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前防衛省航空幕僚長空将・田母神敏雄氏論文のこと(3)

2008-12-11 12:45:15 | 教養・文化・歴史
 まずは今一度、田母神氏論文(3段目)を再読願いたい。(先回投稿記事はこちらから入れます)
        
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 《参 照》
(以下、田母神氏論文引用;第3段)

 一九二八年の張作霖列車爆破事件も関東軍の仕業であると長い間言われてきたが、近年ではソ連情報機関の資料が発掘され、少なくとも日本軍がやったとは断定できなくなった。「マオ(誰も知らなかった毛沢東)(ユン・チュアン、講談社)」、「黄文雄の大東亜戦争肯定論」(黄文雄、ワック出版)」及び「日本よ「歴史力を磨け」(櫻井よしこ編、文芸春秋)」などによると、最近ではコミンテルンの仕業という説が極めて有力になってきている。日中戦争の開始直前の一九三七年七月七日の盧溝橋事件についても、これまで日本の中国侵略の証みたいに言われてきた。しかし今では、東京裁判の最中に 中国共産党の劉少奇が西側の記者との記者会見で「盧溝橋の仕掛け人は中国共産党で、現地指揮官はこの俺だった」と証言していたことがわかっている「大東亜解放戦争(岩間弘、岩間書店)」。もし日本が侵略国家であったというならば、当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこかと問いたい。よその国がやったから日本もやっていいということにはならないが、日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない。③
 
                     (抜粋引用・終り・・)

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 要は、 第3段あたりから「シナ事変勃発」の頃に触れられており、関連書籍の紹介を丹念になさっておられる。 田母神氏をして張作霖事件の真犯人追求や盧溝橋事件発端の真相などの追求に血道を上げておられるか? 否、歴史という大きな重箱の隅を突いておられるのではなく、当時のシナ大陸におけるシナ軍閥跋扈の渦中に列強始め日本も巻き込まれたか、そんなシナ大陸を舞台とした我国近代歴史の有り体を書き連ねられたか。 こうしてシナ大陸史の1ページは、20世紀初頭の当時も、紀元前後の時代背景を小説化した『三国志の時代』とさほど変わらず混沌且つ曖昧模糊としているのであって、21世紀を迎えた中華人民共和国の今もさほど変わらないから馬鹿げているし面白い。 且つ、20世紀初頭の欧米列強等に次ぐ日本のシナ大陸進出はあくまでも経済進出が基本であって武力侵略ではない(と言う)事を(田母神氏は)表現なさりたいのであろう。と、我輩は解釈する。
 ならばならば、なおさらのこと、
 (残念ながら)書いて頂きたくなかったセンテンスがあるので指摘しておきたい。

>もし日本が侵略国家であったというならば、当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこかと問いたい。よその国がやったから日本もやっていいということにはならないが、日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない。③

 論文第3段目の最後の締めくくりをなさったおつもりのこの文章は、むしろ藪蛇であり蛇足である。
 正直すぎる。
 「武官は正直でなければならん」し、「外交官は嘘吐きでなければならん」と、思うが、如何なものか。
 かくして、あくまでも『日本陸軍はシナ大陸を侵略をしていない』で貫き通さねばならん『あるべき論立て』のところを、19世紀的欧米列強によるアジア植民地支配の歴史事実に準えて、日本がシナ大陸で執った行動を列強の侵略行為と比較して「軽かった?小さかった?軽度だった!」などとほざく必要はない。 この辺り、田母神氏の「武人らしさ」かもしれず、左よりの理屈屋からすると突っ込まれる原因になったか。 上述のセンテンスは、削除しても論文の大意には何ら差し支えのないものである。 が、『要らぬお世話!』と、著者からお叱りを受けそうだ、、、。

 さて、田母神氏引用紹介の著作、あらためて拙ブログに於いて以下紹介しておきたい。
 

マオ―誰も知らなかった毛沢東 上
ユン チアン,J・ハリデイ
講談社

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 * 上下巻(2冊)にまたがる力作だ。そうとうなボリュームの著作。 さっそく(正月かけて)通読してみたい。



日本よ、「歴史力」を磨け―「現代史」の呪縛を解く

文藝春秋

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 * 我が敬愛する櫻井よしこ女史による「近現代日本史、勉学の薦め」であるぞ。 我輩は完読済み!



黄文雄の大東亜戦争肯定論
黄 文雄
ワック

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 * 黄文雄氏による日本国賞賛論。明治維新以降の日本の歴史における善意の切り口がうかがえる。 日本人が書いていないところが「この一冊の魅力」か。



 いすれにしても、歴史の解釈は多岐にわたる。
 解釈によってその国の歴史は大きく変わり後世に伝えられる。 だからこそ今、我々は我々の眼で日本の近代史を読み返さなければならない時だと痛感する。 多くを読み、書いてあることの裏を読み、異なる角度から分析し、自分なりの歴史解釈をしていけば良い。と、考える。 何度も言うけれど、田母神氏論文問題が「我国近代史再考」の切っ掛けとなり、今尚拘束され続けている東京裁判の呪縛から日本人を解き放ち、GHQ昭和憲法の軟弱性を見出して新たな平成憲法制定に結びつく「引き金(Trigger)」にならんことを願って止まない。



                 <・続く・・>