かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

ユニークな花屋さん

2010-09-23 19:54:48 | コケをめぐる旅

▲高台からベルンの街を一望する。赤い屋根の旧市街は世界文化遺産でもある。



ひきつづき、スイス旅行記。

山麓の街で1週間ばかり過ごしたあと、
列車に2時間ほど乗ってスイスの首都ベルンへ。



ヨーロッパの街は必ずと言っていいほど、
決まった曜日になると街のどこかで市場が開かれる。

今回はベルンの市場で見つけた
一軒のユニークな花屋さんを紹介したい。






いままでフランスやドイツなどで何度も市場は見てきたけれど、
この街の花屋さんはとりわけセンスがいいと思う。


ただ切花や鉢植えを売っているんじゃなくて、
ほとんどの店にフラワーアレンジメントしたものが並ぶ。


  






中でも多肉植物と果実をメインに扱う一軒の花屋さんの
フラワーアレンジメントには目を見張るものがあった。


コケからちょっと離れてしまうけれど、
たぶんコケに心ひかれる方なら、
きっとこの花屋さんにも食指が動くハズ。



  
▲店先にずらりと並ぶ果実類。ぺポカボチャにザクロ、トウガラシ、ホオズキ、ヘチマ類など。




▲ナスやゴーヤもある。




▲これは何の実だろう? でもお皿に載ってるだけでなんだかアートなかんじ。





そして、これらの素材がどう変身するのかというと・・・





▲アロエっぽい多肉植物の葉にくるんでステキなオブジェに。



▲アップにするとこんなかんじ。




▲ホオズキとぺポカボチャ、ウリのような果実を結んだ秋を誘うオブジェ。



どれもおうちに飾ればステキな
インテリアになりそうなものばかり。


もう鞄からお財布を出しかける勢いで
わが家にひとつ買いたかったけれど、
ナマモノなのでやむなく断念したのだった。




▲おまけ。果物屋さんでは8月末だというのに早くも栗が並んでいた。

スイスの街のコケ2-グリーンデルワルト-

2010-09-22 12:25:00 | コケをめぐる旅
山麓の街ツェルマットとグリーンデルワルトの
街角で出会ったコケ紹介のつづき。


グリーンデルワルトはアイガーという名峰の北壁を臨む。

アイガー北壁といえば登頂がそれはそれは難しい山だそうで、
いままで数々の登山者が挑戦し命を落としてきた。

しかしそれだけに登山家たちの心をひきつけ、
「ヨーロッパ最後の難所」として1930年代に登山が競うように行われた。
そしてついに1938年にオーストリアとドイツの登山隊が初登頂に成功。
それでも周囲の名峰に比べ、100年遅い初登頂だったという。



今年日本で公開された映画「アイガー北壁」(ドイツ・オーストリア・スイスの合作)で、
私もこの山についての多少の予備知識はあったものの、本物の山を目の前にするとその迫力に圧巻。


●映画『アイガー北壁』オフィシャルHP
 (史実をもとにした悲劇ですがオススメ。私の中では今年のベスト3に入る名作デス)

http://www.hokuheki.com/



ちなみに今回の旅行でこのアイガー北壁を見ることを一番の楽しみにして夫は、
嬉しさのあまり現地で双眼鏡を購入して、毎朝毎夕、北壁を眺めて興奮していた。




▲夫、双眼鏡でアイガー北壁を眺める。




さて、すっかり前置きが長くなってしまった。


登山家たちにとってはある意味「聖地」のグリーンデルワルトの街であるが、
一方コケたちは意外と日本と変わらないご様子でフツーに暮らしている。




◆グリーンデルワルトにて



▲たとえば駅のホームの隅を見ると・・・




▲こんなコケや、




▲こんなコケ。




▲ホテルの前の街路樹。黒っぽい部分は全部コケ。




▲ほとんどの木がこの1種類のコケに埋めつくされていた。




▲看板の屋根にも。




▲頭上の木の葉から朝露が垂れて看板の木面が常に湿っているため、コケには快適。




前にも書いたが、初めて踏み入れたこのスイスという土地でも、
コケたちの暮らしぶりは日本とあまり変わらない。

だからなんだかホッとする。

でもそれはたぶん人間たちも同じことで、
スイス人たちの日常や彼らが日常考えていることも、
案外、日本人と変わらないのかもしれない。


私は英語もドイツ語もフランス語も(後者2つはスイスの母国語)
ほとんど話せないけれど、彼らとのちょっとした会話の中で
彼らの外国人への接し方を見ていて、また現地のテレビの話題などを見ていて、
スイス人の真面目さや親切さ、ある意味、前にしゃしゃり出ない地味な性格の人が
多いところなどは、日本人に通じるものがあると思った。

