喫煙室の前を通ると、いつも決まって同じメンバーがタバコを
吹かしながら雑談しているのが見える。彼らの仕事は「タバコ
を吸う」ことなのだと、僕は半ば本気で思っている。タバコを
吸う人間とそうでない人間の仕事に費やす時間には、大きな差
があるに違いないとかねがね思っていたが、ドイツの経済団体
がそのことに(ようやく)気付き、就業中のタバコ休憩の禁止
を提案した。同団体によると、喫煙者の年間のタバコ休憩時間
を賃金に換算すると、最低でも20万円ほどになる、というのだ
つまり、喫煙者は企業に20万円の損害を与えていることになる
更に嫌煙者にとっては、喫煙者より年間20万円も給与が低いの
と同じことになってしまい、不公平感は否めない
だから、就業時の喫煙休憩を禁止することは、当然のことと思
える。僕などは完全な、そして強烈な嫌煙者であるから、ドイ
ツのこの提案を日本でも是非行って欲しいと思うのだ
(僕の嫌煙度は自分でも少し異常と思う。街で歩きタバコをして
いる人間とすれ違う際に、小声で「臭い、迷惑だ」と実際に言っ
てしまうし、ましてや食堂やレストランで喫煙している人間を発
見すると、店の人間に大声で「ここはタバコOKなのか?そうな
ら入るときに言ってくれ。僕はタバコの臭いを嗅ぐと吐き気がす
るんだ。食事どころではない。いま食べかけだが、このまま残し
て帰る」と席を立つのが常だ。その際、一応、料金は払う。払わ
ないと無銭飲食になるからだ。だが、たいていは喫煙者はタバコ
を消すし、店側も謝罪するので、不機嫌な顔で食事は続ける。勿
論、その店には二度と行かない)
だが実際に、煙を吸うヤニ中毒患者の原始人に「仕事中のタバコ
は禁止」といっても、トイレに行くフリをしたり、その他色々な
理由をつけて喫煙するに違いない。原始人ゆえに「マナーだなん
だ」と言ったところで通じない。そこで、彼らの給与を年間20万
円下げることにすれば、皆が納得するのではないか
嫌煙者にしてみれば「彼ら喫煙者は、我々より20万円も給与が少
ない」と納得できるし、喫煙者も「喫煙料を払っているも同然な
のだから、堂々と吸おう」ということになる
これで日本も平和になる…と考えるのは甘いのだ。なにせ原始人
は「権利の主張」にかけては「文明人」を超える。「俺たちはタ
バコ税を払うことで、お前たちより多く国にお金を納め貢献して
いる」とか「喫煙者差別だ!」とか「君が代を立って歌わないの
が何故悪い」とか(あ、これは違うか)、とにかく色々文句をつ
けてくる。そうやって四の五の言う人間に紳士を求めるのは所詮
無理。だから、戦国武将の「鳴かぬなら…」式にやってしまうの
が一番だ
さてさて、その武将だが、豊臣なら「鳴かせてみせよう(タバコを)
止めさせてみせよう」で家康なら「鳴くまで待とう・止めるまで
待とう」。因みに信長なら「殺してしまえ」だ
さて、アナタは豊臣派? 家康派? それとも信長派? 僕は当然…