かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

梅見に苔見

2011-03-25 17:57:05 | 近所のコケ

▲梅の木の足元にて。


先日、神社の一角で梅に負けじと
がんばっているコケを発見。

そう、この木の根元一面を
覆いつくしているのはコケの(さく)。

つぅと赤い柄を伸ばし、
その先に胞子が詰まった壷()がある。

それがこんなにも一面に。

いったい何本あるんだろう。






梅の芳しい匂いに酔いながら、
しばしのコケ鑑賞。


寒さも忘れるなんとも雅やかなひと時。
ここで歌でも詠めれば、なおいっそう。


春先のこの時期は、
こういう立体的なコケの姿が
いろんなところで見ることができる。


空を仰いで梅見もいいけれど、
たまには下も向いて小さな彼らを探してみては。

春の宝探しといった風情があって、
けっこう面白いのです。

夜を乗り越えて

2011-03-20 11:23:38 | 山登りとコケ
先の震災から今日で10日目。

被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げます。

また福島原発の現場で作業されている方々にも、
本当に敬服の思いでいっぱいです。

毎日少しずつでも、
日本が良い方向にむかいますように。



東京の余震もだいぶ減ってはきたものの、
夜になるとまだふいに不安が訪れる。

そろそろ深呼吸が必要。

後ろ向きな気持ちに負けないで、
こういうときこそ自分の笑顔のもとを大事にしよう。

不安な夜も乗り越えていこう。


私の笑顔のもとはやっぱりコケ!
(や。もちろんコケ以外にもいっぱいあるのだけど。笑)。



▲コダマゴケ(2011年2月下旬。伊豆の幕山公園にて)


