▲富士山の5合目にて。
あっという間に5月も終わり。
少し前の話になるが・・・。
5月15・16日に1泊2日で、
国立科学博物館・植物研究部主催の
「富士山でコケと地衣類を楽しむ」という
自然観察会に参加してきた。
観察場所はもちろん、富士山だ!
といっても山頂まで登るわけではなく、
植物が豊富に生えている5合目付近を散策し、
富士山に自生するコケや地衣類を探してみようという趣旨。
参加者は、私のような無類のコケ好き・地衣類好きが
老若男女問わず参加しているのをはじめ、
小学生親子が4~5組、大学で蘚苔類を勉強しているという学生さん数人、
そして今回のイベントの主催者で蘚苔類・地衣類の研究者でもあられる
樋口先生(コケ専門)、大村先生(地衣類専門)の約30名ほどである。
ちなみに、さっきからたびたび出てくる「地衣類」(「ちいるい」と読みます)であるが、
これもコケに負けず劣らず、生物界の中ではヒジョォーー!に地味な存在である。
や、むしろコケのほうが、まだましかもしれない。
事実、今回のイベントに参加したメンバーの中で
地衣類を大学で勉強しているというの女子は、
私が「自分はコケ好きです」と打ち明けると、
うらやましそうにこう答えた。
「いいですよねぇ~、コケの世界は華やかで。
地衣類なんて、人に話してもほとんどの人が『どこがおもしろいの?』ってかんじで・・・。
たしかに地味だからしょうがないんですけどね・・・。
良さをわかってもらいにくいんですよね・・・」
いやはや。
コケですらかなりの人から、
「なぜコケ!?」と怪訝な顔をされるというのに、
やはり上には上がいる。
彼女がいかに普段から周囲の理解を得るのに
ご苦労されているかと思うと、
同情すると共に、我が身も気が引き締まる思いである。
とまぁ、人間たちのぼやきはさておき、
地衣類とはなにかというと、ざっくり言えば、
「菌類と藻類が一つの固体に共生している植物」のことだ。
コケとよく混同されやすいが、まったくの別種である。
たしかに、地面にへばりついていたり、
花が咲かなかったりという点がコケと似ていることから、、
中には地衣類なのに「○○コケ」という名前を持つ種類もあるが・・・。
とにかくコケ以上に地味ながら、
大変奥の深い生物であることは確かだ。
▲地衣類、たとえばいくつか。木の幹や岩肌、民家の壁などでよく見かける。
なんと日本だけで1600種もあるらしい。空気のきれいな所ほど美しい色になる。
説明が長くなってしまったけど、
今回はそんな地衣類とコケを観察しに行ってきたので、
まずはそのときの様子を画像で紹介していきたいと思う。
▲2日目の朝から散策開始。みんなでコケや地衣を観察中。地面にはまだ雪が残る。
▲土がほぼない溶岩地帯には限られた植物しか生息しない。
「ハリスギゴケ」(雄株)もそのひとつ。なんと溶岩に擬態して、からだが赤っぽいのだとか。
▲同じ〝スギゴケ〟でも、湿度の高い林の中にはまた別種が。
日本最大のスギゴケ「セイタカスギゴケ」。葉の生えている茎部分の長さは3~4cmくらいあった。
▲林の中でいちばん豊富に生えていたのが、この「イワダレゴケ」。
▲「イワダレゴケ」のアップ。毎年一つずつ階段状に葉が伸びるので、何年生かすぐわかる。この子はただいま4年生。
▲私が好きなコケのひとつ「ダチョウゴケ」。キリッと立ち上がってりりしいのだ!
▲同じ鳥でもこちらは「クジャクゴケ」(うちわっぽい3つ)。
たしかにオスが羽を広げたようにも見える。泊まった民宿の向かいにある林の中にて。
いつも図鑑を見ながら「実際にこの目で見てみたいなぁ」と思っていた
コケにいくつも出会うことができ、私にとっては本当に実りの多い観察会であった。
勇気を出して、ひとりでも参加してみてよかった!!
今回も、まだ書ききれないことがあるので(またかいっ)、つづきは次回にでも。
ブログを最近の投稿のみですが拝見しました。
植物好きの老若男女が集われて、とても楽しそうですね~。
身近な地元の植物群を長期にわたって観察するというのは、人にとっても自然にとってもとても大事なことだと常々思っていまして、たびたび引っ越しを繰り返してきた私にとって、そのような活動をされている皆さんがとてもうらやましくなりました。
コケは小さいですが、小さいなりに四季それぞれにちがった表情を見せてくれるのでとても楽しいです。ぜひ観察対象としてこれからもコケに目をかけていただければと思います。とくにルーペで見るコケの美しさは大人も子供も大興奮すること間違いなしですヨ!