かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

山歩き再デビュー@金峰山 その1

2013-07-30 10:06:38 | 山登りとコケ

▲倒木をコケが覆う。(山梨県・大弛峠 7月)


ここ数年、コケを見るのが楽しくて、
山に入っても山頂を目指さず、
麓やら中腹やらをウロウロしていたのだが、
こないだの週末、久々に山頂めがけて登ってきました、
山梨県にある標高2,599mの金峰山(きんぷさん・きんぽうさん)。

夜中に都内を出て深夜に山梨県と長野県の
境に位置する大弛峠(おおだるみ)の駐車場に到着。

この峠は、自動車が通行できる日本最高所の峠である。ここで標高は2,360m。
そして、ここから尾根道を4~5キロだけ歩けば金峰山の山頂にたどり着く。

山歩き再デビューにはもってこいのお手軽登山ルートなのである。


車の中で寝て、朝6時に起床。
買っておいたパンを食べて、
6時半頃から歩き始める。

都会の朝と打って変わって、山の朝は空気が澄んでいてなんとも涼しい。
夜明けの山道を歩き出すだけでもう満ち足りた気分になる。


▲亜高山帯の森の中。最初はゆるやかな坂道を登る。自分はいつものごとくコケを見たいので列の一番後ろ


峠の森の中は、予想していた以上にコケがたくさん。
地面にも木にも岩にも、それぞれの場所をお気に入りの住処としたコケたちが、
そこここに独特の形の群落をつくっていた。



▲亜高山帯といえば、このコケ。オオフサゴケ。八ヶ岳界隈でもよく出会ったなぁ


▲オオフサゴケのアップ。植物体は立ち上がる。なんとなくクリスマスツリーに見えてくるのは私だけだろうか・・・



▲こちらも亜高山帯ではおなじみのコセイタカスギゴケ。胞子体が出てます


▲雌株の影には、少し背が低めの雄株が。もう婚活を終えたあとかな?!



▲山道の横手には倒れた木の根っこが壁を作っていて、そこをまたコケたちが住処として活用している


▲近寄ってみると・・・こちらはおそらくフウリンゴケ。古い胞子体と若い胞子体が混在している。胞子体の柄はくねくね。
 垂直面の土の上が好きで、生育場所はまったく違うが、実はコセイタカスギゴケの親戚筋。同じスギゴケ科の仲間だ



▲こちらはイワダレゴケ(ちょっと乾燥気味)。倒木や岩が好きなコケなのだが、ここではコセイタカスギゴケに乗っかちゃってます。
 よく見ると「孫の手」みたいにひょろりと立ち上がった新しい茎が見える。前年度の茎葉の上に毎年1度新しい茎葉を作るのがこのコケの最大の特徴



▲チシマシッポゴケ(おそらく)。この子たちもかなり広い範囲で林床を覆っていた。シッポゴケのなかでもとくに大型で、葉は同じ方向に曲がる



▲こちらも同じくシッポゴケの仲間。カモジゴケの一種かな。倒木の枝に突如現れた「天然の針山」といったかんじ



▲同じくシッポゴケの仲間。樹幹を覆うあたたかなブランケットのよう。濃緑色なところをみるとタカネカモジゴケだろうか。


こんな調子で歩けば歩くほどコケ・コケ・コケのコケ三昧。

こうも苦労しないで、あなたたちと会えるなんていいのかしら?!
と嬉しさがこみ上げてきて、歩きながらも思わずニヤニヤしてしまう。

みんなの列に遅れぬようコケを見ては(ニヤニヤし)早足で追いかけ、
またコケを見ては(ニヤニヤし)早足で追いかけを繰り返し・・・。

急に視界が開けたと思ったら、
向こうには黒々とした富士山が見えた。


▲夏の富士山は山頂の雪もほぼ溶けて、わりと地味。いまごろ大勢の人が登っているのだろうなぁ。


顔を上げたついでに辺りをよく見れば、ツガの美しさもなかなか。






▲新芽は明るい黄緑色。古いのと新しいの、こんなにもはっきり色が分かれているものなのね

朝のコケさんぽ

2013-07-12 11:40:15 | 山登りとコケ

▲半日陰の腐植土に生えるシッポゴケ科のコケ。(2013.7月神奈川県)


