かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

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小笠原諸島のことを思い、『日本の固有植物』を読む。

2011-05-11 07:56:39 | コケの本棚

週末、新聞を見ておっ!と思ったのが、
小笠原諸島(東京都)と平泉の文化遺産(岩手県)が、
ユネスコ諮問機関から世界遺産への登録を求める勧告でたというニュース。

このままいけば6月にパリで開かれる世界遺産委員会で
正式に登録の決定がなされるという。

テレビを見れば、街頭インタビューで平泉町のおじいさんが
「こういうときに嬉しいニュースです」と答えていて、
こっちも何だか気分がほっこり。


また小笠原諸島については、もう何年も前に知人から
「海でイルカと一緒に泳げて最高だった!」という話を聞いてからというもの、
密かに行きたいなーと思い続けている憧れの場所。

ただ、現地への交通が船のみで、しかも船の便数が数日に1度だけということで、
「まとまった休みがないと…」とか考えているうちに行きそびれているのだけど・・・。

しかし、このニュースを聞いて、また行きたい気持ちが再燃。


「東洋のガラパゴス」の異名をとる小笠原諸島は、
誕生以来一度も大陸とつながったことがない島であり、
動植物が独自の進化を遂げてきたという。

いまの私にはイルカと泳げることも魅力だが、
島内のコケ事情もヒジョーに気になる!!

というわけで、まずは先月購入したばかりの
『日本の固有植物』(発行は今年3月)のページをめくりながら、
小笠原諸島のコケたちに思いを馳せることに。


▲今年3月に発行されたばかりの『日本の固有植物』
 (加藤雅啓・海老原淳編/東海大学出版会)


この本はその名の通り日本固有の植物ばかりを集めて
掲載しているというなんともマニアックな植物図鑑。

コケのページをめくると、なるほど、
オガサワラホウオウゴケ、オガサワラシゲリゴケなど、
小笠原諸島固有のコケもいくつか見受けられる。

ほかにも以前、高尾山で出会ったと思われる
チャボスギゴケも日本固有種とのこと。

ほほぅ、そうだったのか。

そう聞くと、いままでより
このコケがちょっと愛おしくなる。



▲おそらくチャボスギゴケ。2010年晩秋の高尾山にて撮影。


また、図鑑には「テララゴケ」(西表島)、「チビッコキンシゴケ」(静岡)、「モグリゴケ」(千葉)など、
もう名前を見ただけで、「いったいどんなコケ!?」と気にならずにはいられないコケたちも。


さらに本書はこうした各植物の紹介だけでなく、
固有種の起源や歴史、日本のホットスポットの現状などが
事細かに掲載されているのもなかなか興味深い。

ただ、あまりに濃い内容のため、思考回路が文系ド真ん中の私は
読むたびに、頭をフル回転させるせいか、なかなか一気に読み進められないのだが…
(そのぶんゆっくり味わうように読ませていただいております!)。


ちなみにホットスポットという言葉は、
「生物多様性が高いながらも破壊の危機に瀕している地域」という意味で、
世界に34ヵ所あるホットスポットに日本も含まれている。

そして、小笠原諸島は100種以上の固有植物が
生育するまさに国内指折りの生物多様性地域。

世界自然遺産への登録、そして改めてこの国が
個性豊かな自然に恵まれていることを思うと嬉しいけれど、
現状は「破壊の危機」も表裏一体で存在することを忘れちゃならないなと思った。