かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

新刊「苔玉と苔」

2010-08-24 04:56:38 | コケの本棚



コケにまつわる新しい本が出た。


「苔玉と苔」(別冊NHK趣味の園芸、秋山弘之、山口まり等著、NHK出版発行)。



早速買って読んでみたが、写真もきれいでわかりやすい。

内容の半分以上は苔玉と苔鉢の作り方。

でも後半に載っている「コケを知る」では、
「コケってそもそも何?」「どんな種類ががあるの?」
というところから噛み砕いて解説されているので、
苔玉や苔鉢作りはちょっとハードルが高いという初心者にもオススメだ。


●「苔玉と苔」
http://www.nhk-book.co.jp/ryouri/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=66457892010


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さて、閑話休題。

私は本日から12日間、スイスを旅行してきます。

というわけでしばらくブログはお休みしますが、
帰ってきたらまたここでお土産話ができればと思います(もちろんコケ中心で!)。


家を留守にする間、わが家のかわいいコケちゃんたちは、
コケ友でもある親戚の伯母さんに預かってもらうことに。


屋外でほどよい湿度のある場所に置いてもらい(すでにコケもいっぱい生えている)、
わが家よりもむしろ居心地よさそうと思ったりして・・・。


ではでは、行ってきます!



▲コケだけでなくシダも含めた約12の植物を預けた(写っているのは一部)。元気で待っててね~。

コケメールの楽しみ

2010-08-18 13:08:01 | コケをめぐる旅
お盆も終わり、高校野球も今日で準々決勝戦。

暦の上では立秋をとうに過ぎるが、
実際の暑さからすればようやく
夏も後半戦突入といったところだろうか。



「コケが好きで好きで」と常日頃から人に言っていると、
四季を通してステキなコケメールがたびたび届く。


コケメール。


私が勝手に名づけたのだが、
要はコケの画像付きメールのことである。



たいへんありがたいことに、
みなさん巷で印象深いコケに出会うと
私の顔が思い浮かぶらしく、
写メして画像を送ってくださる。


この夏も何人かから「コケ、見つけたよ!」との
元気なコケメールをいただいたので、今日はここでちょっと紹介したい。





▲「こけのやまだよー」(by Mさん)

横浜そごうのレストラン街にて。
てっぺんからものすごくスモークがでていたのだそう。

そういわれば確かに上のほうに
白い煙が写っている。

コケのオブジェとしても非常に珍しい例だと思うが、
人でにぎわうレストラン街の一服の清涼剤と
なっていることまちがいなしだろう。









▲「苔ふっくふく」(by Kさん)

京都・東福寺にて。
「あまりに苔が立派だったので!」ということで送ってくれた。
前日の台風により、苔がふっくふくと盛り上がっていたのだそう。

たしかにコケの元気いっぱいな様子がうかがえる。






▲「コケにつつまれたお不動さん」(by Kさん)

大阪の法善寺横丁にて。
コケにつつまれたお不動さんを発見したとのこと。

たしかにほとんどコケに覆いつくされているお不動さん。
コケと共に歩んできた歴史の長さがうかがい知れる。

京都と同じくKさんから。ご夫妻で関西のコケ報告をありがとう!






▲「コンテリクラマゴケ」(by Yさん)

熊野古道にて。「珍しいコケがあったので」と旅先から送ってくれた。

実はこのコンテリクラマゴケ、「コケ」と名がつくけれど、
シダ植物でイワヒバ科の一種。漢字では「紺照鞍馬苔」と書く。

ちなみに「苔」という言葉は昔は小さな植物の総称だったため、
今もその名残でシダ類や地衣類には「○○○○コケ」と名のつくものが多い。



おもしろいことにメールを送ってくださる大半は、
私のようにコケにどっぷりはまっている人ではない。


そこまでコケにはまってるわけではないけれど、
コケを見たら私のことを思い出してくれて、
さらにこうして手間を惜しまずメールまでくれる。


そのことがとてもうれしい。


それと同時に、彼らのことを〝コケ友予備軍〟として
ひそかにカウントしたりもしている。

   ※コケ友=コケ好きな友だちのことを、これまた勝手にそう呼んでいます。





「コケが好き」というとなんかマニアックで、
さぞコケの観察や分類、栽培方法なんかに詳しい人だろうという
イメージが先に立つかもしれない。


でも私はコケの楽しみ方は、感覚的なものがまず大事だと思う。


べつに名前や生態に詳しくなくたっていい
(知っているとさらに楽しみが広がることも事実だが)。


コケを見たり、コケと触れ合ったりするのが楽しい、
美しいその姿になんだか心が洗われた、
そういう感覚から発せられる言葉こそがコケ友同士の共通言語だ。


コケへの感動を画像付きでコケ友とわかちあえるコケメールは、
手軽ながらとても便利なコミュニケーションツールのひとつ。



まぁ最後にやや真面目ぶったことを書いてしまったが、
もしも印象深いコケと出会ったら、
みなさんどうぞ遠慮せず、コケメールしてくださいませ。

こちらはいつでもウェルカム。楽しみにしています!

せめぎあい。

2010-08-12 15:38:34 | 近所のコケ



少しでも地面に多くの面積を占有したいコケたち。


今日もミクロの世界では待ったなしの
陣取り合戦が繰り広げられている。






▲深緑さんが優勢か!?