いつもこのブログをのぞいてくださっている方、暑中お見舞い申し上げます。

梅雨が明けたとたん、連日の猛暑日。
お変わりなくおすごしでしょうか。

最近の私のちょっとした変化といえば、
もう10年ほど変わらなかったロングヘアを、
この暑さを機に20センチ以上ばっさりと切ったこと。
学生以来のボブヘアになりました。

何がいいってドライヤーをかける時間が短い!

そして頭がいままでどれだけ髪の重みで引っ張られていたことか。
いままで気づかず自分に負担をかけていたのね・・・。
というわけでなんか気分的にもラクになりました。


さて、こう暑くなってくると、
コケ見も熱中症が危ぶまれるので
無理しないのが賢明というもの。

しかし、先日は家人のトレイルランニングの大会(山を走るレース)に同行したので、
家人らトレラン仲間が走っている間、私は山麓でコケ探し。

朝6時過ぎからの早朝コケさんぽは、
小鳥たちのさえずり、木をつつく音に包まれて、
なかなか気持ちよかった(しかも意外と蚊も少なくてラッキー)。



▲上記のコケをひとつまみ。茎はつながっていた。葉は乾燥すると同方向に鎌形に曲がる。おそらくカモジゴケかな。


ちなみに最近、コケを撮るというと、1cmまで接写ができる便利なコンパクトカメラ「RICOH CXシリーズ」についつい頼りがちで。
一眼レフの腕がだいぶにぶってきてたので、今回は気合を入れ直して一眼レフばかりを使って撮ってみた。



▲森の中にひっそりと。見ているだけで涼しさが伝わってくるよう。

春の落し物

2013-06-07 10:21:03 | 山登りとコケ
先日、東京西部にある御岳へ行った時のこと。
ケーブルカーに向かう道の途中で、こんな落し物を発見。





外側にコケ、そして内部には異なる種類の草木の枝(?)が
きれいに層になって組み立てられている、なんとも美しい鳥の巣だ。
手触りも軽くてやわらかで、なんとも言えない良さがある。

コケはよく見るとイトゴケの仲間のようだ。




辺りを見回したが落とし主が見当たらなかったので、
そのままケーブルカーに乗り、ビジターセンターに届けることにした。

ビジターセンターに着き、コケ友でもあるガイドのIさんにコケの巣を渡すと「あら!」と驚かれ、
Iさんの隣にいた同じくガイドのKさんは巣を見てすぐさま「メジロの巣かな?!」とおっしゃる。

そしていったん奥に入り、鳥の巣図鑑を持ってきてくださった。



▲並べてみるとそっくり。やはりメジロの巣のようだ

Kさんによると、表面はイトゴケの仲間、内側の薄茶色はおそらくイネ科の植物、
一番内部の濃い茶色はシュロの樹皮かもしれないとのこと。

またIさんは言う。

「こんなに美しい状態で落ちていたってことは、まだ使う前の巣だったのかもしれないですね」

なるほど。

使用後(つまり子育てに使った)の巣であれば、
もっと鳥の羽や糞が付着しているのが自然だ。

しかし、この巣は完成直後といった感じで使用感がなく、あまりにも美しい。

メジロは毎年春になると新しい巣を作り直すそうなので、
お二人の推測ではおそらく今年作ったばかりの巣が風で落ちたか、
はたまたヘビの襲撃にあって落ちたのかもしれないということだ。


そういえば先月に所要で秋田県へ行った際にも、
お花見をしに来た人々で賑わう満開の桜並木の幹の高い所で、
アオダイショウがとぐろでスズメを巻いて捕食している姿を目撃したばかり。

