かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

【告知:12月10日(土)】苔ざかりの君たちへ、上野でコケのサイエンスカフェ開催!

2011-11-20 09:27:33 | 東京コケスポット



どうですか、このタイトルのインパクト!!(えっへん)

12月10日(土)に東京・上野にある国立科学博物館にて、
コケについてのサイエンスカフェが催されます。

コケに興味のある方、ぜひ参加してみませんか?


講師は、国立科学博物館の陸上植物グループのグループ長であられ、
さらに現在、日本蘚苔類学会会長も務めておられる樋口正信さん。


●詳細は↓こちら↓
http://www.kahaku.go.jp/learning/university/partnership/2011/sccafe2.html


「国立科学博物館のコケメンこと樋口博士による、コケと仲良くなれる90分!観察タイムあり!おもしろコケトークあり!」

とのこと。なんとも面白そうなイベントではありませんか。


私もいままで科博のコケイベントで何度か
樋口さんのレクチャーを受けたことがあるが、
老若男女問わずプロ・アマ・素人問わず、
だれにでも公平にコケについて丁寧に教えてくださるお方。

さらにトップに載せた写真はややぼやけて写りが悪いのだが、
うたい文句のとおり本当に「コケメン」ならぬイケメンで、
物腰やわらかなダンディーな先生なのである。

この先生に会いお話を聞くだけでも十分価値があるし、
またコケに対して新たなイメージが生まれると思う。


なお、ここまでオススメしておきながら
実は私はこのイベントには何もかかわっておりません。

なので冒頭のように「えっへん」もなにもないのだが、
コケ界の第一線で活躍されている研究者の方が、
このような体当たり的ジョークを飛ばしちゃうこと、
それによってひそかにコケへの敷居を低くしてくれていること、
そんな気づかいが感じられる一面に触れると、
なんだか無性にうれしく、誇らしい気持にさえなってしまうのである。


現在、申込受付中とのこと。

対象は中学生以上なので、
若いコケ好きさんたちにもぜひ集まってほしい。

庭園必見!の根津美術館

2011-11-17 14:01:08 | 東京コケスポット

▲日本庭園の定番・スギゴケが青々と広がる根津美術館の庭。


もう先月のことになるのだけど、
仏像好きの友人Tちゃんに誘われて、
南青山にある根津美術館を初めて訪れた。



▲こちらが根津美術館の入り口。


今回の目的は↓これ↓。


▲「春日の風景 ~麗しき聖地のイメージ~」


どうも私たち二人、前から「聖地」というものが気になってしかたがない。

仏像好きのTちゃんはもちろん仏教や神道の観点から。

そしてコケ好きの私は、日本で聖地と呼ばれる場所(森や渓谷そして社寺仏閣など)が
なぜか不思議とコケが豊富、イキイキしていることが多いとある時から気づき、
コケと聖地ってもしかしたらなにか関係性があるのかしら?とかなんとなく思っているわけである。


さて、Tちゃんいわく

「ココの美術館は展示もいいし、カフェのハンバーグもおすすめだけど、とくにお庭はバードちゃんが絶対好きそう!」

とのこと。


根津美術館の敷地はなかなか広いのだが、
美術館自体は敷地のはしっこにあって、
あとは池や茶室も有した広大な日本庭園が広がっている。



▲向こうに見えるのが茶室。


竹林、カエデ、イチョウなどが連なる林の中を歩いていくと
これまた美術館の展示物の延長かと思われるような
趣深い石造物が点々と置かれていて、
さらにその側面や足元にはコケたちがふくふくしていた。



▲雨上がりだったため、余計にコケの緑が濃い。





  
▲仏像様たちのからだにまるで衣のようにまとわるコケたち。


  
▲コケに覆われた石灯籠。だれが置いたのか、頭にギンナンが。



こちらはちょっとまだコケ足りないように見える石灯籠。
しかしこの中にも実は旬なコケたちが・・・



▲どこだかわかりますか?



▲そう、あたま!



