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図書室から 「アナログ」 「おらおらでひとりいぐも」 「九十八歳になった私」を読んで

2018年03月12日 15時04分15秒 | 図書室
3月12日

風邪で休んでいる時、小説を三冊読んだ。
感銘深かったわけではないので、記載するのは止めようかと思ったが、せっかくだから書いておこう(笑)




▲ 「アナログ」  ビートたけし著 新潮社 1200円 2017.9

NHKラジオに「著者からの手紙」という番組が日曜日の早朝にある。2月の志賀高原からの帰り、たけしがこの本について語っているのを偶然聴いた。たけしの初めての小説で、「火花」の又吉なんかに負けるかというつもりで書いたとか。

「互いに惹かれあいながらも、電話番号やメールアドレスなどを知らせず、素性を明かさないまま関係を育んでいく男女を描いた恋愛小説」 (NHK)

スマホで「会いたい」「会おう」とデジタル的にぽんぽん進捗する恋愛ではなくて、「なぜ逢えなかったのだろうか・・」ともんもんする「君の名は」風のアナログ的恋愛にこそ恋愛の極致があるのではと、たけしは思っているようだ。

この小説テーマの捉え方は魅力的で、良し。しかし、小説での純愛展開は・・ちと陳腐。あまりにも平凡で、全く感心しなかった。偲ぶ、忍ぶがゆえにもっと深まった恋愛みたいなものを描いて欲しかったが。まあタケシには無理だろうな。






▲ 「おら おらでひとりいぐも」 若竹千佐子著 河出書房新社 1200円 2017.11

ご存知、前回の芥川賞受賞作だ。タイトルの意味は「私は私一人で逝きます」ということらしい。作者は岩手遠野出身の63歳。内容は、74歳一人で都市近郊に暮らす桃子さん、夫を早くになくしている。「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」 回帰するのは東北弁に。「捨てた故郷、疎遠な息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いた、圧倒的自由と賑やかな孤独とは・・」(本のカバーキャッチ)

家内がこの本を読みたいというので、買ってきておいたのだが、今回自分でも読んでみた。

主人公の独白が殆ど。全く、面白くない。ちなみに読者の評価を読んでみた(通常は他の人の感想など読まないが)。好き嫌い二分されているようだ。これ以上説明する気も起きず、アマゾンで、どーぞ。





▲ 「九十八歳になった私」 橋本治 著 講談社 1600円 2018.1

68歳の著者が、30年後の近未来の自分を想像して描くフイクション。人生100年とかの謳い文句に乗せて、こんなテーマを依頼する文芸誌編集者の意図があざとい。またそれに乗せられて買いはしなかったが、図書館からすぐ借りてくる自分も安易だ(笑)。98歳になった著者が、退屈な日常を持て余し脈絡のないことを、ふらふらと書いている設定だ。「おらおら」の男性独白版だ。これもストーリー展開がなくて、ユーモアを交えて(ということになっているが)延々と独白が続く。短気老人のボクにとっては、「おらおら」同様に、イラついて読むのが苦痛であった。アマゾン書評

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今回は期せずして、三冊とも高齢者の書いた新刊本になってしまった。「おらおら」の帯カバーには、「青春小説の対極、玄冬(げんとう)小説の誕生! ※玄冬小説とは・・・歳をとるのも悪くない、と思える小説のこと」 と説明までつけて玄冬小説を喧伝している。


一般的に言って、歳をとれば創作意欲は枯渇していくだろう。いつまでも自己体験をベースに恋の歌を謳っているわけにはいかない。そのため玄冬小説にテーマが移っていくのだろうが、どこまで膨らませて書けるのだろうか・・
「おらおら」と「九十八歳」は全く面白くないとは言ったが、同世代のテーマをまともに見据えて、何かを書こうとするスタンスはエライ、偉いと思うよ。







2 コメント

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ビートたけし (jun)
2018-03-13 09:01:13
おはようございます^ - ^

ビートたけし、又吉クンに張り合って本を出したんですね。
昔、私の家の黒電話は茶の間にありましたから、彼氏からの電話にはもどかしいものがありました。電話をかける時間も気になりましたし、話す言葉も苦慮して、もんもんと(笑)あの頃のように会って表情を見て話すというのは、今のスマホには出来ない純愛だった…♡

「アナログ」の展開は陳腐でしたか。
〉まあタケシには無理だろうな〜
私、ビートたけしが「巨匠」とか「世界のたけし」と、呼ばれるのが分かりません。「アウトレイジ」のどこがいいのか(・・?)
土曜日放送の「情報7daysニュースキャスター」では、時々、ドキッとする発言をして(おや、やっぱり頭いいのかな?)と、感じることもありますが。事故に遭ったせいか、滑舌が良くなくて聞いていてイライラします。

〉「おらおら」「九十八歳」〜何かを書こうとするスタンスはエライ〜
そうですね。私、最近、何かに挑戦しようとか、叶えたい夢がないなぁと感じています。

日々、穏やかに過ごせれば、それで良しみたいな自分に、もう情熱なんていうモノは持てないのかなと、少し淋しさを感じています。
soraさん、夢はありますか?
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junさん、こんにちは (Sora)
2018-03-13 16:19:26
>あの頃のように会って表情を見て話すというのは、今のスマホには出来ない純愛だった…♡
あはは、やはりjun愛の時があったのですね。まあ、もう恋愛は偉大な誤解の面もありますからね(笑)。今は、誤解したって、「お試し期間」も十分ありますしね(なんのこっちゃ)。

>私、ビートたけしが「巨匠」とか「世界のたけし」と、呼ばれるのが分かりません~
私、ハナからさんまとかイモリとかのわろてんか隊がお笑い芸以外のことでメディアが起用する安直さに昔から不快感を感じてます(笑)。ですからたけしの映画なんぞ見たことはありませんでした。しかし、先日大杉蓮さんが亡くなったでしょ。その追悼ということで、HanabiをTV放映してました。この「アナログ」を読んだあとでしたので、じゃあどんなんじゃいと観てみました。最悪のグロ。グロでもいいのですが、「どうだオイラはタブー視するものはなく撮れるんだ」というスタンスがハナについて反感をもちました。意識レベルが低い。実は「ドキッとする」ことを言って注目を引こうとする心理機制は私にも昔から有りまして、判るのです。アタマがいいのでもなんでもなく、注目、笑いを引き出そうとする性(さが)だと思いますよ。

>もう情熱なんていうモノは持てないのかなと、少し淋しさを感じています。soraさん、夢はありますか?~
山登りがあるじゃないですか。大きな夢はもう持てないと思いますが、小さな夢、やりたいことを精一杯積み上げていけば、もういいのではないでしょうか。なんなら、毎日TVを寝転びながら見ることが好きならば、またそれができるならば、精一杯TVを見尽くして死んだらもういい、と思いますよ。
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