春は小鳥たちには産卵・子育ての季節だが、
ヘビだって長い冬眠から目覚め、これからの産卵期に向けて
栄養をつけておきたいとても大事な時期なのだろう。


人間たちの暮らしのすぐ隣でまた野生の動植物たちも
悲喜こもごもありながら春を生き抜いている。

巣の持ち主であるメジロにとっては災難なことだったけれど、
またどこかで元気でやっていますように。


●おまけ


▲これらはIさんが最近拾ったというミソサザイの巣。使いかけていたところで落ちてしまったそうだ



▲メジロと違って、ミソサザイは複数のコケを使っての巣作り。シノブゴケとハイゴケと・・・もう何種類か入っていそう


告知:9月10・11日(土・日)開催!「北八ヶ岳 森フェスティバル2011」

2011-08-01 11:12:52 | 山登りとコケ
先にささっと業務連絡を!

●<明日!>ラジオ出演:8月2日(火)J-WAVE「I AM」にて。
 
「Sign of the times」という5分間コーナーにて(登場は2分くらいですが!)。
9:30頃から9:50くらいまでのどこかで流れるようです。

http://www.j-wave.co.jp/original/iam/times/


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このブログの一番上の「近々のお知らせ」にも
書いたのだが、コケ好きさんたちに朗報!

コケに詳しい山小屋オーナーたちのガイドで、
北八ヶ岳のコケとともだちになれる、
1泊2日のイベントが9月にあります。

昼間はたっぷりコケ観察、夜は日本蘚苔類学会の
樋口正信会長を迎えてのコケ講演会あり。


一般向けのコケイベントがまだまだ少ない中で、
フィールドワークあり、座学ありと、
ディープなコケワールドに浸れるまたとないチャンス。

しかも、夏は街のコケは暑さと乾燥で休眠中のものが多いけれど、
森は一定の湿度と気温が保たれている場所が多いので、
イキイキとしたコケの姿が見られるはず。



 
▲セイタカスギゴケ、イワダレゴケ。どちらも八ヶ岳を代表するコケ。


そもそも八ヶ岳全域はコケの宝庫。

500種類近くのコケが見られるという。
現在日本で見られるコケが1700種近くなので、かなりの数である。

このことから、日本ではまだ11カ所しかない、
日本蘚苔類学会指定の「日本の貴重なコケの森」の認定を受けている。

 ※「日本の貴重なコケの森」
  コケの研究者・愛好家の多くが所属する日本蘚苔類学会では、
  コケの生育環境を守ることが自然環境を守ることに繋がるとして、
  貴重な種や多くの種を育むエリア全体を「コケの森」と呼ぶことにしている。
  その中でも、とりわけ貴重で重要な場所を「日本の貴重なコケの森」として選定。
  現在、全国に11カ所。


●日本蘚苔類学会「日本の貴重なコケの森」
http://bryosoc.org/index/koknomori.html



詳しくは、「北八ヶ岳苔の会」のホームページを参照にしてほしいのだが、
ここでもざっと2日間のスケジュールをご紹介しておこう。

☆9月10日(土)
12:00 受付開始(麦草ヒュッテ)
13:00 コケの森観察
16:00 自由時間・入浴時間
17:30 夕食
19:00 講演会
21:00 ウェルカムパーティー
23:00 消灯

☆9月11日(日)
7:00 朝食
8:00 森ワンショット撮影、プリント開始 
9:30 画像プリント終了、展示開始
10:00 森ワンショットコンテスト
11:00 森ガールコンテスト
12:00 昼食(鹿肉カレー)
13:00 終了・解散


●参加費:13000円(1泊3食の宿泊代含む)
●定員:最大100人
●予約・お問い合わせ:森フェス実行委員長 島立正広(麦草ヒュッテ)
 ℡:090-4127-8282 E-mail: info@mugikusa.com
●北八ヶ岳苔の会
http://www.kitayatsu.net/
↑このホームページだけでも、かなりコケ情報満載!


