まるみのあっちこっち巡り

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大正の面影を今に伝える洋館 三鷹市立山本有三記念館

2019-03-28 00:11:40 | お出かけ 東京



三鷹駅南口から玉川上水沿いに約800m続く
「風の散歩道」という愛称のある道路は、
井の頭公園へ向かう、武蔵野の自然が残る散歩道。
10分程歩くと右側に緑に囲まれた洋館が見えてきます。







石を自然に積み上げたような煙突が特徴の
三鷹市立山本有三記念館は、作家・山本有三が
1936年から1946年まで家族と暮らした家で、
代表作「路傍の石」や戯曲「米百俵」を執筆しました。







建物を一周すると、前庭と奥行きのある後庭があります。
今日の庭付き一戸建て住宅とは違い、静寂の空間が広がります。
後庭となる南側の庭は有三記念公園(無料)となっており、
四季折々の花と緑を楽しむことができます。







大正末期に建てられた本格的な洋風建築で、
鉄筋コンクリートと木造の混合造で、
地下一階、地上二階建て、屋根裏部屋もあります。

当時の流行を取り入れると共に様々な建築様式が
融合される希少な建築物として1994年に
三鷹市有形文化財に指定されています。







関東大震災後、東京では職場と住居を分離した
暮らしのスタイルが確立され、郊外に住宅地が広がり、
この建物にもこうした時代背景の考え方が
盛り込まれているのだそうです。







吉祥寺に住んでいた有三が、執筆に適した環境を求めて、
三鷹村の洋館を購入し、家族7人で移り住むものの
進駐軍の接収に遭い、やむなく転居することになりますが、
「三鷹は私にとって忘れがたい土地である」と語っています。

個性的な暖炉のデザインや床も見どころです。







木造の階段、親柱の上部には丸みをもたせ、
手すりの柱は木をねじった凝ったデザインになっています。







現在は展示室となっていますが書斎です。
こちらで「路傍の石」を執筆されたのでしょうか?
「今の若い人は、路傍の石も知らないのです」と
嘆かれていたボランティアガイドの方。







和室の書斎ですが、床の間の隣が明るく照らされているのは、
照明ではなく、自然の光であると伺い驚きました。

山本有三の生涯や作品を紹介する施設として公開され、
展覧会や朗読会などを開催しています。
桜や新緑の季節に風の散歩道を歩き、
記念館にも足を運んでみてはいかがでしょうか。

東京都三鷹市下連雀2-12-27

入館料:300円(中学生以下無料)

2019.1.19



土・日・祝日の午後1時~4時ガイドを行っており、
展示や建物の見どころを案内してくれます。
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