歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ヘレベッヘ『ラッスス/エレミアの哀歌』

2006年02月21日 | CD 中世・ルネサンス
Lassus
Hieremiae Prophetae Lamentationes
Ensemble Vocal Européen de la CHAPELLE ROYALE
Philippe Herreweghe
HMC901299

1989年録音。74分20秒。HMF。ラッススの『エレミアの哀歌』。別にとりあげたプロ-カンツィオーネ-アンティカの2枚組のうちの1枚目とまったく同じ内容。しばらく放っておいたのですが、これも悪くない。というかこちらのほうが今風ですねやっぱり。プロカンのはしっかり骨太で、ベテランの風格で歌い通していますが、このヘレベッヘ指揮のはプロカンにくらべると若々しくさわやか。人気投票をしたら、圧倒的にヘレベヘに票がいくと思います。

徹頭徹尾、なめらかに仕上げてある。わたしがじぶんで歌うわけではなくて聴くだけの側の人間であったら、手もなくヘレベッヘのほうを選ぶと思います。ただ、プロカンのと聴き較べたとき、歌い手として「ああ自分もこんな演奏がしたいな」と思うのはヘレベッヘではなくてプロカンのほうなのですね。ヘレベッヘのこの演奏はあまりに優美で、演奏者としてはとても手が届かない。自分がこんな演奏をするようになるシチュエーションを想像できない。プロカンのはもちろんプロフェッショナルな高水準な演奏ではあるのですが、こういう音楽の作り方ならある程度は自分にもアプローチできる、と思わせてくれる親しみやすさがある。

気が向いたので、歌い手の名前を書き写してみます。

Dominique Verkinderen, Maria-Cristina Kiehr, Gundula Anders, sopranos
Vincent Darras, Betty van den Berghe, Kaï Wessel, altos
Angus Smith, Simon Davies, Gert Türk, Hervé Lamy, ténors
Renaud Machart, Peter Kooy, Stephan Schreckenberger, basses

キールが歌ってる、とか言って喜ぶ人もいますが、それよりも、アンサンブルの名前に「ヨーロッパ」というのが入っているだけあって、英仏独蘭白(白は下記参照)あたりから幅広く歌手が参加していることのほうがより注目される。モンテベルディ合唱団、タリス-スコラーズ、レザール-フロリサン、アンサンブル-クレマン-ジャヌカン、コンチェルト-ボカーレなどのアンサンブルで歌っている人たちを集めて、ヨーロッパの古楽演奏の精髄を聴かせようというヘレベッヘの意欲を感じる。

漢字で書くとベルギーは「白耳義」だというのを、さっき調べて、はじめて知りました。ためしに「日白」で検索すると、外務省サイト内、平成16年7月付の「ベルギー経済と日白経済関係」というページがまづヒットする。まあこれは前後の文脈で推測がつくけど、いま、いきなり「日白関係」とか言われても何のことか分かりませんよねえ。

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