講演会は樋口会長の他に、信州大学の先生もお話されるとのこと。

ちなみに私は以前、国立科学博物館主催の樋口会長のコケ講座に
何回か参加させてもらったことがあるのだが、
樋口会長はコケ初心者にも非常に優しく丁寧に、
かつ根気強くコケについて教えてくださる先生(しかもとってもダンディー!)
たぶん、お会いすればみなさん心をわしづかみにされるハズ。


さらに2日目は「森ワンショットコンテスト」や「森ガールコンテスト」と、
カメラ好き&おしゃれ女子、要チェックの楽しいイベント満載。
コケはもちろんのこと、コケがご縁のよい出会いがあるかもしれませんヨ。


ちなみに10日ほど前に、森フェス実行委員長にお電話したところ、
実はいまはまだ応募者がかなり少ないのだそうだ
(100人という数にびっくりしたが、あくまで最大受け入れ可能人数なのだそう)。

まさに穴場的イベントかも。。。

迷っている方は、ぜひ!(私もただいま予定を調整中。できれば参加したいっ)

  
▲同じく八ヶ岳周辺で見られる「タマゴケ」。
 そしてそれをキャラ化したタマちゃん。「ぜひ来てね!」
(『コケはともだち』より。イラスト:永井ひでゆき)


夜を乗り越えて

2011-03-20 11:23:38 | 山登りとコケ
先の震災から今日で10日目。

被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げます。

また福島原発の現場で作業されている方々にも、
本当に敬服の思いでいっぱいです。

毎日少しずつでも、
日本が良い方向にむかいますように。



東京の余震もだいぶ減ってはきたものの、
夜になるとまだふいに不安が訪れる。

そろそろ深呼吸が必要。

後ろ向きな気持ちに負けないで、
こういうときこそ自分の笑顔のもとを大事にしよう。

不安な夜も乗り越えていこう。


私の笑顔のもとはやっぱりコケ!
(や。もちろんコケ以外にもいっぱいあるのだけど。笑)。



▲コダマゴケ(2011年2月下旬。伊豆の幕山公園にて)


以前から図鑑で見ていて
気になっていたコケである。

別名、タチヒダゴケ。

空気の澄んだ里山などの木の幹に好んで生える。
都会ではほぼ見かけることはできない。

ようやく出会えた時は嬉しかったなぁ。


葉の中からパカッと顔を出したがかわいらしい。
まるで若いどんぐりのお尻のようだ。

   ※(さく)=胞子が詰まっている壷。




▲コダマゴケは小さな塊をつくって生えるのが好き。
 この樹幹にも多種のコケに紛れながら同じような塊がいくつも見られた。



幕山公園は梅林公園で2~3月は梅が見ごろ。
また、ロッククライミングで通年にぎわう場所でもある。

この日も梅の香りに包まれて、
岩にかじりつく人々がたくさんいた。




コケの滝

2010-07-30 11:48:25 | 山登りとコケ
八ヶ岳山行のつづき。


1日目、山小屋に到着してザックを降ろしたあと、
ひとっ風呂浴びようということになり、
本沢温泉の野天風呂に向かう。


その道の途中、こんな不思議な光景が目に飛び込んできた。







なんだろう? この白い滝のようなものは??



よくよく近づいて見てみると・・・








なんと! これはコケの胞子体ではないかい?!


   ※胞子体(ほうしたい)=コケ植物の胞子を作る部分。
       配偶体(いわゆる普段から私たちが見ているコケ)から
       伸び出てているもので、先端には胞子の入った袋部分「(さく)」をつけている。





さらにルーペでアップにしてみて見ると、
白く見えているのは柄(さくへい)で、
柄の先にはカニの目玉みたいな黒くて細長いがついている。


   ※柄(さくへい)=「」を支える柄の部分のこと。





▲ルーペでのぞいたところ。




コケの群生からいっせいに白い柄が伸びる
その様子は、まるで森を流れる滝のよう。



このコケの名前はちょっとわからないけれど、
モヤシのようにやわらかく白い柄から、
たぶんコケ植物の中でも苔類(たいるい)と思われる。


   ※苔類(たいるい)=コケ植物はその生態の違いから、
       蘚類(せんるい)・苔類・ツノゴケ類の3タイプに分けられている。
       苔類の柄は、が熟成すると急速に伸び、短期間で枯れてしまう。





まぁ、難しいコケのメカニズムはさておき、
つまりはこのような苔類の胞子体が見られるというのは、
コケ好きにとっては、とてもラッキーということなのだ。



あぁあ。こんな神秘的な場面に出会えるなんて!!




