ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

五香干豆腐

2019-05-18 16:18:59 | 食材
五香干豆腐とは、亜東超級市場で手に入る干豆腐のことだ。日用品と人生のネタになりそうな珍品を求めて亜東超級市場に通い始めて2年が経とうとしており、手ごろな珍品はだいたい挑戦しきった感がある。“これも食った、あれも食った”と思いながら店内を歩けるほどだ。瓶詰にされた珍奇な魚類や、真空パックされたアヒルの卵黄、冷凍保存された田螺のような貝など、手ごろでない珍品ならまだいくらかあるのだが、それに手を伸ばす勇気が湧いてこないのは、筆者が既に30代後半の独身日本式サラリーマンだからであろう。日常の生活空間からトビウオのように跳ね上がる筋力はまだあるはずなのに、気力がない。なので今日も“手ごろな珍品”である五香干豆腐の紹介だ。


この食材の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①干豆腐 見つける
亜東超級市場の一番南側の陳列コーナーは、左側に肉類、右側に野菜が並び、そこを進むと左側は肉類から鮮魚コーナーに変わる。さらに奥へ進むと麩や、植物の葉でくるまれた怪しげな加工肉、そして豆腐などが並ぶエリアに突き当たり、そのすぐ隣の冷蔵コーナーに干豆腐が置かれている。干豆腐はビニル真空パックされているので保存が効くのであろう、山積みにされている。いくつか種類があるのだが、どれも“五香干豆腐”と銘打たれており、違いはどうやら大きさと形状のようだ。


②干豆腐 見た目
筆者が購入する干し豆腐は一片が4㎝ほどの正方形の座布団型で、10㎝程度四方のビニルに“田”の字のように4区画に分かれてパッキングされている。封を開けて見ると一区画に3枚の干豆腐が圧縮されていることが判明した。つまり、一パックに合計12枚の座布団型の干豆腐が詰められているというわけだ。干豆腐は豆腐を圧縮脱水したもののようで、さわり心地はとても固く、ねじったり曲げたりしてみても弾力があって「ぶりん」という感触と共に元の形状に戻る。だがさらに力を加えてねじったり曲げたりすると千切れるように割れてしまう。この感触はまさに消しゴムであり、幼少期に消しゴムに対して妙な食欲を憶えた記憶がある30代独身日本式サラリーマンにとっては魅惑的な品物だ。表面の色は何故か茶色く、中身は白い。



③干豆腐 食べる
干豆腐は千切りにして炒め料理に入れるのが一般的で、サンマテオ市の25番通りの“毛家菜”でもそのように出されていた。しかし幼少期に消しゴムに対して妙な食欲を憶えた記憶がある30代独身日本式サラリーマンは、そのまま食べてみるとよいだろう。座布団干豆腐を3~4mm程度の厚さで薄切りにし、好みの調味料を付けて食べるだけだ。それはすこぶる滋味である。まるで消しゴムのような歯ざわりに、ほんのりとにがりのような風味がするのみだが、よく噛むと大豆の味がやってくきて、わさびや醬油、マヨネーズなどを少し付けて食べるとなかなかよい肴になる。商品名には“五香”と銘打たれているが、香料が足されている気配は感じない。筆者は購入した干豆腐を予め切っておき、食事の副菜として愉しんでいる。

 
 さて、本稿を執筆中に、試しに“消しゴム 食べたい”とグーグルで検索してみたところ、“Rinaのブログ”という2012年を最後に打ち捨てられた廃ブログに行き当たり、しばらく読んでしまった。当時の京都の女子大生のウキウキキャンパスライフが等身大の文章力で綴ってある。私のキャンパスライフとは全く縁のなかった可愛い女子大生のプリクラなどもバンバン貼られてあり、遠い世界を感じた。当時のもの寂しい大学下宿生活の匂いと、今の30代独身日本式サラリーマンの長屋生活の匂いがあまり変わらないことに絶望を感じ、消しゴムを齧った。

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