コケきっかけでなんだかスイス人にも親近感が抱けたかんじ。



◆おまけ。グリーンデルワルトのおいしいもの集。



▲スイスの伝統食、ソーセージとロシュティ(ジャガイモのスライスを焼いたもの)。




▲街中のチーズ屋さん。地元で作られたチーズがいっぱい。ちなみに価格は日本の1/2!

スイスの街のコケ1-ツェルマット-

2010-09-16 20:53:57 | コケをめぐる旅

▲古い家の屋根にお住まいのコケたち。元気すぎて中には屋根から落ちそうなヤツも。
 瓦ごと持って帰りたいくらいカワイイ!




今週は仕事の〆切がたて続き、なかなか更新できず・・・。
やっと一段落ついたので、再びスイスのコケレポートの続きを。



山から下りて街の中を散策していても、
けっこうな頻度でコケと出会う。

やはり山の麓の街は、山の影響を受けて天気が変わりやすく、
しばしば雨が降ったり、霧がかかったり、雲が降りてきたりするからだろう。

ほどよい湿度のおかげで、コケも繁殖しやすいようだ。



山麓の街ツェルマットとグリーンデルワルトの街角で、
モコモコと気持ち良さそうにしていたコケたちをカメラに収めてきたので、
2回に分けてその様子を写真メインでご紹介します。



◆ツェルマットにて



▲世界各国の山好きたちでにぎわう街、ツェルマット。




▲観光客向けに頻繁に街中でアルプスホルンのミニ演奏会が開かれる。




▲あ。帰りはかつぐのね。





▲最初にお見かけしたのが、ホテルのお庭にある盆栽のコケ。
 スイスに盆栽があることにまず驚いた。





▲古い民家の残るエリアへ。納屋らしき屋根にこれまたコケが。
 こういう風景はそこかしこで見かけた。





▲街に流れる川。




▲アルプスの雪どけ水が地層を通りやや白く濁る。落ちたらたたじゃすまない、ものすごい急流。




▲あれ、こんなきわどい所にコケ、そして地衣が!(オレンジ色のやつ) 
 層を成してテリーヌみたい。くれぐれも落ちないでよ~。




▲道路側の斜面もよく見てみると・・・(真ん中あたり)




▲大きな石がコケの集合住宅や~!




▲石好きなのと丸っこくかたまっているところを見ると、ネジクチコケの仲間かな。




◆おまけ。ツェルマットのおいしいもの集。

  

  
▲上段:チーズフォンデュ、チョコレートの量り売り。 下段:パン屋さんにて。

コケマンテマ

2010-09-12 16:10:16 | コケをめぐる旅

▲ガイドのマキさんと共に。ゴンドラリフトを降りると一面雪景色。



スイスのコケレポートの続き。


滞在ホテルのあるグリンデルワルトの街から登山鉄道に乗り、
さらにゴンドラリフトを乗り継いで、メンリッヘンへ。

今日はそこから2時間くらいかけてクライデシャイネックを目指す。



▲ゴンドラリフトの窓から撮ったアイガー北壁。雲に見え隠れしてラピュタみたい!?



クライデシャイネックは、アイガーの麓にある鉄道の駅。
登山家の壮絶な人生を数多く綴った作家・新田次郎の墓石がある
(その下には彼の妻の意思によって、愛用の万年筆が埋められています)。



▲名著「アイガー北壁」を書いた新田次郎の墓石からはアイガー北壁が眺められる。



ちなみにクライデシャイネックの駅から、
ヨーロッパ一高所の駅であり、世界遺産でもある、
ユングフラウヨッホに向かうことができる。



今日の本題に戻るが、
その界隈をトレッキング中のこと。


道の脇に高山植物に混じって生えている
モコッとした緑のかたまりを何度も見かける。

あら、コケかしらと思って見てみると、
まったく見たことのない種類。



▲お?コケか?




