かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

苔こけコケ展2014、盛況にて無事終了!

2014-11-29 13:36:10 | 関西コケスポット

▲「苔こけコケ展2014」会場入り口。

前回の記事で案内した「苔こけコケ展2014」が11/21~23に京都府立植物園で開催された。
 ※主催:京都府立植物園、岡山コケの会関西支部(通称:オカモス関西)。

3日間すべて好天に恵まれたこともあり、今年も去年に続き盛会で、3日間の延べ入場者数はなんと3,795人!

今回、自分はほとんど事前準備をお手伝いできず、2日目にほぼお客さん状態で来場したのだが、
久々にお会いした方や、初めてお会いするコケに興味がある方とついつい話が盛り上がるうちに閉館時間が間近となり、
やや駆け足で展示を見学。それでも時間が許す限り会場の様子を撮影したので、ここでご紹介したい。


まず、うなぎの寝床のような細長い会場を入ってすぐ、出迎えてくれるのは多種多様なコケたち。もちろんすべて本物のコケ!
ここまで一堂に集められると、まるでナマのコケ図鑑を見せてもらっているよう。おもわず手持ちのルーペでじっくりと観察してしまう。


▲一面のコケに圧巻!しかもひとつひとつ種類がちがう。






▲これら数十種類のコケの持ち主はオカモス会員で関西在住のTさん。野外のコケを少しずつ採取し、なんとご自宅のベランダで育て増やしているのだとか。
 コケの種類がある程度わかる人なら、これらのコケが人の手で育てられたなんて驚きの事実でしょう。



▲中心にあるツバキの葉にご注目。ツバキを飾っているのではない、ツバキの葉に付いた葉上性の苔類を展示しているのだ!



▲そしてTさんのコケ一群の隣には、これまたボリューミーなコケたちが。コウヤノマンネングサ、オオカサゴケ、シッポゴケ、オオシッポゴケ、フロウソウなど。

これら大型種のコケを栽培をされているのは岡山在住のオカモス会員Kさん(期間限定で宍戸錠似)。
「お触りOK」ということで、得も言われぬコケのやわらかな手触りを満喫させていただいた。


「コケ展」と銘打っていても京都府立植物園という場所柄、植物に興味はあってもコケは初めてという人も案外たくさん来られる。
そこで会場入口ではコケ初心者の来場者にもミクロの世界にじっくり浸っていただくべく、虫眼鏡やルーペを配布する工夫も。



▲虫眼鏡やルーペだと拡大率・数倍~数十倍の世界。さらに拡大率・数百倍の世界にも浸れる顕微鏡ブースも設置(右下)




▲そして会場にはコケに詳しいベテランのオカモススタッフが常に複数控え、お出迎え。来場者の質問にも懇切丁寧に対応。
 コケに興味を持ってくれてるというだけでオカモス会員は嬉しいのだ!


また、学術的にコケのことがわかるだけでなく、コケ好きたちによる独自のコケカルチャーにも触れられるのがこのコケ展のよいところ。
素人・玄人関係なく、バリエーション豊かなコケ作品が多数持ち寄られた。


▲京都でコケといえば欠かせないのが苔庭。見事な苔庭を有し、紅葉の時季にはテレビでもよく紹介される祇王寺さんは京都五山を模したコケオブジェを出展。


▲オブジェといってもすべてコケは本物。しかも文字の部分もジャゴケで描くというコケづくし!(ピンボケですみません)


 
▲さらに傍らには裏千家のお茶がいただける野点コーナーが。コケの京都五山を眺めながらの一服は癒しのひと時。



▲オリジナルで作られたLED照明器具でコケを魅せるMoss Light-LEDさんの作品。



▲いろんな形をした石版にコケを埋め込んだアトリエMOSSさんの作品。


▲なんと私が最近興味を持っている古墳までコケづくし!?(もっとじっくり見ればよかった・・・)



▲園芸界からはおなじみのミニ盆栽。非常にお手頃価格で販売されていた。



▲こちらは大阪のど真ん中、心斎橋にあるコケの店・苔なっこさんの作品群。コケはすべて水辺や水中を好むウィローモス。


▲こちらも苔なっこさんより。流木、石、黒炭、それらすべてに付いているコケは貼ったのではなく、時間をかけて育て生やしたものというから驚く。
 信楽焼のミニ狸がまたかわいいこと。私もこの狸になってコケ岩を眺めたい!