▲さらに近づいてみると、このとおり若いがつんつんと。


  

    
▲庭園内で出会ったコケの面々。



美術館も楽しめて、コケ好きには庭でコケ散歩ができる。
たっぷり時間に余裕をもってまた訪れたい場所だ。

ちなみにお昼はTちゃんおススメのハンバーグを食べたが、
ジューシーでほどよいボリューム。
こちらもリピートしたくなる美味しさだった。



●おまけ



最寄りの表参道駅から根津美術館へ向かう途中に通るプラダのブティックは、
水晶体のような奇抜な建物(写真左)にも驚かされるが、
実は建物の前にスナゴケと思われるコケが緑化のため(?)に植えられている(写真右の茶色っぽい壁面)。

ここ数年、時々チェックしているが、あまり元気に繁殖している様子はない。
しかしまったく枯れるというわけでもなく、鳴かず飛ばずな感じ。
なにかケアを施せばもう少し状態はよくなるのだろうか。
せっかくならもっとモコモコさせてほしい、と前を通るたびに思う。

「発見!コケティッシュなヤツら」、発売中です。

2011-11-12 11:50:10 | 近所のコケ

▲ででーん! いま発売の『週刊朝日』に掲載のコケグラビア。


むかしから、人のことだとおせっかいなくらい身を乗り出すのに、
どうも自分に関することとなると宣伝したり、アピールしたりするのが苦手で。

すっかりお知らせが遅くなりましたが、
じつはいま発売の『週刊朝日』に
3ページのコケ特集が掲載されています。

しかもなんと、「コケの美しさを知っていただきたい!」という出版社側のご意向で、
普通ならアイドルやら料理やらが載るであろうグラビアページにコケが登場!



▲こちらが1ページ目。


撮影当日、私は編集者さんやカメラマンさんに
コケの探し方や見方をちょこちょことアドバイスさせていただき、
都内でぶらぶらとコケ散歩をしながら出会ったコケたちを、
カメラに収めていただきました。

なお、お恥ずかしながら、携帯のカメラでコケを激写して
「きれいに撮れたー!」と内心喜んでいる私まで小さく載っています
(自分が逆にカメラマンさんに撮られていたことなんてちっとも知らず・・・)。



▲コケを見る人々。編集者Uさん、カメラマンYさん、そして私 (こちらはリトルモアのF女史が激写)




▲またもF女史に撮られているともつゆ知らず、熱心にケゼニゴケの
 ザビエル禿(雄器托。詳しくは誌面ご参照)を激写中。



今回登場したのは街なかでも出会いやすいコケ7種。

コケ好きから見てこの誌面のとてもすばらしいところは、
「こういう場所にこういうコケがいた」と一目でわかるように、
引きとアップの写真を一緒に掲載してくださっていること。

最近コケが気になり始めたという人には
とてもわかりやすく楽しく読める誌面だと思います。

なお、コケの同定については『コケはともだち』で監修をしていただいた
秋山弘之さんにもご協力いただきました(いつも助けていただいてばかりですみません!)。


週刊朝日は毎週火曜日発売、「週刊」ですので、
また来週の火曜には新刊が出てしまいます。

ぜひこの週末、お手に取ってみてくださいマセ。



▲表紙はこちら。コケグラビアは、背表紙からめくったほうが近いページに載っています。



雨の中の「第2回 コケとキノコの観察会」

2011-11-11 09:00:04 | コケをめぐる旅

▲雨降る中、スナゴケを観察。すっかり葉が開いて緑も鮮やか。


あっという間にもう11月。
ここ2日ばかりは終日肌寒い東京である。

ついこないだ長袖Tシャツを押し入れから出し、
次にセーターを出し、ストールを出し、
いよいよコートも出動させねばかなんて
外に出る支度をするたびに考える今日この頃。


最近は空気も澄んできたせいか、
夜空の星がきれいに見えるようになった。

また朝は朝で、わが家のマンションのベランダからは、
小さいながら雪をかぶった富士山を拝むのが毎朝の楽しみ。

そして足元を見ればヒメジャゴケやホソバミズゼニゴケが
先端にフリルをつけて洒落込んでいる。

いや、フリルに見えるのは実は無性芽だ。

次の春に向けてまた子孫が増えるように
いまから無性芽をまいておくのが、彼らの冬支度。

コケ好きにとってそんな彼らの姿を見るのが
秋の楽しみの一つなのである。



さて、先週の「苔道入口」に続き、
こないだの日曜日は東京理科大(野田キャンパス)にて行われた
コケとキノコの観察会にボランティアスタッフとして参加させて頂いた。

前回の7月はかんかん照りのお天気だったが、
今回は前夜からあいにくの雨模様。

しかし、降ったりやんだり、また大降りではなかったので、
私のコケ友で会の世話人である中島さんの判断で開催されることになった。

この日の参加者は8人、講師は世話人の中島さん(コケ担当)、浅井さん(キノコ担当)、私(コケ担当)の
3人で計11人。コケ・キノコ観察をするにはちょうど良い人数だった。


