かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

【お知らせ】コケの連続講座「苔に学ぶ-ミクロの世界に広がるコケの魅力に迫る-」

2014-02-18 12:37:20 | 東京コケスポット


連日の寒さとソチオリンピックに気を取られている間に、2月も後半に入ってしまいました
(今朝も4時起きでジャンプ団体ラージヒルの葛西選手の男泣きに感動。そして寝不足気味・・・)。

立春の頃はわが家のちいさな盆栽の梅も咲いて、
春の足音に心躍らせていたのですが、春はいまどこに・・・!?

関東以北の皆様、今週も大雪になるとか。
どうかどうかお気をつけくださいませ。


さて今日は、これは面白いことになりそうだと、
いまから自分でもわくわくしている講座のお知らせです。

3月23日(日)から毎週日曜日に、
東京・三軒茶屋にある「自由大学」という所で、
コケの連続講座が始まります。

自分はキュレーター(コーディネーターのような役割)と第1回講義を担当しますが、
第2~5回はコケ研究者の方々に講義をご担当いただきます(最後はもちろんフィールドワーク!)。

 <第1~5回テーマと講師>
  
 3/23 第1回:苔学ことはじめ / 藤井久子 
 3/30 第2回:コケから見えてくる〝世界〟の多様性 / 伊村智さん(国立極地研究所 研究教育系生物圏研究グループ教授)
 4/6  第3回:知られざるコケの素顔に迫る / 鵜沢美穂子さん(ミュージアムパーク茨城県自然博物館学芸員 非維管束植物担当)
 4/13 第4・5回:自分の見たいコケを見つける / 樋口正信さん(国立科学博物館植物研究部 陸上植物研究グループ長)、
 (講義のまとめ)あなたにとってコケとは?/藤井より 


詳しい講義内容については
自由大学のホームページに書きましたので、
そちらをご覧ください。

なお募集は昨日17日(月)からスタートしています。
定員15人なのでご希望の方はお早めにどうぞ!

自由大学「苔に学ぶ」


焼却炉のヒョウタンゴケ。

2014-02-03 19:08:42 | 近所のコケ

▲焼却炉前に生えるヒョウタンゴケ(2014年1月兵庫県にて)

先週行われたオカモス関西の観察会へ行ってきた。
これが私にとって今年最初のコケ観察。苔見初めである。

まだほとんどのコケたちに春の訪れは見られず、
冬の寒さに葉を固く閉じてしっかりと乾燥していた。

しかし、

「雨にぬれ潤った姿よりも乾燥した時こそ、本来の特徴ある姿が見やすい」

とは、以前にコケ研究者の方に教わったこと。
そういった意味では、絶好の苔見日和だった。


なかでもこの日、クギ付けになってしまったコケの一つが「ヒョウタンゴケ」だ。

なぜってそれは、冒頭の写真にもある通り、
生えていた場所が「まさに教科書通り!」と
思わずうなりたくなるほどのベストロケーションだったから。

というのも、ヒョウタンゴケは湿った土上によく生え、
とりわけたき火跡や火災跡の土上に生えるのが大きな特徴。
灰耐性のあるコケとして知られる。

  ※また「アンモニア成分が多い人家の庭や畑などでもよく見られる」と
   手持ちの複数の図鑑に記載がある。
   さらに私の経験では、花屋さんで鉢モノを物色していると、
   その鉢の土上に付きの同コケが生えているのをたびたび見かける。


焼却炉の目の前に大きな群落をつくる様子は
まさに本来あるべき〝正統派〟な姿といえよう。



▲道端に突如現れた昔ながらの古びた焼却炉。よく見るとその足元にはうっすら緑色が・・・



▲近づいてみると、炭の上からもヒョウタンゴケが生えていた。胞子体は古いが、植物体からは新芽が出始めている


ちなみに最近の研究で「金を蓄積する」ということもわかり、
コケ好きの中ではわりと話題にもなっているコケだ。

この日は古い胞子体しか見られなかったが、
新しい胞子体の旬は5~6月頃というから、
またその頃にはこの焼却炉付近が若い黄緑色ので覆われ、
さぞ華やかになっていることだろう。



▲壁面のレンガにもヒョウタンゴケがびっしり。そしてもう1種、また違うコケがいるようだが・・・?!



▲近づいてみるとゼニゴケと判明

ゼニゴケにも灰耐性があるのかしら?!と疑問に思ったが、
『蘚苔類研究』(日本蘚苔類学会の会報誌)の2012年8月号の
「新・コケ百選 第10回 ゼニゴケ科(苔類)」(執筆:古木達郎氏)を読むと、
「焚火した後によく発生する」と書いてあった。

これもまさにどんぴしゃな生育地。

いまはあまり使われていないように思われた焼却炉は
まさに彼らのために残された楽園のようであった。