのタレコミで
「コケ好きならぜひ行った方がいい!」と猛プッシュされた場所があり、
今回の京都行きはそちらを訪ねることが“本命”なのだった。

場所は祇園。そこには日が暮れてから訪ねるのがよいという。

そこで祇園にほど近い八坂神社のそばに宿をとり、まずは宿の夕食を食べて腹ごしらえ。
お腹いっぱいになって少しお腹が落ち着いてから出かけようと、しばらくぼーっとしていたら、
女中さんが夕食の片付けついでにささっと布団を敷いてくれる。

(あぁ、普段の家事から解放されて、人に布団まで敷いてもらって、なんとありがたいことよ)

気持ちもすっかりくつろいで、思わず畳に足を投げ出した。


そこそこ疲れていたのだろうか。

目を開けると私はしっかり布団にくるまっており、
はたと気づいてスマホの時計を見ると時刻は午前1時。

(・・・・い!? い、いちじ!!!)

日が暮れたらどころの騒ぎじゃない、とっくに夜も更けているではないか!

びっくりしてビーチフラッグの選手張りに飛び起き、
家族が熟睡しているのを横目でちらっと確認し、
大急ぎで身だしなみを整えて部屋を出る。

なんせ1時なので館内は水を打ったように静まりかえっている。ロビーにももちろん誰もいない。
しかし祇園のそばという土地柄もあってか、玄関は開いたままになっていた。

(ホッ!)

八坂神社を通り過ぎ、事前に仕入れていた住所を見ながら夜の祇園をずんずん歩く。
ここからそう遠い場所ではないはず。歩いてせいぜい5~10分圏内だろう。

がしかし、スマホで地図を見るともうすぐ近くのはずなのだが、なかなかたどり着かない。

15分ほどぐるぐるといくつかの小路を行きつ戻りつしていたが、慣れない場所の夜道も怖く、もうギブアップ。
電話をかけて、コケ好きを虜にするというその場所の住人の方から迎えを出してもらったのだった。






さて、ここまで読んで今回のタイトルを記憶されている方は、もうそこがどこなのか察しがついていることだろう。
そう、階段を上ってその店の扉を開けるとそこには、聞きしに勝るコケ好き(かつ、お酒好きならなおさら!)にはたまらない魅惑の世界が広がっていた。



▲一見さんでは絶対見つけられないであろう路地を入ると、やっとお店の看板が!
 軒先には杉玉ならぬシダの一種ヒカゲノカズラでできた「歯朶玉」が吊るされていた



▲さぁ、階段を上ります。上がった先には魅惑の世界の扉が・・・


その店の名は「Bar Mousse」。
Mousse(ムース)はフランス語で「コケ」のこと。

扉を開けると、すぐ足もとに、お店のロゴが描かれたモザイクタイルがお出迎え。
一つのマークのように見えて、じつは、m、o、u、s、s、eの文字がひそんでいるのがおわかりだろうか。







▲一枚板のバーカウンターが印象的な店内。しかし、よく見るとコケ好きが食いつかずにはいられないあれやこれやが・・・
 


▲その1:壁面のコケテラリウム。木箱の中には本物のコケが生育中。カウンター越しに見るとまるで絵画のよう
 その2:コケテラリウムの下にもご注目。お酒のボトルと引けを取らない存在感で店主が集められたコケにまつわる書物が所狭しと並ぶ
 (ちなみに店主はコケ好きであり寺社仏閣好きでもあるそう)



▲その3:カウンターのコーナーには迫力のあるフラワーアレンジメント
     

じつは今回、私がこの日に訪問するということでコケをイメージしたアレンジにしてくださったそう。なんたるこまやかなお心遣いだろうか(涙)
丸っこいのがいたり、つんつん伸びているのがいたり、くねくね乾燥状態のがいたりと、
コケはいっさい使われていないのに、コケ好きが見るとコケに見えてしまうという不思議!
     


▲その4:コケテラリウム式ランプ

落ち着いた隠れ家のような店内の雰囲気に一役買っていたのはこちらのランプたち。
なかにはもちろん本物の生きたコケと木が植わっている。コケを透過した光は薄緑色で優しく辺りを照らしていた。







▲その5:飾り棚の壁にかけられた絞り染めの苔額



▲コケの群落を絞り染めで表現したという額縁。和の都・京都という土地柄ならではだなぁと感じさせる。
 店主のお知り合いが開店祝いに手作りしてくださったという



▲カクテルを作っている最中の店主Mさん。バーテンダー一筋で東京や京都で修業を重ねられ、2014年に京都・祇園にBar Mousseをオープン。
 (※ちなみに先の写真の男性は、アルバイトの方です)


女性、歳が近い(私よりもう少しお若いです!)、そしてコケ好きということで、
これだけ条件が合えば意気投合しないわけがないという私たち。

スタートがそもそも深夜1時過ぎと遅かったこともあり(ひとえに私のせいなのですが…)、
店内のコケグッズを紹介していただいたり、お互いのコケ歴を話しているうちに、
気づけば腕時計の針は閉店時間15分前の2時45分をさしていた。あぁそろそろ帰らねば。

