アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」

2013-08-09 | 映画

前作の「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」を見てから、何と!もう2年半もたっていました。前作が上映された頃から、次の作品の予告がされていましたので、本当に今か今かと待っていました。いよいよ京都での上映だ!場所は、いつも素敵な映画を見せてくれる「京都シネマ」です。

物語は、ふたりがコツコツと集めてきた膨大な現代アート・コレクション、ワシントンのナショナルギャラリーに寄贈されることになったのだけれど、それでも到底おさまりきらない!!ってことで、急遽、全米50州の美術館に50作品ずつ、計2500点を寄贈するプロジェクトがスタートし、彼らのコレクションを、それぞれの美術館がどのように受け止め、観客がどのように鑑賞したか、そのいくつかの美術館を夫婦が訪ねるシーンも交えながら紹介される、というものだ。

映画が始まって、最もショックを受けたのは、ハーブ(旦那さん)があまりに年を取っていて、なんだかとても生命の灯が小さくなってしまっていたこと…。前作で、鋭い眼差しで作品を見つめ、的確な言葉で作品を評していたハーブの姿がとっても印象的で、このコレクションは彼がいたからこそだな~と思っていただけに、とても残念に思いました。人は老いるものだ…とわかっていても。

このプロジェクトは、斬新なアイデアで、寄贈された美術館にもとても歓迎されたと思うけど、やはりコレクションを分割するということには、さまざまな葛藤があったようです。ハーブも最初は反対だったそう。そして彼らが親しくつきあってきたアーティスト、リチャード・タトルもコレクションを分かつことに納得がいかず、関係が断たれてしまっていたのですが、映画の中のトークショーで同席した夫婦と仲直り。この時ばかりは、ハーブの眼に光が灯り、タトルをじっと見つめていて、感動して涙が出そうになりました。

それにしても、アメリカってやっぱり広大な国ですよね~。美術館のまわりの環境も、都会あり、大自然あり、寒そうだったり、あったかそうだったり…。すべての美術館で彼らのコレクションが大切に保管され、展示され、地域のお客様に愛されることを願わずにはいられません。子どもたちがヘンテコな作品をくりくりの興味深げな眼差しで見つめるのは何ともいえずかわいらしく微笑ましかったです。

さて、本作は、以前JRの展覧会の記事でもご紹介した、「クラウドファンディング」(motion gallery)で資金を集め、上映が実現したもの。何と!900人あまりの支援で1400万円を調達。多分そのおかげで、ドロシーも来日できたんだと思う。もちろん、協力しましたヨ。パンフレットにも小さくだけど、名前がのりました。そして!実は前作のDVDに加え、本作のDVDももらっていたんですね~。でも最初に映画館で見よう!っと思って見ずにとってあったんです。本作では、夫婦が寄贈したたくさんの作品も紹介されているんだけど、一瞬だったので、またDVDでじっくり見るのだ~!

ハーブの死によって、ドロシーはコレクションの終結を宣言しました。二人は伝説になるんだね。こんな素敵な夫婦の存在を知ることが出来て、本当に嬉しい。監督の佐々木芽生さんには、大きな感謝の意を捧げたいと思います。8/16(金)まで上映。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フランシスコ・ベーコン展(... | トップ | 堂島リバービエンナーレ2013 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画」カテゴリの最新記事