歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

『美しき人生』の『コレヘト』

2014年03月26日 | メモいろいろ
無料動画GyaO!『美しき人生』第54話。ビョンジュン(キム・サンジュン)とアラ代表(チャン・ミヒ)との電話のやりとり。このときアラさんはビョンジュンに振られて、虚無的になっていた。アラさんは電話の向こうにいるビョンジュンに、「何というむなしさ 何というむなしさ すべてはむなしい」と言います。このことばが「頭に響いている」と。GyaO!の字幕では引用句であることをはっきり示してなかったけれど、これは旧約聖書の『コレヘト』(伝道の書)ですね。わたしは曾野綾子経由で、たまたま知っていました。聖書をちゃんと読んでるクリスチャンには有名なところなんだろうと思います。『美しき人生』の字幕では新共同訳の聖書と一致することば遣いになっているから、字幕をつけた人も、これが『伝道の書』だということは分かっていたんでしょうねえ。

この「何という空しさ」の箇所は、他の日本語聖書では「空の空」と訳されていて、はじめて見たとき、わたしはこれだけではピンときませんでした。あとから、「ハレルヤ・コーラス」の〈King of Kings〉は「王の(なかのもっとも最たる)王」ってことだから、となると「空の空」とは「空しさのうちのもっとも最たる空しさ」の意なのだろうとようやく見当がつきました。

それにしてもどうしてアラさんはここでこのことばをつぶやくのか。もちろん知ってるからつぶやいたんでしょうが、アラさんはクリスチャンだったっけかな。まあアラの信仰いかんにかかわらず、教養として『伝道の書』を知ってた、って可能性もあるけどね。そして、韓国では日本よりクリスチャンの割合いが多いことはわたしも知っていますが、このシーンを見た韓国の人たちは、アラさんのこのせりふを聞いて「あ、伝道の書」ってすぐ気がつくくらい、広く聖書に親しんでいるのかなあ。そのへんがわたしには分かりません。