ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

オークヒル・メモリアルパーク

2021-09-14 13:09:33 | 生活
 オークヒル・メモリアルパークとは、サンノゼ市の共同墓地である。先日のロス・ガドス・メモリアルパーク訪問時に、筆者の故郷(の近く)からその昔米国に渡った大田亀吉一家の墓を見つけ、いちおう町の役所に連絡をしてみたという話を記載した。その後、町役場から返事があって“移民の人々の記録は町ではなく県で管理しているので、県の管轄へ報告した”との内容であった。大したことのないやりとりで終わってしまったが、それでも何となく“人とのつながり”を感じた筆者は、可能性を求めてさらなる墓を巡ることにしてみたのだ。墓には出会いがある。すれ違いがない。



この墓参りの詳細は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①経緯
上に挙げた経緯に加えてオークヒル・メモリアルパークを参ることにした理由がもうひとつある。これもまたサンノゼ日系アメリカ人ミュージアムを訪ねた際に購入した本に、“サンノゼジャパンタウンの人々の多くはオークヒル・メモリアルパークに埋葬されている”との記載があったので、「であるなら・・・参らねばなるまい」と思いたったのだ。もちろん“普段から暇をしている”というのが最も大きな理由なのは、読者諸氏の知るところであろう。


②オークヒル・メモリアルパーク 立地・雰囲気
オークヒル・メモリアルパークはサンノゼ市南部にあり、カルチャー・アヴェニューにある入口から車を乗り入れるとその広大さがすぐにわかる。ウィキペディアによればその面積は300エーカー(1.2平方キロ、と、東京ドーム28個・・・)もあるそうだ。南西方向に緩やかに上る傾斜地に延々と墓石が並んでいる。園内は車道が整備されているのですべて見て回るには車がよい。ちょうど筆者はポンコツカローラを修理に出しており、折からの車不足の影響で、需要の少ないシボレーのピックアップトラックを代替車にあてがわれていたので、車高の高いトラックでサファリ気分での楽しい墓見物となった。


③オークヒル・メモリアルパーク 立地・雰囲気
そこはあらゆる人種や宗教の人々の墓が立ち並ぶ、墓の万国博覧会状態になっている。エリア毎に庭園のデザインが異なっていて、観音像や仏像やキリスト・マリアなどの像が並び、墓石の種類も変わっていって面白い。非常に風通しの良い開放的な雰囲気で、愛する人の墓の前に椅子を据えて音楽を聴きながら過ごす人たちなどが散見される。よりじっくり観察すれば、各文化圏の人々の墓との付き合い方も見て取れて楽しいかもしれない。南端の丘の上からはサンノゼの町が一望できて特に気持ちがよく、そこに建つキリスト像はリオデジャネイロに来たのかと少しだけ錯覚するほどだ。さらに丘の上には大きな原爆ドームに似た建物があり、その中は最近日本でも流行の兆しがあるコインロッカー式の墓がずっしりと入っている。トイレも整備されているのでここで用を足すことができた。


 

 日系アメリカ人の墓地は丘のふもとの園の中央付近にある。相当な数の墓石があり、本当にたくさんの人がアメリカに移り住んだことを実感するとともに、勤勉で薄給を気にしない日本人労働者がどんどん白人労働者の職を追いやり、その後の排斥運動につながっていった事実もわかるようだ。やはり日本の出身地を明記した墓石が多く、移り住んだ後にも日本の故郷に誇りや懐かしさを抱き続けた人々の思いを感じ取ることができる。九州の人が多いようだ。合理的に考えるならば墓など意味がない。死ねばそれまでだ。30代独身日本式サラリーマンならなおさら意味がない。でも、ある。そこかしこにある。これだけ科学が発達しても、人は墓を作らずにはいられない。ニンゲンが墓を必要としなくなったとき、いったい何が起きるだろうか。そんなことを考えながら、オークヒル・メモリアルパークを去った。

コメントを投稿