読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

ヴァオリンとミステリーが織りなすドラマ、「マエストロ」(WOWOW ドラマW/2006年)

2007-12-03 06:50:43 | 映画;邦画
監督:星護
原作:篠田節子、「マエストロ」(角川書店)
脚本:平見瞠
音楽:佐橋 俊彦
出演:観月ありさ、中村俊介、伊藤裕子、佐藤めぐみ、宅麻伸、長塚京三

このWOWOWによるドラマWシリーズは実に興味深い作品を映像化していますね。私は加盟していないので残念ながらタイムリーに見ることができませんが、先日取り上げた「孤独の声」も映像化がされていますね。

「マエストロ」とは、「芸術家、専門家に対する敬称。マスターのイタリア語。特にクラシック音楽の音楽家、指揮者の敬称として用いられる。辛うじて該当する日本語は『先生』」。


篠田節子(1955年10月23日-)は、「東京都八王子市に生まれる。小学生時代に冒険小説やSF、コナン・ドイルの『失われた世界』に夢中になり、中学生時代には、『コンチキ号漂流記』や『沈黙の世界』など自然科学系のノンフィクションを中心に、中尾明『黒の放射線』などを読み耽ったという」。

「東京都立富士森高等学校、東京学芸大学教育学部卒業後、八王子市役所に勤務し、福祉事務所や市立図書館などに配属される。のち作家活動に専念するため退職。朝日カルチャースクールの小説執筆講座で直木賞作家の多岐川恭などから文学の手ほどきを受ける。同じ講座の受講生に、宮部みゆきがいる」。

「1990年にパニックSFタッチの中篇ホラー小説『絹の変容』で小説すばる新人賞を獲得。その後、異形ホラー小説『アクアリウム』、伝奇サスペンス小説『聖域』、直木賞候補となった医学パニック小説『夏の災厄』、音楽ホラー小説『カノン』、近未来スラップスティック反ユートピア(ディストピア)小説『斎藤家の核弾頭』などを発表」。

「官僚制、民主主義、サラリーマン社会、管理社会、家父長制、宗教などさまざまな主題をとりあげており、広義のミステリ、ホラーといったジャンルに分類されるが、篠田自身にはジャンル意識があまりみられない点が特徴である。編集者からエロティックな作品を、との求めに応じた短編小説(冒頭作)を連作としてふくらませた『女たちのジハード』では、男性優位社会の中で生き方を模索する若いキャリアウーマン群像を描き、女性のライフスタイルや結婚、妊娠、海外での就職などをコミカルに描写した。この作品で直木賞を受賞」。

「瓢箪から駒が出たような成り行きに、本人は『意外かつ不本意だ』と困惑を披瀝したエピソードがある。この作品はNHKが1997年ドラマ化しNHKBSで放送し、好評を博したため再編集してふたたび1998年地上派で放映された。中心になる3人の女性は、賀来千香子、三井ゆり、千堂あきほが演じた」。

「文筆仲間と共同の仕事場を持つ。趣味はチェロの演奏。2004年2月に発売された歌手山下久美子のアルバム『壁のない世界』では山下久美子とのコラボレーションを試みた。音楽家を主人公とした作品もいくつかある。日本SF作家クラブに所属している」。

さて、このドラマにはベートヴェン、ヴィヴァルディ、パガニーニ、エルガー、イザイなどの作曲家の曲が使われていますが、「称号なきマイスター」と呼ばれる腕利き楽器職人・保坂善次郎がヴァイオリニスト・神野瑞恵に弾かせるためにヴァイオリン「ランドルフィー」を仕上げますが、このヴァイオリンで弾かせたかった曲が、コレルリのヴァイオリンソナタ弟10番でした。ここでコレルリ(コレッリ)とはどんな人物なのかチェックしておきましょう。

アルカンジェロ・コレッリ(Arcangelo Corelli, 1653年2月17日-1713年1月8日)は、「イタリアの作曲家、ヴァイオリニスト。姓はコレルリ、コレルリ、コレリのようにも書かれる。ヴィヴァルディより25年、大バッハやヘンデルより32年年長にあたる。合奏協奏曲、トリオソナタ、ヴァイオリンソナタで知られる」。

