前回の記事で書いたとおり、先週末から茨城県自然博物館で始まっている
「こけティッシュ 苔ワールド!-ミクロの森に魅せられて-」を
コケ友2人と連れ立って、茨城県まで見に行ってきた。
博物館の大部分のスペースを使ってのコケの一大企画展。
規模はおそらく過去にも類を見ない関東一(もしくは日本一!?)の広さという。
コケ好きの私が言うのもなんだが、こんな勇気ある企画展をよくぞやってくれました、だ。
だって、恐竜展や昆虫展、宇宙展やキノコ展ならいざしらず、
コケ展と聞いて普通、「えっ!ぜったい行ってみたーい!」となるだろうか。
両手を挙げてかけつける子供たちや生き物好きの大人たちの姿がイマイチ想像できない。
博物館側は、果たして人が入る見込みについてどう考えているのか。
しかし、今回のコケ展のチーフを務められた
同館の学芸員でありコケ研究者のU女史は言う。
「3年以上前から構想を練り始めていたんです」と。
なんと!!
なんたる冒険心!なんたる大胆不敵!
とはいえ、実際に会場に行ってみると、
そんな余計な心配はまったく無用のものと思い知らされる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/ab/e803f1925b9499bccddc1ff01a2a53a1.jpg)
▲コケ展オープン! 多くの人が入口に吸い込まれていきます。
前回も書いたが、今回の展示構成は以下のとおり。
●展示構成
1.コケワールドへようこそ!
2.コケの住みか
3.コケの不思議な一生
4.コケの進化
5.コケの森の生き物たち
6.暮らしの中のコケ
その一つひとつの項目が非常に充実していたのだが、
なかでもとりわけ目を引いたのが、本展のビジュアル部門代表、
会場の中心部分を占める直径6mの室内苔庭だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/ef/3f586ab53473cb2ead789c67bc4d5f6a.jpg)
▲中心部にはアクアリウムも置かれ、地上や水中で見られる20種類近くのコケが展示されている。
また、その多くは茎の長さが数ミリ~数センチ程度という小さな小さなコケを、
ど~んと拡大して見せるという手法が展示物のいくつかに用いられていて、
その精密さに驚くとともに、改めて「コケの形ってユニークかつ機能的だなぁ」とほれぼれした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/57/1b9c763d9fd464cd7fb194a50a9a3873.jpg)
▲コケ類の3グループの代表格、コスギゴケ(蘚類)、ゼニゴケ(苔類)、ナガサキツノゴケ(ツノゴケ類)の50倍拡大模型。
コスギゴケは2m、ゼニゴケは1.5mの高さ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/86/2c4b25ba08886557731a0e9d579ed4b1.jpg)
▲ゼニゴケにはちゃんと無性芽器と無性芽も!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/74/a48221e83c8777b9917c83fd91e99b9f.jpg)
▲コケの葉いろいろ。コケは小さいので葉の一枚一枚なんてなかなか見ないけれど、
拡大してみれば種子植物のそれとよく似ている。やっぱりコケも植物なのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/64/65530ae3510da28d21698d3a01bfed9f.jpg)
▲上の看板にあるコケの葉を拡大したもの。フェルトで作られていて、触ることができる。
ヒダのあるものやポケットのあるものなど、こうしてみると種類によって実にさまざま。
コケに欠かせない水分を取り込んだり、体に蓄えたりしやすいようにと考えられた形かな?!
また、私たちがとりわけ気に入ってしまったのは、
コケの胞子体の上に付着し胞子体を守っている「帽」を拡大し、
それをその名のごとく「帽子」にしてしまったという体験型展示物だ。
その柔軟なアイデアは脱帽もの!(ひそかに韻を踏んでますw)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/b5/47615924187a37623b867166bf8b65b1.jpg)
▲帽の形は、コケによっていろいろですよ、という看板。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/1a/28d72b85f15fc0cee9e9fcadb7faf88e.jpg)
▲そして、こちらがそれらのいくつかを実際に人がかぶれる帽子にしてしまったというリアルコケ帽。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/e6/9fdedaec0f133ea7809ba3f862d20042.jpg)
▲コスギゴケとゼニゴケをかぶる某コケ好き女子たち。
いや~、流行最前線のファッションデザイナーも
前衛的なアーティストも、誰がこんな形の帽子を思いつくだろうか。
それらをすっぽり頭からかぶり、そのかすかな温もりを感じながら、
「胞子体はこうやって守られているのか~」などとコケになったつもりでしみじみしつつ、
ふと鏡を見れば、異様なほどに頭でっかちな自分の姿が目に飛び込んできて、なんとも愉快愉快。
そして、こうして巨大ゼニゴケパネルを背景に写真を撮ると、
帽が大きくなったというよりは、私たちの方がミクロになったようではないか。
▲ミノゴケ、ヒナノハイゴケ、ゼニゴケをかぶる某コケ好き女子たち。
私たちはこの帽子たちがいたく気に入ってしまい、
かれこれ20分くらいはそのブースに居座り、
各自が全種類を制覇して記念撮影をしたのだった。
会期は6月16日までとまだまだあるが、
コケが好きな人は2度行きたくなるくらい
展示物がとにかく充実しているので、
早めに行かれたほうがいいかも。
これ以上、展示内容を書いてしまうと楽しみが減ってしまうので、
あとはぜひご自分の目で確かめに行ってほしい。
ちなみにチーフUさんのイチオシは「コケの一生」を記録した貴重な動画(たしかにかなり感動モノ!)、
私のイチオシは、先のコケ帽と、胞子のうを食べるオカダンゴムシの動画、
世界最大のコケ「ドウソニア・ロンギフォリア」(スギゴケの仲間)の立体標本だ。
最寄駅はつくばエクスプレス「守谷駅」(秋葉原から35分)か、
東武野田線「愛宕駅」となる(秋葉原から1時間前後)。
ただし、駅から博物館までのバスのアクセスが非常に悪い。
マイカーじゃない人は、しっかりバスの時刻表を調べて行かれたほうがいい。
守谷駅からなら駅前にタクシーも常駐しているが、
片道4000円近く(走行20分以上)とわりとお高めにつくので、
複数で行かれることをオススメする。
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ミュージアムパーク茨城県自然博物館のHP
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/cd/da3f3231783b69a2b38f08a6bf74f3ed.jpg)
▲ツノムッシュ、ゼニール、スギエッタとかわいいコケキャラが展示の案内人(足元にいるのはクマムシかな!?)。
▲コケ友
よ2ちゃんの作品「コケマイメロ」も展示。下北沢コケ展を見逃した人はぜひここで!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/cb/f0e670e100520b03da5c1a15e0e3c621.jpg)
▲本物のクマムシを見ることができる「コケティッシュッシュ クマムシツアー」。次回は4月13日、27日他、5月・6月にも開催。