しかし! そこにタイミングよく常連のお客さんがふらりと入ってこられたため、ゆるりと時間延長。
(私はひそかにテーブルの下で「常連さん、ナイスタイミング!」と小さくガッツポーズをした)

常連さんが帰られた後は特別にカウンターの内側に入れてもらい、テラリウムのコケをルーペで覗き見たり、
コケ栽培の楽しみやご苦労話などもうかがって、結局、お店を出たのは4時半ごろだっただろうか。

Mさんとアルバイトの方のにこやかな笑顔に見送られ、日が昇る前に店をあとにしたのだった。
(しかし今じっくり思い返してみれば、もしかしたらアルバイトの方の笑顔は
 「コケの話だけでこんなに何時間も盛り上がれるとは・・・」という呆れ笑いだったのかも)


それにしても、これまでコケの豊富な山林やお寺の苔庭を目当に京都を訪れたことは幾度もあったが、
このようなコケの魅力がひしひしと伝わってくるセンスのよいバーがあるなんて知らなかった。
今後はこちらBar Mousseも、京都に来たら立ち寄るべき重要コケスポットとして新たに記憶しておかねばなるまい。

日ごろから「コケが好き」ということをコケ好きに限らず周囲にアピールし続けていると、
思わぬところから良い情報をいただけるものだなぁと実感したのだった。

なおBar Mousseにはもう一か所、とんでもないコケむす空間がある。
今回はすでに長い文章になってしまったので、その話についてはまた次回でふれたいと思う。


:::Bar Mousse:::

所在地  〒605-0084 京都府 京都市東山区清本町375花見末吉西入 末吉一番路地東側二階
営業時間 月~金:19:00~3:00 土・日:17:00~3:00
定休日  木曜日
電話   075-525-6688


※おそらく祇園にとても詳しい方以外は辿り着けないと思うので、
 近くまで来たらお店に電話をされることをおすすめします。
 お店の方が、迎えに来てくださいます。



【コケ情報】春に先立ち北海道、東京、石川県でコケイベント

2016-03-10 12:18:17 | コケ情報

▲胞子体が伸び始めたジャゴケ(2016年3月 京都にてスマホで撮影)


梅も咲き(早いところでは桜も!)、いよいよ春らしくなってきた。
昨日は岡山コケの会関西支部のコケ観察会で京都へ。
トップ写真のジャゴケの胞子体(通称:きのこの山)をはじめ、
新芽や胞子体を出し始めたコケたちに出会うことができホクホク気分である。
これについてはまた改めてレポートしたいと思う。

さて今日は、今月各地でコケイベントが行われるとの情報が耳に入ったので、
コケに興味のある方に向けてご案内したい。

どのイベントも本当は自ら参加したいところはやまやまなのだが、
残念ながら関西にいる私はどのイベントにもいまのところ参加できそうにない・・・(くぅっ!)。

お近くの方、コケが気になる方、ぜひ各イベントに足を運んでみてはいかがでしょう。


【北海道】サイエンスカフェ@苫小牧「きれいなコケは、すきですか」(@苫小牧市美術博物館)
・日時:3月26日(土)14:00~16:00
・講師:大石善隆氏(北海道大学苫小牧研究林 博士研究員)
・対象:中学生~大学生を中心に、一般の皆様にもご参加いただけます
・定員:50名
・参加費:無料
・申し込み・お問い合わせ:苫小牧市美術博物館 電話0144-35-2550 
 
 ☆詳しい内容は苫小牧市美術館のHP

 ※「苔三昧 モコモコ・うるうる・寺めぐり」の著者である大石さんの講演です


【東京】特別開催サイエンスカフェ「南極の極限環境に生命を探す!」(@JR立川駅最寄、アレアレア2・6階ホール)
・日時:2016年3月12日(土) 13:00~15:00 ←開催間近です!
・講師:伊村智氏(国立極地研究所 生物圏研究グループ教授)
・定員:先着65名
・参加費:3500円(入船茶屋の懐石弁当・飲み物付き)
・申込み:事前申込制(ホームページの「申込フォーム」からの申込み)

 ☆詳しい内容は国立極地研究所のホームページ

 ※南極に息づく生命がテーマということで、もちろんコケのお話も出るとのこと。
  懐石料理に舌鼓を打ちながら南極のコケについてのお話が聞ける、語り合える…なんて贅沢な土曜日なんだっ!



【石川県】苔の里の苔庭清掃活動メンバー募集!(@小松市日用町・叡智の杜)
・日時:3月26日(土)9:00~12:00(小雨決行。雨天時は中止)
・内容:苔の里の清掃など景観維持活動。
・対象:子供から大人までどなたでも。
・申込先:日用苔の里整備推進協議会 メールhiyou.koke(at)gmail.com まで
   ・(at) は @ に置き換えて下さい.  
   ・保険加入のため、氏名・住所・電話番号を明記ください
 ※申し込み締め切り/原則3月19日まで

 ☆詳しい内容は叡智の杜のホームページ
 
 ※苔の里(里山)の美しい景観や文化の維持・継承と生物多様性の保全を目的とするボランティア活動とのこと。
  フェイスブックでその活動内容が更新されるたびに、自分もこれに一度は参加したい!と思い続けている。次回は行きたいなぁ。