かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

【コケ情報】コケについての新刊『ときめくコケ図鑑』、『苔玉と苔 育て方ノート』

2014-03-25 17:20:08 | コケの本棚
先週末は、自由大学のコケ連続講座「苔に学ぶ」の講義で東京へ。

久々の東京でなにより新鮮だったのが、
土曜日の雲一つないスカイブルーの空。

ここ最近の関西は花粉とPM2.5のダブルパンチで
視界が悪く、空も一日中もやっと白いことが多い。

早くマスクが取れる季節になってほしいものです…。


おかげさまで「苔に学ぶ」講座は満員御礼で、
こないだの日曜日に無事に第1回目を終えることができた。

受講生は、ルーペでコケを見るのが初めてという方はもちろん、
すでに何度もコケ観察会に参加されているようなベテランまでとじつにさまざま。

最初に受講生の皆さんに自己紹介をしてもらったところ、
「コケについてより詳しくなりたいから」という受講理由に加え、
「正しい知識を得て、コケの魅力を周りの人に伝えられるようになりたい」
というようなことを述べられた方も複数いらっしゃり、それがとても嬉しかった。

というのも、まさに自分がこの連続講座のコーディネーターを
お引き受けすることにした理由と同じだったからだ。

次回からはいよいよゲスト講師の面々による本格コケ講座。
受講生の皆さま、楽しみにしていてください。


さて、コケフォレー前に書いておきたかったことの続き(ようやくラスト!)。

前回の記事に書いたコケ特集の『このは』も含め、
今年に入ってコケにまつわる出版物が続々と出ている模様です。

まず1冊目。


▲『ときめくコケ図鑑』(田中美穂・文、井沢正名・写真/山と渓谷社)

もう、すでにコケ情報にお詳しい方は当然ご存じかと思いますが、
蟲文庫・田中美穂さんの新しいコケの本が1月に山と渓谷社から出版されています。

ちなみに田中さんの前作『苔とあるく』(WABE出版)は自分が初めて手に取ったコケの本で、
この本と出会ったから「コケの世界のもう一歩奥を見てみたい!」と思った、
大仰な言い方だが、そこから人生が(コケ方向に)変わった!といっても過言ではないほどお世話になった本でした。

今作は「もう少しコケの種類がわかるようになりたい人のための本があれば」
という田中さんの願いから生まれた図鑑とのことで、
蘚類71種、苔類34種、ツノゴケ類1種の計106種を図鑑形式で掲載。

コケは顕微鏡がないと同定ができない種類がたしかに多く存在するものの、
一方で、特徴さえつかんでおけば、肉眼&ルーペでも判別がつくものもわりとある。

本書でもそういったコケたちを中心に紹介されているので、
初心者の方が最初に持つ図鑑として、とてもお勧めです。



2冊目。園芸方面からも新刊が出ています。



▲『苔玉と苔 育て方ノート』(砂森聡著/家の光協会)

タイトル通り、苔玉作りのノウハウに加え、
コケそのものの生態についても触れています。
「人気のコケ ミニ図鑑」のページもあり。

しばしば自分も「苔玉ってどうやったらうまく育つのですか?」というような質問を受けることがあるけれど、
やはりそれにはコケの生態について知っておくのが解決の一番の近道と感じていて。

この本のように、作り方・育て方のノウハウに加え、
コケそのものについての解説もあるのはとても良いなぁと思います。


そういえば、今わが家のベランダにも苔玉が3つ。
最近ようやく寒さも緩み、皆さん次第に青さが復活してきたご様子。

コケに興味を持ち始めたころは、部屋の中で育ててカビだらけにさせてしまったり、
眺めの良い場所に置きたいとベランダの腰壁の上部分(一番日光と風当たりが強い)に置いて枯れさせてしまったりと、
何度も失敗を繰り返したものだが、結局、人間にとってのみ都合のよい環境だとコケはダメになると実感。

