かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

身近なコケを再観察 ~春を駆け抜けるヒョウタンゴケ~

2020-04-24 11:53:17 | 近所のコケ

緊急事態宣言が出てからというもの仕事がおそろしく進まない。

でも家で子供と過ごす時間が長くなったぶん、
子供と一緒にそれまでしたかったことが色々とできるようにもなった。

たとえば散歩時に植物観察ができたり、一緒に料理をしてみたり(いまは鰹節からの出汁取りにはまっている)、
会話も増えたことで子供らの新たな一面に気づいたりと発見もあって楽しい。
もちろん小さなアクシデントやトラブルも急増中で、毎日それに費やすエネルギー量たるや・・・。

また、3回の食事をすべて家族分用意することも、なかなかのプレッシャーだ。
身体の免疫力を上げるため、メニューを考えるのにそこそこ力を入れているからというのもある。
しかしそれが毎日、しかもいつまで続くかわからないとなると精神的に辛い。
そこで先週は冷凍ピザとインスタントラーメンも食卓に何回かご登場いただき、
「3食安定継続のための手抜き」をさせてもらった(自分で言うのもなんだが、これ重要!)。

そんなこんなで、買い物と散歩以外はほとんど家にいるはずなのに、仕事はいっこうに進まず、
にもかかわらず、確実に疲れだけは蓄積していく身体が本当に恨めしい。
じつはこのブログをアップするのだって細切れ作業で10日ほどかかっているのだ(トホホ・・・)。


さて、外出自粛で遠出できないぶん、1日1回の近所のコケ&草花観察が目下、最大のレクリエーションとなっている。
色とりどりの植物たちが日ごとに新たな表情を見せてくれるのは本当に楽しいし、頼もしい。
たぶん、これほど身近な植物をじっくり眺め、癒されたのも人生で初めてのことだと思う。

そんななかから、今回は買い物への道すがらに見つけたヒョウタンゴケの一群落を
ここ1か月ほど定点観察してみたので、記録として残しておこう。



▲コインパーキングと歩道の間にコケたちが群落をつくっているのですが、どこかわかるでしょうか?




▲いました、胞子体を伸ばしているのがヒョウタンゴケです


ヒョウタンゴケは庭や公園、植木鉢の土上などでよく見られる、とても人に身近なコケの一種だ。
だからといって「なんだぁフツーのコケか」という油断は禁物。
彼らの生き方は他のアーバンモス(都市部でよくみられるコケ)たちとはちょっと違う。

というのもコケといえば長い年月をかけてじわじわと群落を
広げていくイメージがあるが、ヒョウタンゴケはそういう生き方をしない。
ズバリ、彼らの生き方は「太く短く」がモットー。他のコケに比べて一生がとても短い。

具体的に言うと、彼らは裸地を見つけると、いち早くその土地に侵入し、
自分より大きなからだの種子植物が葉茎を伸ばして裸地を覆ってしまう前に、
群落を広げて、あっというまに胞子散布まで行ってしまう。

また、ずっと同じ場所に定着しないのも特徴だという。
まるで草木たちに捕まるまいとして生きているようにも見えることから、
〝逃亡者〟的な生き方のコケとも言われるほどだ。

たしかに実際にこのコケと遭遇した際、

「あれ、去年はここで見かけなかったのに、いつのまに?」

ということが多い。また2年連続同じ場所で見たという記憶もない。

あくまで時々ちょこちょことご近所をまわって、
〝コケパトロール〟をしている一個人の雑感なのではあるが。



▲2020年3月22日。若い黄緑色の胞子体が群落全体から伸びている。中には嘴のような帽をまだつけているものも。
 正直、植物体は地味なので、胞子体が出ないといつからヒョウタンゴケがそこにいたのか気づくのは難しい




▲2020年3月29日。ちょうど1週間後。蒴はまだ黄緑色なものの、
 多くの蒴柄(さくへい)がオレンジ色がかり、しなだれてきました




▲2020年4月3日。さらに5日後。蒴が今度は暖色系に色づいてきた




▲2020年4月16日。少し間が空いて11日後。この間、数日は雨が降ったものの、
 基本的には春らしいうららかな日が多かったこともあってか、もう全体的に茶褐色でカラッカラです




▲胞子体を手に取ってよく見ると、蒴の成熟具合に少しずつ差があり、意外とカラフルだった。
 オレンジ色の粉(胞子)もたくさん出てきました




▲そして俯瞰気味に角度を変えてもう一枚。群落の右側からツメクサがじわじわとにじり寄ってきてるのがわかります。
 でもヒョウタンゴケはすでに胞子散布をスタートさせているので、逃亡成功というところか




▲2020年4月23日。定点観察を始めて約1か月後。ますますツメクサの茎枝が伸び、花のつぼみまでつけております
 



▲一部をつまみとってみると、まだ胞子が出てきました(赤色の丸囲み部分)


ツメクサの花が咲いて、種までできたら、もはやヒョウタンゴケの群落は彼らの良い苗床となりそうだ。
しかし、彼らは胞子をすでに飛ばしているので次世代へ命のバトンを繋いだこともたしか。

道端のヒョウタンゴケは見事に春を駆け抜けていった。

今後、植物体のほうはどうなっていくのだろう。
ツメクサ等、他の植物に覆われきって、朽ちていくのだろうか。
朽ちやすいということは、それだけ植物体の耐久性にはエネルギーを費やさず、
そのぶんをスピーディーに胞子体を形成し、胞子散布することに注力しているということなのかしら?!

