かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

【コケ情報】7/1(金)~7/7(木)「ちいさな苔の写真展Ⅲ」 @大阪

2016-06-26 12:18:34 | コケ情報

   
 

梅雨はコケたちが恋にいそしむシーズン(つまり受精シーズン)ためか、
コケ好きの人間たちもなにかと盛り上がってしまいます・・・(!?)
ということで、またまたコケ情報です!

今年も「オカモス関西」の写真好きのメンバー4人でコケだけの写真を集めた写真展を行います。
場所は大阪市内のオリンパスギャラリーです。全日、メンバーの誰かしらは在廊しています。
関西近辺のコケ好きの皆様、よろしければぜひお立ち寄りくださいませ。


   「ちいさな苔の写真展Ⅲ」

●会場:オリンパスプラザ大阪 オープンフォトスペース
大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル1階
   地下鉄四つ橋線 本町駅 22番・23番出口からすぐ

●期間:2016年7月1日(金)~7月7日(木) ※ただし日曜日は休館

●時間:10時~18時  ※最終日は15時まで

●写真:オカモス関西メンバー 辻・波戸・村井・藤井

【コケ情報】『女性自身』と『望星』にコケ特集が掲載

2016-06-20 16:21:43 | コケの本棚
池上本門寺の記事の続きにいく前に、とりいそぎお知らせです。
現在発売中の2冊の雑誌にコケの特集が組まれています。


その1:『女性自身』(光文社/通巻2731号:2016年6月28日号/2016年6月14日発売/定価:400円)


 


「大人苔ガールデビュー」というタイトルで本誌の読者層にオススメの苔旅スポットを紹介しています。
定番の京都をはじめ、近年コケ好きのあいだでは「コケの三大聖地」として知られている
奥入瀬渓流(青森県)、北八ヶ岳(長野県)、屋久島(鹿児島県)の魅力が簡潔にまとめられてるほか、
私は上記以外の苔旅おすすめスポットをいくつか挙げさせてもらい、コメントを書かせてもらいました。
さらにおすすめコケ本の紹介や、YUKA KOHARAさん指導による苔玉の作り方も載っていて、充実のオールカラー7ページの特集です。

ちなみに、発売早々本誌を読まれたオカモス関西の重鎮Mさんから「おすすめスポットに服部植物研究所を挙げるなんて、ええやん!」
と褒められたのがひそかに嬉しかったです。宮崎県の服部植物研究所、オススメです!

なお、私自身が本誌を手に取るのが遅くて非常に告知が遅れて申し訳なかったのですが、今日(6/21月曜)中なら、書店やコンビニで手に入ると思います。
(・・・といってもすでにこの記事を投稿しているのは16時台。。。スミマセン…)
光文社のホームページからは在庫がある限り、バックナンバーが購入できるようです。


 
▲こちらの表紙が目印です




その2:『望星』(東海大学出版研究所/2016年7月号/発売日2016年6月15日/定価:本体556円+税)


 

こちらは月刊誌で、モノクロですがなんと30ページ以上にわたるコケ特集です。

掲載されている方のメンツを見ても面白そうでしょう?!
私は4月に東京で開催されたコケ観察会の取材を受けたほか、
一コケ好きとしてとにかく「溢れ出るコケ愛」を語らせていただきました(笑)

こちらの雑誌は大型書店じゃないとなかなか手に入らないようなのですが、
やはり『望星』のホームページから購入可能とのことですので、ご興味がありましたらぜひ。






池上本門寺ふたたび ~その1:復活のホンモンジゴケ~

2016-06-09 15:24:21 | 東京コケスポット


▲ホンモンジゴケ/Scopelophila cataractae(2016年5月・東京都 池上本門寺にて)


オカモス関東のコケ観察会の翌日、関西へ帰る前にどうしても見ておきたいものがあり、私はとある場所へ向かっていた。

そこはこちら。


▲東京大田区にある池上本門寺


池上本門寺といえば、そう、コケ好きの方ならご存じ、
「ホンモンジゴケ」が日本で最初に見つかった場所である。
およそ100年前にこのお寺の境内に生えていたところを発見され、
銅ぶき屋根の下など銅を含む水が滴る場所に生えることから「銅ゴケ」と呼ばれている。

