俺もお前も人生の敗北者

とりあえず否定から入るネガティブ思考で常にB級嗜好なATOPのブログ

ブックレビュー

2009-03-15 14:02:09 | レビュー

文庫『青春デンデケデケデケ』(著:芦原すなお)★★★

<あらすじ>
1965年の春休み、ラジオから流れるベンチャーズのギターがぼくを変えた。“やーっぱりロックでなけらいかん”―。四国の田舎町の高校生たちがくりひろげる抱腹絶倒、元気印の、ロックと友情と恋の物語。青春バンド小説決定版。直木賞、文芸賞受賞作。


まーまーでした。映画版は少し見たことあるんですけど、まぁこんな話だったと思います。昔の作品らしく、言葉は少しつたないんですが、それが高校を卒業したあとの人が改装していくって感じがしていて逆に良かったかもしれません。

まぁでも抱腹絶倒ではないです(汗。これが今の青春に該当するかって言うと…まぁ古さは否めません。ただ、最後の部分で語られる卒業という終わりの時の悲しさはすごくよく描かれています。こういう悲しさ・寂しさなんですよね。突然終わっちゃうんだよね。それを受け入れられる人もいれば、受け入れられない人もいる。私はきっと受け入れられないで、主人公と一緒でとまどってどっかに旅立ってしまうかもしれません(笑。

途中、大して面白くない部分もありますが、最後の部分を読むためだと思って読めば良い作品だと思います。



文庫『まほろ駅前多田便利軒』(著:三浦しをん)★★★★

<あらすじ>
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。


思っていたよりも面白かったです。MALZENでなんとなく買ってしまった本ですけど、悪くなかった。 はっきりいってダメ男2人の話です。人生かなりうまくいってない人が織りなすドラマなんですね。

なんでだか、こういう人生に憧れてしまう私がいるんだよなぁ。人生じゃないのかな、人物像なのかな、すげぇうらやましく思うんです。ダメ男願望…願望じゃなくても十分ダメ男ではありますけど(笑。

「不幸だけど満足ってことはあっても、後悔しながら幸福だということはないと思う。」

が印象的だったかな。この2人がダメ男なり良い味出して、面と向かっては良いことは言わないんですけど、いろいろやった結果大事なものを教えてくれる気がします。そんな作品でした。ちなみにまほろ市は町田市のことですね。



絵本『 おでんくん―あなたの夢はなんですかの巻』(作:リリー・フランキー)★★★

<あらすじ>
おでんくんたちは、今日もどこか牧歌的な雰囲気が漂うおでん村で、鍋の向こうのお客さんに食べられるのを待っています。その間、おでんくんは、まわりの困っている住人たちのために、頭のハチマキをシュルリとほどいて、なんでも夢がかなう「夢おかか味のおにぎり」などをポトリと出し、のぞみをかなえてあげたりしています。また、お店のお客さんのお母さんがガンにかかっていることを知らされると、鍋の外の世界に飛び出し、お母さんに食べられて胃の中に入り、ガン細胞のガンノスケと対決したりもします。そんなおでんくんの夢は、自分のお母さんに会うこと。その日を楽しみに、おでんくんの1日1善の日々は続きます。


最初は『どれどれ』 と思って読んだんですね。途中は『ふんふん』 って読んでいって最後は『えー!』でした(何。ぶっちゃけあらすじの通りです。これの良さがいまいち分からなかったんですけど。なんで売れるんでしょうか…。

まぁ単純なストーリーとしてはありかなって思う程度です。可もなく不可もなく。

ものを言わぬテレビ

2009-03-15 01:15:06 | 社会問題
テレビや新聞のことに興味ある人だけ読んで下さい。原稿用紙6枚くらいの分量をまじめに書いているので、興味ない人にとっては苦痛です。


最近のテレビ…最近に限ったことではないのかもしれないけど、とにかくここ最近テレビを見ていて思うことは意見を言わなくなった。おとなしくなった気がする…どちらかといえば悪い意味で。

政権批判とか政治の問題は結構言及している。というか公人の批判を多くやるようになった傾向があって、それ以外のことになるとあった事実だけを伝えて終わりにするパターンが私としては目に付くようになった。

たとえば麻生さんとかの揚げ足取りはともかくとして、もちろん政策の不十分さについてはまじめに意見や懸念を述べるのは当然だと思うんですね。でも、フィリピン人一家の強制送還についてとか、学費を滞納していた生徒に卒業証書を渡さなかったことについてとかの報道の仕方には結構疑問に思う。

事実を伝えてるには伝えているけど、どっち側に立った意見なのか分からないんですよね。もちろん新聞各社はどうしろってことを社説で書いていたりするのに、テレビではそういうことはしない。これっていうのは新聞業界がそういうことをテレビ業界にさせているってことなんですかね?