いわゆる〝見頃〟が終わってしまった群落だが、植物体のその後を見届けるべく引き続き定点観察を続けていきたい。


最後に余談。
ご存じの方も多いと思うが、ヒョウタンゴケにはもう一つ注目すべき特徴があるのをご存じだろうか。
それは、体内に金や鉛を蓄積する性質があるということだ。
汚染水に含まれる重金属の回収や環境浄化に応用できる可能性を秘めていることから、
〝コケ界の錬金術師〟の異名があるとかないとか。

※参考:「鉛吸着材に使えるコケの新たな生物機能を発見」(2018年1月17日 理化学研究所)



【最近読んだ本、いま読んでいる本】

在宅時間が長くなったぶん、読書時間が増えているという方も多いのではないかと思います。
〝遅読遅筆〟でおなじみ(?)の私ですが、昔から読書は好きです。
読んだ本の備忘録も兼ねておすすめの本をご紹介します。


『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』(鈴木純/雷鳥社)





この本は、一般的に「雑草」と呼ばれる小さな草花や「街の脇役」と
思われている街路樹や生垣の樹などにぐっと近寄り、その生態に迫ります。

「見えている・知っている」と思い込んでいた自分の視界は、じつは「見えていなかったもの」だらけ。
彼らの細部の美しさ、不思議さに迫ると、道端の草木ならではの生き方戦略が見えてきて感動してしまいます。

漫画のコマ割りのような大胆なレイアウトと、
著者の鈴木さんのガイドをそばで聞いているかのような優しい文体で、
既存の植物図鑑にはない独特の世界観があるのも本書の特徴。

読み進めていくうちに読者はいつのまにかバーチャル観察会の参加者の一人になっているはず。
そして、読み終わった後は自分のご近所まわりを植物探検をせずにはいられなくなります。

私が読み終わったのはもう2か月くらい前なのですが、
植物がもっとも勢いのあるこの季節に読むべき本だと最近また手に取っています。



▲表紙の写真は、旺盛な繁殖力で園芸家たちから迷惑がられているツル性植物のヤブカラシ


私は以前、セスジスズメ(蛾の一種)の幼虫(イモムシ)に興味があった際、
ヤブカラシの葉を常食すると知ってこの植物の名前を覚えていたのですが、
こんなにかわいい花をつけるとは知らず、一気に好きになってしまいました。




『食材も手間も 最小限レシピで今日も晩ごはん乗りきった。』(「がんばらない」ごはん研究会/家の光協会)





台所でガッツポーズを決めている主婦・主夫の声がそのまま漏れ出てしまったかのようなタイトルなのですが、
この言葉をまるっと信じてもけっして損はない、ものすごく実用性の高いレシピ本です。

長いこと台所仕事をしていてもいまだに「レシピ通りの材料・手順を踏まないとちゃんと作れないのでは?」という
呪縛にかかってしまっている人って意外と多いのではないでしょうか?(かくいう私もそうです)

この本はきっと、そんな固定概念からあなたを解放してくれるはず。掲載のレシピはどれも簡便で、
「え、ここまで工程をはしょってもいいの?!」
「食材1種と調味料だけで、本当に家族も納得のアレンジ料理なんてできる?!」
と半信半疑で作ってみれば、あっという間に美味しいごはんができてしまうのです。

色々と用事が重なっていつもより遅い時間に台所に立つ夕方、
余裕をもって料理と向き合えるというのは本当にありがたい。

また〝自炊疲れ〟している人も多いこのご時世にはうってつけの本だと思います。



▲わが家で大好評の餃子。テーブルに置いた瞬間から毎回争奪戦になっています



2020年、明けましておめでとうございます

2020-01-03 12:57:42 | 近所のコケ

       
                                  ▲ネズミノオゴケ


旧年中はこちらのブログをのぞいてくださり、ありがとうございました。
2019年はあまり思うように更新ができませんでしたが、今年の目標は「月2回は更新」を目指していきたいと思います!(相変わらず低めのハードル設定ですが・・・)
また、11月にご案内しましたコケカレンダー「苔暦 2020」は思いのほか早々に完売してしまい、一部お求めくださった方に対応できず申し訳ありませんでした。
今年はそのようなことがないよう、これまでよりも少し印刷部数を増やしますゆえご容赦くださいませ!

皆様にとりましてもより多くのコケとの出会いがある年となりますように。
そしてご健康とご多幸をお祈りいたします。

 ※ちなみに東京にある「緑の本棚」さんにて「苔暦2020」を店頭販売してくださっています。地方発送も可能とのこと。
  昨年末の段階で、まだ少し在庫があるとのことでしたので、どうしても!という奇特な方がいらっしゃいましたら、緑の本棚さんまでお問合せくださいませ。


私の2019年を振り返ると、日々に忙殺されてなかなかブログにアップできておりませんが、
例年以上にコケ講座をしてほしいと頼まれることが多かったこと、
さらに個人的にも〝コケトリップ〟と称してかなりアグレッシブに旅もしまして、
国内・国外各地へコケのことでかけ巡った1年でした。

そんななか、夏に、私がコケに興味を持った時から(なので、かれこれ15年近く?!)の相棒だったキヤノンの一眼レフがついに寿命を迎えてしまいました。
一時期は、撮れない、すでに撮った画像がパソコンに移せないなどのアクシデントが続いてガックリきたこともありましたが、
その後、私の〝キノコ師匠〟で写真家の新井文彦さんからオリンパスの一眼レフ(なかなかよいお値段)を勧められ、エイヤッ!と清水の舞台から飛び降りるつもりで購入。
そういえば、15年前にカメラの「カ」の字もわからないのに一眼レフを買った時もドキドキだったなぁ。
晩夏には初心者向けのカメラの使い方講座にも通い、いまは2代目相棒もだいぶ手になじんできました。


そんなこんなで迎えた2020年ですが、私には珍しく、今年はコケについてわりと明確な目標があります。

ひとつはここ数年、コケの講演会などに招かれた際に必ずお話しさせていただく「コケの乱獲、山採り問題」のさらなる周知、
もうひとつは、乱獲の一方で地方農業の活性化としても期待されている農業としてのコケ栽培について、取材ができたらなと考えています。
そして旧年中は執筆が間に合わなかった、各地のコケトリップについてもできる限り、このブログに書き留めていけたらと思います。


