「へンくつ日記」

日常や社会全般の時事。
そして個人的思考のアレコレを
笑える話に…なるべく

日本語の音訓読みについて 備忘録

2009年12月07日 15時40分30秒 | Weblog


日本語は世界の言葉の中でも
取り分け難解で
習得が難しいとされている

特に漢字の読みは
留学生にとって
(それが中国からの留学生でも)
本当にヤッカイなものらしい

何故か
それは「読み」のせいだ

例えば「下」という漢字には
12も読み方がある

カ、ゲ、した、しも、もと、さげる、さがる
くだる、くだす、くださる、おろす、おりる
(常用漢字表より)

我が大学の留学生の殆どが
「漢字の読みさえなければ…」と
嘆くくらい、この「読み」は難しい
世界の基準は1字1音だ
1字多音は日本だけなのだ
(中国語は1字に4つの発音はあるが
 読みは1つで同じだ。
 例えば「ア」も「アー」(平坦)
 「アー?」(上)「アー」(下)
 もうひとつ「アー」(捻り上がり)等)

日本の漢字は
何故にこんなに読みが
複雑になってしまったのか

それは仏教伝来に由来する


さて、驚くべきことに
古来の日本には音声言語はあったが
それを書き表す文字が無かった

文字の基本は全て
中国から頂いたのである

(中国を見下したり馬鹿にする人たちは
 恩知らずと言われても仕方が無いのだ
 彼らの文化が入ってこなければ
 今日の日本語文化はない
 謝謝、中国 なのだ)

ある日、中国から
仏教を伝えに僧がやって来た
持ってきた仏典は当然、漢字で書かれている
日本人は思った
「なんじゃ この絵でもない
 線のグチャグチャは…」
僧は言う「これ、文字でっせ」
「モジー?」
僧は腰を抜かす
「アンタ…文字知らんのでっか?」
「知らんわ…」
「なら、どうやって
 考えや、教えを伝えるんや?」
「口移しや…喋って伝えるんや」
「はぁ…アフリカの口承文学ってやつと同じやな」
「アフリカって、何?」

と、まあ、こんな感じだったかどうかは不明だが
こうして日本人は漢字という文字を手に入れた
(因みに…日本最古の歴史書とされている
 「古事記」は、親から子、師匠から弟子に
 昔から口承で伝えられてきた“物語”を
 外来文字で書き表したものなのだ
 漢字が渡ってこなければ伝説は消えていたかも…)

昔から日本人は原理を考え
生み出すのは苦手だったが
基本となることを習うと
それを自分のものにし
更にアレンジを加えるのが得意だった
そして独自のものに変化させ
世界を驚かせるのだ

漢字も同じである
(日本で創作された漢字が
 中国に渡って使われているものもある
 例えば「働」だ)

さてさて、漢字は象形文字
(絵文字・いま若い女子の間で
 再び絵文字復興が図られているが…)
が変化したものだが
その画数の多い漢字を書くのが
スゲェー面倒と思った日本人は
次第に漢字を崩していった
例えば「安」を「あ」に
「衣」を「え」に
「女」を「め」にといった風に…
こうして、平安時代の初め頃に
「ひらがな」が誕生した

と…同じ頃、カタカナも生まれた
これは漢字を崩すという発想ではなく
漢字の一部を使い表したもの
例えば「利」の右だけを使った「リ」
「曽」の上の点々だけを頂いて「ソ」という風に
いわば漢字の省略版だ

こうして、漢字のほかに
平仮名とカタカナが生まれた
これが また日本語を
難しくさせる原因にもなるのだが
(因みに…平仮名が知識層に定着しても
 公的なものは全て漢文
 女性のみが平仮名を使った
 この平仮名に初めて市民権を与えたのが
 「古今和歌集」の選者、紀 貫之だ
 彼は「古今~」の序文を全て平仮名で書いた
 市民権を得た平仮名はその後急速に広まる
 紫式部の書いた世界最古の長編小説
 「源氏物語」は、全て平仮名で書かれている)

ほんでもって、問題の「読み」に戻ると…

漢字は一気に日本にやってきた訳ではない
いや、そう書くと誤解がある
漢字の全ては一気にやってきた…が
やって来た年代ごとに
「読み方」が変化しているのだ

最初の輸入期、5~6世紀頃は
中国では南方の揚子江下流近辺の
呉が栄えており、その時の発音を
「呉音」というのだ
例えば「呉音」では「行」を「ギョウ」と読む

次に7~9世紀頃
当時栄えていた長安や洛陽へ
遣唐使や留学生が大勢押しかけた
その当時の発音が「漢音」といい
「行」を「コウ」と読んだのだ

更に鎌倉時代以降
禅僧らが中国から持ち帰ったのが
「唐宋音」といわれるもので
「行」を「アン」と読んだのだ
「行脚」「提灯」「杏」「椅子」など
全て「唐宋音」である

時代と共に伝わった三代の「音読み」が
現代でも残り、更に「日本語読み」の「訓読み」も加わり
日本語の読みは複雑になってしまった…という訳


ところで…
「お経」は「音読み」が原則だ
例えば「ミョウホウレンゲキョウ…」
これを「訓読み」で言うと
何やら変なおまじないみたいになってしまう
「たえのりはすはなけい…」

お経だけは音読みオンリーが良いようだ

インド・釈迦が説いた仏教を
中国語に翻訳したのが鳩摩羅什だ
彼は聖なる経文を我見で汚すことなく
後世に伝えようと必死で翻訳した…

ん…?
もしかしたら

翻訳元のサンスクリット(梵語)の発音に
最も近いのが音読みなのでは…???

と、いうことは…
おーーー!
数千年前に
釈迦が説いた経文そのままの音を
日本語は伝えているのだ
こんなに複雑な言語の意味が判った
なるほど、繋がった!
意味があったのだ
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