今いる3玉(プラス苔鉢いくつか)は、棚に遮光カーテンをかけた半日陰の環境に、
(安住の地とまではいかないけれど)そこそこなじんでくれているようだ。

世話を焼きすぎず、着かず離れずの距離で、焦らずじっくり。

こちら都合ではなくコケの時間軸に合わせてあげることが、
上手に付き合うコツのように感じている。



▲去年の10月に「コケトレ」で作ったスナゴケの枯山水。この冬は寒さが厳しかったせいか、名前に劣らぬほど無残なお姿に・・・



▲・・・と思ってがっかりしていたら、先日、なんと遅まきながらの胞子体を発見!(本来はおそらく晩秋に胞子体が出ると思います)
 よく見ると枯れたと思っていた本体も根元部分から緑が復活!この春の成長に期待です。

【お知らせ&コケ情報】4/12コケトレvol.06開催(←満員御礼)、現在発売中の「このは」はコケの大特集!

2014-03-11 13:17:50 | コケ情報

  <3/13追記:下記の4/12のコケトレイベントは、おかげさまで満員御礼のため募集を締め切りました。>

以前、このブログでも紹介した「あめつち」主催で、
今年初めてのコケトレイベントが4/12(土)に開催されます。

去年は春から秋にかけて毎月コケのイベントを行ってきましたが、
自分が引っ越したこともあり、冬だったこともありで、
なかなかチャンスがありませんでした。

でも、もう春がそこまできているし!ということで、
今回は満を持してのフィールドワークです。


詳細・お申込みは「あめつち」のホームページにて。→こちら

  ※このブログからは申し込みは受け付けていません。


昨日から募集が始まっており、
すでに半分近くの申し込みがあったそうなので、
ご興味のある方はお早めにどうぞ!



▲ジャゴケ。春は苔類(タイルイ)が胞子を飛ばす季節。今回はどんなコケと出会えるやら。楽しみです。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

毎号1テーマをとことん掘り下げて紹介する
自然科学系雑誌「このは」で、
今回なんとコケの大特集が組まれています。



▲今回のコケ特集の総ページ数はなんと76ページ!


出版元は「いもむしハンドブック」「樹皮ハンドブック」などでも有名な文一総合出版。
いろいろ取り上げるべきテーマが他にもたくさんあるだろうに、
わざわざコケに目をつけてくださるとはなんとも稀有な出版社であります。

そして、コケ研究者の皆様はじめこの特集にかかわった執筆者がなんと多いこと!贅沢!

さっそく私も読ませていただきましたが、コケ初心者から玄人好みの内容まで凝縮されている一冊だと思います。
昨日から発売とのことなので、お求めの方はお近くの書店やインターネットなどでどうぞ。


  <こっそり情報>
   特集ページを担当された研究者のおひとりから、掲載誌の中で訂正箇所があるとの報告を受けました。

   (訂正箇所) p52 【誤】シダレヤスデゴケ→【正】ハウルシゴケ
   
   だそうです。すでにご購入済みの方は、申し訳ありませんが訂正をお願いいたします。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


最後になりましたが、今日は3月11日です。

東日本大震災から3年がたち、被災地や福島第一原発では解決していないことがいまだ多々あるものの、
去年に比べて報道するニュース番組は確実に減ったし(昨日・今日はさすがにどこのメディアも取り上げていますが)、
またそういう自分も、気づけば自分から情報を取りに行くことが減っていました。

そんななか、コケ友M女史のブログを拝読。

そういえば私も震災翌年から毎年送り先は異なるものの、
心ばかりの寄付をしていたことをようやく思い出したのでした。

  ※ちなみに去年は叔母からこういうのあるよ、と教えてもらいこちらに。


本当はいつも応援したいけれど、すべきなのだけれど、
つい我が我がになりがちな自分の心の余裕のなさに反省です。
せめて今日だけは自分ができることをいま一度考え、行動に移したいです。




私の心のふるさと。

2014-03-07 15:59:05 | コケの本棚

最近そんなに忙しくなかったはずなのに、あっという間に時は過ぎゆき、
気づけばブログの更新がまた月をまたいでしまった・・・。

「行く1月」「逃げる2月」が今年もまた本当に目の前をぴゅーっと
通り過ぎて行ったことに呆然としているのだが、
今月もまた「去る3月」であっという間に過ぎてゆくのでしょう。