▲真上から見たところ。



中には緑の葉の上に柄(さくへい。先端には胞子の袋がある)を
たくさんつけているものあり、ますますコケっぽい(ただし、ちょっと大ぶり)。



▲また別の場所で。胞子を飛ばした後のコケのように見える。



気になってガイドのマキさんに、
これなんでしょうとたずねると、


「あぁ、これはコケマンテマっていうんですよ」


むむ、コケマンテマ!? やっぱりコケなのか!?


「あの、それってコケですか?」

「いえ、ちがうんです。ナデシコ科マンテマ属の植物です。
 この緑の葉の上にピンクの花を咲かせるんですよ」

「あの、でも胞子のようなものが・・・」

「えぇ、これはですね、花が咲いた後に茎が枯れたままのこったものです」



ほほぅ。コケじゃなかったか。

そう思い改めて観察してみるも、
コケマンテマの葉は一つひとつが小さくて背が低く、
地面にベタッとはりついている様子は
コケと本当によく似ている。

でも、なでてみると葉はツルっと平面的で、
コケに比べてよっぽどしっかりとしている。
乾燥や寒さにも耐え忍びそうな様子である。


もうしばらく道を進むとマキさんが、ほらと指差す。
見ると、なるほど、コケマンテマの花が咲いていた。



▲見づらいがピンクの花が点々とついている。これを見てコケじゃないと納得。



ホテルに帰ってから植物図鑑を読んでみると、次のようにあった。


・6~8月(が旬)
・標高1700~2900m(に咲く)
・葉:長さ5~12㎜と短い狭抜針形の葉が密に集まり葉枕をつくる。葉は柔らかい。

―「スイスアルプス高山植物ポケットガイド」より抜粋―



コケにせよ高山植物にせよ、
この標高の高さで短い夏の間に
せいいっぱい命をまっとうしている様子は
見ていて本当に心が洗われる。

彼らにはたくさんエネルギーをいただいた。



       


        


      

雨だから楽しい。

2010-09-10 11:46:33 | コケをめぐる旅

▲麓の町ツェルマットから見たマッターホルン。


標高4477mの名峰マッターホルン(ちなみに富士山は3776m)。
山はスイスとイタリアの国境をまたぐ。


スイス人はこの山にイタリア側から
よく雲が流れてくるのを見て、

「今日はイタリア人がたくさんパスタを茹でてるな~」

とジョークを飛ばす。


・マッター=草場の開けた場所、
・ホルン=鹿などの角。そこから転じて角のように尖った山も指す。

というのが名前の由来。


その雄々しい尖り具合が、
到着当日・翌日は幸いにも
晴天に恵まれて拝むことができた。




3日目はガイドのまきさんの案内で、
逆さマッターホルンが映る湖周辺のハイキングコースへ。
しかし空はちょっと怪しい曇り空。


やはり山は雲に隠れて見えなかったが、
山と山の間に横たわる氷河眺めつつ、
地元の野生動物モーマット(げっ歯類でぽっちゃりしたカワウソみたい)と、
放牧中の白黒ヤギもみかけて興奮しながら歩いていると、
いよいよ雨が降ってきた。



▲湖シュヴァルツゼー(ゼーとは湖の意)からの景色。逆さマッターホルンは見えず。




▲マッターホルンの稜線の延長を歩く。雲が降りてきて雨も降ってきた。



すると、ごろごろとあたりに転がる大きくて平たい石と
背の低い草で覆われていた斜面から、
キラキラと光り輝くものが浮き立ってきた。


おぉ、コケだ!!


    
▲左:真上から見たところ。       右:見下ろしたところ。



今まで目についたのは色とりどりの高山植物と、
そこら中の石にビッシリ張り付く地衣類ばかり。

そもそも標高が高い場所だから
コケを期待していなかったということもあり、
こんなにたくさんのコケがいたなんて気づかなかった!