まさに・・・・



Yes!! fall in love!!


(↑これを書いている私いま、「滝(fall)とうまいことかけ合わせたった!」とドヤ顔してます)



おあとがよろしいようで。

夏山、八ヶ岳に登る。

2010-07-29 12:48:35 | 山登りとコケ



先週末は1年2ヵ月ぶりに八ヶ岳に登ってきた。


あいかわらず赤岳(2899m)の急斜面を登るのは、
心が折れそうになるくらい苦しかった…。

でも、天気に恵まれて景色は最高!
色とりどりの高山植物が咲きほこる夏山は
やはり楽しいものだった。



  
▲高山植物たち。ピンク色はコマクサ。




もちろん、山のコケチェックも欠かさず。


コケは本当にたくましい植物で、樹林帯はもちろんのこと、
森林限界点のハイマツしか生えないような
吹きさらしの乾燥した場所でも生えているのを見かける。


また圧倒的に数は少ないが、
頂上近辺のゴツゴツした岩だらけの場所に生え、
つつましくその命をまっとうしているコケもいる。







▲こういうゴツゴツした稜線を上り下りしながら歩いていると…








▲ぴたっと岩肌にはりつくコケを見かける。




空に近いので紫外線は強く、温暖の差も激しいこの場所で、
彼らは岩と岩の隙間や岩の穴ぼこにぎゅっと身を固め、
息を潜めるようにして生きている。


どうしてわざわざこんなしんどい場所に生えるのかは、わからない。


偶然胞子が飛んで、うっかり生えちゃったのかもしれないし、
コケ同士の陣地争いがないから細々と生きながらえているのかもしれない。


でも、このような過酷な場所で生きているコケに出会うと、
私は毎回、心が洗われるような気持ちになる。




初めて来たときも、前回来たときも彼らの様子はまったく変わらない。


乾燥により険しい表情を見せながらも、格別の景色を望みながら、
岩にしみた水を頼りに、少しずつ次の命を繋ぎ続けている。




▲夏沢峠から見た朝陽。



▲稜線を歩いている途中に見えた富士山。



そしてそんな彼らを見ている私自身も、
標高3000m近くのここまで来るのに息切もたえだえ、
精神的にも体力的にも相当辛い(なんでこんな山登ってるんだろう!?と毎回思う)。



だからよけいに彼らを見つけると、
まるで同志に再会したような気持ちになり、
「あいかわらず、ずっとここで生きてるんだねぇ。がんばってるねぇ」と
つい心の中でコケたちに声をかけてしまう。

そして「私ももうちょっとだけ、がんばるか!」と前向きな気持ちになるのだ。




今回も、同行した愉快な山仲間たちと、
そして物静かな緑の友人たちに支えられながら
無事充実した山行を果たすことができた。






【山行ルート】
●7月24日
 JR小海線・松原湖駅からタクシーで登山口へ→約2時間登りで本沢温泉
 →日本最高所野天風呂「雲上の湯」に入り、山びこ山荘泊→夜8時過ぎ就寝。

●7月25日
 朝4時に出発→約1時間の登りで夏沢峠で日の出拝む→硫黄岳(2760m)
 →稜線を伝いながら横岳(2829m)→赤岳(2899m)を登る→地蔵尾根を下って行者小屋へ
 →Myコケパラダイス・南沢を抜けて美濃戸口へ16時10分に到着。→バス・電車で帰宅。

研究者の遊び心

2010-06-02 12:44:04 | 山登りとコケ

富士山のコケ観察会の続き。


今回、富士山でいろんなコケを見ることができ、
それはもう刺激を受けたわけだが、
もっとも新鮮だなと感じたのは、
参加している小中学生たちが
コケや地衣類にめちゃめちゃ興味をもっていたことだ。


