「へンくつ日記」

日常や社会全般の時事。
そして個人的思考のアレコレを
笑える話に…なるべく

馬鹿にするにも程がある

2019年07月24日 17時19分41秒 | Weblog
過日、カミサンと鬼怒川温泉に行った
ホテルのチェックインには時間があったので
駅前のとある蕎麦屋のノレンをくぐった
ちと嫌な気がした

老いた数人の女性店員が、長年口にし
身体に染みついたお経のように
同じ内容のセリフを、各テーブルに
ついた客に語っていたのだ
「メニューの説明を致します。
 これとこれは炊いたキノコが
 暖かいメンの上に乗っています。
 ご飯物はありません…云々」

店員皆が全く同じセリフなのだ
そこには「会話」はなく、機械的な
一本調子で「言う」だけだ

蕎麦屋なのに、カツ丼や親子丼もなく
かまぼこも卵焼きもない
なんか変だとは思ったが
腰を下ろしてしまったので仕方ない
私は、冷たいキノコ蕎麦を頼んだ
その際「これ、冷たいんですよね?」
とダメ押しのように質問した
すると「はい」
カミサンは、ざる蕎麦を頼んだ

で…暫く…ではなく、30秒ほどで注文したものがきた
それが、これだ





なんだかみすぼらしい、と思いながら
箸を取り、蕎麦をすくい上げた
と…ブツブツと切れる
「?」嫌な予感は更に大きくなったが
とにかく、切れ切れの蕎麦を口に入れた
「…」
食べられたものじゃない
煮なくても良い流水メンを煮て
更に一日置いたようなシロモノなのだ
それに、冷たくなく、生温い
箸を置き、カミサンを見ると、彼女は
下を向き、重そうに箸を口に運んでいる
そして暫くして、小さくため息をつき箸を置いた
「…出るか」と私が言うと、頷いた

後ろの席では「なんだこれ、コシが全然ないよ」
と年配の男性が家族に言っている

私とカミサンは黙って席を立ち
「幾らですか」と老店員に聞いた
2000円ほどだった。私はそれを払った
脂ぎった10円玉数枚が戻ってきた
手が汚れる感覚に耐えた

店を出て、「ヒドイ味だ。なんだか
馬鹿にされた気分だ」とカミサンに言った
彼女は「蕎麦屋なのに蕎麦が不味い訳がない。
きっと、私の舌がおかしいんだ、って自分に
言い聞かせて食べたのよ。でも、やっぱり
激マズだった」
苦笑してしまった

ホテルに入り、一息ついた際に、携帯で先ほどの
蕎麦屋の「クチコミ」を開いてみた
そこには、痛烈な批判が数多く書かれていた
「入る前に、これを見るべきだった」とカミサンに言った
「たしかに」とカミサン
「箸袋に〝匠の手打ち蕎麦〟って書いてなかったか?
 嘘もたいがいにしろって感じだな」
「もしかしたら〝匠〟ってのは本当かも」
「えー?」
「匠って、名前なのよ。田中匠さんか、鈴木匠さんか
 しらないけど」
そう言って、夫婦で大笑いした

観光地ゆえに、一見の客は後を絶たない
だから、どんな不味いものを出しても
平気、と思っているのだろう
観光地に来る客は人間ではなく
「金を落としに来る人形」位に思っているのだろう
実に腹立たしかった。馬鹿にするにも程がある
そういえば、草津温泉の蕎麦屋も酷かった
もう二度と、観光地の蕎麦屋には入るものかと
固く決意した…。だが、ホテルの料理が美味かったとか
温泉が良かった、とかいうことより、酷い味を出す店の
ことの方が、強い旅の思い出になっている
草津温泉もそうだ。夫婦の会話で出てくるのは
「あの草津の蕎麦屋、思い切り酷かった。味も値段も…」
という言葉。けれども、そう言った後に何故か笑ってしまう
笑える思い出になっている。そう考えれば
鬼怒川温泉の蕎麦屋は、多くの旅人の思い出に
貢献しているのかも知れない
だから、そんなに怒ることはないのだ
ただ…二度と行かないけれど
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