フォー・サイゴンとは、ウエストハートフォード市にあるベトナム料理屋だ。ハートフォード地区も御多聞に漏れず多くのフォー店がある。日本人にもたいへん食べやすく感じるフォーの存在で、30代独身日本式駐在員の食生活は随分と救われている。しかし米国中どこでもこうやってフォーを気兼ねなく啜れるのは、ベトナム戦争終結とともに南ベトナムを脱出してきたボートピープルの苦難と、それを受け入れたアメリカの懐の大きさのお陰であることを忘れてはいけない。とはいえ筆者がこのフォー・サイゴンでお勧めしたいのはフォーではなく、“粥”そして“フライドチキン”である。
このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。
①粥のうれしさ
“食欲がないのに胃が寂しい”“二日酔いで何も食べる気がしないのに元気がない”そんなときに熱々の粥は嬉しい。ベイエリア30代独身日本式サラリーマン時代にはフォスター・シティのナインティナインマーケット脇やミルブレーのCHEUNG HINGといった中華料理屋で豚肉とピータンの粥を食べたものだったが、ハートフォード地区にはまともな中華料理屋がないので粥のことは半ば諦めていたし、ベトナム料理屋ではメニューを吟味することもなくもっぱらフォーを選んでいたため、長く粥の存在に気が付かなかった。
②アクセス
亜東超級市場のあるウエストハードフォード市南部のエルムウッド界隈はベトナミーな香りが強めなエリアで、バーミーのお店や潰れたベトナム系スーパーの廃墟、複数のフォーのお店が散見される(中華系の同僚によると亜東超級市場も中華系スーパーというよりはベトナム系なのだそうだ)。フォー・サイゴンも亜東超級市場のある商業エリアと車のパーツ屋を挟んで隣接している。だが店の建屋は街路樹で隠され、建物自体もまるで貸倉庫のような風貌なので気が付きにくい。店の入り口にはロングヘアの女性の肖像画に“PHO”と描かれたポスターが貼られていて、気持ちが悪い。
③店内
店内は安作りな木製テーブルが狭苦しく並び、ゆっくりと食事を愉しむというよりはササっと食ってササっと金を払って帰る安食堂風な雰囲気だ。戦前の文豪のような風貌の中年の眼鏡中華系ベトナム男がホールを仕切っていて、ホールのテレビにはいつ行ってもベトナムの紅白歌合戦のような歌謡ショーの様子が流れている。一昔前の雰囲気の衣装を身に纏った歌手やバンドマンたちの演奏を、最新LEDテレビのとてもクリアな映像で見ていると不思議な気持ちになる。
④メニュー
お粥にはいくつかの種類があってどれも基本的に具沢山だ。豚モツ粥は豚のモツ各種に血液の塊までふんだんに入れられていてモツ大好きニンゲンでもやや食傷気味になるが、生姜や香草で臭みは抑えてあって食べやすい。豚肉とピータン粥は味が濃い目でピータンがどっさり入っているてこれもまたやや食傷気味になった。プレーン粥に胡瓜というあっさり系の粥もあるので次回試す予定だ。酒は置いていない。
⑤フライドチキン
モモ、足、手羽の部位別に1ピースから注文できる。30代独身日本式駐在員がアメリカのスーパーで時折購入するしんなりして衣がすぐにペロンと剥がれるかなしいフライドチキンとは異なり、注文してから揚げてくれるので嬉しい。熱々トロトロお粥にサクサクのフライドチキンの組み合わせは新しく、“食欲がないのに胃が寂しい”“二日酔いで何も食べる気がしないのに元気がない”という理由でやってきたのにガツガツ食べてしまって食傷気味になる。
「働く男の長靴が好きでした」という悲しい性癖を持つ50代男性が、14足ものゴム長靴を鶏肉加工場から少しずつ盗んでいたことが発覚して逮捕されたそうだ。彼に対する世間の反応は、女子高生の体操服を盗むマジョリティ変態に比べて妙に同情的で、勇気づけられたり、中には尊敬しだす人までいて面白い。普通と呼ばれる性癖を持ちつつそれが満たされない30代独身日本式サラリーマンにしてみれば、長靴で欲望が満たされるなら安上がりで、プライドが傷つくこともなく、好きなように相手(長靴)と寄り添えるのでむしろ生きやすいのではないかと思ってしまう。ニンゲンが異性でなく長靴を愛するようになれば、犯罪は減り、ハラスメントはなくなり、平和が訪れ、そしてニンゲンは滅びる。
このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。
①粥のうれしさ
“食欲がないのに胃が寂しい”“二日酔いで何も食べる気がしないのに元気がない”そんなときに熱々の粥は嬉しい。ベイエリア30代独身日本式サラリーマン時代にはフォスター・シティのナインティナインマーケット脇やミルブレーのCHEUNG HINGといった中華料理屋で豚肉とピータンの粥を食べたものだったが、ハートフォード地区にはまともな中華料理屋がないので粥のことは半ば諦めていたし、ベトナム料理屋ではメニューを吟味することもなくもっぱらフォーを選んでいたため、長く粥の存在に気が付かなかった。
②アクセス
亜東超級市場のあるウエストハードフォード市南部のエルムウッド界隈はベトナミーな香りが強めなエリアで、バーミーのお店や潰れたベトナム系スーパーの廃墟、複数のフォーのお店が散見される(中華系の同僚によると亜東超級市場も中華系スーパーというよりはベトナム系なのだそうだ)。フォー・サイゴンも亜東超級市場のある商業エリアと車のパーツ屋を挟んで隣接している。だが店の建屋は街路樹で隠され、建物自体もまるで貸倉庫のような風貌なので気が付きにくい。店の入り口にはロングヘアの女性の肖像画に“PHO”と描かれたポスターが貼られていて、気持ちが悪い。
③店内
店内は安作りな木製テーブルが狭苦しく並び、ゆっくりと食事を愉しむというよりはササっと食ってササっと金を払って帰る安食堂風な雰囲気だ。戦前の文豪のような風貌の中年の眼鏡中華系ベトナム男がホールを仕切っていて、ホールのテレビにはいつ行ってもベトナムの紅白歌合戦のような歌謡ショーの様子が流れている。一昔前の雰囲気の衣装を身に纏った歌手やバンドマンたちの演奏を、最新LEDテレビのとてもクリアな映像で見ていると不思議な気持ちになる。
④メニュー
お粥にはいくつかの種類があってどれも基本的に具沢山だ。豚モツ粥は豚のモツ各種に血液の塊までふんだんに入れられていてモツ大好きニンゲンでもやや食傷気味になるが、生姜や香草で臭みは抑えてあって食べやすい。豚肉とピータン粥は味が濃い目でピータンがどっさり入っているてこれもまたやや食傷気味になった。プレーン粥に胡瓜というあっさり系の粥もあるので次回試す予定だ。酒は置いていない。
⑤フライドチキン
モモ、足、手羽の部位別に1ピースから注文できる。30代独身日本式駐在員がアメリカのスーパーで時折購入するしんなりして衣がすぐにペロンと剥がれるかなしいフライドチキンとは異なり、注文してから揚げてくれるので嬉しい。熱々トロトロお粥にサクサクのフライドチキンの組み合わせは新しく、“食欲がないのに胃が寂しい”“二日酔いで何も食べる気がしないのに元気がない”という理由でやってきたのにガツガツ食べてしまって食傷気味になる。
「働く男の長靴が好きでした」という悲しい性癖を持つ50代男性が、14足ものゴム長靴を鶏肉加工場から少しずつ盗んでいたことが発覚して逮捕されたそうだ。彼に対する世間の反応は、女子高生の体操服を盗むマジョリティ変態に比べて妙に同情的で、勇気づけられたり、中には尊敬しだす人までいて面白い。普通と呼ばれる性癖を持ちつつそれが満たされない30代独身日本式サラリーマンにしてみれば、長靴で欲望が満たされるなら安上がりで、プライドが傷つくこともなく、好きなように相手(長靴)と寄り添えるのでむしろ生きやすいのではないかと思ってしまう。ニンゲンが異性でなく長靴を愛するようになれば、犯罪は減り、ハラスメントはなくなり、平和が訪れ、そしてニンゲンは滅びる。