午前中はコケとキノコの基本を知ってもらうための座学。
昼食を食べ、午後から中島さんの案内でキャンパス内のコケとキノコを見て回る。

そこに生えているのがどんな特徴のあるコケなのか、
見るときのポイントを参加者にあらかじめ伝え、
各自そのポイントを実際に自分の目で確かめてもらいながら、
コケに親しんでもらうという進め方である。



▲中島さんが桜の木についているコケについて説明。



▲街中の木についているコケとしておなじみのサヤゴケ。



▲ヤスデゴケの仲間。



▲コケと同じ場所によく生えている地衣類も観察。これはマツゲゴケ。



一方、キノコのほうはというと、
そう思うようにはいかない。

というのもサルノコシカケのような一部のかたいキノコをのぞいて、
ほとんどのキノコは、いつ、どこに出てくるかわからない。しかもやわらかくて寿命も短いという。

なので、どんなキノコにどれだけ出会えるかは、その日の運次第。
この日も浅井さんのキノコセンサー(と私が勝手に命名。いわゆる「キノコ好きの勘」ってやつです)
を頼りに、キャンパス内を歩き回った。



▲キノコが連なって生えている。参加者のお一人が「キノコロード」と命名されていた。


前回の7月はあまり多くの種類が見れなかったが、
今回は10~15種類くらいのキノコと出会えて、
なかなかの収穫だった。


ほかにも地面に生えていたコケたちは↓こんな面々↓


▲コスギゴケ。立派な(サク)をつけて、胞子を飛ばすのももうまもなくといったところ。



▲ホソバミズゼニゴケ。冒頭に書いたように先端に切れ込みが入りフリルのように見える。これは無性芽をつけているため。



▲おなじみゼニゴケ。ヤシの木のように見えるのは雌株の雌器托(しきたく)。
 はじめゼニゴケは春にだけ胞子体をつけると思っていたら、ここ2年くらい秋につけている姿もよく見る。



▲(雨の中の撮影であまりうまく撮れていないけど)おそらくミヤコゼニゴケ(苔類)。
 なかなかお目にかかれないコケだと思う。私もこの日初めて観察。



▲ミヤコゼニゴケのアップ。このコケは雌雄同株で初冬に胞子が成熟するのだとか。
 たしかに丸いタマタマした雌器床(しきしょう)がついている。
 あまりに背が低く地面にへばりついているので、胞子が成熟しているかは、ちょっと確認できなかった。

 
ちなみに、中島さんいわく

「蘚類のタマちゃんがタマゴケなら、タイ類のタマちゃんはこのミヤコゼニゴケ」

とのこと。

「だから、タマゴケ=『蘚タマ』、ミヤコゼニゴケ=『苔タマ』という愛称で呼び分けてはどうでしょう?」

なんてニヤッとした表情で言われるので、思わず笑ってしまった。 


●おまけ



この日はコケ、キノコだけでなく、粘菌も発見。
粘菌といえばアメーバ状でいるのがイメージだが、
ある程度お年を重ねると(体が弱ってくると)、
こうして子実体というまるでキノコのような形になって、
胞子を飛ばして繁殖に精を出すのだそうだ。


コケ界の異色イベント「苔道入口」開催。

2011-11-05 07:03:26 | 文系女子のコケ目線

▲『苔道入口』の出演者たち。左から石倉良信さん、私、苔路姉妹の葉子さん、和子さん。


久々のまともな更新です。

秋になるとまたコケが見頃になり、
あちらこちらへ“コケ見”に行っているので、
つい更新がおろそかに・・・。

まぁそうはいっても
相変わらずマイペースにいきます。


さて、まずは先週土曜日に行われた
コケイベント、『苔道入口』のレポートから。

今回のイベントは、長年シティー派のコケを愛し、
ご自宅でも数十鉢ものコケを育てている、
コケ好き舞台俳優・石倉良信さんが主催したもの。

コケが地味ながらいかに奥が深く魅力的かということを、
少しでも多くの人に知る機会を持ってほしいと、
石倉さんがずっと心の中で温めてきた企画だった。


場所は代官山のカフェ「山羊に、聞く?」で、
コケランチ付きのトークイベントスタイル。



▲美味しいと絶賛だったコケランチ。豚肉のグリル バジルソースのせ、アボカドとひじきのサラダ、
 緑のテリーヌ(何味だったか失念)、ホウレンソウのキッシュ、青のり付きライス