さて、3月2日から昨日まで、日本蘚苔類学会の恒例行事となっている
コケフォレー(コケの採集会のこと)で屋久島へ行っていた。

昨日、地元・関西に帰ってきたら
雪がちらついていて驚いたのだが、
あちらはいよいよ春です。

滞在中は何度か雨に降られつつも、
吹く風は日ごとにあたたかさが増し、
街道の寒緋桜はまさに見ごろ。

宿舎では冬眠から目覚めたのであろうカエルが、
渡り廊下に鎮座している姿を見かけた。


あぁ、屋久島がどんどん春に向かって新しくなっていく。
水も緑も蟲たちも命をみなぎらせて輝く季節に入っていくのだなぁ。

夜、顕微鏡でコケを見つつ雨風が窓を激しく打ちつける音に、
ひそかに胸を高鳴らせながら、そんなことを考えていた。

今回で通算6回目の屋久島旅行だったが、毎回屋久島の空気には心が解放される気がし、
島の緑がもつ生命力には元気をもらう(もちろんコケを筆頭に!)。

また今回も地元のOさん、Yさんにもあたたかく迎えていただき、
楽しい時間(もちろん内容はほとんどコケについてのことなのだが)を過ごさせてもらった。

生まれ育った場所ではないのになぜか何度でも
訪れたくなる心のよりどころのような場所。

そんな心のふるさとを自分の中に持っていると、それだけで人生はおトク、
心強く、そして心豊かに生きさせてもらっているなぁと
改めて感じながら帰路に着いたのだった。


  
   ▲コケフォレー中に出会ったハネムクムクゴケとヒノキゴケの群落



さて、屋久島レポートはまたおいおいするとして。

本当はコケフォレーの前に書こうと思っていたことを
これから何回かに分けて書きたいと思う。


まずは、日本の「隠花帝国」といわれる(おそらくこちらが元祖でしょう)
青森県・奥入瀬渓流からうれしいニュースをひとつ。

奥入瀬渓流オリジナルの「コケ散歩ガイドブック」がこのたび完成したとのこと。


  


ちなみに屋久島が「南の心のふるさと」なら、
奥入瀬は私にとって「北の心のふるさと」とでもいおうか。

コケのことで地元の河井大輔さん(この5月からNPO法人奥入瀬自然観光資源研究会理事長)から
お声がかかり、初めて奥入瀬を訪れたのはたった2年前のこと。

しかし、その2年の間に4回も現地を訪れる機会に恵まれ、
カツラやトチなどの落葉高木と隠花植物が共存する独特の森を好きになり、
またその森をこよなく愛し大切に考えている人々の情熱や心の優しさ、
そしてチームワークにもすっかり魅了されてしまい、
以来、東京にいても、さらに離れて関西にいても、
物理的な距離を越えた心の近さを感じている場所なのである。

そんな奥入瀬渓流が昨年は「日本の貴重なコケの森」にも選ばれ、
どんどん認知度が高まっている中、訪れた人に森で出会えるコケをより理解してもらう、
楽しんでもらうために作られたのが、今回のガイドブックだ。

ピンクが基調のデザインとかわいいイラストながら、
コケの基礎知識や葉の形や胞子体についての細かな特徴まで書かれていて、
初心者からコケの世界にすでに一歩踏み込んだ人にも親切な内容となっている。

  


このガイドブックは平成26年度以降の奥入瀬自然観光資源研究会主催の
イベントや環境教育の場で教材として配布される予定とのこと。

地元ではコケの知識に長けたガイドさんも着々と育っているし、
近い将来、この北の心のふるさとが「コケ好きさんの聖地」になりそうな予感。

これからも陰ながらですが、心より応援しています。

-----------------------------------------------------------


ブログのトップにも書いてありますが、3月23日(日)から始まる自由大学の連続コケ講座、
ありがたいことにどんどんお申し込みをいただいております。

いまなら若干名席があるとのことなので、ご興味がある方、お早めのお申し込みをお待ちしています。
こんなに豪華な講師陣での連続講座、他にはなかなかないと思いますのでこの機会にぜひぜひ。

自由大学「苔に学ぶ」