かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

屋久島2日目

2012-09-28 00:08:26 | コケをめぐる旅

▲屋久島のスクープ映像。ま、まさか!こんなことが!? 水面の上を歩く小原さん。


屋久島2日目は沢登りへ。

初めて屋久島を訪れた時から変わらず、
今回もワイナックのエコツアーにお世話になる。


4回目の屋久島にして、
実は沢登りは今回が初めてだ。

高校時代は水泳部だったので水に入ることや泳ぐことには抵抗はないのだが、
やはり流れのある水の中を〝登る〟ということには慣れていない。

すべったり転んだりしないかしら。
みんなに迷惑かけないかしら・・・
と、水に入る前からドキドキ。

しかし、そんな精神状態の中でも、ちゃっかりルーペと
耐水性のカメラは持ち込み、コケを見る気は満々である。



▲この日のパーティーは、私たち夫婦とカップルがもうひと組。右端はガイドの小原さん。


この日のガイドは私の中の〝屋久島のコケ師匠〟ことワイナックの小原さん。

小原さんは初めて私が屋久島を訪れた7、8年前に
たまたまガイドをしてくださり、コケの魅力を教えてくれた、
私がコケが好きになるきっかけを作ってくださった人だ。


「今日はコケの方はどうでしょう?」

と小原さんにたずねると、すかさず、

「水の中に生えるホウオウゴケが見れますよ」

とニヤリ。それを聞いて私もニヤリ。


しかし、水中でコケを見るのは陸の場合と勝手が違う。
流れのあるところ、全身でへばりつかないと見えない岩場の影など、
いつものようにすぐにはコケに近づけない。

さらに、水中では「安全確保」が第一。

激しく水が流れ落ちる岩場を登るときは
足を踏み外さないよう慎重に。

でも岩のない水位が深い場所では、
大胆にざぶんと飛び込んで、
楽しむことへのチャレンジも忘れずに。

そんなこんなで、ほどよい緊張感の中、
沢の奥へ奥へと進みつつ、
目では常にコケチェックを欠かさない。

足場が安定した場所があれば、
近づいていきつぶさに観察する。


▲ホソバオキナゴケが川沿いにモコモコと。



▲ホウライスギゴケ。コセイタカスギゴケによく似ているが、屋久島ではこっちの方をよく見かけた。



▲おそらくクモノスゴケ。


流れが比較的緩やかなところには、小魚やエビもいた。


▲コケに夢中だったため、何エビなのか、名前を聞くのをうっかり忘れる。


また、私が岩場のコケに夢中になっている一方で、
パーティーのメンバーも各々、沢を満喫。


▲ロッククライミングが趣味の夫は、川に足を付かないように、岩の隙間に足をかけて岩壁を渡る。



▲同じく関東からお越しの女性(悔しいことに名前を失念・・・)。高い場所から水をめがけてジャーンプ!



▲果敢に滝に近づく小原さん。



▲小原さん、川沿いの藪を分け入り「ほら見て。ここは竹にもコケがつくんですよ」





▲両手に胸をあてて・・・ざっぱーーん!! 滝は天然のウォータースライダー。
 すごいスピードなのだが、楽しくて私も2度やってしまった。


コケ見も、まだまだー。



▲ホウオウゴケの一種。コケの多くは水中も平気。



▲同じくホウオウゴケの一種。こちらは水辺に生えている。



▲キダチヒラゴケ(おそらく)。名前のとおり(この場合は木ではなく岩だけど)、立ち上がるように生えている。



▲こちらも岩場から立ち上がるように生えていたキブリナギゴケ(おそらく)。繊細で美しかった。



▲ヒシャクゴケの一種かな?!



体が水中に入った状態で撮影するのは
けっこう難しく、ブレまくりでしたが・・・。

とにかく安全第一と気を張りつつも、
水遊びにコケにと熱中した一日だった。

それにしても屋久島から帰って早1か月。
東京はすっかり肌寒くなってしまったなぁ。

水の中で踊ったあの日が懐かしい。



▲この日の夕食は、屋久島専門誌「屋久島ヒトメクリ.」のカフェにて。白身魚のカルパッチョ。
 「屋久島ヒトメクリ.」では去年の号で拙著を紹介していただいたご縁である。なので編集長の佐藤未歩さんにもこの日、ご挨拶できてうれしかった。



●おまけ

そうそう、トップの画像の水面を歩く小原さん。
タネ明かしをすると、画像右下にご注目。
丸太が水中に渡されていて、その上を歩いているのデシタ。





屋久島1日目

2012-09-15 19:47:41 | コケをめぐる旅
なんだかんだとバタバタしている今日この頃であるが、
やはり自分にとってはブログを綴ることが、
風のように過ぎていく日々をもう一度手元にたぐり寄せ、
それらが自分にとってなんだったのかを考える、
味わい深い時間になっているわけで。

