読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

賛否両論ありますが、私はお薦めします。「800万の死にざま」(アメリカ/1986年)

2007-12-27 08:10:38 | 映画;洋画
原題:8 Million Ways to Die
原作:ローレンス・ブロック
監督:ハル・アシュビー
脚本:オリヴァー・ストーンとデイヴィッド・リー・ヘンリー
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影:スティーブン・H・ブラム
出演:ジェフ・ブリッジス、ロザンナ・アークェット、アレクサンドラ・ポール、ランディ・ブルックス、アンディ・ガルシア

随分前に観た映画ですが、今日がハル・アシュビー監督の19回目の命日だと知り、今日は本作を取り上げます。内容をよく覚えていなかったので、goo映画から引用しておきます。ジェフ・ブリッジスとアンディ・ガルシアのラスト間際のシーンがとても印象的だったことは鮮明に覚えています。

「マシュー(ジェフ・ブリッジス)は、ロス市警の優秀な麻薬捜査官だった。在職中に暴れる丸腰の売人を撃ち、正当防衛か過剰防衛かで本署より執拗な追求をうけ、酒に溺れ、休職、離婚。アル中で廃人手前までの彼は禁酒会での苦闘の6ヵ月の後に、なんとか社会復帰」。

「まず禁酒会の女より、会わせたい女がいるとのことで、彼は山の手の豪邸のパーティに出席。そこで目的の女、サニー(アレクサンドラ・ポール)と会い、所を場末バーにかえて、彼女は彼に助けてくれと申し込む。あのパーティは、黒人マフィアのチャンス(ランディ・ブルックス)経営の秘密高級売春クラブだったのだ」。

「翌日、マシューはチャンスに、サニーをクラブから抜け出せるようたのむが、埒があかず、高飛びしようとしたサニーは何者かに殺された。侮悟の念にさいなまれたマシュー。再び酒に溺れ、アル中保護センターで正気を戻すのに2日がたっていた。マシューは、サニー殺しの捜査を開始する」。

「まずチャンスをしめ上げるが、手がかりはなく、クラブのサニーの友人サラ(ロザンナ・アークェット)に近づく。そして、クラブの常連のエンジェル(アンディ・ガルシア)の指に、サニーのブレスレットから脱落した飾りのリングを見る。奴が犯人だ。サラとマシューはいつしか心ひかれていた」。

「一方、エンジェルもサラにぞっこんだ。マシューはサラを囮にエンジェルをつかまえようとするが、サラはエンジェルの手に渡ってしまう。だが、マシューはチャンスと共にエンジェルが売人をやっていた麻薬密売ルートと麻薬を発見。これをエサに、エンジェル一味をおびき出し、サラとの交換を迫る。激しい銃撃戦。その場からエンジェルは逃げる。チャンスの豪邸でマシューとエンジェルは対決、ついにエンジェルは倒れた」。(goo映画)

本作は、ローレンス・ブロック作「マット・スカダー・シリーズ」(Eight Million Ways to Die、1982年)の映画化ということです。まず「800万」とは何の数字なのか?映画の舞台のロスの人口?400万人でした。そこで、アメリカでの本書の内容紹介文を見ると、次のような記述がありました。

One obvious social concern in the Matt Scudder mysteries, and especially in Eight Million Ways to Die, is the plight of the city, here New York City.

私は原作を読んでいないので見当違いと知りつつ立てた推論は、著者は後述にあるようにニューヨークを舞台にした作品が多いことから、本書ではニューヨークが舞台であるとすれば、その人口か?調べるとおよそ820万でした。これか?と思いますが、本作ではロスを舞台にしているので、わざわざこのタイトルを使うだろうか?という疑問も残ります。

一方、本作の内容に注目すると、麻薬やアルコール中毒者というキーワードが出てきます。そこでアメリカ労働省の調査を調べると、アメリカにおける成人のアルコールや麻薬・覚せい剤の中毒者は1230万人とありました。この内訳のどちらかが800万人である可能性はあります。調査年がわかりませんが、原作が書かれた1980年代では全体で800万人であった可能性もあります。

諦めきれずに検索していたところ、どなたかわかりませんが、「今村のHOME PAGE」(http://www2.tba.t-com.ne.jp/imam/)の中にその答えがあっさり書かれていました。