で、今日のところはとりあえずの備忘録として・・・

<2019年の主なコケトリップ・胞子活動>

  ※胞子活動=コケが繁殖のために胞子をまき散らすように、コケ好きがコケ好きを増やすために方々で行う広報活動のこと。

1月:静岡県・伊豆へコケトリップ
2月:京都府・ウサギノネドコ「隠花植物展」にてコケ講座
  :山梨県・乙女高原ファンクラブにてコケ講演会
3月:京都府・法然院にてコケ講座
  :台湾へコケトリップ
4月:(講座がなくて、しばしの休憩。ホッ!)
5月:山形県へコケトリップ
  :兵庫県・NHKカルチャー神戸教室にてコケの連続講座第1回
  :東京都・水元かわせみの里にてコケ観察会
  :愛知県・海上の森にてコケ観察会&講演会
6月:兵庫県・NHKカルチャー神戸教室にてコケの連続講座第2回
  :大阪府・江坂公園にてコケ観察会
  :京都府・フィールドソサエティー法然院森のセンターにてコケ講座(子供向け)
7月:三重県・赤目四十八滝へ関東のコケ友さんたちとコケトリップ
  :オカモス関西のメンバーと納会
8月:青森県・奥入瀬渓流へコケトリップ
  :山形県へコケトリップ
  :福岡県・日本蘚苔類学会福岡大会に参加
9月:東京都・コケテラリウムの道草さんにてコケ講座
10月:兵庫県・Mosslight-LEDさん、きのこリウムの樋口さん、切り絵作家のイワタマイコさんとIKITERASU展開催
  :ハワイへコケトリップ
  :大阪府・あべのハルカスにてきのこリウムの樋口さんとトークイベント
11月:京都府・京都府立植物園にて開催の「苔・こけ・コケ展」にてコケグッズ出展
  :大阪府・大阪自然史博物館の自然史フェスティバルにてコケ講演会
  :石川県・苔の里へコケトリップ
12月:(まんまと金欠!でも悔いなしの活動的な1年でした!)


いやはや、本当によく動きました。
でもまだまだ行きたいところはいっぱい。今年はどこまで叶うかしら?!

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●コケ情報1




早速ですが、今年一発目のコケイベントです。
昨年に続き、咲くやこの花館(大阪にある植物園)にて「POPなキノコ展」が開催されますが、
それと同時開催で、今年はなんと「こけ展~咲かない植物~」も催されます。
会期は1月11日(土)~26日(日)まで(平日の月曜日は休館)。

そして、1月13日(月・祝)には下記の内容でイベントも開催されますので、ぜひ遊びに来てくださいませ。
参加費は無料ですが、予約制とのことですのでお電話でお申込みのほどよろしくお願いします。
ちなみにすでに申込は昨年から始まっています(毎回告知が遅くてすみません(^^;))ので、どうぞ興味がある方はお早めに~。


コケトークショー「咲かない植物、コケが今、注目」

日 時:1月13日(月・祝)13:00~
会 場:2Fフローラルサロン
定 員:70名
参加費:無料(別途入館料)
所要時間:約90分
申 込:12月13日(水) 10:00~
    お電話(06-6912-0055)にて先着順
司 会:藤井 久子 
ゲスト:コケ会の方々(オカモス関西のメンバーが登壇します!)



●コケ情報2

昨年お伝えしそびれてしまったのですが、主に女性向けの旅情報サイト「旅色プラス」にて
石川県小松市日用町にある「苔の里」の紹介記事を書かせていただきました。

コケ愛好家・藤井久子さんに聞く!石川県小松市にある「苔の里」ってどんなところ? → 

よければぜひ読んでみてくださいませ。コケトリップのご参考になれば幸いです。
ちなみに、この記事を書いたあとに苔の里を再訪したのですが、相変わらずすばらしいコケの景観に圧巻でした。
3月中旬までは雪のため休園しているとのことですが、春になったらまた若々しいコケたちの姿で庭がいっぱいになると思います。



▲苔の里にて。ホソバオキナゴケの群落


いまさらながら地元で新たな出会い「コモチネジレゴケ」

2017-12-10 10:20:55 | 近所のコケ
最近、とある仕事で私が住んでいるところから、
電車で10分ほどの市街地のコケを見て回る機会があったのだが、
うれしかったのが、これ。



▲神社の境内にあるクスノキの幹のすきまにて


これは、センボンゴケ科ネジレゴケ属の「コモチネジレゴケ」。

葉から中肋が長く突出して透明尖となり、
茎頂部にたくさんの無性芽をつけるのが特徴で、
ひと目見たら、それとわかる蘚類の一種だ。



▲葉から長く飛び出た透明尖




▲ルーペで見なくとも葉の形と透明尖を見ればじゅうぶんそれとわかる



▲さらに肉眼同定のとどめはこれ。開いた葉の中心部には無性芽がいっぱい。この写真ではわかりづらいが、形は葉状だという



▲こちらの2株(写真右)は無性芽がとくに大盛り!


平凡社のコケ図鑑『日本の野生植物コケ』によると、
「市街地の街路樹の樹幹上に生育」とあるので、まさにどんぴしゃの環境だ。



▲見慣れると、他のコケとどことなく雰囲気が違うのがわかる
 

したたかな都会の猛者(モサ)ならぬ苔(モス)たちがひしめく
この〝クスノキタワーマンション〟の樹幹なかで、
生育場所は地上から高さ120~140㎝くらいの
ちょっと湿気のこもりそうな樹皮の隙間に集中していた。

これまでこの木にはヒナノハイゴケやサヤゴケなど、
アーバンモスとしておなじみのコケばかりだと思っていたけれど、
きみたちは、いったいいつからここに? 

いままで全然気がつかなかった。

さらにインターネットでこのコケについての論文やレポートを読むと、
じつはこのコケ、ミカヅキゼニゴケと同じく外来種のコケで、
1970年代以降から日本で見られるようになったとのこと。
無性芽のみで繁殖し、胞子体をつけたところはまだ日本では確認されていないという。

生育分布は大阪や兵庫、岡山、広島などの瀬戸内海沿岸域、京都、
さらに山梨や大分などにも点在しているのだとか(あくまで過去の論文・レポートによるもので現在は不明)。

外来種と聞くと反射的に在来種への影響が気になってしまうが、
いまのところ在来のコケに大きな脅威になるほどの影響力はないらしい。

たしかにこのクスノキを見ても、樹幹の表皮にはおなじみのアーバンモスたちが圧倒的な生育面積を占めており、
コモチネジレゴケが生えているのは先にも書いた通り、幹の隙間の狭い空間のみ。
どちらかというと、ここしか空いていなかったから生えているというような印象だった。



▲気を付けていないとここもヒナノハイゴケ(写真左)に侵略されそう・・・



「コケ」と「旅行」が趣味の私にとって、北へ南へと各地を旅してそのエリアならではのコケと出会うことはいまや人生の大きな楽しみの一つだけど、
普段からよく通りがかっている身近な場所にも、時にこのように新たなコケとの出会いがあるというのもまた別格の嬉しさがある。

身の回りには、まだまだ自分が気づいていないコケとの出会いが待っている。
やはり身近な場所だからといって知った気になっていてはいけないなと
このコモチネジレゴケたちに教えてもらったような気がした。



▲神戸市内にて。生えていたのは都市部の神社の中のこんな場所でした(男性二人が観察中のクスノキです)。



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●追伸  ←※2017.12.11追記:おかげさまでカレンダーは完売となりました。ありがとうございました。

このブログのトップにも書きましたが、このたびもおかげさまで、
コケカレンダー「苔暦2018」を多くの方にお求めいただきました。

「カレンダー、到着しました!」のメールを嬉しく拝読しつつ、
先月末からバタバタ続きで、お一人おひとりにお返事が書けず申し訳ありません。
あらためてこの場にてお礼申し上げます。


そして、そのようなわけでカレンダーは本当に残りあとわずかです。
気になっていらっしゃる方はどうか早めのお申し込みを!

