歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

有田正広ほか『バッハ_音楽の捧げもの』

2012年01月26日 | CD バッハ
J. S. Bach
Musikalisches Opfer, BWV 1079
Masahiro Arita, Ryo Terakado, Natsumi Wakamatsu, Tetsuya Nakano, Chiyoko Arita
COCO-70463

1993年録音。59分59秒。DENON/Aliare。『音楽の捧げもの』はパイヤールの旧録音が冴え冴えとしたいい演奏なんですが、久しぶりにそのパイヤールを聴いたらビブラートが耳障りに感じられちゃった。それでやっぱり時代楽器のを聴いてみたくなったわけ。ちょうどそのころ安くで出ていたこの演奏を聴いてみることにしました。

有田正広のフラウト・トラベルソ。寺神戸亮のバロック・バイオリン。若松夏美のバロック・バイオリン&バロック・ビオラ。中野哲也のビオラ・ダ・ガンバ。有田千代子のチェンバロ。この構成はいいですね。ビオラが加わると弦の音域が広がって演奏全体に深みが出てきます。6声のリチェルカーレを、チェンバロ独奏と合奏との両方で演奏し、トラック9-10に続けて収録しているのが特徴。

全体に、よい意味での若い感性をたたえた演奏で、初めて聴いてみたときにはなんかあっさりしすぎているようにも思いましたが、聴き直すごとに、これはいい演奏だなあって思えてきた。わび、さびの美、ってんですかねえ。けっして濃い味ではない。けれど、どこをとっても密度の高い音楽で、どの楽器もよく鳴っている。協調しながら、歌うべきところは歌い、聴くべきところは聴く。これこそアンサンブルの醍醐味。ただ西洋人みたいな油っこさではないのね。

録音も優秀。それぞれの時代楽器の音がなまなましく迫ってくる。プレイヤーたちの気合いの高さまで写し取られている。

それにしても『音楽の捧げもの』っていうのはすごい曲集ですね。時代をかるがると超越した、これぞ絶対音楽ってオーラがすごい。

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