
先週末は1年2ヵ月ぶりに八ヶ岳に登ってきた。
あいかわらず赤岳(2899m)の急斜面を登るのは、
心が折れそうになるくらい苦しかった…。
でも、天気に恵まれて景色は最高!
色とりどりの高山植物が咲きほこる夏山は
やはり楽しいものだった。


▲高山植物たち。ピンク色はコマクサ。
もちろん、山のコケチェックも欠かさず。
コケは本当にたくましい植物で、樹林帯はもちろんのこと、
森林限界点のハイマツしか生えないような
吹きさらしの乾燥した場所でも生えているのを見かける。
また圧倒的に数は少ないが、
頂上近辺のゴツゴツした岩だらけの場所に生え、
つつましくその命をまっとうしているコケもいる。


▲こういうゴツゴツした稜線を上り下りしながら歩いていると…


▲ぴたっと岩肌にはりつくコケを見かける。
空に近いので紫外線は強く、温暖の差も激しいこの場所で、
彼らは岩と岩の隙間や岩の穴ぼこにぎゅっと身を固め、
息を潜めるようにして生きている。
どうしてわざわざこんなしんどい場所に生えるのかは、わからない。
偶然胞子が飛んで、うっかり生えちゃったのかもしれないし、
コケ同士の陣地争いがないから細々と生きながらえているのかもしれない。
でも、このような過酷な場所で生きているコケに出会うと、
私は毎回、心が洗われるような気持ちになる。
初めて来たときも、前回来たときも彼らの様子はまったく変わらない。
乾燥により険しい表情を見せながらも、格別の景色を望みながら、
岩にしみた水を頼りに、少しずつ次の命を繋ぎ続けている。

▲夏沢峠から見た朝陽。

▲稜線を歩いている途中に見えた富士山。
そしてそんな彼らを見ている私自身も、
標高3000m近くのここまで来るのに息切もたえだえ、
精神的にも体力的にも相当辛い(なんでこんな山登ってるんだろう!?と毎回思う)。
だからよけいに彼らを見つけると、
まるで同志に再会したような気持ちになり、
「あいかわらず、ずっとここで生きてるんだねぇ。がんばってるねぇ」と
つい心の中でコケたちに声をかけてしまう。
そして「私ももうちょっとだけ、がんばるか!」と前向きな気持ちになるのだ。
今回も、同行した愉快な山仲間たちと、
そして物静かな緑の友人たちに支えられながら
無事充実した山行を果たすことができた。

【山行ルート】
●7月24日
JR小海線・松原湖駅からタクシーで登山口へ→約2時間登りで本沢温泉
→日本最高所野天風呂「雲上の湯」に入り、山びこ山荘泊→夜8時過ぎ就寝。
●7月25日
朝4時に出発→約1時間の登りで夏沢峠で日の出拝む→硫黄岳(2760m)
→稜線を伝いながら横岳(2829m)→赤岳(2899m)を登る→地蔵尾根を下って行者小屋へ
→Myコケパラダイス・南沢を抜けて美濃戸口へ16時10分に到着。→バス・電車で帰宅。