歌わない時間

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ラ・ベネシアーナ『モンテベルディ/マドリガーレ集第5巻』

2009年09月27日 | CD モンテベルディ
Monteverdi
Quinto Libro dei Madrigali
La Venexiana
GCD 920925

2006年録音。66分21秒。GLOSSA。モンテベルディのマドリガーレ集第5巻。いよいよ、ルネサンス様式のマドリガーレが、初期バロック様式のカンタータふうの曲へと羽化していく現場に立ち会える、って感じですね。いえいえわたしはルネサンスの世俗曲を未熟な音楽だなんて思ってませんよ。歌うのも聴くのも大好きです。ただモンテベルディの場合、ルネサンスからバロックへの作曲様式の変化は彼にとって当然の道筋だった。このベネシアーナの『第5巻』を聴けば納得してもらえると思う。

しかし、コンソート・オブ・ミュージックでもコンチェルト・イタリアーノでも聴いたはずなのに、はずかしながら『第5巻』はほとんど記憶に残っていなかった。なんでだろ。若かったのかな。声楽のメンバーはRoberta Mameli、Nadia Ragni、Claudio Cavina、Raffaele Giordani、Giuseppe Maletto、Daniele Carnovichで、これに後半の7声、9声ではさらに助っ人が参加。

そんなに激した感じの演奏ではないんですが、やはり、さすがの説得力ですわ。ここには歌が溢れている、って気がするんだよなー。彼らはモンテベルディを完全にわがものとして歌っている。やっぱりこれこそ本物、って思わされます。前半のア・カペラの5声の曲もわたしは好きですが、やはり聴きどころは後半の通奏低音つきの曲なんでしょうな。まだバロックが始まったばかりだというのに、たしかにそういう初々しい気配もあるのはあるんだけど、しかしモンテベルディはすでに完成型の音楽を書いている。そしてそれをまたラ・ベネシアーナの連中は、声の美しさ、テクニック、音楽性がみごとに一体となった完璧さで聴くものの耳に届けてくれる。

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