日々の出来事

当院の出来事を紹介します

皮膚病の診断・管理

2014-09-08 13:13:37 | Weblog
今、平井先生がフレンチ・ブルドッグの不妊手術をやっています。
この子には、同時に皮膚のバイオプシー・生検をする予定です。
 
  なぜか・・・

ものすごくひどい皮膚病で、他院で長く引きずってしまっていたからなんですね。
とにかく痒い!らしい・・・。
食事を治療食にしていたようですが、改善しなかったそうです。

ちなみに平井先生が初診で診た際、皮膚表面のスタンプ検査やスクレーピング検査(顕微鏡で観察する検査)
被毛の顕微鏡検査をさせてもらったら、「今まで一度もそんな検査はしてもらっていない!」と驚かれていたようです。こんなの初歩の初歩、当たり前のあたりまえであります。どんな皮膚科の教科書や専門誌でも、必ず書いてある確認項目なんですね。今までの獣医さんは、そういう基本をはしょってしまっていたのでしょうかね。

基本通りに話を進めていきます。通常は皮膚の感染(細菌・カビ・ダニ)を除外し、皮膚の過剰な炎症を押さえ込む治療を行います。回復しないか、再発する場合は、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質(花粉やほこり・食品蛋白など)を考慮して評価を検査で確認しています。ホルモン失調が背景にあるような場合もあれば、非特異的な変化や先天性の問題を抱えている場合もあるため、疑わしいときは皮膚のバイオプシーを行っています。避妊・去勢していない犬は、皮脂の分泌が性ホルモンの影響を受けてしまいます。今回はそれを抑制するために不妊手術をしているわけなんです。

皮膚のバイオプシーを専門家に評価してもらえば、極めて客観的な治療の指針となります。治りが悪い場合は必須の検査であると、私は考えています。基本に忠実に話を進め、先入観を持たず、わからなければ専門家にご相談、これが私のやり方です。

先ほど平井先生から、皮膚の切開をしたら腹壁から「非吸収糸」が見つかったと聞きました。おそらく3年前の帝王切開時の縫合糸でしょう。もしかしたら、この糸に対する異物反応で皮膚がひどいことになっているのかもしれません・・・。腹壁上の皮下組織もすごく固いそうですので、ダックスフントなら「縫合糸肉芽腫」も疑ってしまうケースですね。

脂漏症で体臭も凄いし、とにかく引っ掻くからフケも凄いのです。何とかして、ワンちゃんにとっても飼い主さんにとっても快適な生活ができるように、治してさしあげたいと思っています。