▲近寄ってみると、シモフリゴケの群生だった。



コケは雨水を含んで黄緑色の束が
ふんわりモコモコ膨らんで元気いっぱい。

そして他の草花はいまや雨に濡れて
一気に存在が薄れたこともあり、
草原の主役は一気にシモフリゴケに
とってかわられたのであった。



「ひゃー、きれいだわー! こんな所にも、こんなにコケがあるなんて感激だなー」


私のあまりの興奮のしように、ガイドのまきさんもコケのことが気になったご様子。



「え、どこにコケがあるんですか?」


「ここですよ、これ。たぶんシモフリゴケです」


「へぇ~~、今まで気づきませんでした。きれいなもんですねぇ」



よし、この人もコケに興味がありそうだと踏んだ私は、


「ほら、ここにも。見て見て、あっちにもありますヨ」


と、こっちを指差し、あっちを指差しで、
雨に打たれる寒さも忘れてヒートアップ!


まきさんもすぐにコケに目が慣れて、

「あ、これもそうじゃないですか? ほら、こっちのもコケですよね!」

と積極的に岩や地面にはりついていた。




▲種類はわからないけれど、水もしたたるいいコケ!




▲石のかげにひっそりとスギゴケも。



マッターホルンは雲隠れで見えなかったけれど、
この雨の日は思わぬ高山のコケ観察日和となったのであった。



帰りは途中から雨もやみ、
針葉樹林帯に生えていた野生のブルーベリーを
つまみながら下山という、これまた贅沢なひと時を過ごせた。



▲つまみ食いした野生のブルーベリー。



ちなみにガイドのまきさんのその日のレポートはこちら
(今回お世話になったフェロートラベルのHPより)。


●08月27日 雨の日の楽しみかた♪(ツェルマット)
http://www.fellow-travel.co.jp/cgi-bin/topics_aw.cgi?





▲巨大キノコも発見!(さすがにこちらは食べてません)



「ここにもいてくれましたか!」という安堵感。

2010-09-05 02:07:45 | コケをめぐる旅

▲数々の小説や映画の題材にもなっている名峰「アイガー北壁」。グリーンデルワルトにて。



ただいま。無事、スイスから帰ってきました。


さてさて、何かを書こうと思うのだけど、
なにせ今回は12日間の長旅。

あれやこれや刺激を受けたことが
たくさんあって何から書いていいのやら。



とりあえず、ひとつ言えること。




スイスにもコケがたくさんあったー!!!




私の中でスイスは雪化粧の山脈が連なるイメージが強く、
あんまりコケは期待できないかと思っていた。


しかし雪をかぶった名峰(マッターホルンやアイガーなど)や、
その稜線の先に広がる氷河よりも、もっと手前の針葉樹林帯で、
はたまたさらに身近なところでは、街角の壁面で、民家の屋根で、
街路樹で、川べりでとスイスのいたる所でコケとの出会いがあった。




日本と似たものもあれば、
あまり見かけないものもあったり。


また、たとえば日本で街路樹の幹に生える
定番のコケといえば「サヤゴケ」だけど、
スイスではぜんぜん違うコケが
「ここが私たちのハウスよ!」といわんばかりに
幹をビッシリ埋めつくしていたり。


今回は名峰めぐりを中心にスイス国土(九州よりやや小さいサイズ)の
約半分を回ってきたわけだけど、それだけでもいろんなコケとの出会い、
ひいては人との出会い、自然との出会いに恵まれた旅だった(一応これがハネムーンでもありました)。



そしてもうひとつ言えること。


飛行機に12時間も乗ってようやく着くような遠方の地スイスでも、
そこには人の生活があり、風土にあった文化が息づいているのと同じように、
コケも当たり前のようにそこにいて、日本のコケと同じようにけなげに生きている。


その姿は私にとっては小さな発見の連続であり、
また「ここにもいてくれましたか!」という
なんともいえない安堵感をくれるものであったということだ。




ちなみに興奮したらすぐ写真を撮りまくる性癖から
巷では〝パー子〟の異名で通っているワタクシですので、
撮ってきた写真はもちろん半端なく多いわけで。


とりあえず今日はここまでにしておくが、
これから整理しながら少しずつ、
スイスでの出会いの数々を紹介していこうと思う。


お楽しみに。




      
▲街路樹のコケ。このレベルのコケビッシリが、けっこうどこでも見られた。







▲もちろんルーペ持参。夫やガイドさんの目を盗んでちょいちょいコケ観察。