加えて、12/14から従姉が住んでいるドイツへ行く予定がありまして、
12月下旬まで発送作業がいったんストップします。
お振込みが12/12以降の方は帰国後に発送させていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

ちなみに、ドイツでは従姉がコケ好きのドイツ人を紹介してくれるとのこと(!!)。
どのような時間が過ごせるか、いまから楽しみで仕方ありません。
またこのブログでもレポートできたらと思います。

いよいよ今年も余白が少なくなり、寒さも本格的になってきました。
皆さまそれぞれにお忙しいと思いますが、どうか身体にお気をつけて、良いお年をお迎えください。

【お知らせ】5月28(土)・29(日)日: 小さなコケ展 ~ゼニゴケとタマちゃん~ in 大阪

2016-05-13 14:25:02 | 近所のコケ

  
   ▲「小さなコケ展~ゼニゴケとタマちゃん」DM。


4月23日に行われた東京・水元公園での「はじめてのコケ観察会」も、GW初日の「KOBEコケ展」での講演会も
おかげさまでどうにか無事に終わり、ホッとひといき。しかし、これからもうひと仕事控えているので、まだまだ気が抜けない。


「はじめてのコケ観察会」では、20代から最年長は93歳(!)のご婦人までと、幅広い層にご参加いただき(男女比は半々くらい)、
そのうち何人かとはコケつれづれな話もできて、とても楽しいひとときを持つことができた。

なかでもその93歳のご婦人は車椅子に乗り、息子さんに伴われてお越しくださったのだが、
観察地のポイント、ポイントでは立ち上がってルーペでしっかりコケを観察されていたのが印象的だった。
しかもわざわざご自宅の庭に生えているコケも2種類ほど持ち込まれ、とても熱心な方のよう。

観察会がお開きになったあと、いつからコケに興味を?と尋ねると、

 「実は最近のことなんですよ。以前は私、わりと色々な所へよく出歩いていたんです。
   でもこんなふうに車椅子に乗らなくちゃならないくらい動けなくなって、家にいることが多くなってね。
  それで家の中から窓越しに庭を眺めていて、ふと目についたのがコケ。むしろ動けてたときは全然興味がなかったんですけどね。
  いまは庭のいろんな所にいろんなのが生えているのが、とても気になっちゃって」

とのこと。

人それぞれ与えられた人生の時間や、肉体、環境はいつだって不平等なものだけど、
純粋でまっすぐな「好奇心」は誰にもなににも邪魔されることなく、
平等に与えられたものなのだと改めて気づかされた瞬間でだった。



▲みんなで観察した水元公園内の樹木。たくさんのアーバンモスがついていた



▲近づいてみると・・・カラヤスデゴケ(苔類)の花()が咲いているのがわかるだろうか?



▲さらにアップ。ほら、このとおり!



  【ここからは告知です】  ※2016.5.28のコケトークイベントは定員に達したため募集を締め切りました。ありがとうございます。


  


さて、最近のコケテラリウム人気の火付け役といっても過言ではない「道草」さんが、
「小さなコケ展~ゼニゴケとタマちゃん~」という愉快な(そして謎な?!)タイトルのイベントを大阪で開かれます。
そして開催期間2日間のうち、初日28日(土)夕方のトークイベントでは、道草さんと一緒に私もコケトークをさせていただきます。
現在、予約受付中です。ご興味がありましたら、ぜひ足をお運びくださいませ。


----- 小さなコケ展 ~ゼニゴケとタマちゃん~の詳細 (以下、引用)------------------------------------------

道端や庭の片隅に、ふと気がつくとコケがいる。
日常の何気ない存在である小さなコケの魅力を、可愛らしいタマゴケと嫌われ者のゼニゴケを比較しながら探ります。
それぞれのコケをイメージした陶芸作品や書籍の展示、キャラクターイラスト、コケのDNAから生まれた音楽など、
普通のコケ展にはない内容となっています。小さなコケの魅力を発見しに来て下さい。

【場所】スペースふうら
    大阪府大阪市東成区深江北3丁目4-11

【主催】メンアットワーク/道草

【会期】2016年5月28・29日 11:00~17:00

 イベント①【苔テラリウムワークショップ】(講師:道草 石河英作)
 小さなガラス容器に色々なコケや石を使って、小さなコケだけの景色を作るワークショップ。
 身近なコケの楽しさや、育て方についても詳しくお話しいたします。
 
 ・日時:5/28と5/29の14:00~15:30  ←※29日はすでに満席です。2016.5.13時点
 ・定員:各回8名
 ・参加費:4,000円


 イベント②【苔トークイベント】
  「コケはともだち」の著者であり、数々のコケ観察会を企画している藤井久子さんと、
  苔テラリウムをはじめ、育てて楽しむコケ作品を世に送り出している道草 石河英作によるトークイベントです。
  観察するコケの魅力 ・ 育てるコケの魅力について、コケとふれ合いながらお楽しみいただきます。

 ・日時:5/28 17:00~19:00  ←※定員に達したため応募を締め切りました。2016.5.25時点
 ・参加費:500円(コケ土産付)
 ・定員:40名

 ●ワークショップ、トークイベントのお問合せ・お申込みは、「予約フォーム」で→ 

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ちなみに、ゼニゴケは呼び捨てで、
タマちゃんことタマゴケは「ちゃん」づけなわけだが、
これはコケ好きたちのあいだでは当然の常識。

というのもゼニゴケは庭にはびこり他の植物が生える隙を与えないため「庭の嫌われ者」と呼ばれ、
一方、タマゴケは丸っこいフォルムとそこから伸びる目玉おやじのような胞子体が「キモかわいい」と人気で、
「コケ界のアイドル」と称されるほど、広くコケ好きたちに支持されているからなのである。