なぜ再訪したかったかというと目的は2つ。
こちらに生えるホンモンジゴケとミカヅキゼニゴケをチェックしておきたかったからである。

じつは4年前の初夏に一度、拙著「コケはともだち」の出版元であるリトルモアのプロモーション担当Fさんの提案で、
池上本門寺と近隣にある同宗派のお寺・本妙院の協力を得てこちらで「お寺 de コケさんぽ」というイベントをさせてもらったことがあった。

イベント自体は大変楽しく、参加してくださった方々からもおおむね好評で、
大成功に終わったのだが、いかんともしがたい残念なことが一つあった。

それは、このお寺の名を冠するホンモンジゴケの群落が一面茶色くなっており、風前の灯火のごとき元気のなさだったのである。
そもそも池上本門寺で発見されたこのコケを皆で見ることがこのイベントの最大の目的だったのに、当の主役が息も絶え絶えなんて・・・。

自分でいうのもなんだが、その時の私の残念がりようといったらなかなかのもので、
「こんなホンモンジゴケをカメラにおさめるのはしのびない」と、ほとんど写真も撮らなかったほどだ(でもいま思えば、記録のために撮っておくべきだった…)。
参加者たちもそのザンネンな姿にがっかりしてため息をつく人、言葉を失う人が多数いらっしゃった。

  ※なお、写真はほとんど残っていないが、私の落胆の様子だけは過去のブログで克明に記録されている。

なぜホンモンジゴケがこんなことになってしまったかというと、本妙院のご住職であるHさんいわく、
おそらく十数年前に行なった五重塔の改修工事が起因しているのだろうということだった。


さて、それから丸4年。

その後のホンモンジゴケはどうなっているか。
おそるおそるまたあの群落を見に行ってみると・・・



▲現場は本堂から歩いて数分のところにある五重塔




▲鉄格子の向こうにある五重塔の足元を見ると・・・




▲あら?!




▲あらら?!




▲いいぞ、いいぞ!




▲おぉ~!!


この日はとくに雨が降ったあとというわけでもなく、観察会のあった前日に続きよく晴れた日だったのだが、
かのホンモンジゴケの群落は、4年前とは打って変わって見事に復活!
やったー、よかったー!

ここまで見事に復活している姿を見るに、

(もしかして4年前に茶色くなっていたのは、枯れかけなのではなく単に乾燥していただけなのでは・・・)

という疑念が一瞬頭をよぎったが、いやいや、当時6月頭に行われるイベントのために
4月中旬から数度にわたり下見で現地を訪れて、この群落はチェックはしてきた。
そのたびに「次は緑になっていることを期待して、今日のこの残念な姿は写真に撮るまい!」と自分に言い聞かせ、
そうしているうちに、結局イベント当日に至っても緑の姿を拝めずじまいだったから写真が残っていないのだ。
この1か月半のあいだに一度も雨が降らなかったというのはちょっと考えづらい。

さらに、過去ブログの冒頭部分をよく読むと、イベントの「前日に夕立が降ってくれた」とまで書いてあるので、
雨が降った翌日でありながら、枯れかけの状態だったゆえに当時の自分はあのように嘆いていたのではと推測する。

いやはや、どちらにせよ今回は元気そうな姿が拝めてよかった。
約100年前に日本で一番最初に発見されたホンモンジゴケの末裔として、どうかこれからもお元気で。

ホッとしたところで、次はミカヅキゼニゴケのチェックのためにお寺に隣接する庭園「松濤園」に向かう。

 

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【コケ情報】 

大阪池田市にある「池田市緑のセンター」(五月山緑地都市緑化植物園内の施設)にて、

下記のイベントが開催されています(今日からです!)。


「コケの世界と写真展」

・会期:6月9日(木)~6月20日(月)09:00-17:00  ※ただし火曜日は休館
・開催場所:池田市緑のセンター(池田市五月丘5-2-5  tel 072-752-7082/阪急宝塚線池田駅からバスで10分ほど)

