あれは二十数年前のことだったと思う
尊敬する某有名作家を相手に、僕が会話の中で
「自分が大人になった時には…」という言葉を
使った際、その作家が、フンッと苦笑した
その苦笑の意味を僕は、「君は本当に“大人”か?」
と馬鹿にされているのだと捉え、かなり落ち込んだ
以来、50を過ぎた頃になっても、人前で自分を
「大人」と言えなくなってしまった
そんな僕だったが、最近、ようやく自分を
“大人”と思えるようになった
それは、親に対する、そして世間に対する
心の変化と大きく関係している
長い間、両親を恨んで生きてきた
生い立ちを知る妻は、そういう気
持ちも仕方がない…と思っていた
だが、それは完全に間違っていると気づいた
今は、自分を生んでくれた父母に、心から感謝している
と共に、既に鬼籍の人であろう両親に対して
「親孝行できなかった」悔恨が残る
だから、朝に晩に、強く真剣に追善供養し
親孝行の一端を実行している次第なのだ
社会や、地域の人々に対しても同じだ
よくもまあ、こんな僕を見捨てず
温かく見守ってくれていたことか
それは、師に対しても同じことが言える
大ヒット・ドラマのセリフではないが
両親・創立者・仲間の皆さんに対して
報恩感謝の
千倍返しだぁ!!
と…いまは思えるのだ
恨みは人を後退させ幼稚にさせ
感謝は、人を成長させ
そして大人にさせる
よくやく今、人前で“大人”と言える自分がいる