かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

コケの切手から世界の国々に思いを馳せる。

2011-04-25 07:28:23 | 文系女子のコケ目線

▲コケ切手を切手専用フレームに入れて。隣にいるのはイギリス生まれのわんちゃん。



以前よりずっと「goo blog」のありもののデザインを、
「もっとコケブログらしく変えたいなー」と思っていた。

しかしなんせアナログ派の私。
難しいことはできない。

デザインを変えられることは知っていたのだが、
じっくり取り組む時間もなく、ずっとそのままにしていた。

しかしこのたび、パソコンに強い夫君の力を借りて、
やっとこさイメージチェンジをしてみました。

とりあえず、これはイメチェン第一弾。
またしばらくしたら、さらなる変化があるかもしれません。


-----------------------------------


さて。

以前住んでいた街には、
「切手の博物館」というものが近所にあって、
2年ほど前はひまな時間ができると、
コケの切手を探しにちょくちょくそこに通っていた。


世界でもキノコの切手は数多あるが、
コケの認知度は植物全体で見ればまだまだ低いらしく、
コケモチーフの切手は「めったにない」というのが
切手売り場の店主の談。


その後、引っ越してからというもの、
博物館を訪れることもなくなったのだが、
先日、たまたま博物館の近くに用事があったので、
帰りに久々に訪れ、コケ切手探しをしてみる。


そして偶然見つけたのが冒頭の写真の切手。

カナダの近郊にあるフランス領の島
「サンピエールミクロン」の切手である。


どちらかといえば地衣類が主役の構図なのだが、
よく見るとその両脇を飾っているのはつきのコケ。

絵柄の左右下には、
コケと地衣類の名前が書かれている。




これを図鑑で調べてみると、

カモジゴケ(DICRANUM SCOPARIUM/コケ)と
ハナゴケ(CLADONIA CRISTATELLA/地衣類)の一種であると判明。


さらに図鑑を読み進めると、

カモジゴケは、

・腐植土の多い半日陰地の地上に群生する。
・分布:北海道~琉球。北半球、ニュージーランド

とある。


カモジゴケは以前、母の田舎である
長野の裏山でたしか見たことがあったコケ。

ちょっと薄暗い、山の斜面にあるお墓の近くに生えていたような。

しかし一方で、同じゴケがサンピエールミクロンという、
私にとっては名前もお国柄も知らない土地にも生えている。

しかも誰かがこのコケをここまで丹念に描き、
なおかつ国の切手にまでしているなんて・・・。


地味、地味といわれ続けてきたコケ植物が、
この国では、めちゃめちゃ出世しとるやないかーい!!!(←ヒゲ男爵風。ちょとふるい!?)

サンピエールミクロンの人たちにとって、
カモジゴケがいったいどんな存在なのか・・・
とても気になるところである。



また、同じくサンピエールミクロンのこんな切手も発見。





こちらはつきのスギゴケ(POLYTRICHUM JUNIPERINUM )と、
ハナゴケ(の一種)の切手。



ちなみにコケではないが、
こんなのも見つけた。

私の憧れの土地、北欧の切手。




▲フィンランド自治州・オーランド諸島の切手2種。地衣類と思われる。




▲同じくオーランド産。シダ類の切手3種。


なんと繊細で美しい切手たちだろう。
そして、こういう小さな植物に目を向ける
各国のお国柄や文化にもものすごく心ひかれる。


先の博物館の切って売り場の店主いわく、

「過去にも日本の切手でこういうのは、見たことないねぇ」

とのこと。


サクラやバラの切手もいいのだけど、
いつかこういう切手が普通に出回る時代がこないかなぁ。

ジンガサゴケ流星群☆彡

2011-04-21 10:31:10 | コケをめぐる旅
鎌倉のとある道ばたにて。





お地蔵様の前を通りがかったときに、
なんとなく私のコケセンサー(※)が反応。


  ※コケセンサー:コケ好きたちの間で使われているコケ用語(主に私の周りですが・・・)。
   コケ好きたちのコケ探知機。とはいえ別に特別な道具があるわけではなく、
   単にコケを探す前に「コケと出会いたい!」と気持ちを高め、持続させることをいう。
   そうすることで自然と目線が地面へいき、歩くスピードもゆっくりになり、
   コケと出会える確率が高くなる。性能レベルは本人の気力次第。「コケサーチャー」とも言う。



(お地蔵様、どうしました?)