▲一見地味なようですが・・・こちらは去年のコケ展にも出展されたベテラン選手。去年よりも群落が広がっているのがわかる人にはわかるという通好みの作品だ。



▲岡山在住のNさんの作品「虫の目でコケを見る」。おなじみゼニゴケがモチーフで左は雌株、右は雄株。



▲こちらは大阪在住のTさんの作品。

Tさんの作品は、以前にもこのブログで紹介したものと同じシリーズで今回はさらに新作が出展されていた。
コケモチーフの焼物という斬新なアイデアにすでに脱帽なのだが、その愛らしいフォルムと見れば見るほど精巧なつくりには毎回驚かされる。

しかも今回はなんとコケ好きの間では不動の人気がある「タマゴケ」がモチーフ。
左の作品は(サク)そのもので、俯瞰で見るとまた迫力があって面白い。蓋と歯(サクシ)の部分が二重蓋になっている。
ちなみに左奥の作品はジンガサゴケの蓋物。こちらもかわいかった。



▲東京在住のコケイロさんの作品。コケアクセサリーの数々はほとんどが手芸作品。

コケイロさんの作品は単に「コケ」なのではなく「○○ゴケ」とその種類にまでこだわり、
葉の形や色などその種類がもつ固有の特徴をしっかりつかんで表現しているのがすごいところ。
コケが好きであり、さらに普段からいろんな種類のコケをじっくり観察し、違いを理解していないとこのような作品は作れない。




▲ハタケゴケのブローチ。遠目に見ると本物かもと見まがうほど。ほぼ実寸大じゃないかしら。

最近、種子植物の花びらや葉っぱなどをそのまま樹脂に埋め込んだアクセサリーをよく見るけれど、
コケの場合、葉っぱの一部からでもそこから再生し新たな個体が生まれる可能性がある(いわゆる無性生殖)。
つまりたとえ植物体の一部分であってもそれはまだ生きている「命あるコケ」。
いつからか、そう思うようになってから樹脂に埋め込むコケ作品を見るとなんとなく心が落ち着かず・・・。

「コケに肩入れし過ぎ!」と言われたらそれまでなのだけど(そして確かにそうなのだけど。笑)、
できればコケの「生(せい)」が封じられてしまうようなものではなく、
創意工夫を凝らしてその人らしくコケを「再現」しているようなものに最近はホッとする。

あくまで私個人の感覚的なものなのだけど、そんなわけでTさんの焼物やコケイロさんのアクセサリーなど
今回展示されたコケアート作品はとかく私の心に優しく響いてくるものが多かった。



▲そして僭越ながら、こちらはわれらMOSS-T PROJECTのブース。Tシャツやオリジナルポストカードを置かせていただきました!(撮影:M.Mさん)


そして最後に。今、日本各地で観察会や地域観光の視点でコケ活動をしている団体のポスターやパンフレットの出展も。


▲今年9月に発足したばかりの「北海道コケと地衣類の会」のポスター。今後、道内で年1回は観察会、会報誌発行を予定しているとのこと。


▲地衣類とコケのキャラクター(ゆるキャラ?!)までいる!



▲こちらは、このブログでもたびたび紹介している青森県の奥入瀬自然観光資源研究会(通称:おいけん)のパンフレット。

おいけんは今年、奥入瀬渓流で出会えるコケたちを集めた図鑑も刊行するなど、いまコケの活動が目覚ましい団体の一つ。
自分の手元にもその図鑑「奥入瀬渓流コケハンドブック」があるのだが、それについての詳しいお話はまた次回にでも。

また、私は参加できなかったのだが、こういった展示のほかにも専門家を招いての講演会や、
屋外に出てのコケ観察会などが3日間通して行われ、いずれも盛況だった模様。


ちなみにこのコケ展のちょうど2日後、オカモス関西のコケサロン(定例会)があり、
改めて今回のコケ展について会員たちで振り返る時間があった。

そこで昨年に引き続き企画段階からコケ展全体を取り仕切ってこられたオカモス関西代表のMさんは、
「訪れた方が皆、最後は穏やかな表情になって会場を跡にされていた。コケの持つ力を改めて見直した」
とおっしゃっていた。

たしかに、会場の様子は皆でわいわい賑わうというよりも、
ひとりでじっくりと静かにコケを見ている人が多く、
その姿はコケならではの色彩、不思議な色形、生態に触れながら、
思い思いにコケと対話しているようにも思えた。

来場者にとっても主催者側にとっても、
コケへの興味、ひいては小さな自然への好奇心が高められた
有意義なイベントになったのではないかと思う。


【コケ情報】11/21(金)~23(日)「苔・こけ・コケ・展 2014」開催 in 京都府立植物園

2014-11-06 15:38:18 | コケ情報

今年も京都府立植物園にて「苔・こけ・コケ・展 2014」(通称:京都コケ展)が開催されます!

