ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

アメリカン時計博物館

2019-03-10 16:26:38 | 生活
 アメリカン時計博物館とは、コネチカット州ブリストル市にあるミュージアムだ。紀元前の昔からずっとニンゲンは不老不死を願いその術を探求してきたが、未だにいつ訪れるか分からない死を待ちながら生きている。米国における日本文化研究の第一人者ドナルド・キーン氏もまた先日亡くなった。ドナルドさんのエッセイ“二つの母国に生きて”を読むと“あぁ、この人に日本を研究してもらって本当によかった”と思うものだ。知識があり、冷静な批評家の目があり、そして日本への深い愛がある。筆者の本ブログも30代独身式サラリーマン諸氏への愛の深さついては負けていないと自負していますがいかがでしょうか。


 このミュージアムの特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①ブリストル市
ハートフォードの南東部に位置する静かなこの町は、大きな商業エリアもなく、特定の人種のコミュニティがあったりするわけでもないようなので特に足を運ぶことがなかった。しかしとある曇天模様の休日にいつものように愚かなグーグル地図でミュージアム探しをしていると、この町には今回の時計博物館や、ハロウィンシーズンの週末にしか開かないクラシック映画ミュージアム、それにカルーセルミュージアムといった一風変わったミュージアムがいくつかあったので、探検してみることにしたのだ。


②アクセス
アメリカン時計博物館はブリストル市内のフェデラルヒルと呼ばれる小高い丘の住宅街にある。広々とした庭付きの立派な家が並ぶ住宅街で、古めの教会などもあるので、なかなかに歴史のある高級住宅街のようにも思われる。


③アメリカン時計博物館へ入る
そんな高級住宅街の交差点の角にアメリカン時計博物館がある。一見新しめの教会のような作りの白い建物だ。中に入ると品の良い白人中年女性が受付に座っている。『ここは初めてか』、『案内は必要か』などと親切に声をかけてくれるが、丁寧に『英語が不得手なので案内は遠慮させていただきます』と答える。すると『最初の口上だけでも聴いていって下さい』と言われ、ミュージアム設立の経緯や歴史について数分の講義を受けることになる。口上によれば19世紀はニューイングランド地方は世界有数の時計生産地であり、ブリストル市にもイングラハムという大きな時計メーカーがあったそうだ。そんな時計産業もヨーロッパやアジアに押され、より利益が得られる電気機器産業へと移っていったものの、社長のイングラハム氏はこの地の歴史遺産としてミュージアムを作ることとにした・・・といったとこまで何とか筆者は理解したのだった。

④アメリカン時計博物館を観賞する。
19世紀の機械式の柱時計や掛け時計、懐中時計にポップな目覚まし時計などが綺麗に展示されている。構造がむき出しにされて時を刻む構造がわかるようにしてあるものは、ぜんまいが歯車を動かし、歯車が次の歯車を、そして最後の歯車で針が動く様をじっくり眺めることができ見ていて妙に気持ちがいい。そして沢山の古時計が動いていたり、止まっていたり、あさっての時間を指していたり、ふいに時を告げる音が鳴ったりする空間は、普段の生活では “今” の時間しか見ないニンゲンにとっては大変不可思議で時を忘れる。とはいえ小ぶりなミュージアムなので1時間もあれば全て見終わってしまうだろう。


 時計の音は妙に落ち着き、ミュージアム全体が癒しの空間になっていたので、筆者は時計を沢山集めててんでばらばらの時間を示す喫茶店を作れば、物好きなメガネ風婦女子共が集まるのではないかとふと思いついた。しかしそんなカフェは日本各地にもう在るようだ。所詮平凡な30代独身日本式サラリーマンが思いつくようなことは、もうずっと前から誰かが実行に移している。それに万一誰も実行していなかったとしてもそれをやってみる気概はない。そんな30代独身日本式サラリーマンは、時間を自由に操れるマシンに乗って過去に戻ったところで自分の未来を変えるほどの勇気もなく、また30代独身サラリーマンになって現在に戻ってくるに違いない。