「コレッリによって生み出され、その弟子たち(フランチェスコ・ジェミニアーニ、ピエトロ・ロカテッリほか多数)によって守られてきた演奏形式はヴァイオリン演奏の発展の中心となる重要性をもっていたが、コレッリは自身の楽器演奏能力のうち、ほんの限定された一部しか用いなかった。このことは彼の著作からも見て取れる」。

「ヴァイオリンのパートが、第三ポジションの最高音である最高音弦のニ(D)音より上に行くことが決してないのである。一説によると、コレッリはヘンデルのオラトリオ『Trionfo del Tempo』(1708年初演、ローマ)の序曲におけるアルティッシモのイ(A)音にまで及ぶ楽節を演奏することを拒み、作曲者がその音を演奏したときに「技術を誇示するためだけにこんな音を弾かせるとは」と痛烈な批判を浴びせたという」。

「しかしながら、コレッリの器楽の作曲は室内楽の歴史に一新紀元を画し、彼の影響は自分の国の中に留まらなかった。ヨハン・ゼバスティアン・バッハはコレッリの作品を研究し、コレッリの作品3(1689年)の主題に基づきオルガンのためのフーガBWV.579を作曲した」。

「またコレッリは、アントニオ・ヴィヴァルディに最も影響を与えた人物でもある。ローマの音楽界は多くをコレッリに負っている。彼は貴族社会の最上位に受け入れられ、長期にわたってオットボーニ枢機卿の邸宅で行われる高名な月曜演奏会を主催していた」。(ウィキペディア)


作品としては、音楽を題材にしたドラマとしては、若干物足りないような印象を持ちました。どうしても「レッド・バイオリン」(1998年)などと比べてしまいます。原作はきっと面白いと思うのですが、クラシックに手馴れていない国民の性でしょうか、やはり音楽の重厚感が画面を通じて出ていないような気がします。


星護(まもる、1958年4月23日-)は、「共同テレビジョン所属のドラマのディレクター。新潟県出身。『世にも奇妙な物語』などの数多くのテレビドラマの演出を手掛ける。新潟大学教育学部附属新潟中学校→新潟県立新潟高等学校→早稲田大学卒業。星の手がけた作品にはガーゴイルの石像がどこかに出てくることが知られている。音楽担当には本間勇輔や佐橋俊彦をよく起用する」。

ガーゴイル(英語: gargoyle)とは怪物をかたどった彫刻、またはその怪物。ほとんどが背中に翼をもったグロテスクな姿である。本来の意味である彫刻としてのガーゴイルは、主として西洋建築の屋根に設置され、雨樋から流れてくる水の排出口としての機能を持つ。

ガーゴイルの語源は、口やのどを意味するフランス語のgargouilleに由来する。なお、gargouilleは、ラテン語で水が流れるときのゴボゴボというような音を表すgar から派生した言葉である。


観月ありさ(1976年12月5日-)は、「東京都練馬区出身。身長・169cm。血液型・A型。所属レコード会社はコロムビアミュージックエンタテインメントから移籍し、現在はavex tune。 母親が日米ハーフの為、観月本人はクォーター。 港区立東町小学校 → 練馬区立大泉南小学校 → 練馬区立大泉第二中学校 → 世田谷区立松沢中学校 → 明治大学付属中野高等学校(定時制)中退」。


伊藤裕子(1974年4月18日-)は、「東京都世田谷区出身のファッションモデル、女優、タレント。ホリエージェンシー所属。成城大学在学中に女性向け書籍JJのモデルとして芸能界デビュー。1997年フジテレビのドラマ『ひとつ屋根の下2』でドラマデビュー。シリアスな役柄はもちろん、とぼけた役柄までこなす幅広い演技には定評がある」。

観月ありささんの演奏シーンで代役を務めたのが、ヴァイオリニストの枝並千花さんです。

枝並千花(Chika Edanami)は、「1983年4月7日生まれ。出身地:新潟県。桐朋学園大学音楽学部OG。東京東京楽団のヴァイオリニスト」。ブロクで「ヴァイオリニスト枝並千花の Music Life blog」(http://ameblo.jp/chika-edanami/)を書かれています。


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