かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

【コケ情報】コケ本の新刊『コケのふしぎ』(樋口正信著・ソフトバンククリエイティブ刊)

2013-06-19 14:21:57 | コケの本棚
先週アマゾンに予約注文しておいた本が、昨日届いた。


じゃん!




著者は現在、国立科学博物館の植物研究部のグループ長をされていて、
日本蘚苔類学会では前会長だった樋口正信さんだ。

まだ届いたばかりでパラパラとしか読めていないのだが、コケの入門書と銘打ってはいるものの、
「実るほど頭を垂れるコツボゴケ」と題した胞子体の成長の写真記録が載っていたり、
菌類に寄生するヨーロッパの珍しいコケのことが紹介されていたりと、
わりとマニアックなコケ好きでも思わずうなる情報が満載である。

さらに、つい笑ってしまったのが「コケで遊ぼう」のページ。
普段から言葉遊び(ダジャレとも言う)がお好きな樋口さんらしい趣向で、
なにげないコケの写真一つ一つに、想像力を働かせて、愉快痛快なタイトルを付けていらっしゃる。

そんなわけで勉強になるわ、心和むわで、オススメのコケ本です。
アマゾンだけでなく、書店でもすで販売しているようなので、気になる方はぜひ。


●おまけ

Googleで、この本のタイトル「コケのふしぎ」を検索すると、
おそらく同本とは関係ないであろうコケサイトが!

苔の不思議 (教材開発:特定非営利活動法人 日本持続発展教育推進フォーラム) 

し、しらなかった・・・!


【告知】6月29日(土)10:00~ 「コケトレvol.3 フィールドワークの会」

2013-06-11 15:32:48 | コケ情報

▲食べたのだーれだ?! (6月 東京都御岳)


4月から園芸家・塩津丈洋さんとクラウドブックス・鈴木収春さんと3人で
「コケトレ(コケと親しむみどりのトレーニング)」というイベントを毎月1回、都内で行っています。

6月の第3回は、いよいよフィールドワークに出ます(わー、ぱちぱち!)。

場所は、東京西部にある「小峰公園」です。

去年、小峰ビジターセンターさんからの依頼で
初心者向けコケ観察会をさせて頂いた場所ですが、
山ふもとのとても自然の豊かな公園です。

ギンゴケを始めとするシティ派ゴケから、
スナゴケの仲間やネズミノオゴケなど低山が好きなコケ、
さらに田んぼもあるので、そこにも寄れれば、
イチョウウキゴケなどにも出会えるかもしれません。

コケの作り出す環境を見たり、コケそのものをルーペで観察したり、
一人だと(恥ずかしくて、もしくは怪しまれて)なかなかできない、
コケをじっくり見るということを重視した楽しい時間にしたいねと主催者3人で話しています。
 
   ※観察のみで、公園内のコケやほかの植物の採取・持ち帰りはいっさいできません。


なお、申し込みは数日前から始まっています。

申込みフォームは、クラウドブックス・鈴木さんの
ホームページにありますので、そちらからお願いします。

コケトレは連続講座ではないので、過去2回に出られた方も、
今回初めての方も、コケに興味のある方でしたらどなたでもご参加いただけますヨ。

ただ、講座内容は「コケに興味があるけど、どう親しんだらいいのかイマイチわからない・・・」
というような初心者を主に対象としたものになっていますので、そのあたりはご了承くださいマセ。


※「コケトレ」趣旨・vol.3の詳細・お申込みはこちらへ→ 「コケトレvol.03 都立小峰公園フィールドワーク募集開始!! 」




●おまけ

冒頭の画像は御岳の渓谷で撮ったもの。

川に転がっている岩の足元に青々と旺盛に茂る
ツルチョウチンゴケの群落があったのだが、
その中のいくつかの個体に食痕らしきものがあった。




コケはマズいし、なおかつ栄養もあまりないせいか、
ほかの植物と比べるどほとんど食べられることはないが、
蛾の幼虫だけば別格で、食べるヤツがいると聞く。

またダンゴムシの仲間が栄養のある(サク)を狙って食べるというのを、
茨城コケ展の展示でその様子を動画を見たけれど、
はてさて、今回のツルチョウチンゴケは誰の仕業だろう?



▲これも。けっこうな食い散らかしようです。



▲こちらが食べられていない個体。



▲食べられている個体。ギザギザの歯型がわかる。ちなみに胞子体で食べられているものは見つけられなかった。


そうそう、そういえば御岳でコケをよく見ていらっしゃるIさんは、
オタマジャクシがコケ(ウキゴケ)を食べているところを最近、目撃したと言われていたなぁ。


春の落し物

2013-06-07 10:21:03 | 山登りとコケ
先日、東京西部にある御岳へ行った時のこと。
ケーブルカーに向かう道の途中で、こんな落し物を発見。





外側にコケ、そして内部には異なる種類の草木の枝(?)が
きれいに層になって組み立てられている、なんとも美しい鳥の巣だ。
手触りも軽くてやわらかで、なんとも言えない良さがある。

コケはよく見るとイトゴケの仲間のようだ。




辺りを見回したが落とし主が見当たらなかったので、
そのままケーブルカーに乗り、ビジターセンターに届けることにした。

ビジターセンターに着き、コケ友でもあるガイドのIさんにコケの巣を渡すと「あら!」と驚かれ、
Iさんの隣にいた同じくガイドのKさんは巣を見てすぐさま「メジロの巣かな?!」とおっしゃる。

そしていったん奥に入り、鳥の巣図鑑を持ってきてくださった。



▲並べてみるとそっくり。やはりメジロの巣のようだ

Kさんによると、表面はイトゴケの仲間、内側の薄茶色はおそらくイネ科の植物、
一番内部の濃い茶色はシュロの樹皮かもしれないとのこと。

またIさんは言う。

「こんなに美しい状態で落ちていたってことは、まだ使う前の巣だったのかもしれないですね」

なるほど。

使用後(つまり子育てに使った)の巣であれば、
もっと鳥の羽や糞が付着しているのが自然だ。

しかし、この巣は完成直後といった感じで使用感がなく、あまりにも美しい。

メジロは毎年春になると新しい巣を作り直すそうなので、
お二人の推測ではおそらく今年作ったばかりの巣が風で落ちたか、
はたまたヘビの襲撃にあって落ちたのかもしれないということだ。


そういえば先月に所要で秋田県へ行った際にも、
お花見をしに来た人々で賑わう満開の桜並木の幹の高い所で、
アオダイショウがとぐろでスズメを巻いて捕食している姿を目撃したばかり。

春は小鳥たちには産卵・子育ての季節だが、
ヘビだって長い冬眠から目覚め、これからの産卵期に向けて
栄養をつけておきたいとても大事な時期なのだろう。


人間たちの暮らしのすぐ隣でまた野生の動植物たちも
悲喜こもごもありながら春を生き抜いている。

巣の持ち主であるメジロにとっては災難なことだったけれど、
またどこかで元気でやっていますように。


●おまけ


▲これらはIさんが最近拾ったというミソサザイの巣。使いかけていたところで落ちてしまったそうだ



▲メジロと違って、ミソサザイは複数のコケを使っての巣作り。シノブゴケとハイゴケと・・・もう何種類か入っていそう