テレビって無料でみられるんですけど、新聞って買わないと読めないわけだから、自分のグループのテレビ局にわざと出し惜しみをさせて、新聞との差別化を図っているのかしら。

当然、テレビの方が影響力が強いという意味で公平・中立な報道をするってことで敢えて避けているのだろうなぁと思いますし、余計なことをいうと苦情だったり批判を受けるからそういうことがないように逃げてるだけだっていえばそうなんだろうと思う。

でも、公平・中立な報道を心がけるなら「こうすべきだ!」と一概に言えず世論を二分するような問題は、両方の意見を提示することが公平・中立だと個人的には思うんですけどね。

フィリピン人家族の問題だって、在留を認めるべきだという意見も政治的や経済的な見方を提示すべきだろうし、強制送還すべきだという意見も同様に提示すべきだと思う。それを単純に一家の映像だけを垂れ流しているのこと自体が偏向報道な気がするんですけどね。

もちろんマスコミ全体の意見としては一家に対して同情的に捉えてるのは伝わってくるんですけどね。それはわかるんだけど、この問題にかこつけて外国人の労働力がないと日本社会は成り立たないとかいう意見には私はチョット納得がいってないですね。それと不法滞在の問題は近いようで全く別な気がします。

人権団体が「在留許可を」といって運動しているのは報道されますけど、国粋主義的な右翼団体は「強制送還しろ」っていってるとか報道されてないような気がします。もしかしたらそういう運動はやってないのかもしれませんが。

どちらも極端な意見ですけど、そういうことがあるという話を提供しないテレビって言うのは、国民を無視した報道のような気がしてきます。ご自身は国民を無視した政治とよく自民党政治を批判なさっていますが。無視してるって訳じゃないと思いますけど、意図的に溝というか距離をとっている気がしてなりません。私が言いたいのはそこです。ものを言わないテレビ。

そういうことをやってしまったからこそ、ネットがものを言う世界になってしまった気がするんですよね。ネットそのものが匿名性が高いという理由でものを言いやすいのもあるのだけど、テレビがあまりにも国民や自分の気持ちや考えを代弁してくれなかった反動がそこにあるように思います。

はっきりしない大人に対する怒りというか諦めの気持ちに似たものがネットというメディアに蔓延していているのではないかっていうことです。

これは直接は関係ないですけど、自衛隊の護衛艦がソマリア沖に出て行きましたけど、これを徹底的に討論しないテレビはすでにマスメディアとしての価値はないだろうし、死んでるに等しいと思うのは私だけですかね。NHKのニュース9はトップニュースで15分~20分くらい割いて、かつコメンテーターが解説や意見を述べていましたけど、他の報道はなぁ…。(私個人としてはこの出来事は平成の義和団事件だと考えているんですけどね)

テレビがうけない理由はそこにあるような気がします。

あんまりテレビの悪口ばっかいっても仕方ないので逆に評価できることを。久米宏の「テレビってヤツは」あるじゃないですか。あの番組の良いところは最近話題になったことを早い時期(リアルタイム的)に、話題の人を呼んで30分くらいも割くところです。あーいう一見電波の無駄遣いをしているようで、結論まではたどり着かないまでもじっくり色んな意見を色んな方向から集めて提示する番組は、この番組を除いてないと思う。これを見てしまうと太田総理とか、テレ朝でやってる劇団ひとりの番組とかくっだらないです。

ただこの番組にも欠点があって、報道なのかバラエティなのか分からないところですよね。これは久米さんだからニュースステーションのころにも見られたことですけど、非常にそこが曖昧で重要性が伝わってこないんですよね(汗。

でもね、TBSの報道の仕方は良いと思うんですよね、純粋に。報道の仕方であって結論とかは気にくわないですけど(何。サンデージャポン、久米宏のテレビってヤツは、ニュース23。それぞれ目の付け所は鋭い。ジャーナリズムらしいことをやっている気がします。他は軽いです。情報の垂れ流しをしているだけで意味がないように思えます。

テレビも本気出さないといけない気がするんですけどね。