とかくこの時期の少年たちというのは、
ひとつのことにハマルととことん!という節がある。
さらに記憶・吸収する能力も、大人とちがって速い速い。


先生方の説明も一番前で熱心に聴いているし、
私が「このコケ・・・なんだっけ?」と首をひねっていると、
「それは○○ゴケだよ」と教えてくれる。


また誰が○○ゴケを一番先に見つけるかみたいな競技が
彼らのあいだで流行っていたらしく、
大人たちがじっとひと所にルーペを当てている間も、
森を駆け回って「見つけた!」「いや、オレが先だ!」
「先生、これ○○コケだよね!?」・・・と、なんともにぎやか。


また、子どもからの質問を受ける先生も
いつも笑顔で、なんだかうれしそう。


「コケや地衣に興味があるなら、どんな質問にも答えてあげたい!」

という心意気が伝わってくる。



私は今まで研究者の方というのは、
とても頭がかたそうなイメージをもっていたのだが、
今回の先生がたは、いつまでも少年の心を忘れない
遊び心のあふれるお二人で、このことも実は驚きだった。



たとえば、配られた教材には
コケをキャラクター化したイラストが入っていたり、
某アニメ発祥のゲームを生かした(!?)グッズがあったり。





▲折りたたみ式コケブック。見つけたコケをペタッと貼れば、即席標本のできあがり。
 各コケの特徴も書いてあるので、復習にも最適だ。





▲アップ。タマゴケの「たまちゃん」。






▲裏には忘れちゃいけないコケの基本情報も。






▲ポケモンカードならぬ「コケモンカード」。講義の後のクイズ大会でもらった景品。
 高得点者にもらえる権利があると聞き、私も子どもたちに負けじと本気で勝負した!




「このカード、先生が作られたんですか?」


とコケ専門の樋口先生にたずねたところ、



「え、えぇ。ちょっとおもしろいかなーと思って」


と照れ笑いされていた(正直、この柔軟な遊び心とはにかみに私は萌えた!)。




子どもが理解できて楽しいと感じられるものは、
大人にとっても、やはりわかりやすいし、楽しい。


学びってこういう楽しい経験があってこそ、
真に身につくものなのだなーと思う。



「私もまだまだ。もっといっぱい楽しもう」


若いコケ友たちと大先輩のコケ友、
両者を見てそう思った。

富士山にてコケ観察

2010-05-28 17:20:26 | 山登りとコケ

▲富士山の5合目にて。




あっという間に5月も終わり。
少し前の話になるが・・・。



5月15・16日に1泊2日で、
国立科学博物館・植物研究部主催の
「富士山でコケと地衣類を楽しむ」という
自然観察会に参加してきた。



観察場所はもちろん、富士山だ!



といっても山頂まで登るわけではなく、
植物が豊富に生えている5合目付近を散策し、
富士山に自生するコケや地衣類を探してみようという趣旨。



参加者は、私のような無類のコケ好き・地衣類好きが
老若男女問わず参加しているのをはじめ、
小学生親子が4~5組、大学で蘚苔類を勉強しているという学生さん数人、
そして今回のイベントの主催者で蘚苔類・地衣類の研究者でもあられる
樋口先生(コケ専門)、大村先生(地衣類専門)の約30名ほどである。





ちなみに、さっきからたびたび出てくる「地衣類」(「ちいるい」と読みます)であるが、
これもコケに負けず劣らず、生物界の中ではヒジョォーー!に地味な存在である。


や、むしろコケのほうが、まだましかもしれない。


事実、今回のイベントに参加したメンバーの中で
地衣類を大学で勉強しているというの女子は、
私が「自分はコケ好きです」と打ち明けると、
うらやましそうにこう答えた。

「いいですよねぇ~、コケの世界は華やかで。
地衣類なんて、人に話してもほとんどの人が『どこがおもしろいの?』ってかんじで・・・。
たしかに地味だからしょうがないんですけどね・・・。
良さをわかってもらいにくいんですよね・・・」