▲ゼニゴケ



▲タマゴケ



▲この目玉部分がインパクトがあってとくに人気


しかしなんと!今回のイベントを主催される道草さんは、
タマゴケを通例どおりに「タマちゃん」と呼びながらも、
じつは大のゼニゴケ好きという奇特な方。

なのにゼニゴケは呼び捨てなのはどうしてか。

それはおそらく、カップルがつき合いたての頃は、彼氏が彼女を「○○○ちゃん」と呼んでいるのだが、
仲が深まって一線越えちゃうと、いつのまにやら呼び捨てになっている、そのテのパターンかと思われる。   ←※あくまで個人の推測です。

だって、道草さんのゼニゴケへの愛たるや、ちょっと想像以上のものなのである。

たとえば、ご自分でゼニゴケのコケテラリウムや苔盆栽を作っておられることはもちろん(これだって巷では珍しいはず)、
専門家に頼んで、ゼニゴケのための曲をつくってもらったり、ゼニゴケキャラクターを作ってもらったりと、
ありとあらゆる手を使ってゼニゴケの普及とイメージアップに日夜全力を注ぎ、
もはやその姿は「ゼニゴケ応援隊長」然としたありさまなのである(ほかの隊員はどこにいるんだって話もありますが・・・)。

今回も、お越しいただくと漏れなく道草さんのゼニゴケ愛に触れられることはもちろん、レアなコケ体験ができることは間違いないでしょう。


   
 ▲衝撃的にかわいすぎるゼニゴケキャラクター


繰り返しになりますが、トークイベント、ワークショップのお問合せ・お申込みはこちらで。→ 
きっと楽しいイベントになると思いますので、お待ちしております。


身近なコケを再観察~コツボゴケの見分け方~

2015-06-19 00:45:45 | 近所のコケ

▲コツボゴケ(6月、東京都内の公園にて)


前回の記事に書いたコケ観察会で、見直したコケがもう一つある。コツボゴケである。
ヤノウエノアカゴケと同様、低地の公園や寺社仏閣の庭などでよく見かける身近なコケのひとつであり、
またコケの中でもとくに大型でパッと見た姿も特徴があるため、コケ初心者でも見分けやすい。
というわけで、このコケもよくよく振り返ってみればじっくりと向き合ったことがなかったのであった。



▲コツボゴケの群落。大型で独特の黄緑色、そして大群落を作っていることが多いので、遠目からでもよく目立つ


コケ植物のからだは根っこを持たない。
そこで成長に必要な水と光をからだに素早く取り込むために、
多くのコケは葉の細胞は多層構造ではなく一層のみでできている。

コツボゴケのすりガラスのように薄い葉はその特徴を確かめるのに非常にわかりやすい例であり、
初心者向けコケ講座などでもコツボゴケの葉を光に透かしながら、実際にその薄さをルーペで見るレクチャーがよくある。



▲透けるように薄いコツボゴケの葉


そういえば、屋久島でエコツアーガイドをされているOさんは、

 「コケは細胞が一層なので、緑色でも他の植物にはない透明感がある。
  コケの葉が森に差し込む光を通す、この緑の透過光が森に独特の透明感のある風景を生む。
  結果的に、コケがたくさんある森とそうでない森では、つくりあげられる景観がまったくちがってくる」

以前、そんなふうにコケの森の美しさについて話されていたのだけど、
私はコツボゴケを見るとその話をよく思い出す。

屋久島のコケの森にはなかなか行くことができなくても、コツボゴケの葉を一枚、ルーペでのぞきこみ、
その淡い緑色のきらめきを眺めているだけでまるで自分が屋久島の森にいるかのよう・・・
いや、むしろ自分自身がコケになって屋久島の森の木漏れ日に当たっているかのような感覚にさえなれるのである。
 (とはいえ、実際の屋久島の森の中でコツボゴケはあまり見かけないのだけども)

この夢のようなトリップ感覚。
もしコツボゴケをのぞきこみ恍惚とした表情の女性を見かけたら、それはおそらく私である。
アブナイのでぜひ声はかけないでいただきたい。

しかしながら、まだコツボゴケをじっくりと見たことがない方は、ぜひルーペで見ることをオススメしたい。

  注:コケは明るい場所で見ることが必須ですが、目の安全のためにくれぐれもルーペで太陽を見ないようにしてくださいね。


とはいえ、その美しさに浸るのはよいけれど、ついついそれで見慣れた気になってしまい、
コツボゴケとよく似た種類までコツボゴケに見えていることに、観察会に参加して、はたと気づいた。

コツボゴケとよく似た種類とは、そう、コツボゴケが属する「チョウチンゴケ科」の仲間である。



▲コツボゴケ雌株。



▲コツボゴケ雄株。


チョウチンゴケ科の仲間は、雌株はこのような提灯形の(サク)を持ち、
雄株は雄花盤(ゆうかばん)と呼ばれる、まるで花のような形の生殖器官を持つ。
そして先に挙げたように、透き通るような薄い葉を持つものが多い。

そうすると、この子も・・・




この子も・・・・




そしてこの子も・・・




なんだか誰もかれもがコツボゴケに見えてきたぞ!?


「これじゃいかん!」と思い、改めて複数の図鑑の
チョウチンゴケ科のページをじっくりと読み直すことにした。

要点を整理すると、つまりこういうことなのだった。

 ●チョウチンゴケ科は7つの小さなグループ(いわゆる「属」)で構成されている。
 
 ●コツボゴケは、7つのグループのうちの「ツルチョウチンゴケ属」のグループに属する。

 ●ツルチョウチンゴケ属は10種類のコケで構成されていて、コツボゴケの他にも
  「ツルチョウチンゴケ」、「ツボゴケ」、「オオバチョウチンゴケ」などがある。

 ●ツルチョウチンゴケ属は直立タイプと這うタイプの茎をあわせもつのが大きな特徴である。
  (コツボゴケと同様よく見かける「コバノチョウチンゴケ」は「コバノチョウチンゴケ属」に属し、茎は直立タイプのみ。
   よく岩場で垂れ下がっているのを見ますが、あれは這っているのではなく直立茎が垂れ下がっている状態なのでしょう。
   またよく見ると葉も透けるほど薄くはありません)

