ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

サリナス・ロデオへ行ってみる。

2024-08-16 03:01:46 | 生活

サリナス・ロデオに行ってみるとは、筆者が2024年の7月にカリフォルニア州サリナスで開催されたロデオ大会へ行った日の思い出のことである。“そういえばロデオを見に行っていない”と思ったのは、数ヵ月前のことだ。ロデオは、ジーパンや野球やアイ・フォンなどと違って、日本ではなかなか体験できないアメリカ文化のひとつだろう。“行けたらいくべきである”と思って、何の気なしに近辺のロデオイベントを調べると、このサリナス・ロデオが出てきた。他にもちらほらとベイエリア近辺でロデオのイベントがあるようだ。ああいったカウボーイのイベントは、てっきりテキサスなどの南部州がメインだと思っていたので、筆者は嬉しくなって“一人で見に行くこと”のリスクも考えずにチケットを購入していたのだった。

 

 

このロデオの思い出は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。

 

 

①大会の概要

“サリナス・ロデオ”と銘打ったロデオ大会は、毎年夏が盛る7月中旬に3日間に渡って開催されている。どうやら1911年から続く伝統ある大会のようだ。開催時間は午後1時から夕方5時半までと、かなりの長丁場である。筆者は最終日の日曜日のチケットを購入していた。サリナスの町へは、ベイエリアからは車で南へ二時間ほど走ることになる。以前サン・ルイス・オビスポ紀行を行ったときに立ち寄ったサリナスは、畑の土埃の匂いと日差しが強く、かなり暑かった記憶があったし、それにロデオは夏のイベントに違いないので、サウス・サンフラシスコであればけっこう寒い半ぞでTシャス姿で出かけてみた。101号線はギルロイを過ぎた辺りから渋滞気味である。まさかロデオが原因ではあるまい。

 

 

 

②いざロデオ会場へ

との予想どおり、156号線と分岐するところで、ほとんどの車がモントレー方向へ進んだので、渋滞はなくなり、ほどなくして大会が行われるサリナス・スポーツ・コンプレックスに到着した。しかし周辺はかなりの混雑で、会場駐車場入り口には車が列をなし、道路を挟んだ正面のショッピング・ゾーンには“ロデオ客の駐車はお断り!”の看板が立つ。歩道にはカウボーイ・カウ・ガールの出で立ちの人々がぞろぞろ歩いている。けっこうなイベントだ。筆者は“一人で見にきたこと”への不安が募ったが、ここまで来て逃げ帰るのも恥なので、会場から少し離れた錆びれた住宅街へ路上駐車し、会場まで徒歩で向かった。この日はあいにく曇天で気温が低く、半そでTシャツだと薄ら寒い。

 

 

 

③会場の雰囲気 その1

まず書いておかねばならないのが、会場の人々の恰好についてである。選手だけなく、観客が皆、カウボーイ・カウガール姿なのである。それは阪神ファンや加茂ジャパンファンなどといった、特定のチームを応援するための装いではなく、ロデオを見に行くための“正装”に近いものであり、日本でいうところの“夏祭りに出かけるときの浴衣”のようなものだろうか。まぁ、カウ・ボーイの方はどうでもいい。なぎら健壱風の恰好の人で溢れているだけである。だが女性は、背中やおっぱい近傍が露わになった衣装の人が多く、特にティーン・ネイジャー・ガールのグループなどがそのような恰好で、やや恥ずかしそうに歩いているのを見ると、30歳独身日本式サラリーマンといえども競技よりもそちらの方が気になるのは生物学的には正常である(はず)。しかし場にそぐわないのは明らかにこちら(“台湾”と書かれた怪しいベースボールキャップ、オカバシの便所サンダル、Tシャツ)なので、必死に見ないようにしながらチラチラ見ることになる。人々にとっては、スポーツというより、パーティーのようなイベントのように見える。

 

 

④会場の雰囲気 その2

その他の会場の様子にもサラリを触れておく。会場の外にはカウボーイ関連のグッズ販売や、ビール・食べ物の露店、それに射撃の出し物やカントリーミュージックライブ、子供用の乗馬コーナーといった、まさにお祭りの様子で、観客と共にゼッケンを付けた競技選手と思しき人々も練り歩いている。思いのほか白人層が多く、ヒスパニック系と半々といったところだ。射撃の出し物は、風船を投げてそれを早撃ちするという、日本では決して見られない恐ろし気な出し物で、それを子供らに見せてキャッキャと喜んでいるファミリーを見ると、文化の違いを感じる。

 

 

⑤競技

競技場は、観客席から練習場のようなグランドを挟んだ向こう側で、結構遠い。それでも選手たちが暴れ馬に乗ったり、逃げる牛を投げ縄で捕らえたりする様子にはなかなかの迫力がある。また、競技を終えた後に牛を牛舎へ追い込んだり、暴れ馬をなだめるためのカウボーイ姿の係員がおり、彼らがけっこう選手よりも目立つのも興味深い。だが、それらの競技が選手の男女別、もしくは馬の雄雌別で繰り返されるだけなので、やや単調である。よって競技の最中には、客席に近い練習場グラウンドで観客を喜ばせるダンス・ショーや馬乗りサーカス、屈強な男チームが牛を追いかけて捕らえてズボンを穿かせる珍妙な競技などが行われ、観客を飽きさせない仕組みになっている。競技と競技の合間には大会のスポンサー企業の旗を振った騎手が会場をグルリと走る様は、相撲の懸賞旗を思い起こさせる。スポンサー社は建設業やトラック運送業、精肉会社など、やはりトランプ候補支持層臭が強めになっている。

 

 

さて筆者は寒いのと、淋しいのと、多少の飽きで、最後のメインの“牛乗り”は見ずに会場を出た。悲しきアジアン・ボーイ、熱々カウ・ガールとのハプニングなど期待するべくもない。帰宅後にビールを飲みつつこのイベントについて調べていると、会場にはかつて太平洋戦争のおりにはバラックが建てられ、日系移民の一時収容所になっていたのだという。本ブログの、イースト・シエラ・ネヴァダの旅の回で紹介したマンザナール収容所へ送られる前に収容されていたのだ。サリナスへは日本から農業従事者が多く訪れ、彼らが真面目に働くせいで、他の労働者が職を奪われてしまい、顰蹙を買っていたようだ。思いがけず、また日系移民と関係のある場所を訪ねたようだ。来年は反米と鎮魂を胸に、なぎら健壱ルックで出かけてみようかな、萩原流行さんルックでもいいかな。以上が、サリナス・ロデオのルポである。


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