バジル 3
バジル」を見ると時々このお話を思い浮かべます。特にバジルを摘み取った後に、きつく匂う香りをかぐと思い出すのです。そして以下の歴代の植物学者達が書いている内容が頭をよぎります。
中世、近世(特に1400年代)は、料理で利用する「緑色の食材」は、このバジルとイタリアンパセリの二つでした。強い、長時間の加熱をしない限りは鮮やかな緑色を提供してくれる食材でした。イタリアンパセリよりも少し明るい緑色のバジルのこの色はまさに「悪魔の色」でした。1400年代に緑色をした悪魔が数多く描かれていることと関連がないとは言えないでしょう。
In the 15th century "Saint Wolfgang and the Devil" by Michael Pacher, the Devil is green. Poets such as Chaucer also drew connections between the color green and the devil.
Illuminated Manuscript, Book of Hours, St. George, Walters Manuscript W.168, fol. 217v detail
1450-1475
イングランドの植物学者ジェラードは “ バジルの葉を食べていればサソリに刺されても大丈夫だ ” と言い,医占星術の大家であるニコラス・カルペッパー( Nicholas Culpepper: 10/18/1616-1/10/1654 )は “ バジルは火星とさそり座の下にあるハーブ故、バジリスクと繋がりのあるBasilicumという名が付いている ” と述べています。
パーキンソン( John Parkinson、1567–1650、イギリス最後の草本学者にしてもっとも偉大なる植物学者 )はバジルとサソリ座の関係を “ バジルは優しく扱うと心地よい香りを出すが、押し潰すと強い香りがサソリを産む。又、バジルを植えたポットやいれものの下にサソリがよく潜んでいる。バジルの若枝がポットの下に残されるとそれがサソリになる。” と説明しています。バジルのニオイがするだけで頭の中にサソリが棲みつくという迷信も残されています。
又ニコラス・カルペッパー ( Nicholas Culpeper、10/18/1616-1/10/1654、イギリスの本草学者、植物学者、医者、占星学者 ) は医占星術書イングリシュ・フィジシャン( 1652 ) とコムプリートハーバル ( 1653 ) の中で“毒液を発する獣に噛まれた時、又はスズメバチなど毒針で刺された時はその場所にバジルを当てれば直ちに毒を吸い出すと述べています。
つづく。
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