読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

新成人に読んでほしい一冊、「知っておきたいお金の常識」(神樹兵輔著/日文新書刊/2009年)

2010-01-12 15:25:25 | 本;エッセイ・評論
~多くの人たちは、年収が少ない、貯蓄が少ないと、なにかしらのお金に対する悩みを持っている。しかし、どうしたらお金に苦労しない人生を送ることができるか? それにはまずは「お金の本質」「お金の使い方のルール」「お金に対する教養」を身につけなければならない。「お金の常識」はこれからの厳しい社会を生き抜くためには必要な事項である。本書は基本的なお金の持つ本質や使い方のルールを解説しながら、同時にお金を賢く貯めるテクニックや殖やし方を紹介!~(日本文芸社)

~人生を180度変えるお金のルール~
<目次>
はじめに:お金の生活習慣病から脱する為に
第1章:最低限知っておきたいお金の基本-知らないとソンをするマネーの常識
第2章:お金は意識すれば不思議と貯まる-自然に貯めるのではなく意図的に貯めよ
第3章:賢くお金を残す!無駄のなくし方-こんなにある無駄なお金の使い方
第4章:今日から始められるお金の上手な稼ぎ方-誰でも簡単に始められる副業のコツ
第5章:誰でも出来る!お金の上手な殖やし方-貯めることから殖やすことへのステップ
特別付録:資産を確実に殖やすテクニック-資産を無理なく殖やすノウハウ公開!
おわりに:人生に流されない生き方が大切だ!

私のこれまでの人生は、ことお金に対しては全くもって無頓着という言葉に尽きます。バブル期にマンションを売って大金を手にしたときもありましたが、そのお金も1年であっさり浪費してまい、そのお金が底をついたときでさえ、それまでの生活を続けた挙句サラ金に手を染め、自らの首を絞めることになりました。

こういった自身の性癖は、「ことお金」だけではなく、人間としてのお粗末さからくるものだと気づくのがやっと五十路を越えた今頃なのですから、自分のことながら呆れます。昨日は、成人式でしたね。これからの人生を考え、希望に溢れている方々もあれば、目的も見出せずに無気力になっている方々もいるでしょう。

本書は、特に後者の方々へ、お勧めの一冊です。若いうちから貯蓄に励んでどうする、という先輩もいますが、一生をかけられる「仕事」を今、見つけるというのは至難の業です。でも貯蓄をすることを目標に定めることは誰にでも可能です。

貯蓄を目標としていろんな「仕事」を経験することがまず、大変な勉強になります。そしてまず、100万円を貯めることができれば、あとは本書のアドバイスに従って、少しずつ堅実に増やしていくことで少なくとも5年後にはそれ相当の資金ができます。5年もたてば、この資金の使い道はある程度自分で見えてくるはずです。著書は漠然と次のようなことを夢見ることを戒めます。

・事業に成功する。
・資産家の子供と結婚する。
・FXや株式トレードで勝負する。
・マイホームをローンで購入する。
・宝くじで一等を当てる。

「こんなことで、お金の悩みから解放される未来がやってくるなどと信じていたら、一生お金の苦労からは逃げられないでしょう」と著者は「おわりに」で述べます。上記三項目は当然として、特に、マイホームをローンで購入することが、「一生貧乏になる道の始まりであることを知っておこう!」と著者は力説します。

要約すれば、例えば4千万円で新築マンションを購入し、うち3千万円で住宅ローン融資を組んだ場合、仮に全期間3%の固定金利で35年返済を選択するとして、毎月の返済額は11万5450円、35年間の総返済額は、4849万円。つまり、金利が1849万円。

たとえば30歳で3千万円をローンで組まずに、ボーナス月返済の差額分の月平均6万円でマンションに35年間暮らしたとすると、賃貸費用は2520万円。4849万円-2520万円=2329万円の貯金ができ、この間に蓄えられる資金を上手に運用していけば、さらなるキャッシュフローができるというわけです。35年後の65歳になってキャッシュでマイホームを買ったほうが、平穏な余生を送ることができる、と。

結論は、まず500万円の貯蓄。これに至る貯蓄術は本書に譲るとして、この500万円を元手に堅実な資産運用として著者が薦めるのが、中古ワンルームマンションのへの投資です。

~81年の建築基準法改正(耐震強化)以前に建てられたマンションの中には、利便性に優れた物件がかなりあります。収益利回りを追求するなら、旧耐震物件を敬遠する投資家も多いので狙い目となっています。ワンルームはもともと狭小物件が多いものですが、入居を希望する人は、駅や商店街に近いなどの利便性重視のニーズが高いものです。

一方、郊外のワンルームは、少子化や人口減少などで空室率が高くなる傾向があるので、価格は安くともトータルで見た収益性(入居者がいないとオーナーには一銭も入ってきません)が重要なポイントとなります、リフォームに大した費用がかからないのも魅力です。~(P174)

具体的には・・・、
~例えば、500万円の投資で表面利回り9%の中古ワンルームマンションをオーナーチェンジ(賃貸入居者込み)で購入したとしましょう。

9%の表面利回りなら、年間45万円の家賃収入になります。ここから毎月の管理費と修繕積立金、税金(固定資産税と都市計画税)などを20%として差し引くと手取りは36万円になります。毎月に直すと3万円の収入というわけです。この程度ならば、減価償却や諸経費計上でトントンになるので、収入といっても、まず税金がかかることもありません。~

<72の法則>
~09年3月27日時点のメガバンクの普通預金の年利は、概ね0.04%です。72の数値をこの0.04で割ると1800という数値が導かれます。これは、100万円をメガバンクの普通預金に、ずっと同じ0.04%の金利で預けた場合に、2倍の200万円になるのに何年かかるかということを表しているのです。答えは、なんと1800年もかかるということです。

1年定期の場合でも概ね金利は0.25%ですから、72をこの数値で割ると100万円が福利で200万円になるのに288年かかることがわかります。これは、年に7.2%の利回りがあれば、元本が2倍になるのに10年、3倍になるのに15年、4倍になるのに20年を要するという、複利計算を逆して生まれた公式なのです~(P74)


本書以外に、渡部昇一さんのこの一冊もお勧めします。

「財運はこうしてつかめ~明治の億万長者本多静六開運と蓄財の秘術~」(致知出版社 2000)


神樹兵輔:マネー作家。広島県出身。新聞、雑誌に経済コラム、ニュービジネスレポートなどを発表。不動産関連分野、中国最新事情にも詳しい。主な著書に『20代で資産をつくる本』『パーティコネクション』『マネー裏ワザ講座』(廣済堂出版)、『図解 景気のカラクリ&金融のしくみ』『金儲けの経済学』『仕事の99%は段取りで決まる』『TV&新聞&ネットで目にする経済の疑問』(小社刊)などがある。

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