たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

下水汚泥再資源化の本気度 <不正 大阪市発注下水工事、数億円疑い・・>などを読んで

2017-11-22 | 廃棄物の考え方

171122 下水汚泥再資源化の本気度 <不正 大阪市発注下水工事、数億円疑い・・>などを読んで

 

今日の毎日朝刊一面で<不正大阪市発注下水工事、数億円疑い 業者、安い資材で差額>の記事が大きく掲載されていました(退位の時期が一番ですが)。そして社会面でも<不正大阪市発注下水工事 白紙伝票、偽装横行 下請け「赤信号みんなで」>とその偽装内容を掘り下げています。

 

下水汚泥の問題は、私が関心を持って調査していた四半世紀以上前の段階でも東京都を含め各地で問題になっていました。80年代までは西欧文明に追いつくには公共下水道の普及が重要と、大きく看板が掲示されたり、当然のように毎年建設省予算の一定割合を確保していたと思います。欧米社会では公共下水道がどこでも普及している、しゃーっと流す水洗トイレこそ文化的生活の必需品みたいな意識を多くの国民に植え付けていたように思います。

 

ところがどっこいでしょう。カナダで驚いたのは、確かに公共下水道が普及していましたが、最終処分場がないと言って、太平洋に垂れ流ししていることが環境団体からの指摘で長く問題になっていました。トイレの先を考えていなかったのは、日本だけではなかったのですね。

 

話を元に戻すと、都市化していない地域(この地域は合併浄化槽ないし単独浄化槽で代替)を除き、ほとんどで公共下水道が敷設された後に、というか途中からさまざまな問題が生じてきました。その一つが下水汚泥の処理がはなはだやっかいな問題として取りざたされていたのです。

 

下水汚泥は大量に発生します。その内容は、分流式ならまだ成分がさほど大きくもんだいにならないかもしれません。合流式だと雨水という様々な有害物質も含まれる下水が大量委入ってきて、有害性も高くなります。むろん、分流式でも、排出基準を超える工場排水を垂れ流して問題になったことも少なくないですし、事件として大きく取り上げられたこともあります。

 

その下水汚泥の処理が大変なわけですね。東京都は焼却・埋立処分を抑えるため、早くから再生利用を試みてきたと思います。当時でも様々な製品化をおこなっていましたし、たとえば歩道用レンガなどは一例でしょう。

 

でもなかなか再資源化、リサイクルは容易でないということでしょう。その後四半世紀の歴史はフォローしていませんで、このニュースを見て国交省の<下水汚泥資源利用の現状と課題>や日本下水道協会の<下水汚泥発生量(固形物量)とリサイクル率の推移>を見ても、資料自体が少し古いのと、リサイクル率の推移を見る限り伸び悩みですね。

 

多様な再資源化の用途が掲げられていますが、その一つが今回問題になった建設資材、その一部でしょうか。なにが問題かは、遠藤浩二、岡村崇、宮嶋梓帆の記者による毎日記事が取り上げているので、それを参考にしつつ、私見を交えてみたいと思います。

 

< 大阪市発注の下水道工事で、下請け業者が市の指定より安い資材を使ったのに、伝票を偽造し正規の資材を使ったように見せかける不正が横行していたことが分かった。・・・市が2016年度までの5年間に発注した約200件の大半で行われ、計数億円の差額が不正利益になった疑いがある。>

 

<不正があったのは、下水管の入れ替え工事。市は12年度から工事で掘削した穴の埋め戻し材として、下水汚泥をリサイクルした「下水汚泥溶融スラグ」を混ぜた土を使うことを必須条件とし、設計書などに明記。工事単価を高めにしていた。>

 

(途中で打合せが入ってしまい、1時間以上間が空いてしまいました。帰り時間が過ぎてしまい、できるだけ簡潔にさせて終わらせてもらいます)

 

問題のスラグについては<スラグは汚泥を高温で溶かして固めた黒い砂状の物質。市施設で年間約9000トン作られ、1トン当たり51円で複数の土壌メーカーに販売している。>そして<市の指定資材に使われる「下水汚泥溶融スラグ」は、主に大阪市此花区の施設「舞洲(まいしま)スラッジセンター」で作られる。市内の下水処理場から専用管で集められる汚泥を高温で溶かし、砂状に固める先進的な技術だ。市は以前、下水汚泥を焼却して大阪湾の最終処分場に埋め立てていたが、年間3万トンに上る廃棄物量が問題化。2004年に約730億円で同センターを建設した。>

 

当該施設はまさに下水汚泥を焼却処分から再利用に大転換する循環型社会の主要な要素として多額の税金を投じているわけです。でもその実態はどうでしょう。

 

< 市は05年度から、スラグを民間工事のコンクリート材料として販売したが、神奈川県藤沢市で生コン業者が日本工業規格(JIS)の基準に満たないスラグを使った問題をきっかけに、民間利用が減少。市は12年から公共工事での活用に切り替えたが、施工業者の間では「購入に手間がかかる」「手で触るとケガをする」などの理由で利用を避ける傾向が続いたという。>

 

施工業者の言い分が正確な事実を踏まえているのか、単なる方便なのか、これだけではわかりませんが、仮に事実であれば、下水汚泥から生成されたスラッジで怪我をするようなことは本来ないはずですし、あるとすればその生成方法に問題があるのではないでしょうか。

 

たしかに下水の中にはいろいろな物が排出されますね。生活の中からも、産業の中からも、あるいは雨水に混じる場合も危険物の混入は避けられないかもしれません。それは下水汚泥処理過程で無害化可能ではないかと思うのですが、現実はどうでしょうか。

 

舞洲スラッジセンター(下水汚泥処理場)>のホームページを見ると、なかなか立派な建物で、

<・下水汚泥を効率的に安定して処理

・下水汚泥の輸送をトラックからパイプへ

・下水汚泥の処分を埋立処分から有効利用へ>

などと、いいことばかり書かれています。そうであって欲しいですね。

 

また脇道に入りました。

 

<メーカーはスラグと土を混ぜ、施工業者に販売。あるメーカーは「スラグ入りは運搬費がかさみ、通常の土より6倍ほど高く1トン1200円程度」と話す。市発注の12~16年度の工事では、年間1万5000トン前後のスラグが使われる設計だった。しかしメーカーが市から購入した量は年間675~3024トンで、22~5倍の開きがあり、5年間の平均は8倍の差だった。指定通りスラグを使った場合と比べ経費が数億円安かった可能性がある。>

 

施工業者は、ほとんどスラグ入りを使っていなかったようですから、一体、スラグはどうなったのでしょうか。本来なら舞洲スラッジセンターの年間産出?量約9000tで、市発注工事で年間15000tも使うのですから、全部それに使っても他の施設から用立てないと足りないわけですね。市発注で、どこからどのように調達するかも検討しないのでしょうか。不思議な話です。

 

だから偽装が成立するのでしょう。それにより何億円もの金額が不当に業者に支払われているわけですね。当然、監査請求をして、業者に差額を返還させる必要があるでしょう。いや、真っ先に大阪市が直接行うべきでしょう。

 

今日はこの辺でおしまい。また中途半端でした。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