とたずねると、

(わたしの足元に流れ星が落ちたのです)

とおっしゃる。


はてはて。台座の辺りをよく見ると・・・




おぉ。コケだ!



さらにしゃがんでよく見てみると・・・




ほんとだ!ミドリの星々が!!


実はこれ、ジンガサゴケの
雌の生殖器官・雌器托(しきたく)の群落。

星のようにも見えるけど、
名前に「ジンガサ」とつくとおり、
陣笠のようにも見える。



▲雌器托の切れ込みは3~5(※)とのことで、
 星のように見えるものもあれば陣笠のように見えるものもあり。

  ※参考文献:『学校のコケ』(全国農村教育協会刊)



いずれにせよ、これらの雌器托たちはまだ背が低く、若い状態。
もうしばらくしたら、もっと背が伸びて目立ってくるにちがいない。



▲1本だけいち早く背が伸びた、はりきり屋さんの雌器托。



●おまけ
帰りに鎌倉駅近くの甘味屋でお茶。抹茶くずきり。
あ・・・またミドリだ。


お毛々なコケ!?

2011-04-16 22:58:05 | コケをめぐる旅

▲ケゼニゴケ(4月鎌倉・朝比奈切り通しにて)



鎌倉コケ散歩のつづき。


「ジャゴケ」の春を堪能したあと、
次に見つけたのが「ケゼニゴケ」。

もしかしたらコケにあまり興味の無い人は、
両者の違いがよくわからないかもしれない。

しかし、顔を近づけてよく見てみると、
はっきりとした違いがある。


ジャゴケ(蛇苔)はその名の通り、
全面に蛇のようなうろこ模様があるのが何よりの特徴。


▲こちらはジャゴケ。


対してケゼニゴケはなんと、
からだじゅうから毛が生えているという
コケらしからぬ「お毛々なコケ」なのである!

コケから毛が出ているなんて、
こんなことがありえましょうか・・・。

神様のなさることは時に人間の想像を優に超える。


さてさて、百聞は一見にしかず。

こちらがケゼニゴケだ。



▲去年秋のケゼニゴケ。同じく鎌倉にて。


薄い白っぽい毛があるのがわかるだろうか。

そして葉状体(※)の先についた
白い毛で縁取られたボタンのようなもの、
これがケゼニゴケの生殖器官だ。


  ※葉状体(ようじょうたい)
   ざっくり言えば、緑のベタッとした部分。
   コケは基本、茎と葉の区別がはっきりあるものが多いが、
   ケゼニゴケのように葉と茎の区別がつかないのものを葉状体という。