・入場料:無料
・イベント :6月12日(日)13:00~「こけと遊ぼう!苔テラリウムワークショップ」(参加費:1500円)

 

今回は当ブログのブックマークにも入れさせてもらっているブログ「そよ風の中で Part2」のSさんの

ミクロの世界の美しさを肉眼で見せてもらっているかのような圧巻のコケ写真が多数見られるほか、

手塩にかけて多数の種類を育てられているTさんのコケ鉢の数々、

大阪でお店も出されている「苔なっこ」さんの同じく一から育て上げたコケによるどれも一点モノの作品たち、

さらに「MossLight-LED」さんによる美しいコケテラリウムも見ることができます。

 

ゴールデンウィークの「KOBEコケ展」に続いて今度は大阪。

7月にはもうひとつ大阪でコケの写真展が、秋には例年通り京都でのコケ展も控えています。

今年の岡山コケの会関西支部(通称:オカモス関西)はイベントにアツいです!

 


充実のオカモス関東のコケ観察会

2016-06-06 11:32:17 | 東京コケスポット


▲ヤマトフタマタゴケ/Metzgeria lindbergii (2016年5月・東京西部 沢沿いの樹幹にて)


気がついたら6月に入ってしまっていたが、遅まきながら5月の振り返り。

5月は、ゴールデンウィークの「KOBEコケ展」に始まり、岡山コケの会関東支部の観察会に参加するために上京、
そして最終週の週末は道草さんの「小さなコケ展」のイベントに参加と、じつに内容みっちり、充実した1か月だった。

5月21日(土)に行われた岡山コケの会関東支部のコケ観察会には、約2年半ぶりの参加だった。
関西に引っ越してから、まさか飛行機に乗ってまで関東の観察会に参加することになろうとは。

交通費だってバカにならない、今月は仕事の締切もそこそこある。
しかし無理をおしてでも参加することにしたのは、なんといっても講師陣が豪華だったから。

蘚類にとても詳しく「歩くコケ図鑑」との異名もあるKさん、苔類の研究者のFさん、
そして元コケ写真家で現在は「糞土師(ふんどし)」のIさんがまさかのコケ界にカムバック!

こんな3人が揃う観察会なんて、もう次の皆既月食くらいまでないんじゃないかと思えるくらい稀有なこと(たぶん)。
こりゃなんとしても行かねばなるまいと、前日から上京し、鼻息を荒げて土曜の朝8時の中央線に飛び乗ったわけである。


乗車して5分後、茨城県から来られたコケ友Yさん(といっても人生の大先輩)とバッタリ遭遇。
久々にお会いできた喜びを噛みしめつつ、近況を話したり、コケの話をしたりして盛り上がる。

そうこうしているうちにあっという間に小一時間がたち、今回の目的地である青梅市のとある駅前に到着。

集合時間の40分くらい前にもかかわらず、もうすでに苔類のFさんが駅前で待っていらっしゃる。
そして、そのかたわらには「今回の観察会にはなんとしても!」と同じく鼻息を荒げて
宮崎県と岡山県から上京してきた同志たちが手を振って出迎えてくれる。

さらには関東支部世話人のYさん、また関東支部の観察会の常連さんも何人かちらほらと。
「お久しぶりです」と挨拶しつつ、皆さん以前と変わらず「コケが見れるのを楽しみに待ってた!」というような顔をされているのを確認し、なんだか嬉しくなる。

そしてしばらく駅前でおしゃべりしていると、コケ友Mさんがなにかを発見!


▲何かを発見し、カメラを構えるMさん(の手)。



▲なになに?!コケ?!



▲はっ、これは高地に生える大型の蘚類「ダチョウゴケ」では?! なぜこんな所に?というか、でかすぎる!


