かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

ヤクシマコモチイトゴケ

2013-03-30 12:21:20 | コケをめぐる旅

▲ヤクシマコモチイトゴケ(屋久島 2013年3月3日)


Mar. 3, 2013

淀川登山道を行く。

アップダウンのある細い山道をAさんに付いて歩く私たち。



そこでとくに印象に残ったコケが、
このヤクシマコモチイトゴケだ。

 ※ヤクシマコモチイトゴケ/Yakushimabryum longissimaum H. Akiyama, Chang, Yamaguchi & B.C. Tan

ヤクシマコモチイトゴケは今回のコケフォーレの講師役の一人、
Aさん(日本蘚苔類学会の現会長でもある)らのグループが、
2005~2008年の屋久島の野外調査で発見された新属・新種である。

なので、それ以前に出版された「日本の野生植物 コケ」や
屋久島のコケガイド」にも名前が載っていない(いずれもコケ好きのバイブル)。

屋久島以外からは見つかっていない固有種ながら島内ではそれほど珍しいものではなく、
場所によっては通年湿度が高い林内の幹や枝に、わりと普通に見つかるものらしい。

これまでも採取されてはいたものの、外見が似ている「タマコモチイトゴケ」に分類されていたのだとか。



遠目から見るとお風呂上がりの犬の毛束っぽいが、
ルーペで見ると細長い枝に繊細な葉が密についていて、
金色の織物のように美しい。
湿り気のある風になびいている様子を思い浮かべるだけでうっとりだ。



 ※ヤクシマコモチイトゴケの詳細についてはこちらを。


屋久島、ぼちぼち。

2013-03-28 09:22:16 | コケをめぐる旅

▲ホソバミズゴケ(屋久島 2013年3月3日)

思えば屋久島から帰ってきて早20日あまり。

新鮮なうちにこの気持ちを早くブログに綴らねば!・・・と思いつつ、
普段のライター仕事がわりと忙しくなってしまったり、
花粉症で鼻と肌がえらいダメージを受けてしまったりと
日々のあれやこれやで、屋久島のことがすっかり
なおざりなことになっている。いかんなー。

それでも、あの5日あまりの出来事を少しでも
みずみずしいまま冷蔵保存するような気持ちで、
頭の隅にある記憶のはしっこを手でバシっと押さえつけて
とどまってくれるようには努めているのだけど。

なんだか気持ちは焦るばかり。

なんかちゃんとしたいと思えば思うほど、動けなくなりますよね。

ということで、とりあえず撮影した大量の画像の中から
印象深いものだけでもアップして、ちょっとでも、
このモヤモヤを解消できればと昨夜から思い始めた次第。

いつもはわりと文字の多いこのブログですが、
しばしパラパラとキャプションのみのアルバムをめくる、
それくらいの気軽さで読んで頂ければ、これ幸いです。

まぁ元来気分屋なので気が乗れば
またいつもの長文レポートになるやもだけども・・・。

なんてつべこべ言っているけど、まぁとにかく。

コケは見ているだけでその美しさに癒されます。
これについてはまちがいない。


Mar. 3, 2013




ここは屋久島の淀川(よどごう)登山口周辺。標高1360m。

標高が高いせいもあり予想以上の寒さに震えつつ、
コケフォーレメンバーでいっせいにコケ観察開始。

いっせいにとはいっても、
各自思い思いの場所へと散らばっていく。
それがコケ観察の常だ。



▲横並び状態で観察中。互いの距離が近いように思えますが、おそらく隣人のことなど見えていない。
 各自それぞれのコケワールドに没頭中なのであります。

登山口は目の前だがみんなそこへは直行せず、
しばし登山道入口近くのコケを丹念に観察。

斜面に、岩に、樹幹にと、視界はすでにコケだらけだ。
私はどこから手をつけたらいいのかと迷う。

しばらくあっちへふらふら、こっちへふらふらしていると、
一角の腐植土の上にホソバミズゴケの群落を見つける。

ひざまずいてしばらくルーペで見たりカメラを構えたり。
ふー、なんて美しい色と形、やわらかでみずみずしい手触り。

ため息をつきながらふと顔を上げると、
となりにはお仲間さんが私と
そっくりの格好でうずくまっていた。




「こけティッシュ 苔ワールド!」に行ってきました。

2013-03-19 11:23:23 | 文系女子のコケ目線
前回の記事で書いたとおり、先週末から茨城県自然博物館で始まっている
「こけティッシュ 苔ワールド!-ミクロの森に魅せられて-」を
コケ友2人と連れ立って、茨城県まで見に行ってきた。