さて、春になってこの生殖器官が
どうなったかというと、冒頭の写真の通り。

雌雄あるうちの雌の生殖器官(雌器托)は、
ニョキッと柄が出て、傘のような形になっている。


これからもっと柄が伸びて背が高くなり、
さらに傘のふちに胞子をつけるようになる。

背が高くなるのは、胞子を風に乗せて遠くに飛ばすため。


いつもはベタッと地面に張り付くコケながら、
繁殖期になると、このようにここぞとばかりに背伸びして、
胞子たちを旅立たせることに全力を注ぐ。

うーん、何とけなげなことだろう。



▲よく見ると雌器托の傘も全体的に毛で覆われている。



一方、この時期の雄(雄器托)はというと・・・


▲薄い茶色っぽいのが雄器托。なんとも弱々しい。背後には傘状の雌器托が潜む。


精子を出した後は、こうして衰退するばかりなり。
最後にはポロッと落ちてしまうという。


しかも、雄器托がもっと哀愁ただようのは、
その毛の生え方(上の写真の手前の雄器托はわかりやすい例)。

雌器托は全体が毛で覆われているのに対し、
雄器托は、ご覧の通り、頭の頂点がくぼんでいて、
その部分には毛が生えていない。

いわゆるザビエル禿げなのである(!!)。


ケゼニゴケは全国的に生えるそうなので、
湿った場所を探せば結構、どこでも出会えるコケ
(ただし、ぬれていると毛が目立たないかも)。

見つけたらこの雄器托たちには、
ぜひ温かい声をかけてあげてほしい。

ジャゴケは春風のごとく。

2011-04-11 23:50:12 | コケをめぐる旅

▲ジャゴケ。キノコのように見えるのは雌器托。(4月鎌倉・朝比奈切り通しにて)


余震があったり放射線が気になったりで、
なかなか出かける気になれなかったこの1か月。


でも、もう辛抱たまらんゾ!ということで、
日曜日、都知事選の投票後に、いざ鎌倉へ。


鎌倉は絶好のコケスポットであり、
私にとってはパワースポットでもある場所。

とくに社寺仏閣などにはコケスポットが数多くあるが、
今回は昨年12月に「岡山コケの会」の観察会で訪れた
朝比奈切り通しを再訪することに。




▲朝比奈の切り通し。両側は大きな岩壁に道の両脇には小川が流れる。
 サイクリングや、トレイルランをしている人たちの姿も。



というのも昨年出会ったあのコケたちが、冬を経て、春を迎えたいま、
どう成長しているかこの目で確認したかったのだ。



ちなみに、各地でさまざまな種類のコケと出会うのも面白いが、
季節を通して同じ場所の特定のコケを見守り続けるというのもまた一興。

時間はかかるが、時季によって同じコケでも
実にいろんな顔があることがわかる。

そしてそれは、一時の出会いだけでは決して気づかない、
自分に注目してくれた、たくさん時間を費やしてくれた人だけに、
そっとコケが見せてくれる特別な顔なのである。



さて、話をもとに戻そう。


ジャゴケは雌雄異株(しゆういしゅ)だ。

ベタッとしているため、一見、どこからどこまでが
ひとつの植物体なのかさえわかりにくいが、
実は一つひとつがちゃんと独立していて、
雌株か雄株に分かれている。


春先になると冒頭の写真のように
受精した雌株の鱗模様の先から
キノコのような雌器托(しきたく)を伸ばす。



▲このキノコの縁についている褐色部分が、胞子体。中には無数の胞子が詰まっている。



5㎝から10㎝ほどの長い柄は、コケのわりには
ごく短時間でにょきにょきと伸びる。

そしてまた、胞子を飛ばし終わると今度は
あっという間に枯れてしまうというのだから、
まるで、この季節に街を通り抜けていく春風のようだ。


普段はなかなかお目にかかれない、
しかも春先というより春もたけなわの時期に、
こういう状態のジャゴケに出会えてとてもラッキー!



▲一足お先にお役目を終えた姉さん雌株たち。柄がたわみ始めている。


一方、春を迎えているのは雌株だけではない。

雄株はすでに新しい葉と共に
新しい雄器托(ゆうきたく)をつくり始めていた。



▲先端が新しい葉の部分。古い葉と比べるとあきらかに色が明るい。




▲アップにすると、新しい葉に抱かれるようにして盤状のものがあるのがわかる。
 これが雄株の雄器托。成熟するとこの部分は黒くなる。


昨年来たときとは、明らかに違う表情を見せてくれたジャゴケ。
寒かった冬を越え、着々と成長を遂げている姿が見られてとても嬉しかった。



●おまけ

鎌倉の前日は目黒川でお花見をした。

自粛ムードで例年より人は少なめなのだそうだが、
そんなことに関係なく、桜は今年も見事に咲いてくれた。


仲間の一人が福島産の日本酒を持ってきてくれて皆で飲んだ。
口あたりはスッキリ、後には鼻孔をくすぐる華やかな香り。


桜に日本酒。やはりこれも日本の春には欠かせない風物詩である。


   

  