ツルチョウチンゴケ属かどうかを見分けるには、
直立茎と這う茎(匍匐茎)の有無を確かめるのが、
ひとつの大きなポイントなのだと思う。

さらに4月の観察会の時にAさんから、
コツボゴケとその他のツルチョウチンゴケ属のコケを見分けるには、
葉の特徴を知るのがポイントであることを教わった。



▲コツボゴケの葉のアップ。よ~く見てみると・・・




葉の上半分の縁にギザギザの歯が見える。一方、下半分はなめらかである。
この「上半分のギザギザ」こそがコツボゴケならではの大きな特徴なのだという。

さらに、コツボゴケと同じような場所に生えているが、
葉の縁全体に極小の歯があり(ルーペでやっと見えるか見えないか程度)、
また葉に横ジワが入っていると、それはツルチョウチンゴケであろうとのこと。


最後に、このことを忘れぬよう自分の中のまとめとして、今回もコケ絵日記を描いてみた。



絵のクオリティはともかくとして、こうして自分の手を使って描いておくと、
記憶にしっかり刻み込まれるのはもちろんのこと、次にこのコケたちと出会えるのがとっても待ち遠しくなる。
身近なコケにさえ待ち遠しさを覚えるのが嬉しくて、それがむしろ次も描こうというエネルギーになっているくらいだ。
欲を言えば、こうやって描き続けているうちに写生のウデがもう少し上達したらよいのだけどなぁ。


未年のヒツジゴケ&【コケ情報】2月15日(日)石倉良信コケトークイベント「苔道入口 vol.2」開催

2015-01-18 13:31:33 | 近所のコケ


すっかり遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年もマイペースですが、コケを楽しみ、気づいたこと、また気になるコケ情報などを
できるだけこのブログに記していきたいと思っています。
僭越ながらコケに興味のある方の一助となれば。どうぞよろしくお願いします。

さて、今年は未年ということでトップ画像は「ナガヒツジゴケ」にしてみた。

昨年末に希望者にお分けした絵葉書のヒツジゴケは「ハネヒツジゴケ」だったが、
ヒツジゴケと名のつく両者とも、植物体の様子がヒツジの毛のように柔らかそうなことが名前の由来、
そして、見た目だけでは同定するのがとっても難しいことでおなじみのアオギヌゴケ科の一種である。


▲ナガヒツジゴケのアップ。


▲こちらはウマヘタが一部で評判のF画伯作のハネヒツジゴケ。

数あるコケの中でもわりと色んな場所に(都市部でも普通)よく生えている彼らだが、
見ての通りの地味な見た目ゆえ、あまり注目されていないこと請け合い。

でも今年は未年なので、彼らをよくよく観察してみて、
ルーペでも同定できる「コケ目」になれたらステキかも…。
ひとつ今年の目標としてみよう。

ちなみに手持ちの複数冊の図鑑の情報をまとめると、

ナガヒツジゴケ
葉が閉じ気味である(湿っても葉が開かない)。中肋(蘚類の葉の中心部分を貫く線「中央脈」のこと)は葉の途中まで。

ハネヒツジゴケ
湿っていても乾いていても葉が開き気味。中肋は葉の途中まで。

アオギヌゴケ
ハネヒツジゴケによく似ているが、中肋が長く、葉の先端まで達している。

なお、いずれも都市部でもよく見られるが、皆さん人に踏まれないような場所に生えているところがポイントである。

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さて、話は変わって。

外での観察がきびしい真冬はコケ好きにとってはオフシーズンなわけであるが、
そんな季節に嬉しいコケイベントが開催されるのでご紹介します。

観劇がお好きな方はご存じの方も多いでしょう、
コケが大好きな舞台俳優・石倉良信さんが、
代官山で2月15日(日)にコケイベントを開かれます。

石倉さんは都市部に生えているコケがとりわけお好きというシティ派ゴケフェチ(笑)で、
アスファルトの隅やマンホールの凸凹などにけなげに生えているコケのたたずまいに心惹かれ写真を撮ったり、
ご自宅のベランダにコケ専用棚を作ってコケを育てたりと、お忙しいお仕事の合間にコケに癒されながら
コケの魅力をブログやツイッターで日々発信しておられるコケ友さんです。

 ☆石倉良信公式ブログ: 「ほろ酔い日記」

そんな石倉さんがコケの魅力をさらに広く伝えるべく、
コケイベント「苔道入口」を開催されます。

以下、石倉さんからの案内を転載します。

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Kindle版電子書籍『苔道』創刊記念イベント 「苔道入口」~下を見れば素敵な出逢い~ Vol.2

そうです!電子書籍で苔本を出してしまいます!今までにない苔本です(笑)
くだらないようで奥が深い本になりそうです!色んな苔企画を考えています。
そんな創刊記念イベント、是非遊びに来てください!

・日時:2015年 2月15日(日)12:00 open 12:30 start
・会場:代官山「山羊に、聞く?」 http://yagiii.com/wp/
・料金:2500円(自由席)(コケDELIランチプレート&ドリンク付)予約制 
  ※14時以降のドリンク代別途
・チケット発売:1月18日(日)10:00~
・チケット予約フォーム https://ssl.form-mailer.jp/fms/613666d0233020
    ※コチラからの予約受付のみ。スマホからのご予約の場合はkokedouiriguchiあっとgmail.com(あっとは@に変えてください)からの
      返信メールを受け取れるよう、予約前にブロックの解除の設定をお願い致します。

・内容:苔好き俳優、石倉良信が、自ら実践している独自の苔の楽しみ方と、苔世界の素晴らしさを伝える苔トークライブ。
    日曜のお昼、ちょっと遅めのランチが付いたお得なイベントです。
    苔好きの人はもちろん、苔に興味のない人も十分楽しめて、帰る頃には、ちょっと苔が気になる存在になると思う。
    そんな苔づくしイベント。。。皆さん!お待ちしておりモス!!
    尚、カフェでの開催の為、非常に人数が限られていますので定員になり次第締め切らせて頂きます。
    早めのご予約をオススメ致しまーす。

お問い合わせは、kokedouiriguchiあっとgmail.comまで(「あっと」は@に変えてください)


石倉良信

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なお、今回のイベントは「vol.2」とあるように、実は3年前に「苔道入口 vol.1」が開催されています。
その時は私もゲストでちょこっと出させていただきました。その時の様子も当時のブログに書いていますのでご参考になさってみてください。

今日が予約開始日なので、興味のある方はお席がなくならないうちにお早めに予約をどうぞ!
出版される電子書籍『苔道』も気になる~!!