ブログを始めて早3年たつが、
この時間の貴重さがいまも変わらないので、
まぁ細々とながらもブログが続けられているのだろうな。

ただ、その時間を捻出するまでが、
自分の場合、わりと時間がかかるのも事実。

家事の出来不出来(洗いものと整理整頓が苦手!)に毎日一喜一憂しながら、
仕事とこまごました用事(でもどれも大事)をこなし、
さらにその時点で心と体に余裕がある時でないと、
パソコンに向かうのがついつい億劫になってしまう。

あぁ、ブログ・・・

あぁ、メールの返信・・・

・・・あぁ、ねむ、、、zzz

みたいなことで、至極スムーズに布団へとなだれ込み、
のび太のごとく3秒で就寝(これが私の得意技なのであります)。

情けないですね。

でもこういう人、けっこう多いんとちがうかな?(とまた自分都合で考えている)


しかし今日はマッサージに行ってきたので、
心も体もわりと余裕があるわけで。

やはり自分メンテナンスは大事なのであります。



さて、そんなわけで屋久島での日々を
少しずつ思い出していこう。


屋久島へは東京からいつも鹿児島まで飛行機で行き、
鹿児島港からはトッピーという高速船に乗って向かう。

朝9時過ぎの羽田発で、入島したのは午後3時すぎ。

宿に荷物を下ろしたら、まず恒例になっているのが
宿から徒歩で行ける「益救神社」への参拝である。

ちなみに益救と書いて「やく」と読む。

「やくしま」はその昔はいろんな漢字があてられていたようで、
他にも、薬島、役島、夜句島、夜光島、養久島、邪古島、葉枯島など、枚挙にいとまがない。

数ある漢字の中からどうしてこれらの漢字があてられたのか。
なにか意味があるのか。興味深いところである。



▲益救神社の入口


神社は海に近く、町内でもわりと明るい開けた場所にあるので、
そもそもそんなにコケは豊富にない。

しかし社殿のそばの何本かの木々が
連なったところには、ほら、このとおり。





切り株にコケが生え、地衣も生え、
水分を蓄えたコケのふかふかマットの上に、
数種類のまだ幼い種子植物が息づいている。

境内の隅に静かに鎮座するそのたたずまいは、
奥ゆかしくもあり、神々しくもあり。
私にとっては神社の陰の守り神的存在なのである。

今回も3年前に訪れた時と変わらず
お見事な姿が拝めてよかった。



▲帰りに苔色の御守りを授かった




▲神社を出てぶらぶら。屋久島は雨が多いので、よく地面がぬれている。なにげない町角にもコケが豊富。




▲海から渡ってきた風が山に上り雲となる。この雲が雨を降らして島を潤している。



島での一日の締めはやっぱりこれ。
近海でとれた鮮度抜群のお刺身。あぁ、贅沢したなぁ。






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またまたお知らせです。

コケ友であり、当ブログのブックマーク(左欄)にある
ムクムクゴケ日記」を書いてらっしゃるYO2さんと、
ちょっと風変わりな「コケ個展」をします。





ひみつの部屋でコケトリップ展
●開催日時:2012年10月8日(祝・月)〜10/14(日)
●場所:アネッセボナ(下北沢駅南口より徒歩3分)
●時間:13時〜21時(初日は16時より 最終日は17時まで)

詳細は、また後日。

とにかくこちらは手作り感満載でやる予定ですので、
ご興味がある方も、かしこばらずお気軽にお越しください。

取り急ぎお知らせまで!

イベント告知:「コケとキノコとのぐそと山伏」

2012-09-13 12:58:10 | 東京コケスポット



東京は昼間は30℃以上とまだまだ暑い日が続くのに、9月はもうすぐ半ば…(アセアセ)。

実はこの秋、コケにまつわるイベントが目白押しである。
順番に告知をしますが、まずは再度こちらのイベントのご案内から。


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2012.09.21(金)
『山伏と僕』出版記念イベント コケとキノコとのぐそとヤマブシ

・開催場所:東京・お台場「東京カルチャーカルチャー」
・Open 18:00 Start 19:00 End 21:00 (予定)
・前売券/¥2000 (その他飲食代は別途) 当日券/¥2500

※前売り券はイープラスにて絶賛発売中。1人8枚まで購入可能、ファミリーマート店頭ファミポートで予約なし手数料なしで24時間直接その場で買えます。ネット予約の場合はセブンイレブン、ファミリーマートで支払い受け取りすれば手数料無料。