「タイトルは、ニューヨークという一見華やかな大都会に住む八百万の人々の、それぞれの人生(孤独、哀感、生きざま、死にざま)を意味する」。(スッキリ)


ローレンス・ブロック(Lawrence Block, 1938年6月24日-)は、「アメリカ合衆国ニューヨーク州出身の小説家。主にサスペンス、探偵小説を手がける。1960年よりペーパーバック・ライターとして娯楽小説にて作家デビュー。作品はニューヨークを舞台にしたものが多く、主人公も探偵、空き巣、殺し屋など様々な設定がある」。

「中でも、『マット・スカダー・シリーズ』と『泥棒バーニー・シリーズ』で人気を集めた。『倒錯の舞踏』でMWA賞最優秀長篇賞、『死者との誓い』でPWA最優秀長篇賞を受賞。『ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門』(原題はTelling Lies for Fun & Profitで、直訳すると『おもしろくて得をする嘘をつくこと』)は、エンターテインメント小説の書き方の解説書であるだけでなく、彼の小説論・作家論が書かれており、彼の作品をよりよく読み理解するためにも、大変参考になる」。


ハル・アシュビー(Hal Ashby, 1929年9月2日-1988年12月27日)は、「アメリカ合衆国ユタ州出身の映画監督である。映画編集者として映画界に入り『夜の大捜査線』(1967年)ではアカデミー編集賞を受賞した」。

「後に監督となり『さらば冬のかもめ』(1973年)、『シャンプー』(1975年)、『帰郷』(1978年)などの作品を監督し、『帰郷』ではアカデミー監督賞にノミネートされた。カンヌ国際映画祭においてパルム・ドール候補になったことが4回あるが、受賞はしなかった」。


さて、キャスト陣。「白と黒のナイフ」(1985)、「タッカー」(1988)、「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(1989)、「ブローン・アウェイ/復讐の序曲」(1994)、「白い嵐」(1996)、「隣人は静かに笑う」(1998)、「光の旅人 K-PAX K-PAX」(2001)など、彼の出演する映画はどれも好きです。

ジェフ・ブリッジス(Jeffrey Leon Bridges 1949年12月4日、アメリカ合衆国カリフォルニア州生まれ)。「父はロイド・ブリッジス、母も女優、兄も俳優ボー・ブリッジスと役者一家に育った(ジョーダン、ディランの甥も俳優)。8歳の時、父のTVシリーズ「潜水王ネルソン」に出演。以降、親子共演をし、ユニヴァーシティー・ハイスクール卒業後、ニューヨークにて演技を学び、70年、『怒りを胸にふり返れ!』で映画デビュー」。

「71年『ラスト・ショー』、74年『サンダーボルト』でアカデミー助演男優賞にノミネート。『スターマン/愛・宇宙はるかに』では主演男優賞にノミネートされる。以降、年齢を重ねるほどに円熟味を増し、アクション、ドラマからコメディまでとその演技を幅を広げている。77年に結婚。一男二女がいる。」

<ジェフ・ブリッジス - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%B8%E3%82%B9


二人の男性に愛される女性を演じたのは、「愛と青春の旅だち」(1982)でブレークし、1995年映画界から離れた女優を追ったドキュメンタリー映画「デブラ・ウィンガーを探して」(2002)で初めてメガフォンを撮ったロザンナ・アークレット。

ロザンナ・アークェット(Rosanna Arquette、1959年8月10日、アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク生まれ)。「祖父はコメディアン。父はルイス・アークエット。パトリシア、アレクシス、デヴィッド、リッチモンドと、兄弟全員も後に俳優となった芸能一家の長女として生まれる。16歳の時、ヒッチハイクで西海岸に渡り劇団に所属。77年にTVM「悪魔の棲む村」に出演。79年「アメリカン・グラフィティ2」で映画デビュー」。

「以後、異端なキャラクターを演じ注目される。88年の『グレート・ブルー』で主人公ジャックに心惹かれる恋人役でブレイク。一時、TOTOのスティーブ・ポーカロと同棲し、ヒット曲『ロザーナ』の元ネタとなったと言うエピソードがある。86年、ジェームズ・ニュートン・ハワードと結婚したが後に離婚した」。(以上、goo映画、ウィキペディア)


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