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コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

【コケ情報】茅野市の博物館にて企画展『北八ヶ岳のコケ』開催中!

2014-07-31 22:55:00 | コケ情報



暑中お見舞い申し上げます。

暑さにかまけてまたブログをおさぼりしている間に、
7月が終わってゆきます・・・。


さて、7月26日から茅野市八ヶ岳総合博物館(長野県)にて、
企画展『北八ヶ岳のコケ』が始まっているのをご存じだろうか。

北八ヶ岳といえば、その地域のコケの豊富さ、種類の多様さ等が評価され、
2008年には日本蘚苔類学会(コケ研究のための学会)から「日本の貴重なコケの森」の認定も受けた、
いわばコケ聖地といっても過言ではない研究者たちもお墨付きのコケスポットである。

さらにこのエリアの環境保全を行い、今のままの自然を後世に伝えることを目的に
2010年に地元の山小屋のオーナーらが立ち上げた「北八ヶ岳苔の会」は、
毎年春~秋に北八ヶ岳のコケの森を歩くツアーイベントを主催しており、
コケ好きさんの間ではもちろんのこと、アウトドアが好きな人たちにとっても、
いまや有名なコケトリップツアーとなっている(人気過ぎて「予約が取りづらい」との噂もw)。


そんな「北八ヶ岳」のコケたちをテーマにした今回の企画展、いったいどんな展示内容なのか。

パンフレット(上記)を見ただけだとよくわからなかったので、
気になって先ほど博物館に電話で聞いてみたところ、博物館内の一角にコケブースを設け、
北八ヶ岳のコケの写真を約60枚とコケの標本を展示しているとのこと。

そしてなんでも写真撮影者は、北八ヶ岳苔の会のコケツアーで定期的に観察会の講師をされ、
この春には自由大学の苔学の講師もして頂いた樋口正信さん(国立科学博物館植物研究部グループ長)というではないか。

なお、今回の企画展開催に際し、8月中には関連イベントも開催されるとのこと。

この夏、北八ヶ岳にコケを見に行かれるご予定の方、
もちろんまだ夏のご予定を決めておられない方も、
ぜひ遊びに行かれてはいかがだろう。

<平成26年度茅野市八ヶ岳総合博物館企画展:北八ヶ岳のコケ>
●場所:茅野市八ヶ岳総合博物館(入館料:大人310円、高校生210円、小中学生150円)

●期間:2014年7月26日~9月28日(7/28、8/11、8/18、8/25、9/1、9/8、9/16は休館日)

●関連イベント
1、講演会『北八ヶ岳のコケ』
・日時:8月3日(日)13:30~15:00
・場所:茅野市八ヶ岳総合博物館研究室
・講師:樋口正信 理学博士
・聴講料:無料(申し込み不要)
・定員:40人

2、コケ観察会 ~麦草峠と白駒池付近にて~
・日時:8月10日(日)10:00~13:00
・集合:麦草ヒュッテ駐車場
・講師:北八ヶ岳苔の会会員
・参加費:無料(要事前予約)
・定員:20人
・持ち物:雨具、傘、ルーペ、弁当

3、ワークショップ「コケのテラリウムづくり」
・日時:8月17日(日)13:30~15:00
・場所:茅野市八ヶ岳総合博物館研究室
・講師:鵜沢美穂子 先生(ミュージアムパーク茨城県自然博物館学芸員)
・聴講料:100円(要事前予約)
・定員:20人




ちなみに余談だが、個人的には『北八ヶ岳のコケ』に加えて、
9月に同館で開催される縄文土器「仮面の女神」の国宝指定特別企画も気になるところ・・・。


苔涼やかに。

2014-07-01 15:32:21 | コケの本棚

▲シノブゴケの仲間(2009年8月・和歌山県)


今日から7月。しばらくぶりでございます。
お元気でいらっしゃいましたでしょうか?

実は私の方は5月、6月はちょっとプライベートでハプニングがあったり、
体調を崩してしまったりで、このブログの更新もままならない日々を送っていました。
鬼の霍乱か・・・いやはや、珍しいこともあるものです。

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さてさて、ベッドに横になっている間、時間だけはあったので、
去年購入して読みかけになっていた「胞子文学名作選」の続きをようやく読むことができた。

ちなみに今日の「苔涼やかに。」というタイトルは、同書に収められている「苔やわらかに。」(著者:伊藤香織氏)からもじったもの。
写真も「涼やか」という言葉がぴったりの水辺にたたずむシノブゴケを選んでみた。


同書には本当にさまざまな隠花植物をテーマにした作品が掲載されていたのだが、
「苔やわらかに。」は、主人公の年代が自分とほぼ同じで「婚活」「超就職氷河期」など
自分のこれまでの人生に非常に身近なキーワードが物語の背景にあったせいか、とりわけ印象に残った。

他にも印象に強く残ったといえば、尾崎一雄氏著の「苔」もよかったなぁ。
主人公がコケを丁寧に観察する姿の後ろに、著者もまたつぶさにコケを見ていたであろうことがうかがえて、
なんだか無性に嬉しくなったりした。

また、一作ごとに巻末に書かれている編者・田中美穂さん(蟲文庫店主)の解説を読むのも楽しみで、
ただ作品を読むよりも、田中さんの言葉の力で、より奥深い想像の世界に引き込まれていったように思う。

装丁も宝石箱のようにすごく凝ったつくりであるし、
ブックデザインも一作ごとにあらゆるからくりがしかけられていて、
とにもかくにも読み応えのある、大変満足感のある一冊でした。


なお、また写真の話に戻るが、この写真を撮ったのはいまからもう5年前の2009年のこと。

「浮島の森」(和歌山県新宮市)という、太古の植物が積み重なってできた泥炭の上に森ができ、
それが沼に浮いているという不思議な島を訪れた時に出会ったコケ風景である。

どうしてこんな古い写真をいまごろ引っ張り出してきたかといえば、
実は去年の秋に大盛況を博した「苔・こけ・コケ展」(オカモス関西と京都府立植物園の共催)が
今年も11月21~23日に開催されることになり、その出展作品として自分の写真も少し飾らせていただけることとなったからだ。
ここ数日は、5年前からの写真を総ざらいとまではいかないが、とりわけコケが美しかったロケーションを思い出し、
その時撮った写真が収められているフォルダを開いては、一枚ずつチェックしてこれぞと思うものをピックアップする作業に追われていた。

京都コケ展については、また詳しいことはこれからオカモス関西から最新情報が入ってき次第、
こちらでもお伝えできればと思うが、コケ好きの皆さま、この秋もぜひ京都へ足をお運びください。


<私信>
ブログからすっかり離れている間に、ブログ専用のメールアドレスに届くメッセージのボックスもほとんど開かずにいたところ、
何通かメッセージをいただいていた。長い間、返信できなかったこと、この場でもお詫び申し上げます。

その中のおひとり、私の本を読んでコケが好きになったというメッセージをくださった中学3年生のYさん、
そのようなメッセージをくださり、本当にありがとうございました。すごく嬉しくて、これからもがんばろうという勇気がわいてきました。
コケ好きがまわりにいらっしゃらないとのこと、残念ですよね。でもいるところにはいます!
博物館の観察会などチャンスがあったらぜひ行ってみてほしいです(年上のお友達が多いと思いますが…)。
ルーペをのぞいてミクロの森の探検家になるひと時、楽しいですよ!

直接返信したかったのですが、ご本人のメールアドレスが書かれていなかったので、こちらにて失礼します。
すっかり返信が遅くなってしまいましたが、ご本人が読んでくださることを願って。 藤井久子より