はい、じつはこれ常連参加者のOさんがご友人に頼んで
「ダチョウゴケ」をイメージして作ってもらったというアクリルたわしなのである。






ちなみにこちらが本物のダチョウゴケ。






ひと目見て「何これ!」「かわいい!」と盛り上がるコケ好き女性陣。
せっかくだからとダチョウゴケが群落で生えている姿をイメージして、このように立ててみた次第。

ちなみに太っ腹のOさん、現地に早く到着していた女性優先で
プレゼントしてくださるというので、私も1枚いただくことができた。
朝からまことにラッキーである。


さすが豪華講師陣がいらっしゃるとあり、この日集合したのはなんと約30人の参加者。
コケ観察会としてはちょっと人数が多過ぎるが、これは楽しい観察会になりそうだ。

予定では、駅から徒歩数分くらいにある山道に入り、
そこでじっくり観察しようということだったはずなのだが・・・。

駅から歩き始めてわずか10秒。

まずIさんがやにわに立ち止まり、ハイゴケを拾い上げて
「糞土師的コケ活用術」についてアツく語り始めた。




じつはIさん、コケの撮影方法を教える講師と見せかけて、
今日はこの活用術の伝道と実践が一番の参加目的だったのである!

糞土師的コケ活用術ってなに?! うーむ、じつに怪しい。

   注)もちろん撮影方法についても質問すれば、ちゃんと答えてくださいました!


さらにIさんに続けとばかりにKさんもすぐに立ち止まり、
そばにあった岩にはりついてコケを見始めたので、これまたあっというまに人だかり。





そしてもちろんFさんも・・・(以下略)。

あぁ~、まずは山道へ行くって言ったのに、皆さんコケ見つけちゃった・・・。
世話人Yさんは思わず苦笑いである。



▲岩場に生えていたコバノスナゴケ(写真中心にある大きな群落)とエゾスナゴケ(写真右下のややピンボケの群落)


その後は、蘚類Kさんグループ、苔類Fさんグループに分かれ、
さらに希望者はIさんの糞土師レクチャーを歩きながら受けつつ、
それぞれにじっくりとコケを観察。



▲目的の山道の入り口。石垣のコケを見る苔類グループ


先ほどは怪しいと言ってしまったが、じつは私は今日の参加目的の半分はIさんのお話を聞くことだったので、
苔類グループと一緒にコケを見たりしつつ、Iさんからレクチャーを受けることにする。

すると、話している途中でIさんがよいコケ(もちろん糞土師的に)を見つけられ、
なんと目の前でカメラを構えてコケを撮り始めたではないか!

10年近く前に写真家を辞められると決めた時から
「もうコケは撮らない」とおしゃっていたにもかかわらず、
まさか目の前で再びカメラを手に取る姿が見られるなんて!!



▲お知り合いの編集者さんにコケを持たせて撮影するIさん。


コケを好きになった当初からIさんが図鑑に提供されているコケの写真でコケのことを学ばせてもらってきた、
Iさんの写真によってさらにコケに開眼したと言っても過言ではない自分にとって、
これはあまりにも貴重な場面、思わずお姿を激写させていただいた。
(この気持はコケ好きでIさんの図鑑を心のバイブルにしてきたものにしかわかるまい!)



▲「フィルムもデジタルも撮り方はほとんど変わらないよ」とIさん。



▲(ピンボケですみませんが)ちなみに撮影されていたのはトガリバイチイゴケ。
 下に葉っぱが敷いてあるのが糞土師的コケ活用術のポイント。


ちなみにさっきから繰り返している「糞土師的コケ活用術」だが、
これについては、Iさんが主宰する糞土研究会(HP:ノグソフィア)の今秋の会報誌にて
今回の体験談をレポートする機会をいただいたので、またその時が来たらこちらでも詳しく話そうと思う。

