歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

平和町の坂。

2005年07月27日 | メモいろいろ
松山町で電車を降りて、浦上天主堂のほうへ歩き、平和町の十八銀行の手前で右に曲がる。十八銀行のあたりはにぎやかな商店街だが、角を曲がると、左右はすぐに落ち着いた感じの住宅地になる。その間の長い坂道を、ゆっくりとのぼっていく。途中、左側に佐賀銀行の社宅があったりする。ここの坂は長崎に多い急坂ではなく、わりと緩やかな坂道である。地図には特に出ていないが、あの坂には何か名前がついていないのだろうか。

坂を登り切ると平らな道に出る。長崎では、坂を登り切ったらまた別の上り坂、ということが多いので、こういうふうに、坂を上ると平らな道、というのは少ない。ここはその名も平野町だ。静かなお屋敷町である。長大の医学部が近いので、むかし医学部の先生たちがここらに家を構え、それで大きなうちが多くなったのだと誰かが教えてくれた。今は実際にはそんなうちは少ないのかもしれないが、住み込みのお手伝いさんが勝手口から出て来そうな、背の高い木に囲まれた邸宅が静かに並んでいた。

そのまままっすぐ歩くと、やがてまわりの家が小ぶりになって、下りのコンクリート段の前にいたる。なんとなく下界に降りるのが惜しいような気がしつつ、階段をくだると、そこは浜口町の、附属病院の下の交叉点である。

住吉の予備校に行かせてもらっていたころ、平野町のあのお屋敷町の雰囲気が好きで、学校の帰りによく電車を途中で降りてぶらぶらした。あのころは無邪気に時間を持てあましていた。

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