博物館の大部分のスペースを使ってのコケの一大企画展。
規模はおそらく過去にも類を見ない関東一(もしくは日本一!?)の広さという。

コケ好きの私が言うのもなんだが、こんな勇気ある企画展をよくぞやってくれました、だ。

だって、恐竜展や昆虫展、宇宙展やキノコ展ならいざしらず、
コケ展と聞いて普通、「えっ!ぜったい行ってみたーい!」となるだろうか。

両手を挙げてかけつける子供たちや生き物好きの大人たちの姿がイマイチ想像できない。
博物館側は、果たして人が入る見込みについてどう考えているのか。

しかし、今回のコケ展のチーフを務められた
同館の学芸員でありコケ研究者のU女史は言う。

「3年以上前から構想を練り始めていたんです」と。

なんと!!

なんたる冒険心!なんたる大胆不敵!

とはいえ、実際に会場に行ってみると、
そんな余計な心配はまったく無用のものと思い知らされる。



▲コケ展オープン! 多くの人が入口に吸い込まれていきます。


前回も書いたが、今回の展示構成は以下のとおり。

●展示構成
1.コケワールドへようこそ!
2.コケの住みか
3.コケの不思議な一生
4.コケの進化
5.コケの森の生き物たち
6.暮らしの中のコケ

その一つひとつの項目が非常に充実していたのだが、
なかでもとりわけ目を引いたのが、本展のビジュアル部門代表、
会場の中心部分を占める直径6mの室内苔庭だった。








▲中心部にはアクアリウムも置かれ、地上や水中で見られる20種類近くのコケが展示されている。


また、その多くは茎の長さが数ミリ~数センチ程度という小さな小さなコケを、
ど~んと拡大して見せるという手法が展示物のいくつかに用いられていて、
その精密さに驚くとともに、改めて「コケの形ってユニークかつ機能的だなぁ」とほれぼれした。





▲コケ類の3グループの代表格、コスギゴケ(蘚類)、ゼニゴケ(苔類)、ナガサキツノゴケ(ツノゴケ類)の50倍拡大模型。
 コスギゴケは2m、ゼニゴケは1.5mの高さ。


▲ゼニゴケにはちゃんと無性芽器と無性芽も!



▲コケの葉いろいろ。コケは小さいので葉の一枚一枚なんてなかなか見ないけれど、
 拡大してみれば種子植物のそれとよく似ている。やっぱりコケも植物なのだ。


▲上の看板にあるコケの葉を拡大したもの。フェルトで作られていて、触ることができる。
 ヒダのあるものやポケットのあるものなど、こうしてみると種類によって実にさまざま。
 コケに欠かせない水分を取り込んだり、体に蓄えたりしやすいようにと考えられた形かな?!


また、私たちがとりわけ気に入ってしまったのは、
コケの胞子体の上に付着し胞子体を守っている「帽」を拡大し、
それをその名のごとく「帽子」にしてしまったという体験型展示物だ。

その柔軟なアイデアは脱帽もの!(ひそかに韻を踏んでますw)。



▲帽の形は、コケによっていろいろですよ、という看板。



▲そして、こちらがそれらのいくつかを実際に人がかぶれる帽子にしてしまったというリアルコケ帽。



▲コスギゴケとゼニゴケをかぶる某コケ好き女子たち。

いや~、流行最前線のファッションデザイナーも
前衛的なアーティストも、誰がこんな形の帽子を思いつくだろうか。

それらをすっぽり頭からかぶり、そのかすかな温もりを感じながら、
「胞子体はこうやって守られているのか~」などとコケになったつもりでしみじみしつつ、
ふと鏡を見れば、異様なほどに頭でっかちな自分の姿が目に飛び込んできて、なんとも愉快愉快。