そう、なにげに私はレクチャーを受けただけでなく、
このあとちゃっかり実践にも及んだのだ。

実践してどう感じたか。


 新たなコケの世界が広がった。
 そして今、こういう時代だからこそ、
 この活用術は広く世間の人が知っておいて損はない。



いまはそう言うにとどめておきたいと思う。


さてさて、コケ観察会の話に戻る。

この日、自分の中のいちばんの発見はヤマトフタマタゴケと出会い、
どこをどう見ればよいのか、その見方がわかったことだった。

フタマタゴケ科のコケは、これまで幾度となくフィールドで見てきたものの、いつ見ても、どこで見ても、同じ表情ばかり。
横で胞子体をつけた別科のコケでもいようもんなら、このコケの存在感は途端に薄くなってしまう。
どうもとっつきにくいというか、どこをどう見ればよいのかわからない、面白味の少ないコケという印象しかなかった。


▲樹幹に生えるヤマトフタマタゴケ(フタマタゴケ科)。言っちゃ悪いが、明らかにコケの中でも表情に乏しいほうだと思う


しかしこのコケの見るべきポイントは背面(表面部分)ではなく、腹面(樹幹に接着している部分)だったのだ。

今回Fさんと、苔類大好きなコケ友Tさんに見方を教えていただけたことで、このコケががぜん輝いて見えてきた。
そして自分はまだまだ表面的にしかコケを見ていないのだと痛感・・・。



▲見た目の面白味に欠けるヤマトフタマタゴケですが・・・



▲ちょっとアップで見てみると、なにやらひっついているのがわかるでしょうか



▲こんなにたくさんひっついております

じつはこれヤマトフタマタゴケのからだの一部分で、
まだ未熟な若い胞子体を包んで保護する袋状のもの、専門用語で「カリプトラ」と呼ばれる器官なのである。
胞子が成熟すると、この袋を破って胞子体が出てくる。

いままで「丘に打ち揚げられて干からびてしまった海藻」程度のイメージだったのに、
このカリプトラの存在に気付くと、途端にこのコケが生き生きと見えてしまうから不思議だ。

さらに樹幹にへばりついているこのコケをそおっと丁寧に剥がし、
樹幹に接していたコケの腹面を見てみると、さらに面白い。

このコケは1つの個体に雌と雄が同居しており(「雌雄同株」という)、
からだの中心部を走る中肋には雄・雌それぞれの生殖器官がくっついている。

雌雄の生殖器官が目と鼻の先のような近距離にあるということは、
それだけ受精をして胞子ができる可能性も高いというわけで、
そのためなのか、ヤマトフタマタゴケは無性芽はつくらない。

さきほど背面からちょこっと顔をのぞかせていた「カリプトラ」は、雌の生殖器官から出ていたもので、
繰り返しになるが、若く未熟な胞子体を守るための袋であるが、腹面を見ると中肋から伸びている様子がつまびらかになる。

面白いのはその形。先ほどの画像も目を凝らすと確認できるが、
このカリプトラ、頭でっかちなこん棒のような形で、
さらになぜか全身毛だらけというユニークな風貌なのである。

一方、雄の生殖器はというと「雄包膜」という膜で守られているのだが、
背面から顔をのぞかせるほど勇ましく伸びた雌のカリプトラとはうってかわって、
ぎゅっと饅頭を手でつぶしたかのような半球状で、中肋付近で縮こまっている。

雌が毛付きのこん棒なのに、雄はつぶれた饅頭・・・
この両者のコントラストがなんとも面白いではないか。

しかしそれもこれも、コケを表面だけしか見ていないような人(つまり私のような…)はいつまでも気づけない魅力であり、
のぺーっと無表情っぽく装いながらも、じつはヤマトフタマタゴケは大事なものは全部腹側に隠して、ちゃくちゃくと繁殖している。
このギャップにまた心惹かれてしまう。

最後に。今回のこのコケとの出会いがとても印象深かったことと、
現地でうっかり腹面の写真を撮り忘れたので、久々にイラストにまとめてみた。

  

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●おまけ
観察会終盤、唯一蘚類班Kさんの解説を聴けたのがこちらのヘチマゴケ属のコケ。
肉眼から、次第にミクロの世界へと入り込む。














上部の葉の付け根にねじれた糸状の無性芽がたくさん見える。
こういった無性芽をつけるのはケヘチマゴケやホソエヘチマゴケなどいくつかあり、
フィールドでのヘチマゴケ属の仲間は同定が容易ではないという。