飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

セール修理の荒業紹介!

2020-09-29 20:35:43 | ハング(hangglider)
5年以上乗っていなかった私のグライダー。

これから乗ってやろうと考えたのですが、問題なのはセールの縮み…。

ハンググライダーのセールは生き物ですから、長く放置していたものは当然変質しています。

恐る恐る久し振りにこのグライダーを組み立ててみると…。


あれ?セールのテンションが変わっていない!これは使えるかも!!

バテンや翼端のテンションが昔のままです。

しかし…。

リーディングエッジ(前縁)のセールだけが、すでに劣化してしまい、このままでは安全な飛行に支障が出そうです…。


だったら、リーディングエッジのセールパネルだけ交換しちまえ!

ということで、今回、リーディングエッジパネルの全交換という、かなり大掛かりなセール修理を行うことになりました!


今回ご紹介するこのセール修理の荒業。

ハンググライダーを知る人ならば、「そんなことできるの?」と思うでしょう。

実は出来るのです。

この荒業、実は私が20年以上前に、カリフォルニアのハンググライダーメーカー「ウイルスウイング」で一か月ほど研修を受けた時に、こっそりと

メキシコ人のセール修理の達人から、その方法を教えてもらっていたのです!

写真が残っていました!この方ですね。



その後、数回だけウイルスウイング社のグライダーに限り、日本でもこの「リーディングエッジのパネル交換」はやったのですが…。

近年、そのようなセール修理の需要がなかったため、この荒業も「お蔵入り」になっていたんです…。

今回久々にやるこの荒業…。

しかも、別のメーカーのグライダーでキングポストレス機…。

かなりセールの作り方が異なるはずです。

果たして、うまくできるでしょうか?





ウチは一応ハンググライダーの修理はお手の物…。

設備は整っています。

しかし、今回の「リーディングエッジのパネル交換」は、そんなハンググライダー修理の専門業者にとっても難しい仕事です。

そもそも…。

ハンググライダーのセールは、長く飛んでいればその寸法は変わります。

つまり、新品のセールパネルを入れようとしても寸法が合わないんです…。

そのため、機体ごとに変わってしまった寸法のパネルを、まずは型どりし、それを新しく縫製するしかないんで

す。


では、どうやってその修理を進めていくのか…。

順を追ってご説明いたします。



まずは、リーディングエッジが縫製できるように、アンダーセールを全スパンにわたってはがします。



次に、作業台の上に、リーディングエッジに出来るだけしわが出ないようにセールをピンでとめていきますが…。

リーディングエッジのパネルの後ろ側は、まずどんなハンググライダーでも直線になっています。

この直線がずれないようにピンでとめていく必要があります。



この作業が終わると、今度はリーディングエッジの前側に、両面テープを全スパンにわたり張り付けていきます。



この部分が、新しく張り替えるセールのための縫い代になるんです。


リーディングエッジのパネル交換では、決して古いリーディングエッジ全部ははずしません。

こうやって、リーディングエッジの前側だけは縫製をそのまま残し、(つまり、メインセールは一切手を付けず

、あくまで上のリーディングエッジパネルのみを交換する)作業を進めていくんです。


新しいリーディングエッジパネルは、上の縫い代として残したセール部分に重ねて縫製するわけです。


この方法ならば、手間も随分と省け、正確に新しいリーディングエッジのセールパネルが縫い付けられるわけです。

その後は、両面テープで張った縫い代部分を残して、古いセールを切り取っていきます。



この切り取られた古いリーディングエッジを、新しいリーディングエッジの「型」として使用します。

この後の作業については、次回にご紹介いたします。
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