※お台場・東京カルチャーカルチャーは全席自由席で入場は前売券の整理番号順~当日券の方の順の御入場となります。飲んだり食べたりしながらイベントを楽しめる飲食スタイルのお店で、飲食代は別途必要となります(ビール¥600、ソフトドリンク¥390など)。


※チケット申し込みなど、詳細はこちらへ
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_120821204020_1.htm


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コケ、キノコ、粘菌など隠花植物界の重鎮である伊沢さんは、
近年、のぐそを通して自然にお返しをしようということで「糞土師」としてご活躍ですが、
やはりコケ好きとしては、コケ目線でいろいろ質問してしまいそう。


そして山伏といえば、坂本さんと会うまではなんとなく、
世間から離れて山の中で孤独に厳しい修行を積んでいそう…
という変わり者イメージだったのであるが、
坂本さんの話を聞けば聞くほどその話は民俗学に近く、非常に面白い。

古くから伝わる生活の知恵や芸能などの伝統文化が、実はルーツが山伏にあったりするのです。
そしてさらに言えば、その山伏のバックには常に山があり、自然がある。

人間は、自然の一部としてどういうふうにあるべきで、
生をまっとうさせてもらうべき存在なのか。

そんなことを話す時間になりそうです。

あ、なんか書いていたら壮大な感じになっていますが、
スタートは私と坂本さんがハート目になって
いかに自分たちが「伊沢さんラブ」なのかについて、
笑いも交えて話すことになると思います。

当日は3人の著書の販売やサイン会もあり。

本当になかなか実現したくでもできない、
またとないメンツ&テーマのイベントですので、
ご興味のある方、ぜひお越しくださいマセ。


屋久島へ

2012-09-04 17:55:32 | コケをめぐる旅

▲フォーリースギバゴケ(2012年8月下旬 鹿児島県屋久島の白谷雲水峡)


9月がやってきた。

は、早い・・・。

カレンダーをめくりながら
恐れおののいております。


8月下旬は、遅めの夏休みで屋久島へ。

人生4度目の屋久島、今回も存分に堪能した。

帰る日に台風が沖縄に来たためその影響で屋久島も船が出ず、
帰京が2日のびたが、このエクストラの2日間がまたよかった。

まずは前日にツアーで訪れた白谷雲水峡を再訪。
静かな森の中でじっくりとコケを見つめた。

しばしば強い雨が降ってきたが、
スギやツガ、ヒメシャラなどの大木に守られて、
森の中は意外にも静かだ。
ただ、遠くで滝の音が聞こえる。

コケはもう至る所にあったのだが、
とりわけ足元のフォーリースギバゴケが
雨粒を蓄えてキラキラと光り、
これ以上ないくらい美しい表情をしていた。



▲フォーリースギバゴケの群落


コケの森があまりにも美しかったので、
屋久島での6日間に持ちうるエネルギーの
すべてを注ぎ込んでしまったせいか、
東京に帰ってきてからしばらくは、
燃え尽き症候群になってしまった。

情けないことにボヤボヤと灰のようになって、
すごしておりました…(苦笑)


でも、もう9月。

そろそろ本格始動です。
秋のコケがわれわれを待っていますヨ!(キリッ)


というわけで気まぐれ更新のこのブログですが、
どうぞ引き続きお付き合いくださいマセ。


<追伸>

当ブログのトップにも載せましたが、
9月21日(金)夜に『コケとキノコとのぐそとヤマブシ』という
イベントにゲスト参加させて頂きます。(また、えらいタイトルだな…)

私と同世代で山伏(兼イラストレーター)をしておられる
坂本大三郎さんの著書『山伏と僕』の出版記念イベントです。

実はもう一人のゲストにはなんと、キノコ・コケ・粘菌・シダなどの
隠花植物の本には必ず撮影者で名前がある伊沢正名さんも来られます!

コケ界の大御所と言っても過言ではない伊沢さん、
お手元のコケ本をご覧あれ、
おそらく99%の確率で伊沢さんの名前があるはずです。

現在は主に糞土師(ふんどし)として活躍されている伊沢さんですが、
坂本さんと私の「ぜひ伊沢さんとお話をしたい!」という
熱い要望によりお迎えすることができました。

山伏もコケ好きも、そして糞土師も、
普段からそれぞれの視点で自然を見つめ、
いろいろと思うところがあり、
世の中に伝えたいことがある。

コケのことにももちろん触れたいと思います。
ご興味のある方、ぜひお越しください。

チケットは8月28日から発売中です。

※詳細はこちら→ Tokyo Culture Culture(お台場)



▲白谷雲水峡にて。