普段石倉さんの舞台を見に来られているお客さんを中心に、
コケ好きの人も何名か、20~60代くらいまでの幅広い世代が集まった。

ちなみに参加者ほぼ全員が女性(一人だけ、女性の同伴者らしき男性がいらっしゃったが)

やはり女性は年代問わずフットワークが軽いですね。


今回、私はゲスト出演という形で参加させていただいたので、
自分の出番までは会場の後ろでこっそり見学。

なんでも石倉さん、なんせ本業が俳優なので、
今回のためにオリジナルの芝居もやるとか。

もちろんコケがテーマのお芝居、
でもいったいどんなことをするんだろうと思っていたら・・・

↓こういうわけだった↓





そう、苔男、つまり石倉さん自身のコケ的日常を
一人芝居で見せるというわけ。

愛犬との散歩中、しゃがんでコケに夢中で見入るあまり(写メなんかも撮ったりして)、
通りすがりの人から怪しまれる石倉さん。すかさず犬の世話を焼いているフリをする。

その様子を小道具も使わず身一つで表現される演技力はさすが。



▲通りすがりの人に「何してるんですか?」と聞かれて、必死に弁解する苔男。


私なんかは見てて「あるある!」と同感することしきりだったのだが、
やはりコケ観察をしたことがない方々にとっては、
この行動が、怪しい・奇妙以外のなにものでもないらしく、
会場は一気に大きな笑いで包まれていた。


そのあとは、私から少しコケ話。

ごく初心者向けにコケとはどんな生き物かという話と、
コケを見る楽しみ、コケとの親しみ方について、お話しさせてもらいつつ、
石倉さんの撮りためた写真を見ながら、身近なコケ風景をプロジェクターで鑑賞。


そして、そのあとはいよいよコケ観察。
石倉さんのご自宅でなんと3年も休眠していたという
スナゴケにご登場いただき、
みんなでいっせいに霧吹きで水をかけて、
葉が開く様子をルーペで観察した。


▲このたび3年ぶりに目覚めることになったスナゴケとルーペ。


それまでカチカチにかたまっていたスナゴケが
水をかけた途端にパァっと葉を開く姿は、何度見ても感動する。

私の話を聞いていてもイマイチな反応だった人も、
このときばかりはキラキラと目を輝かせて
「すごーい!」「きれい!」と興奮している姿は、
こちらも見ていて本当にうれしくなる。

やはり普段、コケの美しさに自発的に気づく人はまだまだ少ないし、
またコケもコケで興味を持ってくれた人にしか
その美しい姿を披露しようとはしない。

だから、このようなイベントを通して、
少しでも自分が両者の橋渡しに役立っているなら、
こんなにうれしいことはないと思う。


そして再び石倉さんの一人芝居「苔男の日常<家編>」を挟んだ後は、
(トップの画像を見て、気になっていた方も多いと思うが)
きらびやかな緑の衣装をまとった苔路姉妹(こけじしまい)のご登場。





ちなみに彼らは歌舞伎町を抜け出してきた
ドラッグクイーンではない。

今回のイベントのために特別に結成された
苔への愛を歌うシンガー&ギタリストのデュオなのである。

※タネを明かすと普段はお二人ともプロのバンドマンとしてバリバリ活動をされています。


ちなみにこのビジュアルから繰り出される音楽や、
いかにハードコアかと思いきや、
なんとふたを開ければお耳にやさしいボサノバ調。


「コケ♪コケ♪ コケ♪コケ♪」

と、「コケ」のフレーズとボサノバ特有のリズムが何とも心地よい。


▲葉子さんのしっとりした歌声がまた、水に濡れたコケを思わせる。


文字ではこれ以上なんとも表現しにくいのだが、
この曲のすばらしさはもう聞いていただくしかあるまい。



そんなこんなで芝居にトークに観察にライブ演奏。
もりだくさんだった「苔道入口」。

さらに今回はその名の通りまだ「入口」なので、
今後はいよいよ苔道の中に入っていく内容のイベントも、
石倉さんは構想中なのだとか。

次はどんなイベントになるのかいまから楽しみだ。




●おまけ



▲石倉さんお手製のコケースター(コースター)。石倉さん、なんと刺繍がご趣味なのだとか。
 アスファルトに見立てたフェルト生地に、石倉さんデザインのコケの刺が施されている。
 ギンゴケ、ホソウリゴケ、ハマキゴケの3種があった。