いやはや。

コケですらかなりの人から、
「なぜコケ!?」と怪訝な顔をされるというのに、
やはり上には上がいる。


彼女がいかに普段から周囲の理解を得るのに
ご苦労されているかと思うと、
同情すると共に、我が身も気が引き締まる思いである。




とまぁ、人間たちのぼやきはさておき、
地衣類とはなにかというと、ざっくり言えば、
「菌類と藻類が一つの固体に共生している植物」のことだ。
コケとよく混同されやすいが、まったくの別種である。


たしかに、地面にへばりついていたり、
花が咲かなかったりという点がコケと似ていることから、、
中には地衣類なのに「○○コケ」という名前を持つ種類もあるが・・・。


とにかくコケ以上に地味ながら、
大変奥の深い生物であることは確かだ。








▲地衣類、たとえばいくつか。木の幹や岩肌、民家の壁などでよく見かける。
 なんと日本だけで1600種もあるらしい。空気のきれいな所ほど美しい色になる。





説明が長くなってしまったけど、
今回はそんな地衣類とコケを観察しに行ってきたので、
まずはそのときの様子を画像で紹介していきたいと思う。





▲2日目の朝から散策開始。みんなでコケや地衣を観察中。地面にはまだ雪が残る。





▲土がほぼない溶岩地帯には限られた植物しか生息しない。
 「ハリスギゴケ」(雄株)もそのひとつ。なんと溶岩に擬態して、からだが赤っぽいのだとか。





▲同じ〝スギゴケ〟でも、湿度の高い林の中にはまた別種が。
 日本最大のスギゴケ「セイタカスギゴケ」。葉の生えている茎部分の長さは3~4cmくらいあった。





▲林の中でいちばん豊富に生えていたのが、この「イワダレゴケ」。




▲「イワダレゴケ」のアップ。毎年一つずつ階段状に葉が伸びるので、何年生かすぐわかる。この子はただいま4年生。






▲私が好きなコケのひとつ「ダチョウゴケ」。キリッと立ち上がってりりしいのだ!





▲同じ鳥でもこちらは「クジャクゴケ」(うちわっぽい3つ)。
 たしかにオスが羽を広げたようにも見える。泊まった民宿の向かいにある林の中にて。




いつも図鑑を見ながら「実際にこの目で見てみたいなぁ」と思っていた
コケにいくつも出会うことができ、私にとっては本当に実りの多い観察会であった。


勇気を出して、ひとりでも参加してみてよかった!!



今回も、まだ書ききれないことがあるので(またかいっ)、つづきは次回にでも。

シダたちの目覚め。

2010-04-07 12:54:50 | 山登りとコケ



少し前のブログで、
コケのあるところにキノコありと
書いたが、シダ類もしかり。


3月末にクライミングをしに行った神奈川県・湯河原の幕山(まくやま)では、
コケの群生がさくたろうを伸ばしている横で、
シダたちも、今まさに若葉を広げんとする姿をいたるところで見かけた。




▲幕山は梅園で、2月には山がピンク色にそまるのだが、3月末ではすでにはげ山だった。






▲コケを探していると、奥にゼンマイらしきクルクルを発見。





▲こっちはもうすぐ葉が開きそう。





▲若葉が開いたばかりのシダは、やさしい黄緑色。




中には動物の毛とも見まがう、
しっかりとした綿毛に覆われたシダも。

若葉がその綿毛を突き破る姿は、なんともワイルド。
ここらへんがコケにはないシダの魅力なのかもしれない。




▲な、なんか、とんでもないものが生まれてきそう。






▲さらに茶色い綿毛がもしゃもしゃのワイルド系シダ。だらーーーんとしているが・・・・





▲いっせいに立ち上がる姿は、かなりの迫力!



幕山は地面ではコケとシダのほかにも
タンポポやスミレなどの雑草が春まっさかり。


みんなが岩の頂上を目指している横で、
そんな地べたの植物たちの観察に夢中の一日だった。




▲ふと顔を上げると、一足お先に見ごろを終えた梅は、梅雨に向けて青梅の準備中だった。