じゃ、僕の話をします。

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【追記有り】復活に沸く待合室… 音威子府駅で「日本三大駅そば」常盤軒の蕎麦を。

2019-05-19 | ラーメン・蕎麦・うどん
【令和元年5月掲載/令和3年2月追記有り】

ゴールデンウィークに稚内や浜頓別を訪れた、その旅の終わり。
 
車を上川地方の山間部へと走らせました。
 
目指したのは
音威子府(おといねっぷ)駅。
 
11時過ぎに着いたのですが
駅の待合室には既に行列が。
 
音威子府駅はJR宗谷本線の中間辺りにあるのですが、稚内と旭川や札幌を結ぶ特急が三往復と、地元の方が利用する普通列車が数本停まるぐらい。
 
なので、普通ならむしろ北海道では何処ででも見かけるような、閑散とした駅のはずなのですが明らかにそれとは違う熱気が。
 
皆さんの目的はコレ。
蕎麦です。
 
音威子府の蕎麦は甘皮まで挽いた、いわゆる「挽きぐるみ」。そのため、真っ黒で独特な風味の蕎麦に。
 
そして、音威子府村は蕎麦が栽培できる北限の地。この蕎麦はまさしく音威子府の名物で、それを駅で80年近く提供し続けているのがこの「常盤軒」なのです。
 
ご夫婦で営んでらっしゃるのですが、実は8ヶ月ほど休業していたんですね。新聞によれば、奥様が入院なさっていたとか。
 
自分も含め、このお店のファンの皆さんは、とても心配していたと思います。
 
でも、奥様も退院され、ゴールデンウィーク前に営業再開。
 
その吉報はマスコミでも取り上げられ、ファンは歓喜に沸いた訳です。
 
お客さんは地元近辺や北海道はもちろん、全国から詰めかけます。
 
「日本三大駅そば」の一つ、なんて言われてたりするものですから(ちなみに、他の二つは静岡県と島根県にあるそうです:諸説あり)、日本中の鉄道ファンの憧れの蕎麦でもあるんですね。
 
 実際、列に並んでいると、その洩れ聞こえる会話から、普通に昼食を食べに来たであろう地元の方や、ゴールデンウィークを利用して、久しぶりに懐かしい蕎麦の味を堪能すべく来たであろう北海道民、遠路遥々北海道外からお越しになったと思しき鉄道ファンの方など、老若男女、来店の動機も様々で、実に多彩なお客さんが並んでる事が分かります。
 
営業も10時半から15時までなので、それを逃すまいとさらにお客さんも集中することになり
 
そんな色々な要因が重なった事もあって、この熱気溢れる行列が出来上がった訳ですね。
 
正直、そうだとしても凄いなと、最初にこの光景を見た時は絶句しましたけどね(笑)。山間の静かな音威子府村において、こんな熱い行列が出来あがると言う、このギャップ。
 
皆さん、本当にここのお蕎麦が大好きなんですね。
 
「駅そば」という事もあり、メニューは全て温かい蕎麦。
 
昔は、駅のホームにお店があったんですね。
 
実際、僕も子供の頃、そのホームのお店で買った記憶が鮮明に残ってます。
 
昔は稚内やその南にある豊富に住んでいたことがあり、たまに親に連れられて列車で札幌へ向かう時は、必ず音威子府駅で蕎麦を買ってもらいました。
 
それが本当に楽しみで。
 
当時は、停車時間も数分あったんですね。
 
なので、音威子府駅が近づいてくると、周りのお客さんも徐ろに財布を取り出し、列車のデッキに。
 
そして停車した途端、一斉にホームのお店に向かい、車内持ち込み用の容器に入れてもらった蕎麦を買っては列車に戻る。
 
列車が音威子府駅を発車する頃には、車内には蕎麦つゆの良い香りが充満し、「ズルズルズズッ」と言う、蕎麦を啜る音が彼方此方から響き、蕎麦を買わなかったお客さんはその事を後悔するという事態に。
 
お店は営業を続けて80年ですが、僕もその半分くらいの年月、音威子府の蕎麦を食べ続けてる事になりますね。年越しそばを自分で作るときも、毎年必ず音威子府の蕎麦を買い求めて作ってますし。
 
蕎麦ですから、お客の回転が早いはずなんですが、その長さ故に20分ほど列で待ち続けまして。
ついにご対面。
 
この天ぷら蕎麦は、本当に昔から変わらない味わい深さ。
 
蕎麦つゆは昆布と煮干しを使った出汁だそうです。個性の強い蕎麦ですから、それを受け止める蕎麦つゆもメリハリの効いた味にしているんでしょうね。甘さと辛さのバランスも、他のお店で食べる物とは少し違うような。
 
その蕎麦つゆを吸って崩れた天ぷらを絡めつつ啜れば、馴れ親しみ続けたいつもの味。
 
再会の喜びもあって勢いに乗って、一気に蕎麦つゆも残さず食べ切りまして
再び行列に並び(笑)、今度はシンプルな掛け蕎麦を。
 
お土産用の生蕎麦も購入。直接、紙で包んで輪ゴムで留めてあるだけの、この素っ気なさが逆に素敵。逞しい蕎麦だから、脱酸素剤を入れたり過剰に包装する必要も無いんでしょう。
 
掛け蕎麦だと、この蕎麦の持つ唯一無二の風味をダイレクトに楽しめますね。
 
噛み締めると、力強い蕎麦の風味が鼻に抜けてきます。
 
ただ、この個性的な味が苦手、という方もいるのは事実。まぁ、そこは好みですから。
 
掛け蕎麦を食べてる頃には正午となり、目の前の行列は更に長くなっていました。雨降りだったのですが、お客さんは途切れません。
 
実はもう一回並ぶつもりだったんですが(笑)、行列が流石に並ぶのを躊躇してしまうような長さになってしまい、何やらそろそろ品切れしそう、なんて話も聴こえてきたので、やむなく音威子府駅を後にしました。
 
やはり、この蕎麦が自分には一番ですね。
 
ご主人は、身体が続く限りはお店をやっていきたい、とお話しされてるようです。残念ながら、後継者も居ないとのこと。
 
ご高齢ですから、立ち仕事も大変だと思います。
 
なので、お身体を大事にされつつ無理のかからない範囲で、どうか1日でも長く営業していただきたい。
 
そして、一回でも多く、僕もお店に伺う機会を作りたいと思います。



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