フライトを楽しむ、という表現がある
私は大の飛行機嫌いなので
とても楽しむ気持ちにはなれない
新幹線では遠い場所への移動は
仕方なく飛行機を利用するのだが
いつも肘掛けをガッチリと掴み
目的地に着くまで離さないのが常
その日も、嫌な移動中、肘掛けを
掴む手のひらに汗をかいていた
なるべく搭乗していることを考えず
「早く着かないか…」との思いを押し殺し
フライトを耐えていたその時
機体が大きく傾いた
「!」
機体はすぐに平衡を保ち落ち着いたのだが
その直後、青い顔をした客室乗務員が
前方から叫びながら走ってきた
「お客様の中に!」
「お客様の中に、医者はいないか」
きっと、そう言うと思った
誰か気分が悪くなったのだろう
だが、その後の言葉は違った
「お客様の中に、パイロットはいませんか!」
嘘…
と、思ったとたん目が覚めた
嫌な夢を見た。今度、飛行機に乗るとき
この夢を思い出さないと良いが…