京都コケ展とは、昨年に引き続き今年で第2回を迎える
コケ好きたちによるコケ好きたちのためのコケのビッグイベント。

コケのプロ・アマ問わず、園芸好き・フィールド好きの垣根も越えて、
学術的にコケへの理解を深められる講演会・講習会から、
見て触って楽しい展示物や趣味のコケグッズまで網羅した、
いわゆる京都のコケ祭りなのです。

先日参加した岡山コケの会関西支部のコケサロンでは告知用ポスターもいただいたので、このブログでもさっそく宣伝いたします!
   ※コケサロン:岡山コケの会関西支部の会員が定期的に開いている情報交換会。平たく言えば関西のコケ好きたちの寄合です。




【苔・こけ・コケ・展 2014】
●日程:11月21(金)~23日(日・祝日)9:00~17:00(23日は16:00まで)
●会場:植物園会館1階展示室

◇イベント 
・11/21(金)~23(日) 野点席~苔庭ではんなり お点前を~ 裏千家教授 関西宗志氏(500円)

 
◇植物園教室(コケ展関連講習・講演会)   ※☆:講習会・観察会、★:講演会

  ☆講習会「コケをあしらう魔法の鉢づくり」
   ・11/21(金)受付:10時から 開始:10時30分から12時
   ・11/22(土)受付:13時から 開始:13時30分から15時
   持ち物:作業用の前掛け、作品持ち帰り用の風呂敷などを準備ください。
   講師:大野月子氏(園芸家)
   定員:先着20名、当日受付
   参加費:500円(材料費) 
   会場:植物園会館2階 研修室

  ★講演会「茶道に寄り添うコケ」
   ・11/21(金)受付:13時から 開始:13時30分から14時30分
    講師:関西宗志氏(裏千家教授)
   定員:先着60名、当日受付
   会場:植物園会館2階 研修室

  ★講演会「コケを愛でる 文学に現れる苔」
   ・11/23(日・祝)受付:10時から 開始:10時30分から12時
   講師:青野美幸氏(佛教大学非常勤講師)
   定員:先着60名、当日受付
   会場:植物園会館2階 研修室

  ★ 講演会「コケはじめ」
  ・11/23(日・祝)受付:13時から 開始:13時30分から15時
  講師:大石善隆氏(信州大学農学部 森林科学科・岡山コケの会)
  定員:先着60名、当日受付、参加費無料
  会場:植物園会館2階 研修室

  ☆観察会「植物園内でコケ観察 ここかしこにコケが」
  ・11/21(金)~23(日・祝)受付:15時 開始:15時から16時  
   講師:大崩貴之氏(京都大学理学研究科)岡山コケの会関西支部
  定員:先着20名、当日受付、参加費無料
  集合:植物園会館前

◇展示
・コケ栽培品
・コケ植物解説パネル展示
・コケ生態写真パネル展示
・苔庭ジオラマ
・コケの顕微鏡観察ワークショップ(随時)
・コケアート・コケ工芸品展示・一部即売
・コケ本グッズなど自然観察品即売コーナー
・全国のコケ活動団体紹介(奥入瀬自然観光資源研究会、北八ヶ岳苔の会、屋久島自然史研究会、岡山コケの会、オカモス関西)

・・・てなことで、今年も連日にわたりイベントが盛りだくさん!

昨年同様、展示室内にはミニ苔庭&お茶席が出現し、
裏千家の教授が野点席でお茶を立ててくださるほか、
コケ園芸のプロやアマチュアによる作品が一堂に集められるとのこと。
展示室一面がこれでもか!のコケコケした空間になること間違いなしです。

また、コケグッズコーナーにはMOSS-T PROJECTのコケTシャツ(数はあまりないので早い者勝ちです!)を、
コケ本コーナーでは拙著「コケはともだち」を置いていただく予定です。

関西方面の方はもちろんのこと、植物園内の紅葉も見ごろの時季ですので、
ぜひ全国のコケに興味のある方、このイベントを目指して京都にお越しくださいマセ。
ちなみに私は今のところ22(土)に会場をのぞきに行こうかなと思っています。

--------------------------------------------------------------------------------------------

●コケTシャツ進捗状況
 おかげさまでたくさんの方にご注文いただいたコケTシャツ、順調に刷り上がっております。
 このままいけば京都コケ展前には発送作業に入れそうです。ご注文いただいた方、楽しみにお待ちください!
  


   ※なお、お代金が未納のままだと発送できません。
   まだご入金いただいていない方、ちょっと急ぎ足でお振込いただけると
   発送作業もスムーズに進むので助かります。なにとぞよろしくお願いします。<(_ _)>



●関東のコケ好きの皆様
 11/30(日)に岡山コケの会関東支部主催で、顕微鏡を使ったコケ観察のイベントが開催されます(in 埼玉)。
 ルーペで見るよりさらにディープなコケの世界を覗いてみませんか(その美しさに驚きますよ!)。
 岡山コケの会の非会員の方でもお試し参加可能です。「コケに興味はあるけどまったくの初心者…」という方でもだいじょうぶ!
 詳しくは関東支部事務局のムクムクゴケ日記さんのブログをご覧ください。→