コケを植え替える

2014-12-24 18:08:25 | 近所のコケ


今年も残すところあと1週間だ。
明日のクリスマスが過ぎてしまえば、
さらに加速度的に師走感が増してくるんだろうなぁ。

さて、そんな年末の最中、久々にコケの植え替えをやってみた。

きっかけは2週間ほど前に母がくれたカンハタケゴケ。
カルチャースクールのハイキングで植物に詳しい先生(とくにコケやキノコ、粘菌に造詣が深いそうだ)から
「娘さん、コケ好きなんでしょう」とハイキング先で見つけたのを持たせてくれたそうで、それが私の手に回ってきた。


▲カンハタケゴケ。2週間前はもっとぷっくりとして元気そうだったのだが、なんだか最近痩せてきた模様。

たしかにコケは好きだけど、私はコケを育てるのが実は苦手だ。
正直、目をかけてあげたものほど、うまくいったためしがない。

だから普段から積極的に苔玉や苔鉢を買ったりしないし、
今わが家にあるのは、お付き合いやご厚意でいただいたものばかり。
そしてそれらの中でも結果的にわが家のベランダ環境を気に入ってくれたコケだけが残っている。

コケという生き物は見ているとなかなかの頑固者、堅物だ(と思う)。
他の植物(例えば世に広く出回っている観葉植物と言われている類)のように
与えられた環境が厳しくても妥協してなんとかそれなりにやっていこうという精神がない。
気に入った場所じゃないとすぐ逃げていく(イキイキしていたのが数日でダメになることがよくある)。

また私もそんな彼らのためにあれこれ努力するのは苦手。
もともとが「尽くすタイプ」じゃないからしかたがない。。。
だから来る者拒まず去る者追わずで、
少人数でも相性のいい子が残ってくれればそれでいいと思っている
(思い返せば人間関係もほぼこれと同じかも…)。

さて話がそれてしまったが、そんなわけなので、その名の通り畑や田んぼなど
湿った土上に常住するカンハタケゴケが、マンション3階のわが家のベランダで(しかも私のもとで)
うまく育つのは大変厳しいと思うのだが、湿らせたティッシュを入れたガラスケースに入れていたら、
なんだかカビてきたので(過保護にしていたらこの通りだ)、ここは心を鬼にして外に出してみることにする。


▲湿ったティッシュを敷いたガラスケースの中にペットボトルの蓋を台座にし2週間ばかりをすごしてきたカンハタケゴケ。
 周りの小さな緑は極小化してしまったイチョウウキゴケだ(詳細は後述)。


そしてこの際だから、私のものぐさのせいで土植えの機会を逃していた
いくつかのコケたちも植え替えてみることに。

<イチョウウキゴケ>


これのどこが!?と思われるでしょうが、以前は↓こんなに↓元気だった彼ら。



水を入れた鉢に入れ、1年以上ベランダで元気でいてくれたのだが、
この夏にうっかり水を切らしてしまったところ途端に小型化。
水を足してやるも次第に消滅し数が激減・・・(なぜだか原因はわからない)。

あまりの小ささにこのまま水の中に漂わせていると見失いそうで、
ダメもとで残った子たちを湿ったティッシュを入れたガラスケースに入れて様子を見ること半年。
なんとか成長をやめることなく極小ながらも生きながらえているという現状。

イチョウウキゴケはもとは田んぼでよく見られるコケで、田んぼの水が抜かれても土の上で育つことができる。
同じくイチョウウキゴケを育てている東京に住むコケ友Aちゃんのアドバイスも受け、
ものは試しと土の上で育つかどうかチャレンジしてみることにする。


▲わが家の中で一番小さな鉢(ルーペとほぼ同じサイズ)の上に載せてみる。でも、すでにどこにいるのやら…。
 ティッシュからどうしても離れないものはティッシュごと土に載せる。

なお、土は田んぼの土が用意できなかったので赤玉土。ますますうまく育ってくれる気がしない…。
心配なので植え替えは全体の半分。残り半分は引き続きガラスケースで様子を見ることにする。


<スナゴケ>


これは静岡に住むコケ友Tさんが作ってくれたスナゴケ栽培キット。
2年ほど前にいただいたのだが、なかなか開封せずそのままにしていたもの。

鉢も数種類の用土もすべてセットにしてくれているので、説明書にのっとって順番に入れていくだけ。
鉢の底に敷く網まで用意されていて、ものぐさな私にはなんとも至れり尽くせりな便利キットである。

  
▲(左)2年前にいただいたものなのでスナゴケがやや褐色化してしまっているのだが…用土の上にほぐして撒いてみる。
 (右)コケが飛ばないよう最後に砂をかぶせる。


<ギンゴケ>

▲赤玉土をメインに鹿沼土を加えたものを鉢に入れ、細かくほぐしたギンゴケを撒く。
 風で飛ばないように上から粒の大きな鹿沼土と多肉植物用土をふりかける。

東京から関西に引っ越して新しいベランダになってからでも、
へそを曲げることなく生育しているギンゴケ。3~4年物。

静岡から持って帰ってきたただの溶岩石に水をかけ続けていたところ、
おそらくわが家の近所から飛んできたのであろうギンゴケの胞子が付着し、気づけば群落を築いていた。


▲何もないただの石からコケが生えてきた!? まるで魔法のようで最初に見つけた時はかなり嬉しかった。


▲石の凹み部分にたまったホコリや土を頼りに根付いたと推察。

実はもう一種、ハリガネゴケらしいコケも居ついたことがあったが、
ここ半年はギンゴケしか見当たらない(それこそ新しいベランダが気に入らなくなって逃げてしまったのかも)。

これも一部を今回土に植え替えて苔鉢になるかどうか試してみることにする
(蟲文庫・田中美穂さん著書の『苔と歩く』P90-91のように育ってくれるのが理想なのですが…)。


さてはて、これからどうなることやら・・・。
とりあえず風が直接当たらないように他の植物を植えている
大きな鉢でこれらの苔鉢を囲み、半日陰の場所に置く。
寒い時季の植え替えなのでただでさえ成長は遅いと思うのだが、
春にはまた成長経過を記したいと思う。