そして、こうして巨大ゼニゴケパネルを背景に写真を撮ると、
帽が大きくなったというよりは、私たちの方がミクロになったようではないか。


 
▲ミノゴケ、ヒナノハイゴケ、ゼニゴケをかぶる某コケ好き女子たち。

私たちはこの帽子たちがいたく気に入ってしまい、
かれこれ20分くらいはそのブースに居座り、
各自が全種類を制覇して記念撮影をしたのだった。


会期は6月16日までとまだまだあるが、
コケが好きな人は2度行きたくなるくらい
展示物がとにかく充実しているので、
早めに行かれたほうがいいかも。

これ以上、展示内容を書いてしまうと楽しみが減ってしまうので、
あとはぜひご自分の目で確かめに行ってほしい。

ちなみにチーフUさんのイチオシは「コケの一生」を記録した貴重な動画(たしかにかなり感動モノ!)、
私のイチオシは、先のコケ帽と、胞子のうを食べるオカダンゴムシの動画、
世界最大のコケ「ドウソニア・ロンギフォリア」(スギゴケの仲間)の立体標本だ。


最寄駅はつくばエクスプレス「守谷駅」(秋葉原から35分)か、
東武野田線「愛宕駅」となる(秋葉原から1時間前後)。

ただし、駅から博物館までのバスのアクセスが非常に悪い。
マイカーじゃない人は、しっかりバスの時刻表を調べて行かれたほうがいい。
守谷駅からなら駅前にタクシーも常駐しているが、
片道4000円近く(走行20分以上)とわりとお高めにつくので、
複数で行かれることをオススメする。

ミュージアムパーク茨城県自然博物館のHP


▲ツノムッシュ、ゼニール、スギエッタとかわいいコケキャラが展示の案内人(足元にいるのはクマムシかな!?)。


 
▲コケ友よ2ちゃんの作品「コケマイメロ」も展示。下北沢コケ展を見逃した人はぜひここで!


▲本物のクマムシを見ることができる「コケティッシュッシュ クマムシツアー」。次回は4月13日、27日他、5月・6月にも開催。



【コケ情報】3月16日(土)~茨城県自然博物館にて企画展「コケティッシュ 苔ワールド!」開催

2013-03-13 11:55:09 | 文系女子のコケ目線



いよいよ今週末3月16日(土)から6月中旬まで、
茨城県自然博物館にてコケの大企画展が開催されます。

第57回企画展「こけティッシュ 苔ワールド! -ミクロの森に魅せられて-」

●展示構成
1.コケワールドへようこそ!
2.コケの住みか
3.コケの不思議な一生
4.コケの進化
5.コケの森の生き物たち
6.暮らしの中のコケ

関東ではめったにない博物館でのコケの企画展です。
広いスペースに目からウロコのコケ展示が満載とのウワサ。
50倍のコケの拡大模型や直径約6mの室内苔庭もあるとか。

近隣の方はもちろん、東京近郊のコケ好きの皆様も
日帰り旅行気分で足を伸ばしてみませんか。

私はオープン日にさっそくコケ友さんたちと観に行くつもりです。


また、4月~6月には月1で企画展記念イベントもあり。
すでに参加申込が始まっています。

企画展記念イベント

なお、5月3日のイベントにはコケ研究者の先生方に混じって(全然混ざりきれてないけど)、
〝一般のコケ好き代表〟という立ち位置で少しだけ私もお話させていただきます(正直、緊張・・・)。


自分のことはともかく、3人のコケ研究者の方々の
お話を一度に聞けるなんて、なかなかないチャンスです。
実は自分にとってこれがなによりの楽しみだったりします。

ということで、よければぜひこの日も博物館へお越しくださいマセ。


屋久島コケフォーレから帰ってきました&『コケとも』4刷決定など。

2013-03-08 08:40:53 | コケをめぐる旅

▲ウワバミゴケ(屋久島.2013.3月)

前回のブログの最後にちょっと書いたが、
「屋久島コケフォーレ」から無事に帰ってきた。

そのレポートについては、これからおいおいしていきたいと思う。

画像は、もう4、5年前から見てみたいと思い続けてきた「ウワバミゴケ」。
今回ついに念願かなって出会うことができた。

いや~、興奮しました。


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●屋久島に行く直前に入ってきたホットニュース。

コケ初心者のための入門書『コケはともだち』(藤井久子著 リトルモア刊)が、
おかげさまで第4刷が決定しました。書店に並ぶのは3月末頃~だそうです。


●3月9日(もう明日!)、鈴木収春さんが講師をやっておられる
自由大学「出版道場」第11期の講座に招かれ、ゲスト出演することになりました。
『コケはともだち』を出版する前後の話をさせていただきます。
参加される皆様、明日はどうぞよろしくお願いします。

※11期の募集は定員締切済み、現在12期の募集中です。

■世田谷ものづくり学校内、自由大学「出版道場」