見上げてサクラ、うつむいてコケ。

2011-04-05 13:56:55 | 近所のコケ

▲道ばたのゼニゴケとサクラの花びら(東京・池袋にて)


ここ最近、テレビやネットを見ていると、
あまりの情報量に頭がパンク寸前で。

ちょっとアナログ生活に入っていた。


私の住んでいる東京はここ1週間は計画停電も実施されず、
最近はスーパーの品薄状態もだいぶ解消されてきている。

それなのになんとなく、
ずっとけだるい感じが抜けなくて、
頭が痛くなったり、急に眠くなったり。

昼間に小一時間ばかり、横になる日も多かった。


そのうえ、どうやらついに花粉症が発症したようで、
鼻水が止まらず、一日中「鼻セレブ」が手放せないシマツ・・・(なんてバッドタイミング!)。

鼻が詰まるとよけいに頭が働かない。

そのせいもあってかこのブログも
なかなか書き進められずにいたのだった。



でもこんな自分に比べたら、
もっと大変な思いをしている人が
東北にはたくさんいる。

それは事実。

でもそう思うことで自分の気持ちに
蓋をして続けていたのも、また事実なのかもしれない。


先日、厄除け(実はワタクシ後厄デス)に一緒に行った友人に、

「被災地の人ほど大変じゃないのはもちろんなんだけど、
 でもやっぱりなんか心も体もしんどいんだよね」

という話をしたら、

「そうそう、わかる!」

という返事が返ってきた。

あぁ、彼女も口に出せないしんどさを抱えていたんだなと。

東京には、そして他の地域でも
被災地の人に比べたら・・・なんだけど、
やっぱりしんどい、心が苦しい、
そういう人が実はたくさんいるのかも。



私たちはあの地震の日から
まるで違う世界にすべりこんでしまったみたいで。

いつもの生活に早く戻りたい。
でも前と同じ生活にはもう戻れない。

とはいえ逆手にとれば、
前以上に心豊かな生活を築けるかもしれない。

今がまさにそういう分岐点なのだろう。


時間が許すかぎり休んだあとは、
ずっとこうしてちゃいけない気がして、
髪をとかして日焼け止めを塗って外に出てみたりする。

歩いていると、足裏の神経が刺激されてか、
ちょっとずつ頭のモーターが回転し始める。

顔を上げると道沿いのサクラが
もう咲き始めていて、あぁきれいだなと思う。


この時季のサクラは、
すべての植物をおして
圧倒的な美しさがある。

でも、うつむくと、
それはそれで、
ひたむきに生きる
小さな草花たちの存在(もちろんコケも!)。


誰に見られるのを期待するでもなく、
ただ自然の摂理に従って、生命力のまま、
陽のさすほうを向いている。

ツメクサ、ホトケノザ、ヨモギ、タンポポ、
ゼニゴケ、コツボゴケ、ハリガネゴケ、ギンゴケ、

いろんな顔の植物がそれぞれに精一杯やっている。


見上げるサクラには一瞬で、
人の心を華やかにしてくれる力があるが、
顔を上げてがんばるのがちょっとしんどいとき、
うつむいてこそ出会える彼らの存在は、ひとつの救いである。




▲ゼニゴケの雄株。背の高いヤシの木形の雌株(トップ写真参照)に対して、
 こちらは背が低く、クローバー形なのが特徴。


-----------------------


ここ最近読んだ本・読もうと思って買った本。

<小説>
・「ざらざら」(川上弘美)
・「体は全部知っている」(吉本ばなな)
・「茶 利休と今をつなぐ 」(千宗屋)
・「暴いておやりよドルバッキー」(大槻ケンヂ)
・「笑い飯全一冊」(ヨシモトブックス)

<漫画>
・「大阪ハムレット1~5」(森下裕美)
・「今日の猫村さん5」(ほしよりこ)
・「新 味いちもんめ」(倉田よしみ)


コケについてはそもそも書物が少なく、
手持ちのものはすでに読みつくしてしまった感あり。

会員として所属している「岡山コケの会」の会報誌最新号を再び熟読。
うん。私もそろそろコケ観察へ出かけようっと。