≪おまけ≫


コケの植え替えをしていたらリトープスの鉢をうっかり倒してしまい、
ついでだからとこちらも土を新しくして植え替え。

プリプリと大きく元気のある子たち(○印)と、
あまり育たず皺がよりがちな子たち(△印)に分けて、
今後どうなっていくか様子を見ることにする。


あと、そうそう。おそらく今年のブログ更新はこれが最後になりそうだ。

このブログをいつも読んでくださっている方、
気まぐれ更新なこのブログにお付き合いいただきありがとうございました。
来年ももれなく気まぐれ更新になること間違いなしとは思いますが、
また気軽にのぞいてやってくださいませ。来年もどうぞ楽しいコケライフを☆



▲最後に。MOSS-T PROJECTのコケTシャツをお求め下さったKさん。 

 実名は明かせませんが、なんとなんとKさんのKは「苔」、つまり名字に漢字の「苔」がつくお方なのです!!!
 Tシャツをお申込みいただいた時はそれはもう驚いたのなんの!(そしてもう一生途切れることはないであろう羨望の眼差し)
 
 Kさんはこのブログのプロバイダーでもあるgooのスタッフ様なのですが、
 苔な方がコケTシャツを着てくださっているという稀有な事実が嬉しくて
 ご本人から許可をいただき着ている姿を掲載させていただきました。→gooのツイッターでも公開中☆
 


焼却炉のヒョウタンゴケ。

2014-02-03 19:08:42 | 近所のコケ

▲焼却炉前に生えるヒョウタンゴケ(2014年1月兵庫県にて)

先週行われたオカモス関西の観察会へ行ってきた。
これが私にとって今年最初のコケ観察。苔見初めである。

まだほとんどのコケたちに春の訪れは見られず、
冬の寒さに葉を固く閉じてしっかりと乾燥していた。

しかし、

「雨にぬれ潤った姿よりも乾燥した時こそ、本来の特徴ある姿が見やすい」

とは、以前にコケ研究者の方に教わったこと。
そういった意味では、絶好の苔見日和だった。


なかでもこの日、クギ付けになってしまったコケの一つが「ヒョウタンゴケ」だ。

なぜってそれは、冒頭の写真にもある通り、
生えていた場所が「まさに教科書通り!」と
思わずうなりたくなるほどのベストロケーションだったから。

というのも、ヒョウタンゴケは湿った土上によく生え、
とりわけたき火跡や火災跡の土上に生えるのが大きな特徴。
灰耐性のあるコケとして知られる。

  ※また「アンモニア成分が多い人家の庭や畑などでもよく見られる」と
   手持ちの複数の図鑑に記載がある。
   さらに私の経験では、花屋さんで鉢モノを物色していると、
   その鉢の土上に付きの同コケが生えているのをたびたび見かける。


焼却炉の目の前に大きな群落をつくる様子は
まさに本来あるべき〝正統派〟な姿といえよう。



▲道端に突如現れた昔ながらの古びた焼却炉。よく見るとその足元にはうっすら緑色が・・・



▲近づいてみると、炭の上からもヒョウタンゴケが生えていた。胞子体は古いが、植物体からは新芽が出始めている


ちなみに最近の研究で「金を蓄積する」ということもわかり、
コケ好きの中ではわりと話題にもなっているコケだ。

この日は古い胞子体しか見られなかったが、
新しい胞子体の旬は5~6月頃というから、
またその頃にはこの焼却炉付近が若い黄緑色ので覆われ、
さぞ華やかになっていることだろう。



▲壁面のレンガにもヒョウタンゴケがびっしり。そしてもう1種、また違うコケがいるようだが・・・?!



▲近づいてみるとゼニゴケと判明

ゼニゴケにも灰耐性があるのかしら?!と疑問に思ったが、
『蘚苔類研究』(日本蘚苔類学会の会報誌)の2012年8月号の
「新・コケ百選 第10回 ゼニゴケ科(苔類)」(執筆:古木達郎氏)を読むと、
「焚火した後によく発生する」と書いてあった。

これもまさにどんぴしゃな生育地。

いまはあまり使われていないように思われた焼却炉は
まさに彼らのために残された楽園のようであった。

【満員御礼につき募集締め切り】さらにコケ情報:5/25(土)第5回コケ観察会

2013-04-09 10:44:46 | 近所のコケ


※以下のイベントは、満員御礼につき申し込みを締め切りました(2013.4.28追記)

コケ初心者に向けた毎年恒例の観察会が今年も開催されます!

講師はコケ友の中島啓光さんです。

東京理科大のキャンパスのコケ類とさらに地衣類について、
中島さんの説明を聞きながら、観察することができます。


<第5回 コケ観察会>

●日時:2013年5月25日(土)東武野田線 運河駅に11:00集合
    ※お昼ごはんを挟んだ観察会です。

●場所:東京理科大野田キャンパス&自然公園

●講師:中島啓光(横浜国立大学大学院 研究教員)

●申し込み:メールにて受付中。中島さん h-nakaji●ynu.ac.jp まで(●を@に変えてください)

●定員:10人

●参加費:無料

    ※申し込まれた方には、当日の持ち物などについて、
     中島さんから直接メールでお知らせします。


実は私も過去4回、ボランティア講師として参加せていただいた同観察会ですが、
今回は日程の都合がつかなくて参加できず・・・いやはや残念無念です。

参加される皆様、どうぞ楽しんできてくださいね。

奥入瀬コケ紀行(番外)

2013-02-28 18:30:00 | 近所のコケ
本文が全然追いつけていないが、後日書こうと思っている「コケガールミーティング」にて、
苔玉作り教室を開いてくれた、苔玉職人・起田さんが新聞に出ていると、
先日ツイッターのフォロワーさんから教えていただいた。

ご興味のある方は、ぜひ読んでみてくださいマセ。

東奥日報の記事

なお、実際の紙の紙面にも記事は掲載されていて、
こちらは長年にわたり奥入瀬や八甲田などの自然を撮り続け、
去年からはアトリエを東京・恵比寿から青森の十和田市に移した
写真家・岩木登さんも紹介されているとのこと。



  ※起田さんのブログから画像を拝借(事後報告でスミマセン!)


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実は明日から、日本蘚苔類学会の毎年恒例のイベントとなっている
「コケフォーレ」(このブログでは「コケ強化合宿」と呼んでいる)に参加してきます。
一昨年は長野、昨年は福岡と、毎年開催地が違うのだが、今回はなんと屋久島(!)。

帰京は3月6日の予定。ブログのトップにも書きましたが『苔暦』の発送や、
メッセージを頂いた場合のお返事は6日以降となります。勝手都合をいいますがご了承ください。