以前から図鑑で見ていて
気になっていたコケである。

別名、タチヒダゴケ。

空気の澄んだ里山などの木の幹に好んで生える。
都会ではほぼ見かけることはできない。

ようやく出会えた時は嬉しかったなぁ。


葉の中からパカッと顔を出したがかわいらしい。
まるで若いどんぐりのお尻のようだ。

   ※(さく)=胞子が詰まっている壷。




▲コダマゴケは小さな塊をつくって生えるのが好き。
 この樹幹にも多種のコケに紛れながら同じような塊がいくつも見られた。



幕山公園は梅林公園で2~3月は梅が見ごろ。
また、ロッククライミングで通年にぎわう場所でもある。

この日も梅の香りに包まれて、
岩にかじりつく人々がたくさんいた。




みなさん、大丈夫でしょうか。

2011-03-13 18:55:58 | 文系女子のコケ目線
日本史上最大の地震が起きてしまった。

東京に住んでいる私も震度4~5の地震に遭ったものの、
食器が壊れるぐらいで、からだは無事。

高校生のときに阪神淡路大震災に遭ったときの感覚を思い出し、
「これはただの地震ではないぞ」と、すぐに親や夫にメール。

メールの返事を待つ間、お隣に住んでいる
ご年配夫婦のお宅に声をかけ、無事を確認。

何時間後かに夫、伯父から返信。
なかなか通じない人もいたが、
夜には私方の親類はすべて無事を確認。

ただ夫の実家がまさに宮城だったので、
こちらとは何度電話をしても繋がらず・・・。

一晩不安な夜をすごしたが、そちらとも昨午後、
ようやく連絡が取れ、無事を確認した。


しかし、ニュースではいまなお悲惨すぎる
東北の町々の状況がエンドレスで流れているし、
悲しいくらい、時間の経過と比例して被害者の数が増えていく。

そのうえ福島の原子力発電所での放射能漏れ。

不安がぬぐえない中、東京ですらいまなお余震が続く。


今朝の東京は暖かくすっかり春の日和で。

小鳥たちが麗しく鳴く声も
いつもなら嬉しい発見だが、
いまはなんだか違和感に感じる。


楽しいことも、くだらない笑いも、
いまは素直にそう感じてはならないような気がしてしまう。

発生当初以上の大きな揺れはないものの、
あまりに小さな余震の多さに、
揺れてないときにも体が揺れているよう感覚。

やはり阪神大震災に遭ったときも
少し生活が落ち着いたときくらいに
こんな感覚があったなぁと思い出す。


果たしていま、東北でマグニチュード9の
地震に遭った人々はどういう思いをしているだろう。

住みなれた家を失い、
普通に続くと思っていた日常を失い、
もしくは家族も失い、
これから自分はどうなるんだろうという
途方もない不安感。

何事も思い通りにならない集団生活は
どんな善良な人でもイライラするものだ。


現地の人がすこしでも気持ちよく
明るい気持ちですごせるように、

まだ行方がわからない人の救出作業に
全力であたってもらえるように、

私たちがいまできることは、節電。


昨夜は心ないデマのチェーンメールが何通も届き、
本当にエネルギーが無駄だと感じた。

でも、こういうメールを
次の人に回すかの選択は自分次第。

きちっと感覚を研ぎ澄まし、
自分が築いてきた価値観を信じて、
情報を選び取っていきたい。


ヒーターや、ストーブは使わず、
そのぶんセーターをいつもよりよけいに着込んで、
腰にはホッカイロ。靴下は厚いのを2枚。

湯たんぽも十分温かい。

お風呂も間を前の人と間を空けないで入る。

流し聞きしているテレビは消して、
早寝することも電力の節約になる。

こういう小さなことが、どこかでちゃんと
人の役に立っているんだと一人ひとりが思えれば、
すごく大きなエネルギーが浮くと思うのだが。


地震後、東京にいる私のことを心配して、
何人かの故郷の友人がメールをくれた。

そのときの嬉しかったこと。

節電も、友人を思うときのような
優しい気持ちで協力できたなら、
それはさらに価値の高い行動になると思う。


節電、節電といいつつ、
こんなに長々と書いてしまった。

でも私にできることは、節電や寄付、
そして震災の経験で得たことを
誰かに有効利用してもらえるように伝えることだと
今回のことで身にしみて思った。


ベランダに出ればコケたちが
いつもと何も変わらぬ顔をしている。

それらを見ていると、

「自分の気持ちをしっかり持って、
 ワタシたちみたいにどっしり構えていなヨ」

と言われているような気がした。


  
  
▲宮城にほど近い山形県内のとある森あるいは庭先にて。

二度寝のスナゴケ。

2011-03-09 19:19:34 | コケをめぐる旅

▲スナゴケ(伊豆高原にて撮影)


少しずつ日が暮れるのが遅くなって、
向こうの空に落ちていく夕日や
薄紅色の空のグラデーショが
じっくり見られるのが嬉しい今日この頃。


とはいえ、夜は急に冷え込んだり雪が降ったりと、
けっこう寒暖の差が激しい今日この頃でもある。


先日のテレビのニュースによると、
場所によってはもうそろそろ
ツクシが地上に顔を出す時季なのだとか。

ただ、春の陽気を感じたと思ったら、
翌日は雪が積もったりするので、
ツクシも思いきって伸びることができず、
出ようかどうしようか迷っていて、
結局例年よりも出るのが遅くなっているらしい。


さて、コケはどうだろう。

コケは他の植物よりも春の気配を
敏感に感じ取り、一足早く起きて葉を広げ始める。

大きな草木の枝葉が伸びて
日がさえぎられないうちに
光合成をスタートさせるためだ。

これはからだが小さいコケならではの処世術。


けれど今年は目覚めたものの、
翌日には雪も降るほどの寒さ。

いまごろ「二度寝でもするかぁ」と
大あくびしているやつがいるかもしれない。


たとえば、このスナゴケ。

葉が開いているか閉じているか見てすぐわかるので、
起きているか寝ているのか、区別がつきやすい。



▲起き出してを伸ばしてみたものの、寒さと乾燥で再び葉を閉じるスナゴケ。




▲こちらの群落は完全に二度寝中。ぐぅぐぅというイビキが聞こえてきそう。笑


空気が乾燥していると葉先が霜が降りたように
白く見えるのがこのコケの特徴。

葉を閉じ、活動を最小限に抑えてエネルギーを節約し、
ゆっくり寝ながら春を待っているようだ。



ちなみに・・・


▲起きているとこうなる。

ほどよい湿り気を帯び、葉が開いたスナゴケは、
ルーペで見ると黄色い星々が瞬いているようで本当に美しい。

春に向かって。

2011-03-04 18:55:53 | コケをめぐる旅

▲さて、これらは何でしょう? コケの花!?


あっというまに3月だ。
今年に入って丸々2ヶ月過ぎてしまったなんて、
信じられない月日の早さ。


ここ最近ちょっとしんどいこともあったりで、
なかなか更新ができなかった。

こんな細々と繋いでいるブログでも、
ちょくちょく気にしてのぞいてくださる方がいらっしゃる。

私と同じコケに心惹かれている方だろうか。
ならばよけいに申し訳ない。


とにかく、いまはもう元気です。

コケの芽吹きと共に、これからはちょっとずつ
更新の頻度が増えると思います。



先週末は久々に伊豆へコケチェック。


三寒四温のなか、伊豆のコケたちはいま、
春に向かってまっしぐらに成長中だった。


冒頭の写真はハリガネゴケの(さく)。





コケという植物は花をつけない。
でも、しばしばこうしてをつける。

コケは種ではなくシダ植物などと同じで胞子で子孫を増やすので、
という壷の中には大量の胞子が入っている。


をつける時期はコケの種類によるが、とくに春は多い。

このハリガネゴケのも春本番に向けて、
だんだん膨らみつつあるところ。

とりわけキラリと緑色に光る若いは
まるで地上の宝石のようで本当に美しい。



▲まだ胞子が成熟していないときはも細め。
 先には赤色のとんがり帽子がついてかわいい。




▲こちらは膨らみ始めた。あるていど膨らむと帽子は取れるようだ。


帽子が取れたあとにはガラスのように
透明な黄緑色の半球体が現れる。
これはたぶん蓋。

まだ飛び出す準備ができていない胞子たちが
出てこないようくいとめるのが蓋の役目だ。

そして胞子が熟したころを見計らって、
蓋は自然に取れるようになっている。




▲こちらは蓋も取れて、すっかり茶色くしおれた。
 前シーズンのかな? もう胞子もすべて飛び立ったようだ。


古いは、若いが育つのを
見守りながら静かに朽ちていく。

若いたちもしっかり育っているから、
安心して世代交代できるね。



椿や梅が花盛りのなか、
人が意識して地面に目を向けないと
まったく気づかれることのないコケ。

でも春がきたら胞子を飛ばせるよう、
彼らは日々地道に準備をしている。

その様子を見ているだけで、
なんだか元気をもらえた。