▲いやいや、エメラルドグリーンさんも負けてはいない。





両者ゆずらぬせめぎ合い。







実はこれ、引いて見るとこんなかんじ。




▲場所は伊豆高原の歩道脇にて。





もともとは深緑の陣地に、
エメラルドグリーンが押し入って広がったのか。

はたまたエメラルドグリーンの陣地に、
深緑が新規参入している途中なのか。



それはコケたちのみぞ知ること。




ただこのコントラストはたまらなく美しい。





<今回ご出演のコケ>

●ハマキゴケ(エメラルドグリーンさん)


▲都市部でも普通に見られる。道路やコンクリート面、ブロック塀などに生える。




●チュウゴクネジクチゴケ(深緑さん)


▲都市部でも普通に見られる。コンクリートの上でハマキゴケなどに
 混じって生え、団子状の群落をつくる。

現代文学にコケ登場、「原稿零枚日記」。

2010-08-08 12:30:08 | コケの本棚



週末はコケ友さんに誘われて、
千葉でコケ観察会をした(それはまた別の機会に書こうと思います)。


かんかん照りのなかコケを見て歩いたので
体力的にはだいぶ疲れているはずなのに、
皆と別れた後も妙な興奮が冷めやらず、
寄り道をして新宿の本屋さんへ。



そこで、私の好きな作家・小川洋子さんの
新刊が平積みにされているのを発見。


さっそく手にとり、流し読みをしていると・・・




なんと、文章中にコケが登場しているではないか!!



この小説、主人公は作家で(一見、小川さん本人のようにも感じられる)、
彼女の日常生活が日記形式で淡々と語られていくというもの。


しかし、文章のそこここにこの世のものでない奇妙な人や場所、設定が登場し、
読者はしだいに主人公がくらす異世界に引き込まれていく
(あくまで、全部は読んでいない私の初見で感じたところですが)。




コケについての文章は、その序盤で書かれている。


主人公が訪れた宿に「苔料理専門店」なるものがあり、
そこのおかみさんに誘われるまま主人公は庭のコケをルーペで観察し、
そのあと次々と出されるコケ料理をたいらげていく。


たとえば、

・サヤゴケの燻製

・ギンゴケの酢味噌和え

・ムクムクゴケの蒸し物

・ウマスギゴケの天ぷら

など。


味については調味料の味が主で、
美味しいとはいえないというようなことらしいが、
こちらが「こわがらなくていいから、出ておいで」というような心持ちでいると、
次第に「コケの味が感じられた」というようなことが書かれてあった。



それにしてもコケの種類と調理の仕方から推測するに、
これは普段からコケを見ていないと、
なかなか思いつかない発想ではないかと思われる。


もしかしたら小川さんも、
コケに興味があるのかしら?


そう思うと好きな作家さんだけに胸が高鳴る。



またコケ好きとしては、まずいとは薄々わかっているけれど、
コケの種類別による調理方法のチョイスも絶妙である。


ギンゴケの酢味噌和えはありだけど、
天ぷらにしたらなしだよな、とか。

そういう感覚的なところで。



ちなみにコケ料理を堪能した翌朝、主人公が指を見てみると、
「爪が苔色になっていた」というから、これもまたおもしろい。




コケが好きな方、また小川さんの本が好きな方、
新刊なので本屋に行けばすぐ見つかると思います。


ご興味があれば、ぜひ。


●原稿零枚日記(小川洋子著・集英社発行・20108.5発売)
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-771360-2&mode=1


夜の訪問者たち

2010-08-05 10:50:22 | 近所のコケ


最近は毎日ベランダに出て、
マンションの敷地の隅に生えているサルスベリと、
お隣さん宅に植えてある大きなカキの木を
見るのが日課である。



サルスベリは、ある朝、

「あ。花が咲いてる」

と気づいてからというもの、
見るたびに花が増えていく。


3階のベランダから毎日、
しばらくそれらをじっと見おろす。



ドレープ状に縮れた美しいピンクの
それらを見ているとやがて、
昔、夏休みになるたびに通った
田舎のおばあちゃんちの庭を
思い出している。


あの夏も暑かった。




そのあとはカキの木を見る。


夏まっさかりといっても、
カキはすでに秋に向けて
枝に青い実をたわわにつけている。

見るたびに実が
大きくなっている気がする。


ここ最近、日暮れになると
やたらと強い風が吹くため、
そのたびに枝は激しくしなっているが、
どうか秋まで実が落ちないでと願うばかりだ。




そうしてマクロの世界を楽しんだ後、
私はふたたびミクロの世界へ。



ここ最近、コケと共に地面を眺めていると、
よく出会うのが、カナブンたちだ。


彼らはどこからともなく、
夜になると我が家にやって来る。

決まって緑色の小さなカナブンと
黄土色のやや大きなカナブンの2匹が来る。



時々、マンションの階段の角や、
ドアのまん前にいたりするので、
気をつけないと踏みつけそうになる。

誰かに踏みつけられるのも嫌なので、
私は見つけたら必ず手すりの所に避難させている。



昨夜も深夜までテレビを見ていたら、
窓をカチンカチンとたたく音がするので、
よくよく見たら彼らだった。


あまりに毎晩訪問してくるので、
愛着が湧いてしまい、
ついに昨夜はキュウリをサービス。

2匹ともよく食べていた。



自由に夜空を飛んでやって来ては、
飽きるまで窓をたたき、
おやつに出されたキュウリを食べて、
それにも飽きたらまた、
どこへともなく飛んで行く。


コケと同じく虫たちも
何もしゃべらないけれど、
自分にトコトン正直な彼らを
ただボーっと見ているだけで、
ひとときは暑さを忘れ、心がホッとほどける。


また今夜も会えるだろうか。





▲めずらしく朝まで長居した黄土色のカナブン。